どんな病気?

 乳幼児が高熱に伴いけいれんを起こすこと。未熟な脳が「高熱」という刺激に反応して電気的にショートするイメージで、幼児期を過ぎて脳が成熟すると起こしにくくなる一過性の病態です。
医学的な定義:38℃以上の発熱に伴って乳幼児期(生後6ヶ月~6歳)に生じる発作性の病気で、他に発作の原因(脳炎、脳症、代謝異常など)がない場合。


特徴

頻度:日本人は7~10%「10~15人に1人」と欧米(3~4%)より多い傾向。

家族集積性:あり(兄弟・両親に熱性けいれんの既往を認めること多し)

発熱の原因:高熱が出る感染症(突発性発疹、麻疹、インフルエンザなど)で起こりやすい。

発作時の体温: 発作直後は39℃以上のことが多く、ほとんどが発熱後12時間以内で体温が急上昇するときに起こします。


発作の様子

典型的(別名:単純型、定型的

・全身の強直間代けいれん(強直=こわばる、間代=ガクガクする)

・意識消失:呼びかけに返事なし、視線が固定して動かない

・顔色が悪くなる(チアノーゼ)

・持続時間:数分以内(長くても5分程度)

非典型的(別名: 複雑型、複合型、非定型的

・体の一部のけいれん(部分発作)、意識低下のみでけいれんがみられない発作

・15分以上持続

・24時間以内に繰り返す


また起こす? 脳に後遺症が残る?

熱性けいれん患児の70%は、一生に1回しか発作を起こしません。

・1回起こした児が2回目を起こす確率は約30%

・2回起こした児が3回目以降を起こす確率はその内の約30%(全体の9%)

熱性けいれんの発作は神経学的異常・後遺症を残しません。

非典型的(複雑型)であっても神経学的異常や発達異常を認めなければ、将来神経学的異常を来すことはほとんどありません。

□ てんかんへの移行・・・約5%(一般の約5倍)


熱性けいれんを起こした後の予防接種は?

典型的(単純型)発作では、最終発作から3ヶ月の観察期間をおけば接種可能です。


<ひきつけた時の対処法>


家庭での応急処置

あわてない:数分で止まるのがほとんどです。

何もしない:歯を食いしばっているときでも口の中にものを入れてはいけません。大声で呼んだり、体を揺すったり、押さえつけたりしないでください。

楽な姿勢:衣服をゆるくし、特に首の周りをゆるくします。 

嘔吐対策:横向きに寝かせるか、吐きそうなとき顔を横に向けます。

観察する:体温を測定し、持続時間と様子(左右差、目の動き)を観察・記録します(後の診察のとき、医師に説明できるように)。

意識回復を確認:意識がはっきりするまでは口から薬・飲み物を与えてはいけません。誤嚥して気管に入るとむせて苦しくなります。


救急車を呼ぶ必要があるとき

① 発作が5〜10分以上続き、止まる気配がないとき

② 短い間隔で繰り返し発作が起こり、その間も意識消失が続くとき

③ 全身ではなく体の一部だけ、あるいは部分的に強い発作のとき

④ 他の神経症状を伴うとき(意識の戻りが悪い、麻痺など)


<ダイアップ®坐剤による予防>


適応(「熱性けいれん診療ガイドライン2015」より)

「15分以上続く発作の既往」
または、以下の2つ以上を満たした熱性けいれんを2回以上反復

(1)焦点性(体の一部)発作、または24時間以内に反復

(2)熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞

(3)熱性けいれんまたはてんかんの家族歴


(4)生後12カ月未満

(5)発熱後1時間未満での発作

(6)38℃未満での発作


使用の実際

・くすりの知識:ジアゼパム(ダイアップ®坐剤)という抗けいれん薬。けいれんが止まらなくて救急車で病院へ行ったときは注射で止めますが、その時に使うのと同じ成分です。

・使うタイミング:発熱に気づいたら(37.5℃が目安)1回肛門内に挿入し、8時間後も熱が続いていたらもう1回使います(2回で終了し追加は禁!)。

解熱剤の坐薬も使いたいときはダイアップを先に入れ、30分開けて使用。

・使用期間:2年間、あるいは5〜6歳まで。

・注意点:眠くなったりふらついたりします。転んで頭をぶつけたりしないよう注意して観察しましょう。
* なお、解熱剤で熱性けいれんを予防することはできません。 


<参考>
・(リーフレット)熱性けいれんの予防法について(高田製薬)
・(動画)熱性けいれんとダイアップ坐剤(高田製薬) 
熱性けいれん予防薬(ダイアップ坐薬)Q&A(国保旭中央病院小児科)
熱性けいれん(熱性発作) 診療ガイドライン2023(日本小児神経学会)

子どもの発熱に関する基本事項と多い質問をQ&A形式でまとめました。

Q.
 熱が高いと脳に後遺症が残りますか?
A. 一般にカゼに伴う41℃未満の発熱では脳障害の心配はありません。

意識障害=脳障害」ですから、高熱の時に視線が合わない、ボーッとしていて反応が悪い、などが続いたら速やかに医師の診察を受けてください。

乳幼児では高熱のとき熱性けいれんを起こすこともありますが、5分以内に止まり意識もすぐに戻れば、脳障害の心配はまずありません。
発熱の長さ・期間も問題です。3日以上高熱が続くときは医師の診察を受けましょう。カゼだけで済んでいるかどうか、チェックが必要です。
 

Q. 解熱剤の使い方を教えてください。
A. 乳幼児は38.5(学童は38.0)℃以上で、子どもがぐずってつらそうな時に使用してください。
下熱目標)37℃前半・・・平熱まで下げる必要はありません
使用間隔)8時間(最低6時間は開けましょう)、1日最高3回まで
解熱剤はカゼを治す薬ではありません。高熱によるつらさ・だるさをやわらげる対症療法です。
発熱は体に侵入した病原体をやっつける武器(免疫反応)ですから、体が耐えられれば使う必要はありません。
 

Q. 解熱剤が効きません。どうすればいいですか?
A. 解熱剤の量とタイミングをチェックしましょう。
その解熱剤は昔処方されたものではありませんか?
あるいは、弟・妹さん用に処方されたものではありませんか?
その場合、量が少なくて効かないかもしれません。
また、使うタイミングにより効き方が違ってきます(↓)。
 

Q. 熱が高いときは冷やす? それとも暖める? 
A. 熱が上下する波をとらえて、タイミングよく冷やしたり温めたりしてあげましょう。
熱が続くときは上がったり下がったりの波がありますね。
対処法のコツはその波を見極めてタイミングを取ることです。
熱の上がり始めにブルブル・ガクガク震えて(悪寒)手足が冷たいときは、本人は寒いので温めてあげてください。体温をはかるとすでに高熱かもしれませんが、ここで解熱剤を使っても熱の上がる勢いは止まりません。
熱が上がりきり、顔がほてって手足も温かくなってきたら冷やしましょう。つらそうならこのタイミングで解熱剤を使用していただくとよく効きます。


(注意!)赤ちゃんには「冷えピタ」の使用は控えましょう。いつの間にか移動して口をふさいだ窒息事故の報告があります。


<カラダの冷やし方のコツ>
おでこを冷やすと気持ちがよいのですが、残念ながら熱は下がりません。
わきの下やふともものつけ根など体の中心部(太い血管が通っているところ)を冷やすと少し下がります。
具体的には、氷をビニール袋に入れ、それをタオルで巻いて冷たすぎないようにして、あてがいます。


Q. お風呂はいつから入っていいの?
A. 38℃未満の微熱で機嫌が悪くなければ、短時間入浴して汗を流したり体を温めるのはOKです。
高熱でグッタリしているときは入浴を控えましょう。
風呂上がりに湯冷めをしないよう、寒い季節は部屋を暖めておくと良いです。


Q, 赤ちゃんの発熱で注意することはありますか?
A. 生後6ヶ月(特に3ヶ月)までの赤ちゃんが高熱を出した場合、カゼ以外の病気がかくれていることがありますので早めに診察を受けましょう。
この月齢の赤ちゃんは体温のコントロールが上手くできないので、当院では安全のために解熱剤を処方しておりません。


Q. カゼに漢方薬を使うときは解熱剤を使ってはいけないのですか?
A. カゼの初期に使う漢方薬(麻黄湯、葛根湯)は、解熱剤を併用すると効果が弱くなります。
これらの漢方薬には麻黄という生薬を含み、免疫反応を強化して熱を出し切ることにより、早く病原体を追い出してくれます。
実際にガクガク悪寒が走るときに上記漢方薬を飲むと熱が上がり、その後汗をかいてスッキリ治るのです。せっかく薬で熱を上げているところに、解熱剤で押さえつけては効果半減、というわけです。

★ 漢方では風邪が長引いたときは、症状に応じてきめ細かく薬をかえていきます。ずっと同じ薬ではありませんのでご注意ください。

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