「卵アレルギー」といえば、今までは「卵白アレルギー」のことを指していました。卵、特に卵白(白身部分)を食べると皮膚が赤くなってかゆがりじんま疹が出る、咳き込んでゼーゼーすることもある、という症状が典型的です。
しかし近年、「卵、とくに卵黄を食べた後に吐く」相談の患者さんが増えてきて、アレルギー学会でも話題になっています。
まったく健康な赤ちゃんが、卵黄を食べるたびに嘔吐を繰り返すことで気づかれます。卵黄を食べてから嘔吐までの時間はすぐではなく、1~4時間後と卵白より遅い傾向があります。
そのため、卵アレルギーは以下のように2種類に分けられるようになりました。
▢ 卵アレルギー
1.卵白アレルギー:鶏卵摂取後1時間以内に皮膚・呼吸器症状出現
2.卵黄アレルギー:鶏卵摂取後数時間以降に消化器症状出現
「卵黄アレルギー」について、私の耳学問の範囲でわかっていることは、
・乳児期に発症
・食べてすぐではなく数時間後に嘔吐を反復
・じんま疹などの皮膚症状は出ない
・血液検査は役に立たない
・卵白は食べられることが多い
・幼児期までに治ることが多い
等々。
まだまだ情報不足ですが、2022年7月時点で集めた情報を整理しておきます。
【卵黄アレルギー】
■ どんな病気?
・卵黄を食べると体の中でアレルギー反応が起こり、数時間後に嘔吐を主とする消化器症状が出る病気。
※ (参考)専門用語では・・・
・卵黄によるIgE非依存型消化管アレルギー(FPIES, food protein-induced enterocolitis syndrome)
・アレルゲン特異的リンパ球の過剰反応による細胞依存性アレルギー(遅延型アレルギー)・食物蛋白誘発胃腸炎
■ 原因は?
・卵黄中のアレルゲン成分はまだ分離・確定されていない。
(参考)
・国際機関WHO/International Union of Immunological Societies(IUIS)のデータベースには、鶏卵に含まれるアレルゲン性(アレルギー症状を誘発する能力)を有するタンパク質(アレルゲンコンポーネント)として、6種類が登録されています。主要なアレルゲンコンポーネントとしては、卵白ではオボムコイド、オボアルブミン、リゾチームが、卵黄ではα-リベチンが知られています。
■ どれくらいいるの?
・子どもの食物アレルギーで一番多いのは卵白アレルギーであるが、卵黄アレルギーは少ない。
・海外では嘔吐・下痢などのお腹の症状が出る消化管アレルギーの原因は穀物が多く、日本では鶏卵の卵黄が圧倒的に多い。
■ どんな症状が出るの?
・卵黄を食べてから1~4時間後に嘔吐。
・程度により顔面蒼白、脱力感(グッタリ感)も出現。
・卵白アレルギーでよく見られる皮膚症状(かゆみ・発赤・じんましん)はみられない。
■ どうやって診断する? 検査でわかるの?
・実際の臨床症状の再現性が確認できれば診断確定。
・明確でないときは食物負荷試験を行い再現性を確認。
・血液検査(卵黄特異的IgE抗体)は陰性(~弱陽性)なので役に立たない。
■ 治療は?
・卵黄を除去。
・一定期間(数ヶ月~半年)開けてから、医師の管理下で少量より再開、あるいは経口負荷試験を行う。
■ 治るんですか?
・3歳時点で9割が改善。
・寛解率(治る確率)は2年で30%、3年で80%という報告も。
<参考>
▢ 「卵黄」を食べて数時間後に嘔吐などを繰り返す赤ちゃんは注意 -食物アレルギーとは異なり、食物蛋白誘発胃腸炎では「卵黄」が原因に-
(2020年10月15日 慶應義塾大学医学部・国立成育医療研究センター)
▢ 2~3時間後に激しい嘔吐 赤ちゃんの食物蛋白誘発胃腸炎(国立成育医療研究センターアレルギー研究室 森田英明室長)(時事メディカル、2021.6.26)
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