「夜泣き」は生後3週頃から始まり、6ヶ月~1歳半がピークで、3歳頃には80%消失する生理現象です。

 夜間、それも結構決まった時間帯に赤ちゃんは泣いてぐずります。病気ではありませんが、これが連日続くとお母さん、お父さんは参ってしまいます。

 一般的な対策としては、まず赤ちゃんが不快となることをチェック!

・お腹がすいた

・おむつが汚れた

・暑いあるいは寒い

 などなど。

 一通り対応しても泣きやまないときは「抱っこ」。

 「私がいるから大丈夫」と安心させる気持ちで抱っこしたり子守歌を歌ったり。

 お母さん一人では大変ですから、疲れがたまってくるようであればお父さんにも是非協力してもらって下さい。お母さんが幸せでなければ赤ちゃんも幸せになれません。

 

 ポイントは「赤ちゃんの感情をしっかり受け止めてあげること」だと思います。「泣く」という行為は数少ない赤ちゃんの意思表示の方法です。それを繰り返し受け止めてあげることにより「自分は大切にされている」と感じるようになり、「生きてるって幸せなことだ」「ヒトと触れ合うって気持ちの良いことだ」と広がっていきます。赤ちゃんが初めて育むヒトとヒトの間の信頼関係です。これが将来豊かな人間関係を築く土台になっていくのです。

 

 その昔、アメリカの有名な「スポック博士の育児書」には子どもを乳児期から一人で別室で寝かせ、自立心を養う旨の記述がありました。日本でも「抱き癖がつくから放っておきなさい」とする風潮が一時ありました。

 しかし、現在は前述のように赤ちゃんが泣いたらしっかり抱きしめてあげることが推奨されています。アフリカのある部族では、ぐずってなく赤ちゃんが少ないことが観察され、日本人が不思議に思ってなぜかと問うと「日本人は服の上から赤ちゃんを抱いていませんか?」「母親の肌と赤ちゃんの肌を直接合わせると落ちついて泣き止みます」という目からウロコのコメント映像を見たことがあります。

 

 もし、泣いている赤ちゃんを放っておいたらどうなるのでしょう。より激しく泣き、最後には疲れ果てて寝てしまいます。これが繰り返されるとだんだん泣かない赤ちゃんになっていきます。

 これは決して「がまん強くなった」訳ではありません。「自分がつらくて泣いていても誰も助けてくれないんだ」とあきらめてしまうのです。それが続くと、「自分は大切にされない存在」「生きていたってしょうがないんだ」と自己評価の低い子どもになっていく可能性があります。

 現在社会問題になっている子どもの「不登校」「引きこもり」「摂食障害(拒食症、過食症)」「切れやすい」などを扱っている専門家は、それらに陥る子どもの共通点として「自己評価の低さ」を挙げています。


 いろいろやってみたけどやはり大変、というときは漢方薬をお勧めしています。日本の伝統的な医学である漢方には夜泣きの薬が複数用意されています(⇩)。

 お母さんも「もう限界!」とつらいときには赤ちゃんと同じ薬をお母さんにも飲んでいただきます。すると母子ともに気分が楽になるのです。これは「母子同服」といって、500年も昔から行われてきたことです。みんな夜なきに悩んで、解決方法を模索してきたのですね。


<夜なきに使われる漢方薬>

 抑肝散(54)   → 怒りんぼ系の赤ちゃんに

 甘麦大棗湯(72) → 泣き虫系の赤ちゃんに

 小建中湯(99)  → ぐずりがちや突然泣き出す赤ちゃん、泣き入りひきつけに

抑肝散の母子同服;夜、赤ちゃんに一袋の1/3を飲ませ、残りの2/3をお母さんが飲んでみてください。



<当院で赤ちゃんによく処方している漢方薬>

 当院は小児科医には珍しく、漢方を多用しています。
「子ども、それも赤ちゃんに漢方?」と驚かれるかもしれませんが、
漢方薬の歴史は1800年もあり、ある意味人体実験を繰り返し有益かつ無害な薬だけが生き残っているため、利用しない手はありません。
私は西洋薬ではうまくコントロールできない風邪症状や湿疹等にも頻用しています。
その一部を紹介します;

(症状改善)

 麻黄湯(26)  → 生後数ヶ月以内の赤ちゃんのはなづまりに

 小青竜湯(19) → 鼻風邪の初期(水っぱな)に。アレルギー性鼻炎にも有効。

 葛根湯加川芎辛夷(2) → 鼻風邪が長引いてにごった鼻水になったら

 五虎湯(95)  → 風邪を引くとゼーゼーする赤ちゃんに

(体質改善)

 小建中湯(99)  → お腹の調子が安定しない虚弱児に

 黄耆建中湯(98) → 虚弱&乾燥肌でかゆがる赤ちゃんに

 人参湯(32)  → よだれが多くよだれかぶれが続く赤ちゃんに


などなど。飲ませ方のコツも伝授しますので、試したい方は声をかけてください。

当院かかりつけ患者さんの約3割がリピーターです。