2020年04月

<公式HPリニューアルオープン>
たけい小児科・アレルギー科公式HP 

<ごあいさつ>
たけい小児科・アレルギー科にようこそ


<病気の解説>

診療の際に説明の補助として配布してきたプリント類をアップし、
さらに新しい項目も追加しました。
各項目をクリックすると、解説画面が出てきます。ご参照ください。

【相談事あれこれ】

赤ちゃんの心配事あれこれ

好き嫌い・偏食 

“かんしゃく”への対応いろいろ

子どもの“心のトラブル”に効く漢方薬 

▶ 神経発達症(ADHDやASD)関連

 ● 神経発達症の“困りごと”に漢方を試してみませんか

 ● 自閉症スペクトラム(ASD)の漢方治療・その1

 ● 自閉症スペクトラム(ASD)の漢方治療・その2

 ● 神経発達症の偏食への対応 

▶ 鼻のかみ方・練習方法

子どもの近視予防

眠れないお子さんへのアドバイス

▶ 子どもの便秘

▶ 夜尿症 

▶ アタマジラミ

【小児救急】

▶ 子どもの発熱と対処法

▶ 熱性けいれん

▶ 子どもの鼻血の止め方

▶ 子どもの熱中症

▶ 子どもが頭をぶつけた


【漢方治療】

▶ 子どもに漢方?

▶ 漢方薬の上手な飲ませ方

▶ マルツエキスで漢方薬を飲ませる方法

▶ 頭痛

【感染症】

▶ 新型コロナ(COVID-19)

▶ 嘔吐・下痢(感染性胃腸炎)とホームケア

▶ RSウイルス感染症

▶ マイコプラズマが心配な方へ

▶ 夏かぜ(ヘルパンギーナ・プール熱・手足口病)

▶ りんご病(伝染性紅斑)

▶ 溶連菌性咽頭炎

▶ 水いぼ(伝染性軟属腫)

▶ かぜはいつまで人にうつるの?

抗菌薬(抗生物質)適正使用

【予防接種】

▶ HPVワクチン(子宮頚がんワクチン) 

▶ インフルエンザワクチン2024

▶ 経鼻生インフルエンザワクチン「フルミスト」について

(注)フルミストを接種できない方、接種前に相談が必要な方 

▶ かぜ・発熱と予防接種

▶ 予防接種後の発熱


【アレルギー】

<皮膚アレルギー>

▶ じんましん

▶ 赤ちゃんのスキンケア〜一般篇〜

▶ 赤ちゃんのスキンケア~乾燥肌篇~

▶ ステロイド軟膏Q&A

▶ 湿疹がある赤ちゃんの離乳食の進め方

▶ 子どもの湿疹(≒アトピー性皮膚炎)の治療


<花粉症・アレルギー性鼻炎>


▶ 子どもの花粉症 

おとなの花粉症

▶ アレルギー疾患の環境整備(主にダニ対策)

▶ スギ花粉症・ダニアレルギーの「舌下免疫療法」
注)舌下免疫療法の副反応


<食物アレルギー>

▶ 食物アレルギーの検査と診断 

▶ 卵白アレルギー

▶ 卵黄アレルギー 

▶ 成人発症型卵アレルギー(bird-egg syndrome)

▶ 牛乳アレルギー

▶ 小麦アレルギー

▶ 大豆アレルギー

▶ 野菜・果物アレルギー

▶ 魚アレルギー

▶ ピーナッツ(落花生)アレルギー 

▶ ナッツ(木の実類)アレルギー 

▶ 豚肉アレルギー(pork-cat syndrome)

▶ α-Gal syndrome(マダニ咬傷由来獣肉アレルギー)

▶ 納豆アレルギー(クラゲ刺症由来PGAアレルギー)

▶ 食品のアレルギー表示 

<気管支喘息>


▶ 子どもの喘息 

▶ キュバール吸入手技チェックリスト

▶ アドエア・フルタイド吸入手技チェックリスト
 


【学校健診】

▶ 学校健診でわかること

低身長に隠れている病気

思春期が来るのが早い

子どものスポーツ障害

脊柱側弯症(思春期側弯症)

小児肥満


【思春期】

“悩み以上、病気未満” といわれる思春期の諸症状に対して、
当院では漢方薬での治療を提案しています。

▶ 思春期のニキビを治したい

▶ 思春期のダイエット

▶ メンタルの不調(イライラ・ウツウツ)

▶ カラダの不調(起立性調節障害)

▶ 思春期貧血

▶ 頭痛

▶ 眠れない(不眠症)

▶ 思春期の摂食障害

<女子の悩み>

▶ 正常な月経と月経異常

生理痛・月経関連トラブル

(より詳しく知りたい方へ)
 ▢ 生理痛・月経痛
 ▢ 月経前症候群(PMS)
 ▢ 月経不順

<男子の悩み>

▶ 思春期男子に正しい性の知識を伝授します


【その他】

▶ 群馬県館林地域の時間外の病気相談先



イシャチョク> 
「仮想待合室型オンライン診療」と呼ばれるシステムです。
オンライン診療を受けたいと思ったら「仮想待合室」に待機するだけで、 

予約なしで自分の好きな時間にオンライン診療が受けることができます。
※ 利用するには登録が必要です。

no title



新型コロナ関連でインフルエンザワクチンが例年になく推奨される雰囲気になっています。
当院でも準備を進め、毎年作成しているプリントを更新しましたので内容を提示します。

インフルエンザワクチンの有効率(発症予防効果)は約50%とされ、乳幼児ではさらに低いことが報告されています。
しかし、重症化予防率は約70%と、罹っても重くならないことが期待されます。

ですから、
「インフルエンザワクチンの接種目的は、“罹らない”ではなく軽く済ませること」
とお考えください。


<当院のインフルエンザワクチン方針 2020/2021>
                                                                        
■ 日本・WHO・アメリカの接種回数を比較してみると?
 実は、日本と外国では小児への接種回数が異なります。
 例として下表にWHOと アメリカにおける接種回数を示しました。日本では12歳までは2回接種ですが、 WHO/アメリカ方式では、より低年齢の9歳以上で1回接種、それ以下の年齢でも 過去の接種をカウントして回数を減らしています。 
 つまり、「乳幼児にも1回接種が導入されているのが世界標準」です。

スクリーンショット 2020-09-18 9.58.09

  その理由は、乳幼児でも1回接種で抗体がつくことがわかっているからです。
 当院では2015年からWHOやアメリカ方式を参考に、
3歳以上9歳未満は、 過去に2回接種してあれば1回でも可
 という方針にしています。

スクリーンショット 2020-09-18 9.58.27

 当院の方針は強制するものではありませんので、「1回でホントに大丈夫?」と悩んで決められない方は、従来通りの日本方式をお勧めします。
                                                               
★ 3歳以上は1回接種でもよい理由 
 1回接種と2回接種の抗体陽転率(=有効率)を調べてみると3歳以上13歳未満ではその差 があまりないことがわかります。  
 下の表はインフルエンザワクチン(ビケ ンHA)添付文書にある表です。
 ワクチ ンの効果は「HI抗体価」の「抗体陽転 率」で判定し、ヨーロッパのワクチン認可基準は70%以上です。さて、A型株の抗体陽転率(赤下線部)を見てみると・・・

スクリーンショット 2020-09-18 9.58.59


<6ヶ月以上 3歳未満>
1回接種後は40%に達せず、 2回目の上乗せ効果は30%以上。                       
<3歳以上 13歳未満>
1回接種後に70%以上、 2回目の上乗せ効果は10%以内。
                       
以上より;

・生後6ヶ月〜3歳 :2回必要 
・3歳〜13歳未満 :1回でも十分

と判断しました。 
 ただし、3〜13歳未満でも2回接種後の上乗せ効果が少しあり「有効率を1% でも上げたい」と思う人は日本方式をお勧めします。
                       
※ 残念ながら、B型は2回接種でも 60%未満にとどまります。 

Q. 赤ちゃんのおへそが膨らんできました。なぜ?、どうして?

A. いわゆる“でべそ”ですが、医学的には“臍ヘルニア”という名前で呼ばれています。赤ちゃんの5%(20人に1人)くらいに見られる、特別に珍しいものではありません。おへそはお母さんと赤ちゃんをつないでいた血管の痕跡で、生まれたら閉じるのがふつうですが、それが閉じきらない場合に発症します。膨らんだおへその中身は腸管で、触るとグチュグチュ音がして、もんでいると元に戻ります。小さく産まれた赤ちゃんでは、より多く見られる傾向があります(出生体重1500g未満では発生率75%)。


Q. おへそが膨らんできたら、どうしたらいいの?

A. ほとんどの場合、放っておいて大丈夫です。無治療でも1歳までに80%、2歳までに90%が自然治癒します。残りの10%は自然に治りませんので、手術を考える場合もあります。


Q. では何もせずに様子を見ていれば、ふつうのおへそになるのですね。

A. 小さい場合はそうですが、大きくふくらんだ場合(3cm以上)は、治ってもおへその皮膚が伸びてしまい、たるんだ皮膚が残る傾向があります。体に害はないものの、審美上(見た目が)よくないので、形成手術をすることもあります。自然に治るかどうかは、大きい方が治りにくいという意見と、大きさと治癒率は関係ないという意見があり、結論は出ていません。


Q. “おへそをテープで圧迫すると治る” と耳にしたのですが・・・

A. 昔から包帯をしたり五円玉を貼り付けたり、色々な方法が流行ったり消えたりしてきました。近年は綿球・ガーゼ・スポンジ・ティッシュなど(*)を出っ張っているおへそを凹ませた状態であてがい、圧迫し続けて早期治癒を期待する「圧迫療法」が普及してきました。 

* 自己責任になりますが「へそ圧迫材パック」が通信販売されています。 


Q. 「圧迫療法」のメリットを教えてください。

A. もともと「自然治癒率90%」なので、治癒率向上というデータはあまりありません。しかし、「早く治る」「治った後のおへその形がよくなる(*)」というデータはあります。

* 理想のおへその形になるわけではありません。ご了承ください。

 

Q. 「圧迫療法」のデメリットはありますか?

A. おへそを圧迫して長期間テープで固定するため、皮膚が荒れることがあり(皮膚炎発生率:20~30%)、その程度により中断せざるを得ないこともあります。また、固定が不十分では効果が期待できません。さらに、ずれたまま放置しているとトラブル(嵌頓・絞扼)になることがまれに起こると報告されています。


Q. たけい小児科でも「圧迫療法」をしていますか?

A. はい、生後6ヶ月までで、出ているおへその直径がおよそ2cm以上の赤ちゃんを対象に行っています。ただし、圧迫材とテープの交換のため、週1回ペースの通院を数週間~数ヶ月していただく必要があります。

* 臍ヘルニアの程度やご家族の希望により、総合病院の小児外科を紹介しています。


2259703G9020_009
2259703Y1025_012-1

定期的に正しく吸入できているかどうか、チェックしましょう。  

今日は9点中、何点でしたか?

※ 「エアゾール缶」とは吸入薬本体のことです。


【準備】

□ キュバールは1本に100回分入っています。今、使用中のキュバールが何回目なのか、確認しましょう。

□ エアゾール缶とアダプターをしっかり接続します。エアロチャンバーとエアゾール缶を接続します(アルミ容器の底が上になるようにセットします)。


【実施】

□ 背筋をしっかり伸ばします。

□ 空気が漏れないよう、マスクをしっかり顔に当てます。

□ エアゾール缶を1プッシュします。

□ エアロチャンバーのフローインジケーターの動き(パタパタ)で呼吸回数を5~6回、数えます。

※ 数えにくい場合は、15秒くらいすき間ができないよう当てておきます。

※ 音が鳴るのは、呼吸が速すぎるサインです。


【片付け】

□ 吸入後、のどについた薬を流すために3回うがいをします(できない乳幼児は、飲水・飲食・歯磨きでも可)。

□ エアロチャンバーを1週間に1回洗い(食器用洗剤でOK)、静電気が発生しないよう自然乾燥させます。

 


果物・野菜アレルギー症状にはいくつものパターンがあり、混在することもあります。
代表的なもの3タイプを解説します。この中で一番多いのは2です。
 

.食べると2時間以内にじんま疹が出たり、吐いたり、咳き込んで苦しくなったり。

.食べた直後~5分以内に口やのどの違和感(※1)が出る。

.仮性アレルゲン(薬理活性物質)によるアレルギー類似症状


※ 1)かゆい・ヒリヒリ・イガイガなど。子どもは違和感を「辛い」「苦い」「のどが痛い」「口が痛い」などと表現しますので、好き嫌いと間違わないよう注意が必要です。


一般の食物アレルギーで、乳幼児期に発症し、その後軽症化し、6歳までに80〜90%が治癒します。全身症状が出るため、重症例ではアナフィラキシー(一度に複数のアレルギー症状が出る)のリスクがあります。日本では多くありません。
 

口腔アレルギー症候群OAS、Oral Allergy Syndrome)」「花粉・食物アレルギー症候群PFAS/PFS、Pollen-Food Allergy Syndrome)

OASは花粉症との関連が指摘されており、花粉アレルゲンの構造と果物アレルゲン成分の構造が似ているため、体が反応してしまいます(これを交差抗原性あるいは交差反応と呼びます)。近年、大人で増えてきた果物アレルギーの多くはこのタイプで、その背景には花粉症の増加があるのです。花粉ではありませんがラテックス(天然ゴム)もこのようなメカニズムで反応します(ラテックス-フルーツ症候群)。

特徴として以下のことが挙げられます;
・幼児期以降に発症し、一生続く(治らない)。
・口の中の症状にとどまり、無理に大量を食べなければ全身に広がることはまれ(※ 1)。
・何種類もの果物に反応することが多い。
・生では症状が出るが、加熱調理したものや加工品では出にくい。同じ果物では、熟したものに反応が強い。
・同じ果物でも症状が出るときと出ないときがある。産地や季節、熟度、部位によりアレルゲン含有量が異なるため。
・(関連した)花粉が飛散する季節には症状が起こりやすくなる。
・診断:血液検査では特異的IgE抗体が陽性になりにくく(※2)、陰性でも否定できない。皮膚テスト(プリックプリックテスト)が診断に有用であるが、それでも100%ではない。 一方、OAS症状と捉えて関連花粉を調べるとその特異的IgE抗体は100%の感度で陽性となる。
・治療:「食べない」に尽きる、あるいは症状が出ない程度に食べること。 ビワ、モモ、豆乳は強い全身症状が誘発されやすいので原則除去。

※ 1)症状は口腔・咽頭の粘膜に限局した即時型アレルギーで、全身症状はまれです(ゼロではありません)。この理由は、原因となる食物アレルゲンが唾液・胃液などに含まれる消化酵素で容易に分解されてそのアレルゲン性を失い、腸から吸収されてもアレルギー症状を起こせなくなるから、と説明されています。
※ 2)果物・野菜中のアレルゲン成分(PR-10やプロフィリンなどのコンポーネント)は含有量が少なく、種々の要因で抗原性を失いやすい蛋白質であるため、特異的IgE抗体検査では偽陰性になりやすい(約20%)。

 
(花粉アレルゲン → 交差反応する果物類)
花粉と果物の関係を大まかにいうと「シラカンバ花粉とバラ科の果実」「ブタクサ花粉とウリ科の果実」「スギ花粉とナス科」などの組み合わせが知られています。
アレルギー性鼻炎患者さんでの発症率は、ハンノキ陽性者の7〜55%(70%という報告も)、イネ科花粉症では約20%、ヨモギ花粉症では約40%の患者さんに果物・野菜アレルギー症状の合併があると報告されています。  
 

検査で陽性になった項目、食べて症状が出た果物から関係を探してみてください;
★ 
頻度が高いものを赤字で表示; 

ハンノキ※1) → リンゴモモイチゴ、ナシ、ビワ、サクランボ、スモモ、アンズ、キウイ、西洋ナシ、マンゴー、ニンジン、セロリ、パセリ、ジャガイモ、トマト

 イネ科※2) → メロン、スイカ、オレンジ、キウイ、キュウリ、ジャガイモ、トマト

 ブタクサメロン、スイカ、キュウリ、バナナ、ズッキーニ

 ヨモギ → マンゴー、ニンジン、セロリ、パセリ

 スギ → ジャガイモ、トマト

 ラテックスキウイバナナ、アボガド、マンゴー、クリ


※1)ハンノキ:ブナ目カバノキ科でシラカンバに近く、春の花粉症の原因になります。モモ、ビワ、豆乳(後述)では全身症状(呼吸困難、アナフィラキシー)を起こす可能性があるので要注意です。
)イネ科花粉:カモガヤ、ホソムギ、オオアワガエリなど。


★ 番外編1:豆乳アレルギー

OASのひとつで、ハンノキ・シラカンバ花粉と豆乳成分の交差抗原性により発症し、重症化することがあるので注目されています。豆乳をたくさん飲んだことが原因ではなく、花粉症になったからそのおまけで豆乳にも反応する体質となりアレルギー症状が出ると考えてください。

生の豆乳は危険ですが、納豆や豆腐は食べられる例が多いのが不思議です(でもやわらかい・水っぽい豆腐は要注意)。豆乳を飲むと鼻汁・口腔内症状にとどまらず全身じんま疹や、アナフィラキシーを起こすこともあります。
(症状の出やすさ)
 豆乳>>枝豆・もやし(緑豆も)・冷や奴・湯葉>湯通しした豆腐>油揚げ>・・・(煮豆・味噌・しょう油・納豆では無症状)
なお、この交差抗原性のある成分(PR-10というアレルギーコンポーネント)はバラ科の果実(リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、ビワなど)にも含まれており、豆乳アレルギーの方の半数以上でこれらの果物を食べたときにも口腔咽頭症状が出ます。
アレルギー検査で大豆が陰性のことがあり(陽性率50%)診断に役に立ちませんが、より詳細な
Gly m 4抗体で診断可能です。


仮性アレルゲン(別名:薬理活性物質)による症状。
仮性アレルゲンとは食品中に含まれる化学物質で、アレルギー反応と同じような皮膚の発赤やかゆみを引き起こします。ヒスタミン・セロトニン・チラミンなどの生体アミン類や、アセチルコリン(神経伝達物質)などが代表的です。ほとんどの場合、症状が軽く一過性で、1時間以内に消失します。大量に摂取した場合は全身じんま疹、頭痛、喘息発作などに進展する場合もあります。
 

(仮性アレルゲンと症状)

ヒスタミン → 血管を拡張させ、むくみ、じんま疹、皮膚の発赤、気管支収縮などを起こす

セロトニン → 平滑筋収縮・血管収縮を起こし、効果が切れると過剰な血管拡張を起こし頭痛、動悸、顔面紅潮、発汗、吐き気・嘔吐などを起こす

チラミン → 血管収縮作用による血圧上昇、効果が切れると血管拡張が起こす(同上)

アセチルコリン → 副交感神経を刺激し自律神経失調症状や血管拡張、気管支喘息などを起こす


(仮性アレルゲンとそれを含む食品)

ヒスタミン → 魚類、チーズ、ナス、ホウレンソウ、トマトなど

セロトニン → バナナ、キウイ、パイナップル、アボガド、プラム、トマトなど

チラミン → チーズ、ワイン、アボガド、バナナ、ナス、プラム、トマト、チョコレートなど

アセチルコリン → タケノコ、トマト、ナス、そば、ヤマイモ、サトイモ、マツタケなど


(発生例)

・サバ科の魚(サバ、マグロ、カツオなど)によるヒスタミン中毒

・古くて過剰に発酵したチェダーチーズによるチラミン中毒


★ 番外編
2:ヤマイモを食べるとかゆくなるのはなぜ?
 → ヤマイモを食べると口や肌がかゆくなったり痛くなったりすることがありますが、これはアレルギーではありません。ヤマイモの中の針状結晶「シュウ酸カルシウム」が刺さるためです。

ほかにもサトイモ、キウイにも同じような針が含まれているそうです。


(院長のつぶやき)

花粉症が増えた現在、果物アレルギー(OAS)の患者さんも珍しくなくなりました。非アレルギー専門医は「症状が出た果物だけ検査する」傾向がありますが、OASでは必ずしも陽性にならないため、検査項目に花粉も入れないと診断できないことがあります。

私は、アレルギーのスクリーニング検査をして「ハンノキ」が陽性に出た子どもの患者さんには、「将来、果物を食べると50%の確率で口の中がかゆくなるかもしれませんよ」と追加説明しています。

あらためて整理すると、IgEを介したアレルギー反応以外にもいろんな原因で症状が出やすいことがわかり、決めつけずに視野を広く持つ姿勢が大切だと感じました。

ニキビは日本人の60%以上が経験するありふれた皮膚病で、
10代に多いことから「青春のシンボル」とも言われますが、
放置して悪化すると跡が残ることがあります。

従来の治療は赤ニキビを治すだけでしたが、
近年、“ニキビ肌”そのものを治すぬり薬が登場し、
ニキビ治療が一変しました。

当院ではニキビの新しいぬり薬と、
漢方薬の内服を併用する治療を提案しています。
つまり、“外からも中からも治す”イメージ。
効果・手ごたえは十分あります。

「どのくらい通院が必要?」
という疑問に対する答えは、
「どこまで治したいか?」
によります:

赤ニキビだけを治したい → 数週間~数ヶ月

ニキビ肌まで治して肌をきれいにしたい → 半年~1年間(毎月の通院)

すると、ニキビが8割減少することが期待できます。
では診療内容を紹介します;



<ニキビができるメカニズム>


まず、敵を知りましょう。
ニキビの始まりと経過は下のように(マルホのHPより)分けられます;

(毛穴詰まり) → (①白・②黒ニキビ) → (③赤ニキビ) → (④黄ニキビ) 
スクリーンショット 2020-06-30 16.53.44





 
 



非炎症期白ニキビ、黒ニキビ
思春期の男性ホルモン分泌により、
毛穴の奥の皮脂腺から分泌される皮脂が増加(①)し、
皮脂の出口である毛穴の角質が増加(②)して塞がった状態

炎症期赤ニキビ、黄ニキビ
溜まった皮脂の中でニキビ菌(アクネ菌)が増殖(③)し、
それがつづいて慢性的に炎症
(④)を起こした状態


<ニキビの種類と治療> 

病期により治療が異なります。
非炎症期は毛穴詰まりを解消する治療、
炎症期は抗菌薬・殺菌薬が中心になります。
(下表をクリックすると拡大表示されます)

スクリーンショット 2025-03-31 14.05.17

上記に加え、ニキビ痕(皮膚の凹凸)まで治したい方には、
柴苓湯を使用します。


<薬の解説>

ディフェリン®ゲル】(ジェネリック:アダパレンゲル) 

2008年に登場し、ニキビ治療に革命を起こした塗り薬です。

“ニキビ肌”とは毛穴がつまりやすい肌であり、
ディフェリン®は毛穴の角質を減らして毛穴を広げ、
中に溜まった皮脂を外に出してくれます
(「ニキビができるメカニズム」の②に作用)。
ただし、効果が出るまで3ヶ月くらいかかります。

★ ディフェリン®ゲルは顔面のみの適応のため、
体幹(胸や背中)のニキビには同様の作用をもつベピオ®ゲルを使用します。

(使用の実際)
1日1回就寝前に顔全体に塗布
・目の周囲・唇・小鼻など粘膜に近い部位は避けます

(塗布量)
・チューブから人差し指の第一関節の長さ(1FTU=0.5g)
 を出したディフェリン®を顔全体に塗ります(面塗り)。
・1ヶ月に1本使い切るのが目安です。

(副作用と対策)
・使用開始後、2週間以内に皮膚乾燥・刺激感(ヒリヒリ感)が出てくるため、
あらかじめ保湿剤(ヘパリン類似物質ローション)を塗ってから重ね塗り
します。
・続けていると刺激感は数週間で落ち着いていくのがふつうです。

アクアチムクリーム】(ジェネリック:ナジフロキサシンクリーム)

・抗生物質入りのぬり薬。
・赤く炎症を起こしているニキビ、黄色く化膿したニキビに1日2回“点塗り”します。 


漢方薬
「ニキビ」に適応のある漢方薬は次の3つです。

白/黒ニキビ桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)

赤ニキビ清上防風湯(58)

白/黒/赤ニキビ荊芥連翹湯(50)


赤ニキビに使う漢方薬は、
炎症の熱を抑える作用があるため“清熱剤”と呼ばれます(苦いです)。
ニキビの状態により、以下の漢方薬を使うこともあります;
十味敗毒湯(6)
黄連解毒湯(15)
排膿散及湯(122)
つまり、6種類以上の漢方薬を使い分けて治療することになります。

★ どうしても漢方薬の顆粒を飲めない人には、
 錠剤が用意されている十味敗毒湯と黄連解毒湯をお勧めしています。



<治療の実際>

「赤ニキビを治したい」と患者さんは受診されますが、
よく観察すると白ニキビも混在していることがほとんどです。
前述のように「どこまで治したいか?」に応じて治療が変わります;

赤ニキビのみ → 1ヶ月通院

(内服)漢方の清熱剤(清上防風湯十味敗毒湯黄連解毒湯排膿散及湯

(外用)アクアチム®クリーム

赤+白ニキビ → 1年間通院

(内服)清熱剤(上述)+ 桂枝茯苓丸加薏苡仁、あるいは荊芥連翹湯
    改善後もニキビ痕が目立つときは柴苓湯に切り替える

(外用)アクアチム®クリーム + ディフェリン®ゲル



<スキンケアと外用薬を塗る順序>


処方例:
・ディフェリン®ゲル
・ヘパリン類似物質ローション
・アクアチム®クリーム


★ スキンケアは1日2回が基本です;

1.洗顔(泡状の石けんがオススメ、やさしくなでるように洗いましょう)

2.保湿剤(ヘパリン類似物質ローション)塗布

3.ニキビ治療薬(ディフェリン®)夜1回、顔全体に塗布

4.抗菌薬(アクアチム®)1日2回、赤く炎症を起こしている部位だけ点で塗布


<食生活のヒント>
昔は「スナック菓子はダメ」とか「チョコなどの甘いものはダメ」とかいわれていましたが、
近年の書物は「ニキビを悪化させる食品にエビデンスのあるデータはない」と書かれる傾向がありました。
しかし最近発表された論文で、以下のことが判明しました;
・牛乳を1日1杯の飲む人はニキビの頻度が12%増え、5杯では76%増える

・砂糖入り飲料を1日1杯飲む人はニキビが18%増え、5杯では36%以上増える
・脂肪分の多い食品(フライドポテトやハンバーガーなど)や
 甘い菓子(ドーナツ、クッキーなど)もニキビの頻度増加と関連している
 → 牛乳/乳製品、砂糖(炭水化物)、脂肪を取り過ぎないようにしましょう。



<ブログ内の記事>
ニキビの漢方(その2)2剤併用による効果増強
ニキビの漢方(その3)柴苓湯の使い方


<関連記事>
“虚実”で使い分けるニキビ漢方

<参考>
▢ 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023

舌下免疫療法の副反応は大きく二つ(局所的・全身的)に分けられます。
副反応は開始後1ヶ月以内に多く、それ以降は稀になります(ゼロではありません)。

1.局所的副反応
口の中とその周囲の症状です(⇩参照)。
舌下免疫療法を始めると口の中の違和感は珍しくありません。逆に、まず起きるものと考えていただいた方がよいでしょう。
この局所的副反応は継続していくうちに消失していくことがほとんどです。 
局所的副反応でも増悪傾向がある場合は医師に相談してください。時には、抗ヒスタミン薬内服で対応したり、喉の症状の時は吐き出し法へ変更することもあります。

2.全身的副反応
口の中とその周囲にとどまらず、全身に広がる症状です(⇩参照)。
全身的副反応が出る場合は減量・中止を検討する必要があります。
おなかの症状(腹痛・吐き気)の場合は「吐き出し法」に切り替えることもあります。
いずれにしても、速やかに医師に相談してください。


(以下は笹本明義先生の講演メモより)


「局所的」副反応  → 継続OK

1 口の中がピリピリしたり、かゆい
2 舌がしびれた感じがする
3 顔がかゆくなる
4 口の中や舌が少し腫れる
5 のどや耳がかゆくなる
6 口内炎ができる 


「全身的」副反応  → 減量・中止が必要

1 体がかゆくなる
2 のどがつかえる感じがする
3 体がだるくなる
4 おなかが痛くなる
5 吐き気がする
6 苦しくなる 


★ 「舌下免疫療法の指針」(日本鼻科学会、2013)の記載
・舌下免疫療法によるアナフィラキシーの発生についてはこれまで11例の報告があり、約1億回の投与に1回の頻度であり、死亡例の報告はない。アナフィラキシーが起こる原因として、全身反応の既往、免疫不全症の合併、治療のコンプライアンス不良、治療中断後の再投与、喘息重症例もしくはコントロール不良の喘息、などが関与している可能性がある。
・舌下免疫療法に関連する血圧低下などを伴う全身反応や死亡例の報告はない。

B型肝炎について


 B型肝炎はウイルスが悪さして肝臓に炎症が起きる病気です。感染経路が特殊で症状が出ないこともあるため話題になりにくいのですが、知らぬ間に体に侵入して感染が成立すると、一生悩まされるやっかいな感染症です。
 小児科医は長年、B型肝炎を予防するワクチンの重要性を訴えてきましたが、ようやく2016年10月に定期接種として公費で接種できるようになりました(対象は2016年8月以降に生まれた子ども)。残念ながらそれ以前に生まれたお子さんは任意接種(自費)となります。
 自費になるとしても、病気とワクチンの効果を知っている医師の立場からは、お子さんを生涯にわたりB型肝炎ウイルスから守るために接種を強くお勧めしたいワクチンです。
 興味のある方は、以下の説明をお読みいただき、接種をご検討ください。 


感染経路

 B型肝炎ウイルスを含む血液・体液を介して感染し、2つの経路があります;

垂直感染)母子

水平感染)父親、集団生活、ピアスや刺青、性行為、針刺し事故など

 

ウイルス亜型(ジェノタイプ、genotype)

 A-Hまであります。日本では従来、BとCが多くを占めましたが、近年は若年者を中心に慢性化しやすいジェノタイプA(欧米型)が増加し問題視されています。

 

経過一過性と持続感染の二つに分けられ、その比率は年齢により異なります;

 

1.一過性感染

(70-80%)不顕性感染 ・・・無症状

(20-30%)急性感染を発症 → その一部はまれながら劇症肝炎へ進行

 

★ 一過性感染例は治癒後健康に戻ったのちも、少数のウイルスが肝細胞内に潜伏し、中年以降に免疫抑制状態(抗がん剤使用など)になると再活性化して劇症肝炎de novo B型肝炎)を発症し、命に関わることがあります。

 

2.持続感染キャリア

(90%)無症候性キャリア ・・・無症状 → ごく一部は肝癌

(10%)慢性肝炎を発症 → ゆっくり進行して肝硬変~最終的に肝癌

 

子どもの感染

・母子感染は1986年開始の「母子感染予防事業」(ワクチン+免疫グロブリン)により減少しましたが、水平感染は減らないままでした。それを解消すべく、2016年にようやくワクチン定期接種化に至りました。

・感染時期が早いほど高率に持続感染・キャリア化しやすいことがわかっています(例:0歳で95%、1歳で50%、2-4歳で25%、18-19歳では数%)。

・小児期感染例から、成人前に肝癌を発症する例も報告されています。
 

B型肝炎ワクチンをお勧めします

 

 B型肝炎ウイルス感染を予防するワクチンがあります。世界的には以前からすべての子どもを接種対象としたユニバーサルワクチネーション(UV)が一般的でしたが、日本でもようやく2016年に0歳を対象に定期接種化しました。

 それ以前に生まれたお子さんは、有料の任意接種になりますが、それでも私はこのワクチンの接種を強くお勧めします。将来、絶対感謝されます。


院長からのメッセージ

・B型肝炎ウイルスは一度体に入って感染を起こすと、人体は排除することができません。小児期に感染して持続感染化すると将来肝硬変肝癌のリスクを、持続感染を逃れても将来抗がん剤や免疫抑制剤を使用した際に劇症肝炎を発症するリスクを抱えることになります。

・ワクチンは低年齢ほど有効で、20歳未満ならほぼ100%免疫がつきます(20歳台では90%、30歳以降では70%まで効果が落ちてしまいます)。

・B型肝炎ワクチンは元祖“ガン予防ワクチンです。お子さんの命を守る“一生涯の贈り物”としてぜひ接種をご検討ください。


ワクチン接種スケジュール母子感染予防・定期接種以外

■ 3回接種で完了

 ① 初回 → ②1ヶ月後 → ③ 初回から6ヶ月後

 (10歳未満:0.25mlを皮下注射)
 (10歳以上:0.5mlを皮下または筋肉注射)

※ 感染のリスクが高い方(家族がキャリアなど)は希望により3回目の接種終了後から1-2ヶ月後に免疫ができたかHBs抗体検査で確認します(自費)。

 

★ 医療関係者には必須のB型肝炎ワクチン

 血液を扱う、あるいは触れる可能性のある医療関係者(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語療法師、歯科衛生士、視機能訓練士、放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士など)は「医療関係者のためのワクチンガイドライン」において「B型肝炎ワクチンは必須」と記載されています。

 しかし、成人になってから接種すると抗体獲得率が低下するため、将来上記の職業を目指している方には小児期に接種しておくことが推奨されます。

  flutide100_dsk-img


item_100_2


定期的に正しく吸入できているかどうか、チェックしましょう。

今日は11点中、何点でしたか?

※ 「ディスカス」とは吸入薬本体の円盤のことです。


【準備】

□ 十分に吸入する力があるか、練習用トレーナーで確認します。「プー」 という音が1秒以上鳴てばOKです。

□ ディスカスの残量をカウンターで確認します。
カバーを開け、レバーを止まるところまで引きます(カチリと音が出る)。この時、薬剤がセットされます。


【実施】

□ ディスカスを水平に保ち持ちます。

□ 背筋をしっかり伸ばします。

□ ディスカスに口をつける前に、息を吐き出します(ディスカスに息を吹き込まないよう注意)。

□ 息を吐いた後、ディスカスの吸入口に口をつけ、速く深く(2秒ほど)吸入します。

□ そのまま3~5秒ほど息を止めます。

□ 息止めをした後は、鼻から息を吐はき、これで終わりです。


【片付け】

□ ディスカスのカバーを閉じます。

□ 吸入後、のどについた薬を流すために3回うがいをします(できない乳幼児は、飲水・飲食・歯磨きでも可)。

平日夜間・休日に子どもが病気になったときの相談窓口を確認しておきましょう。

以下に群馬県館林地域での夜間の電話相談、診療所の情報をまとめました。


館林健康ダイヤル( 電話:0120-374-215 
24時間対応 

館林市が実施。
医師・看護師などが健康や医療などの質問に応じる電話サービスです。


群馬こども救急相談( 電話:#8000 
月~土曜日:18:00~翌朝8:00
日・祝祭日:  8:00~翌朝8:00 

群馬県が実施。
医師・看護師などが健康や医療などの質問に応じる電話サービスです。

 

館林市夜間救急診療所(電話:0276-73-2313
月~土曜日:19:00~22:00 ( 日・祝祭日は休診 )

医師が診療を担当します。 受診前に必ず電話をしてください。


館林救急テレホン(電話:0276-73-5699
24時間対応

館林地区消防組合が実施。
その時点で診療を行っている医療機関を紹介してもらえます。 



<ネット上で調べられるサイト>

★ 「子どもの救急ってどんなとき?」(群馬県作成)
子どもによくある症状と観察のポイントや、
家庭でできる対処法などをまとめた冊子の内容が、
ネット上で公開されています。

★ 「子どもの救急」(日本小児科学会作成)
夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうか、
判断の目安を提供しています。

↑このページのトップヘ