ご存知のように、おへそはお母さんと赤ちゃんをつないでいた「臍帯」(さいたい)の名残で、太い血管が通っていました。役割を終える過程でいろいろなトラブルに出会います。

 まずは正常なおへその経過を知りましょう。生まれたとき臍帯は1~2cmの太さの管状のものですが、赤ちゃん側に少し残してハサミで切られます。その後乾燥して小さくなっていき、生後7~10日でとれるのが普通です。とれた跡はしばらくジクジクしていますが、その後7~10日で乾いてすっきりします。おへそが乾くまでは自宅でアルコール消毒をするよう指導している産科が多いようです。


 次によくあるおへそのトラブルについて。

・おへそとその周りが赤くなって腫れている

・出血や分泌物がダラダラ続く

・塊が残り、ジクジクしている


・・・こんな時は小児科に相談して下さい。どんな病気があるかというと;


臍炎

 おへそに病原菌が入り、増殖して炎症を起こした状態です。治療は赤いだけならぬり薬を、周囲も腫れている場合はおへそを消毒し、抗生物質(菌をやっつける薬)を飲んでもらいます。それでもよくならず、熱も出てくるようなら入院して治療が必要になることも希ながらあります。


臍出血

 元々血管が通っていた場所ですから少しの出血は必ずしも異常ではありません。量が多く、長引くときは血が止まりにくい病気が隠れていることがあります。小児科に相談して下さい。


臍肉芽腫

 臍帯の脱落後に臍帯の一部が残っていて塊が作られ、いつもジュクジュクしている状態です。生後数週間しても治まる気配が無い場合は受診して下さい。薬で固めたり、大きい塊が残っている場合は病院に紹介して処置してもらいます。

 ただし、処置後もジュクジュクが続くときは希ながら解剖学的異常(卵黄嚢菅遺残尿膜管遺残など)が隠れていることがありますので再度診察を受けて下さい。


★ 赤ちゃんの出べそは病気?

 臍帯がとれたときは普通のおへそだったのに、それから数週間後(つまり生まれて1ヶ月)頃からおへそが膨らんで目立つことがあります。いつも膨らんでいるわけではなく、泣いたときやいきんでお腹に力が入ったときに目立ちます。

 これは「臍ヘルニア」と呼ばれるものです。小児期以降の「いわゆるでべそ」とはちょっと異なりますが、まあ「赤ちゃんのでべそ」と言ってもいいでしょう。

 原因はおへその周りの筋肉の発達が未熟でまだ閉じきっていないことです。腹圧がかかるとそのすき間から皮膚の下に腸が出てきてしまうのです。

 おへそが膨らんでいても赤ちゃんは泣き続けるわけではないので痛くはなさそうです(足の付け根がふくれる鼡径ヘルニアは痛がってずっと泣き続けます)。膨らんだおへそを触ってみると柔らかく、もんでみると“グジュグジュ”した感覚。そのうちに小さくなって無くなってしまうこともあります。これは皮膚の下に出てきていた腸管がお腹の中に戻ったのです。

 予定日より早く小さく産まれた赤ちゃん(早期産児・低出生体重児)に多く見られる傾向があります。満期産の成熟児では数%に頻度です。ほとんどが1歳までに目立たなくなってしまいますが、1歳になっても目立つようなら手術も検討します。ただし、膨らみが2cm以上で大きいときは下記の「綿球圧迫法」で早く治ることが期待できますので、生後3ヶ月くらいまでに小児科あるいは小児外科に一度相談されると良いでしょう。


<臍ヘルニア処置の変遷>

 昔はコインをおへそに当てて、ヒモで固定していた時期があったそうです。しかし、おへそがかぶれて炎症を起こすトラブルが多かったため、私が小児科医になった約30年前は「何もしないで様子観察」する時代でした。

 ところが10年くらい前から、一部の小児科医が「やはり固定した方が早く治る、皮膚のたるみも目立たない」と以前とは少し異なる固定法を採用し始めました。名付けて「綿球圧迫法」。これは綿球を出っ張るおへそにあてがい、テープで固定する方法です。自然経過より早く治り、皮膚のたるみを残さないことがメリットです。固定するテープの質がよくなり、かぶれにくくなったおかげでこの方法が可能になりました。

 当院でもご希望があれば「綿球圧迫法」を行っていますので、ご相談ください。ただし、1週間に一度のペースで数ヶ月通院していただく必要があります。