2024年05月

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

さて、月経関連症状(月経痛、月経不順、月経困難症、PMSなど)は漢方の得意分野です。
日常生活に支障がありながらもピルを使うことに躊躇される方にお勧めです。
あなたの体質に合う漢方が見つかるとハッピーになれます。

ただし、重症タイプや漢方に反応のない方は、ベースに病気がないかどうか、
婦人科でチェックする必要があります。

私は小児科医なので処方経験は多くありませんが、
ニキビに対して桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)を処方していた中学生女子が、
「漢方を飲み始めてから、ニキビも良くなってきたけど、最近生理痛が楽になったんです」
と教えてくれたり、
PMS症状(生理開始前のイライラ)に対して中学生女子 に加味逍遥散(24)を処方したら、
「イライラが激減して家族みんながハッピーになりました」
と報告してくれたり・・・。

しかし著効例でも加味逍遥散は山梔子の副作用のために5年以内に終了しなくてはなりません。
この子の将来、次の一手はどうしよう・・・と悩んでいたところ、
この本を読んで女神散、桃核承気湯が候補に挙がり、ホッとしました。


■ 2剤併用による効果増強レシピ

当帰芍薬散2包+安中散2包/日
・・・当帰芍薬散のニオイが気になる(多くは川芎の臭い)場合や胃にさわる場合は安中散を併用する。
当帰芍薬散2包+桂枝茯苓丸2包/日
・・・当帰芍薬散証で瘀血症状が強い場合や、子宮筋腫や子宮内膜症がある場合は併用する。

温経湯2包+桂枝茯苓丸2包/日
・・・温経湯証で腹痛が強いときに併用。

桂枝茯苓丸2包+桃核承気湯1包
・・・桂枝茯苓丸証で駆瘀血効果を高めたいときは大黄を加える。
・・・桃核承気湯や大黄牡丹皮湯を少量併用する。
桂枝茯苓丸2包+当帰芍薬散2包
・・・水毒傾向がある場合に併用

加味逍遥散2包+桂枝茯苓丸1〜2包/日
・・・PMSで症状が強いときに桂枝茯苓丸を併用
加味逍遥散3包+黄連解毒湯1〜2包/日
・・・興奮が強いときは黄連解毒湯を併用

女神散3包+加味逍遥散1〜3包/日
女神散3包+抑肝散1〜3包/日
・・・発汗、イライラが強い場合に併用
女神散3包+三黄瀉心湯1包/日
・・・原典では大黄が含まれており、便秘があるときは三黄瀉心湯や大黄牡丹皮湯などを少量追加する。


■ 月経関連症状の基本処方

芍薬甘草湯(68):1回1〜2包、疼痛時頓用(1回3包まで服用可)
・・・月経痛に対して屯用する基本処方
・・・即効性があり、効果は強力(数分で効いてくる)
・・・月経痛以外にも、こむら返り、尿管結石、ギックリ腰、吃逆などにも有効
・・・甘草の副作用(偽アルドステロン症、低カリウム血症、高血圧、浮腫)のため頓用が基本で、長期連用は不可。

当帰建中湯(123):1回1包、1日3回(月経期間中も継続)
・・・月経痛のある期間服用を継続する(1週間程度)
・・・月経期間以外は当帰芍薬散を服用する

当帰芍薬散(23):1回1包、1日3回
・・・やせ型、色白、冷え症、浮腫傾向、頭冒感(頭に重しが乗った感じ)、月経痛、月経不順、不妊症
・・・四物湯(ー地黄)+五苓散(ー桂皮・猪苓)の構成
・・・月経痛に用いる場合は、月経の期間以外も継続服用し、月経時は当帰建中湯に変更するとよい。
※ オースギに錠剤あり。

温経湯(106):1回1包、1日3回
・・・冷え、手のほてり、唇のあれ・乾き
・・・冷えのある月経痛に
・・・不妊症への応用可

桂枝茯苓丸(25):1回1包、1日3回
・・・月経不順、子宮筋腫、子宮内膜症、臍傍圧痛(瘀血)、肩こり
・・・のぼせやホットフラッシュなど更年期障害にも使用する
・・・瘀血を改善する基本薬
※ クラシエに錠剤あり。

加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経前のイライラ、月経痛、月経不順、訴えが多彩(※)、受診毎に訴えが変わる
・・・山梔子には軽い瀉下作用があり、大黄で腹痛を起こすような便秘にも効果が期待できる
※ 身体熱感、灼熱感、寒気、のぼせ、顔面紅潮、足冷え、心悸亢進、頭痛、めまい、耳鳴、不眠、イライラ・・・

女神散(67):1回1包、1日3回
・・・のぼせ、めまい、月経前後のイライラ、同じ訴えが続く
・・・加味逍遥散の対象となる患者よりものぼせが強く、訴えが執拗で受診毎に変わることが少ない場合に。

桃核承気湯(61):1回1包、1日2回で開始(下痢をするため服用量の調整が必要)
・・・頑固な便秘、小腹急結(左下腹部の強い圧痛)、月経困難症
・・・子宮筋腫・子宮内膜症で強い月経痛がある場合に使用
・・・月経時に強いPMS(イライラや興奮)を認めるときに使用
・・・漢方エキス剤で最も強い瀉下作用を有するため、初回から3包/日では下痢することが多い。
※ クラシエに錠剤あり。

■ 月経関連症状に対する第二選択薬

大黄牡丹皮湯(33)
・・・便秘と下腹部痛を訴え、瘀血所見を認めるときに

通導散(105)
・・・便秘+月経痛に。桃核承気湯(61)に類似するが、不安・不眠などの精神症状が激しいときに。
・・・打撲傷などの外傷にも使用可。


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)   

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

循環器疾患がある場合は西洋医学の治療が優先されます。
ここでは「検査に異常のない動悸」が対象です。

小児科で「動悸」の訴えは少ないのですが、
私自身が不整脈持ちで「動悸発作」があるため、
以前から興味がありました。

「期外収縮は漢方治療の対象になるのか?」
「心房細動は道なのか?」
という疑問がありましたが、
従来、セミナーで講師に質問すると、
「不整脈は対象になりません、
 洞性頻脈だけです」
という返答ばかり。

では炙甘草湯の「脈の結滞」は何を指すのか?

この本では「期外収縮は対象になる」と書いてあります。
このような考え方に初めて出会いました。


■ 2剤併用による効果増強レシピ

炙甘草湯2包+桂枝加竜骨牡蛎湯2包/日
・・・炙甘草湯証で動悸が強いときに併用

苓桂朮甘湯3包+甘麦大棗湯3包/日
・・・苓桂朮甘湯証で、単剤では効果不十分の場合に併用
・・・またはパニック発作で併用(苓桂甘棗湯①

苓桂朮甘湯1包+桂枝加竜骨牡蛎湯1包、発作時頓用
・・・パニック障害に対して苓桂甘棗湯②の方意として

苓桂朮甘湯3包+四物湯3包/日
・・・月経や更年期と関係あるときは四物湯を併用(連珠飲

加味逍遥散3包+黄連解毒湯2包/日
・・・加味逍遥散証で、単剤では効果が弱いときに併用


■ 動悸に対する基本処方

柴胡加竜骨牡蛎湯(12):1回1包、1日3回
・・・心臓神経症、驚きやすい、期外収縮、バセドウ病
・・・期外収縮による動悸に有効
・・・適応となる患者は几帳面で真面目な人が多い
・・・クラシエ、コタローの製剤は大黄を含んでおり、鎮静効果が高い
※ クラシエに錠剤あり

黄連解毒湯(15):1回1包
・・・動悸発作の頓用、便秘なし
※ クラシエ、オースギに錠剤あり、コタローにカプセルあり

三黄瀉心湯(113):1回1包、1日3回
・・・動悸発作の頓用(使用目標は黄連解毒湯と同じ)、便秘あり
・・・期外収縮などによる動悸にも有効
・・・昔は刀傷の止血として服用した(止血には冷服が効果的)
※ コタローにカプセルあり

炙甘草湯(64):1回1包、1日3回、動悸時頓用も可(1回1包)
・・・脱水による動悸、脈の結滞、頻脈、バセドウ病
・・・発作性頻拍、期外収縮、不整脈の動悸などに有効
・・・効果発現までに数週間の服用が必要

苓桂朮甘湯(39):1回1包、1日3回
・・・突き上げるような動悸、めまい
※ ジュンコウに錠剤あり

半夏厚朴湯(16):1回1包、1日3回
・・・発作性動悸、不安感が強い、心臓神経症
・・・発作的に動悸が起こり「死ぬのではないか?」と不安を訴える場合に
・・・胸が圧迫されて息がつまる感じなどが使用の目安
※ クラシエ、オースギに錠剤あり

加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経や更年期のイライラ、女性の動悸

柴胡桂枝乾姜湯(11):1回1包、1日3回
・・・神経過敏、冷え、抑うつ
・・・ストレスで不眠や動悸を自覚する場合に
・・・柴胡加竜骨牡蛎湯の裏処方(虚証用)

桂枝加竜骨牡蛎湯(26):1回1包、1日3回
・・・動悸発作、虚弱者、神経過敏、脱毛、夢精
・・・桂枝湯(感冒薬)+竜骨牡蛎(精神安定効果)の構成


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)   

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

小児科分野の喉の違和感には、チックや咳払いのクセ(≒心因性咳嗽)も入ると考えられ、
私はそのような相談を受けると漢方薬を処方し、一定の効果を得ています。

また、副鼻腔炎として耳鼻科通院し、抗生物質漬けになっている患者さんが流れてくると、
漢方治療を提案し、こちらも一定の効果を得ています。


■ 2剤併用による効果増強レシピ

(副鼻腔炎に対して)
辛夷清肺湯3包+葛根湯加川芎辛夷3包/日
・・・鼻閉が強いときや咽頭違和感が辛夷清肺湯単剤では取れないときに併用
辛夷清肺湯3包+排膿散及湯3包/日
・・・膿性鼻汁の場合に併用


■ 咽喉頭異常感に対する基本漢方薬

半夏厚朴湯(16):1回1包、1日3回
・・・喉の異物感、喉のつかえ感、空気飢餓感、嗄声、うつ傾向
・・・咽中炙臠(炙った肉が喉に引っかかった感じ)、梅核気(梅の種が喉に引っかかって撮れない感じ)、空気飢餓感(酸素飽和度は正常だが、息苦しい感じが取れない)によって引き起こされる咳に有効
・・・半夏は食道・胃・気道の余分な水を排除し、気分を晴らすが、乾かす生薬なので咽頭管層があるときは使わない。
※ クラシエ、オースギに錠剤あり

茯苓飲合半夏厚朴湯(116):1回1包、1日3回(食前服用が効果的)
・・・GERD症状、胃もたれ、ゲップ。
・・・半夏厚朴湯証に食道下部〜胃部の症状が加わる例に有効

柴朴湯(96):1回1包、1日3回
・・・喉の異物感、気管支喘息、ストレス
・・・咽喉頭異常感症でも症状が強いときに選択
・・・気道を乾燥させる作用が強いので、口の渇きや咽頭乾燥があるときは不可

麦門冬湯(29):1回1包、1日3回
・・・痰が切れない、痰が喉にへばりつく感じ、喉がイガイガ
・・・Sjoegren症候群などの口腔乾燥にも使用可

香蘇散(70):1回1包、1日3回
・・・訴えがはっきりせず、うつ傾向がある場合に有効
・・・半夏厚朴湯が効かない場合に有効なことがある

辛夷清肺湯(104):1回1包、1日3回
・・・副鼻腔炎や後鼻漏による粘稠痰、鼻閉
・・・構成生薬はほどんと冷薬であり、炎症を抑える効果が強い(逆に冷えの訴えのある場合は使用不可)
・・・黄岑、山梔子を含む

荊芥連翹湯(50):1回1包、1日3回
・・・慢性扁桃炎、副鼻腔炎(慢性期の後鼻漏に)、膿性鼻汁
・・・青年の面皰や酒皶に有効
・・・副鼻腔炎の初期には葛根湯加川芎辛夷や辛夷清肺湯を選択


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)  

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
当院は精神科・心療内科ではないので向精神薬を希望あるいは必要な患者さんの診療はしていませんが、
思春期の不安症状に対しては漢方薬を提案しています。


■ 不安症状に対する漢方薬には、ベンゾジアゼピンやSSRIなどのような耐性や依存の問題はない。

■ 2剤併用による効果増強レシピ

半夏厚朴湯3包+四逆散(湯?)3包/日
半夏厚朴湯3包+大柴胡湯3包/日
・・・半夏厚朴湯証で、ストレスが強いときに柴胡剤を併用すると効果増強

香蘇散3包+半夏厚朴湯3包/日
・・・うつ症状に
香蘇散3包+六君子湯3包/日
・・・ストレスが原因で食欲がないとき(香砂六君子湯の方意)
香蘇散3包+小柴胡湯3包/日
・・・風邪の後の耳管狭窄、鼻涙管狭窄に(紫蘇散の方意)
香蘇散3包+八味地黄丸3包/日
・・・高齢者の耳鳴りに

加味帰脾湯2包+補中益気湯2包
・・・加味帰脾湯証で、元気のない状態が続くとき
加味帰脾湯2包+桂枝加竜骨牡蛎湯2包/日
・・・加味帰脾湯証で、ドキドキしやすい、驚きやすいときに

苓桂朮甘湯1包+甘麦大棗湯1包、発作時頓用 あるいは
苓桂朮甘湯1包+桂枝加竜骨牡蛎湯1包、発作時頓用
・・・パニック障害に

加味逍遥散3包+黄連解毒湯2包/日(のぼせ)
加味逍遥散2包+桃核承気湯2包/日(PMSの強いとき)
・・・加味逍遥散単剤では効果が弱いため、随伴症状に応じて多剤を併用

抑肝散2包+加味逍遥散2包/日
・・・抑肝散証で、イライラ、のぼせ、ほてりが強いときに併用

■ 不安障害・パニック障害の基本漢方薬

半夏厚朴湯(16):1回1包、1日3回、発作時頓用も可
・・・不安、息苦しさ、喉のつまり感、呼吸がしにくい(空気飢餓感)。几帳面・真面目な性格の人に有効。甘草を含まないため長期投与可能。
※ クラシエ、オースギに錠剤あり

香蘇散(70):1回1包、1日3回
・・・気分が晴れない、訴えが多彩、軽い風邪症状。

加味帰脾湯(137):1回1包、1日3回
・・・漠然とした不安感、不眠。新郎による食欲不振、栄養障害、体力低下などに。「心配性で他人から見れば何でもないことが気になる」「ささいな身体症状で『癌ではないか』などとひどく不安になる」例に。
・・・不安神経症とは関係ないが、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)などに使用されることがある。
※ クラシエに錠剤あり

柴胡加竜骨牡蛎湯(12):1回1包、1日3回
・・・動悸(不整脈)、イライラ、悪夢、パニックに
・・・「悪夢・驚きやすい・動悸」が竜骨+牡蛎の使用目標
・・・メンタル系の訴えに頻用され、抑うつ・緊張感・イライラに有効
・・・期外収縮(ストレスが原因)の動悸を改善する
・・・鎮静効果を高めたいときは大黄含有製剤(ツムラ以外)を選択すべし
※ クラシエに錠剤あり

柴胡桂枝乾姜湯(11):1回1包、1日3回
・・・神経過敏、冷え、抑うつ、頭部発汗
・・・仕事や家事で頑張りすぎたときのストレスで起こる諸症状(不眠、倦怠感、元気がない等)に
・・・柴胡加竜骨牡蛎湯の虚証版であるが、使い分けが難しいことがある

桂枝加竜骨牡蛎湯(26):1回1包、1日3回
・・・神経過敏、脱毛、夢精、夜尿症
・・・体力が衰えているものの精神不安に
・・・女性で抑うつ傾向のある場合に
・・・夜尿症(小児〜成人まで)に
・・・円形脱毛症

加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・イライラ、漠然とした不安、更年期神経症
・・・気逆が主体だが、気虚・気うつにも有効
・・・愁訴(身体的愁訴と精神的愁訴)が多く、客観的な所見よりもオーバーな場合に
・・・症状が軽くなっても治ったと言わないことが多い
・・・更年期障害に対するホルモン療法はほてりや発汗には有効であるが、抑うつや不安感には効果が弱く、漢方併用が有用

抑肝散(54):1回1包、1日3回
・・・焦燥感、興奮、イライラ、不眠、チック、眼瞼けいれん、手足の震え
・・・イライラ、易怒性を目標に選択
・・・認知症の興奮に効果的
・・・「胸がモヤモヤする」(胸煩)に有効
・・・身体症状症(身体表現性障害)に

苓桂甘棗湯:1回1包、1日3回(頓用でも効果あり)
★ エキス剤にはないので、苓桂朮甘湯+甘麦大棗湯、あるいは苓桂朮甘湯+桂枝加竜骨牡蛎湯
・・・パニック障害、突き上げるような動悸発作
※ OTCにコタロー苓桂甘棗湯エキスがある。

神田橋処方:(四物湯1包+桂枝加芍薬湯1包)を1日3回
・・・PTSDによるフラッシュバック
・・・瀕死の重症や性被害のような重篤なものばかりでなく、上司や教師の叱責、友人の言葉などで起こる軽度のものにも対応する。

■ 不安症に対する第二選択薬

抑肝散加陳皮半夏(83):
・・・抑肝散(54)よりうつ傾向のある場合に有効

帰脾湯(65):
・・・不安感に。心配性で何気ないことで不安になったり、不眠になるときに


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
・・・ただ、2剤併用の記載を整理していたら、(黄連解毒湯+酸棗仁湯)併用レシピが二種類ありました。

■ 不眠症に対する漢方に耐性・依存症の心配はない。

■ 2剤併用による効果増強レシピ

黄連解毒湯1包+酸棗仁湯1包(眠前)
・・・頭がカッカして眠れない場合に

黄連解毒湯1包+酸棗仁湯2包(眠前)
・・・ほてりが強い場合、「漢方の睡眠薬」、
 寝る前に酸棗仁湯1包では効果不十分につき眠前2包が必要

加味帰脾湯
3包/日+酸棗仁湯2包(眠前)
・・・加味帰脾湯の効果増強

(加味)帰脾湯1包+竹筎温胆湯1包(眠前)
・・・竹筎温胆湯の適応で、不眠が強いときは眠前に帰脾湯を併用

半夏厚朴湯
小柴胡湯( → 柴朴湯(96))
・・・柴胡剤併用によりストレスに対する効果増強

加味逍遥散
3包+黄連解毒湯2包/日
・・・加味逍遥散の方意+のぼせが強いとき

加味逍遥散
2包+桃核承気湯2包/日
・・・PMSの強いとき

■ 不眠症に対する基本処方

入眠障害に
黄連解毒湯(15):寝る前に2包、または夕方1包&寝る前に2包
…頭がさえて眠れない、つまらないことが気にかかる、のぼせる例に
※ クラシエ、オースギに錠剤あり、コタローにカプセルあり

抑肝散加陳皮半夏(83):1回1包、1日3回、または夕1-2包、寝る前に2包
…イライラ、頭痛、認知症の不眠、歯ぎしり

竹筎温胆湯
(91):夕1包、寝る前2包
・・・咳・痰、いろいろ考えすぎて眠れない。「温胆湯」は物事を決められず、不安を感じるような不眠に用いる

中途覚醒、熟眠障害に
柴胡加竜骨牡蛎湯(12):1回1包、1日3回
・・・動悸、イライラ、夢(悪夢)が多い、ストレスで眠れない場合、几帳面で真面目な人が眠れなくなったとき
※ クラシエに錠剤あり

加味帰脾湯
(137)
・・・(1回1包、1日3回)不安感、体質虚弱、認知症
※ クラシエに錠剤あり

入眠障害、中途覚醒に
酸棗仁湯(103):夕1包、寝る前に2包
・・・疲れているのに眠れない

(その他)
半夏厚朴湯(16):1回1包、1日3回
・・・喉の痞え、不安感。ストレスが下人で、喉の痞えや息苦しさなどの訴えがあるときの不眠に
※ クラシエ、オースギに錠剤あり

加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経や更年期の不眠、イライラ、女性の不眠。単剤では効果が弱いため、随伴症状に合わせて他剤を併用する
柴胡桂枝乾姜湯(11):1回1包、1日3回
・・・神経過敏、冷え、抑うつ。仕事や家事で頑張りすぎたときのストレスで起こる不眠に。

■ 不眠症の第二選択薬

三物黄芩湯(121)・・・手足のほてり、ムズムズ脚症候群で眠れない場合
大柴胡湯(8)・・・ストレスで眠れない場合、体力充実
甘麦大棗湯(72)・・・ヒステリーやパニック障害のある不眠に
三黄瀉心湯(113)・・・黄連解毒湯と類似、便秘のある場合に
抑肝散(54)・・・抑肝散加陳皮半夏と同様
猪苓湯(40)・・・夜間頻尿や口渇を訴える不眠に


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

■ 冷え性の治療期間
・最低3-4週間、1-2年を要することも多い。

■ 2剤併用による効果増強レシピ

当帰四逆加呉茱萸生姜湯2包+当帰芍薬散2包/日
…冷え+水毒(浮腫など)に
当帰四逆加呉茱萸生姜湯2包+桂枝茯苓丸2包/日
…冷え+静脈うっ滞やレイノー症状があるときは駆於血剤を併用

■ 冷え症に対する基本処方

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(38)…手足が冷える、レイノー症状、しもやけ、冷えると腹痛
当帰芍薬散(23)…浮腫傾向、肌の乾燥
桂枝茯苓丸(25)…月経不順、冷えのぼせ
加味逍遥散(24)…月経時のイライラ、精神不安、不眠、冷えのぼせ
真武湯(30)…新陳代謝の低下、倦怠感、顔色不良
苓姜朮甘湯(118)…下半身の冷え、下半身の主だるさ
八味地黄丸(7)…高齢者の冷え、腰痛、夜間尿
五積散(63)…腰が冷える、クーラーで冷えが悪化
人参湯(32)…腹部の冷え、手掌・足底の冷え、下痢
麻黄附子細辛湯(127)…身体の芯から冷える、手背・足背の冷え

■ 冷えに対する第二選択薬

呉茱萸湯(31)…胃の機能が低下し腹部や手足の冷えを訴える場合
防巳黄耆湯(20)…下肢に浮腫があり、特に足首の周囲に冷えを訴える場合
大建中湯(100)…腹部膨満や鼓腸を呈して、胸〜腹部の冷えを訴えるとき
芎帰調血飲…消化機能の低下や骨盤腔内のうっ血による冷えに
人参養栄湯(108)・十全大補湯(48)…元気がない、疲れやすい、寝汗が多い等の症状があり、手足の冷えを訴える場合
温経湯(106)…下腹痛、腰痛、下肢の冷えと疼痛がみられ、時に口唇の乾燥やあれ、手掌のほてりに有効
四逆散(35)…ストレスにより気の巡りが阻害され、四肢の冷えを訴える場合


<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

■ 2剤併用による効果増強レシピ

補中益気湯2-3包+八味地黄丸2-3包/日
…慢性疲労+加齢による体力低下
補中益気湯3包+十全大補湯3包
…がん治療で体力が低下し、倦怠感・食欲不振が単剤ではよくならないとき

六君子湯3包+香蘇散3包/日
…食欲低下>倦怠感でストレスの関与が強いとき
六君子湯3包+四逆散3包/日
…スッとレスでイライラや胃痛が強いとき

八味地黄丸2包+人参湯2包/日
…地黄による胃もたれや食欲不振を訴える場合に人参湯を併用する
真武湯3包+人参湯3包/日
…全身の冷え+非常に強い倦怠感(茯苓四逆湯の方意)

■ 倦怠感・食欲不振の基本漢方薬

補中益気湯(41)…体力低下、病後の易疲労、食欲不振
※ ジュンコウに錠剤あり
十全大補湯(48)…貧血傾向、抗がん剤治療後、放射線治療後
六君子湯(43)…胃腸症状、胃もたれ、食欲不振
八味地黄丸(7)…老化に伴う疲労感、腰痛、坐骨神経痛、手足の冷え、夜間頻尿
真武湯(30)…冷えを伴う強い倦怠感、動揺感、食欲不振
小建中湯(99)…疲れやすい子ども、虚弱体質。疲れて学校に行けない児童や学校で腹痛を起こして保健室で休むことが多い児童、朝になると腹痛で学校へ行けない児童に。シナモンが苦手で飲めないときは、少量の湯に溶いてリンゴジュースに混ぜると飲みやすい。

■ 倦怠感・食欲不振の第二選択薬

人参養栄湯(108)…十全大補湯とほぼ同じ適応であるが、呼吸器症状がある場合によい。
加味帰脾湯(137)…胃腸が弱く、ストレスや不安や不眠を訴える場合に。いろいろ考えすぎて不安になることが多い人に。


<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

しかし小児で相談を受けるのは手掌多汗症が多いので、
残念ながら、あまり参考になりませんでした。

■ 併用による効果増強レシピ

防巳黄耆湯3包+越婢加朮湯1-2包/日
…水太り&多汗症で熱感があるとき

白虎加人参湯
1-2包+五苓散1-2包、頓用
…熱中症発症時に冷服

加味逍遥散
3包+黄連解毒湯1-2包/日
…更年期ホットフラッシュでほてりが強いときに

■ 多汗症の基本漢方薬

防巳黄耆湯(20)・・・汗かき、水太り、易疲労、口渇なし、多汗症の第一選択薬。
白虎加人参湯(34)・・・からだが暑い、口渇・発汗、尿自利
柴胡加竜骨牡蛎湯(12)・・・緊張性発汗、手・足・腋窩の発汗
柴胡桂枝乾姜湯(11)・・・首から上の発汗、頭汗
加味逍遥散(24)・・・のぼせ、ホットフラッシュ、発汗
補中益気湯(41)・・・体力低下、病後の易疲労、食欲不振…体力が低下し寝汗を自覚したら服用、改善しないときは十全大補湯(48)や人参養栄湯(108)へ変更すべし

■ 多汗症の第二選択薬

黄耆建中湯(98)・・・小児や寝たきりで体力が低下した場合の寝汗に
柴胡桂枝湯(10)・・・柴胡桂枝乾姜湯と同様に、首から上の発汗・頭汗に有効であり、体力のある場合に使用
桂枝加竜骨牡蛎湯(26)・・・柴胡加竜骨牡蛎湯(12)より虚証例に
四逆散(35)・・・精神的発汗
・・・
十全大補湯(48)…大病後や抗がん剤治療などで発汗が見られるときに
人参養栄湯(108)…呼吸器疾患病後や高齢者で寝汗が多い場合に

 
<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)  

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

■ 併用による効果増強レシピ

白虎加人参湯1-2包+五苓散1-2包、頓用
・・・熱中症発症時に(冷服推奨)

清暑益気湯
3包+五苓散3包/日
・・・発汗が多く、脱水傾向のある場合に

■ 熱中症の基本漢方薬

白虎加人参湯(34):発症時:1回2包、予防:1回1包、1日3回
・・・熱中症治療・予防(高温環境下の活動時に)、全身の熱感
※ クラシエに錠剤あり

五苓散(17):発症時:1回2包、予防:1回1包、1日3回
・・・口渇、脱水
※ クラシエに錠剤あり

清暑益気湯(136):1回1包、1日3回
・・・夏負け、食欲低下、発汗

補中益気湯(41):1回1包、1日3回
・・・夏負け、食欲低下
※ ジュンコウに錠剤あり

■ 熱中症の第二選択薬

柴苓湯(114)・・・五苓散+小柴胡湯の生薬構成。発汗過多や下痢などが見られる暑気あたりに。
胃苓湯(115)・・・五苓散+平胃散の生薬構成。水瀉性の下痢に。夏場に冷たいものを摂り過ぎて下痢をして、食欲不振などを起こす場合に有効。


<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

■ 併用による効果増強レシピ

呉茱萸湯1包+五苓散1包、発作時頓用(1日6回まで)
・・・呉茱萸湯あるいは五苓散単独では効果が不十分なとき

■ 頭痛の基本漢方薬

(片頭痛) 
呉茱萸湯(31)・・・冷え・悪心を伴う片頭痛(発作時:1回2包、予防:1回1包、1日2-3回)
五苓散(17)・・・気圧・天気変化で頭痛発作が起こる(発作時:1回2包、予防:1回1包、1日2-3回)
川芎茶調散(124)・・・月経前後の片頭痛(発作時:1回2包)

(緊張性頭痛)
葛根湯(1)・・・肩こりを自覚(発作時:1回1包)

(その他の頭痛) 
川芎茶調散(124)・・・頭痛一般、感冒の頭痛、月経時の頭痛(発作時:1回2包)
釣藤散(47)・・・早朝・午前中の頭痛、高血圧、高齢者の頭痛(1回1包、1日3包) 
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(38)・・・手足の冷え(呉茱萸湯よりも冷えの訴えが強い)、しもやけ、腰痛(1回1包、1日3回、発作時のみ服用は効果が期待できない) 

■ 頭痛に対する第二選択薬

大柴胡湯(8)・・・ストレスが強く、肩こりや項部痛・耳鳴りを訴える例
抑肝散(54)・・・イライラが強く、ストレスが引き金になる頭痛 
桂枝人参湯・・・胃腸虚弱で冷えによる下痢が多い例に、頭痛の訴えがある場合 


<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 

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