参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
さて、月経関連症状(月経痛、月経不順、月経困難症、PMSなど)は漢方の得意分野です。
日常生活に支障がありながらもピルを使うことに躊躇される方にお勧めです。
あなたの体質に合う漢方が見つかるとハッピーになれます。
ただし、重症タイプや漢方に反応のない方は、ベースに病気がないかどうか、
婦人科でチェックする必要があります。
私は小児科医なので処方経験は多くありませんが、
ニキビに対して桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)を処方していた中学生女子が、
「漢方を飲み始めてから、ニキビも良くなってきたけど、最近生理痛が楽になったんです」
と教えてくれたり、
PMS症状(生理開始前のイライラ)に対して中学生女子 に加味逍遥散(24)を処方したら、
「イライラが激減して家族みんながハッピーになりました」
と報告してくれたり・・・。
しかし著効例でも加味逍遥散は山梔子の副作用のために5年以内に終了しなくてはなりません。
この子の将来、次の一手はどうしよう・・・と悩んでいたところ、
この本を読んで女神散、桃核承気湯が候補に挙がり、ホッとしました。
■ 2剤併用による効果増強レシピ
当帰芍薬散2包+安中散2包/日
・・・当帰芍薬散のニオイが気になる(多くは川芎の臭い)場合や胃にさわる場合は安中散を併用する。
当帰芍薬散2包+桂枝茯苓丸2包/日
・・・当帰芍薬散証で瘀血症状が強い場合や、子宮筋腫や子宮内膜症がある場合は併用する。
温経湯2包+桂枝茯苓丸2包/日
・・・温経湯証で腹痛が強いときに併用。
桂枝茯苓丸2包+桃核承気湯1包
・・・桂枝茯苓丸証で駆瘀血効果を高めたいときは大黄を加える。
・・・桃核承気湯や大黄牡丹皮湯を少量併用する。
桂枝茯苓丸2包+当帰芍薬散2包
・・・水毒傾向がある場合に併用
加味逍遥散2包+桂枝茯苓丸1〜2包/日
・・・PMSで症状が強いときに桂枝茯苓丸を併用
加味逍遥散3包+黄連解毒湯1〜2包/日
・・・興奮が強いときは黄連解毒湯を併用
女神散3包+加味逍遥散1〜3包/日
女神散3包+抑肝散1〜3包/日
・・・発汗、イライラが強い場合に併用
女神散3包+三黄瀉心湯1包/日
・・・原典では大黄が含まれており、便秘があるときは三黄瀉心湯や大黄牡丹皮湯などを少量追加する。
■ 月経関連症状の基本処方
芍薬甘草湯(68):1回1〜2包、疼痛時頓用(1回3包まで服用可)
・・・月経痛に対して屯用する基本処方
・・・即効性があり、効果は強力(数分で効いてくる)
・・・月経痛以外にも、こむら返り、尿管結石、ギックリ腰、吃逆などにも有効
・・・甘草の副作用(偽アルドステロン症、低カリウム血症、高血圧、浮腫)のため頓用が基本で、長期連用は不可。
当帰建中湯(123):1回1包、1日3回(月経期間中も継続)
・・・月経痛のある期間服用を継続する(1週間程度)
・・・月経期間以外は当帰芍薬散を服用する
当帰芍薬散(23):1回1包、1日3回
・・・やせ型、色白、冷え症、浮腫傾向、頭冒感(頭に重しが乗った感じ)、月経痛、月経不順、不妊症
・・・四物湯(ー地黄)+五苓散(ー桂皮・猪苓)の構成
・・・月経痛に用いる場合は、月経の期間以外も継続服用し、月経時は当帰建中湯に変更するとよい。
※ オースギに錠剤あり。
温経湯(106):1回1包、1日3回
・・・冷え、手のほてり、唇のあれ・乾き
・・・冷えのある月経痛に
・・・不妊症への応用可
桂枝茯苓丸(25):1回1包、1日3回
・・・月経不順、子宮筋腫、子宮内膜症、臍傍圧痛(瘀血)、肩こり
・・・のぼせやホットフラッシュなど更年期障害にも使用する
・・・瘀血を改善する基本薬
※ クラシエに錠剤あり。
加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経前のイライラ、月経痛、月経不順、訴えが多彩(※)、受診毎に訴えが変わる
・・・山梔子には軽い瀉下作用があり、大黄で腹痛を起こすような便秘にも効果が期待できる
※ 身体熱感、灼熱感、寒気、のぼせ、顔面紅潮、足冷え、心悸亢進、頭痛、めまい、耳鳴、不眠、イライラ・・・
女神散(67):1回1包、1日3回
・・・のぼせ、めまい、月経前後のイライラ、同じ訴えが続く
・・・加味逍遥散の対象となる患者よりものぼせが強く、訴えが執拗で受診毎に変わることが少ない場合に。
桃核承気湯(61):1回1包、1日2回で開始(下痢をするため服用量の調整が必要)
・・・頑固な便秘、小腹急結(左下腹部の強い圧痛)、月経困難症
・・・子宮筋腫・子宮内膜症で強い月経痛がある場合に使用
・・・月経時に強いPMS(イライラや興奮)を認めるときに使用
・・・漢方エキス剤で最も強い瀉下作用を有するため、初回から3包/日では下痢することが多い。
※ クラシエに錠剤あり。
■ 月経関連症状に対する第二選択薬
大黄牡丹皮湯(33)
・・・便秘と下腹部痛を訴え、瘀血所見を認めるときに
通導散(105)
・・・便秘+月経痛に。桃核承気湯(61)に類似するが、不安・不眠などの精神症状が激しいときに。
・・・打撲傷などの外傷にも使用可。
<参考>
・すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
さて、月経関連症状(月経痛、月経不順、月経困難症、PMSなど)は漢方の得意分野です。
日常生活に支障がありながらもピルを使うことに躊躇される方にお勧めです。
あなたの体質に合う漢方が見つかるとハッピーになれます。
ただし、重症タイプや漢方に反応のない方は、ベースに病気がないかどうか、
婦人科でチェックする必要があります。
私は小児科医なので処方経験は多くありませんが、
ニキビに対して桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)を処方していた中学生女子が、
「漢方を飲み始めてから、ニキビも良くなってきたけど、最近生理痛が楽になったんです」
と教えてくれたり、
PMS症状(生理開始前のイライラ)に対して中学生女子 に加味逍遥散(24)を処方したら、
「イライラが激減して家族みんながハッピーになりました」
と報告してくれたり・・・。
しかし著効例でも加味逍遥散は山梔子の副作用のために5年以内に終了しなくてはなりません。
この子の将来、次の一手はどうしよう・・・と悩んでいたところ、
この本を読んで女神散、桃核承気湯が候補に挙がり、ホッとしました。
■ 2剤併用による効果増強レシピ
当帰芍薬散2包+安中散2包/日
・・・当帰芍薬散のニオイが気になる(多くは川芎の臭い)場合や胃にさわる場合は安中散を併用する。
当帰芍薬散2包+桂枝茯苓丸2包/日
・・・当帰芍薬散証で瘀血症状が強い場合や、子宮筋腫や子宮内膜症がある場合は併用する。
温経湯2包+桂枝茯苓丸2包/日
・・・温経湯証で腹痛が強いときに併用。
桂枝茯苓丸2包+桃核承気湯1包
・・・桂枝茯苓丸証で駆瘀血効果を高めたいときは大黄を加える。
・・・桃核承気湯や大黄牡丹皮湯を少量併用する。
桂枝茯苓丸2包+当帰芍薬散2包
・・・水毒傾向がある場合に併用
加味逍遥散2包+桂枝茯苓丸1〜2包/日
・・・PMSで症状が強いときに桂枝茯苓丸を併用
加味逍遥散3包+黄連解毒湯1〜2包/日
・・・興奮が強いときは黄連解毒湯を併用
女神散3包+加味逍遥散1〜3包/日
女神散3包+抑肝散1〜3包/日
・・・発汗、イライラが強い場合に併用
女神散3包+三黄瀉心湯1包/日
・・・原典では大黄が含まれており、便秘があるときは三黄瀉心湯や大黄牡丹皮湯などを少量追加する。
■ 月経関連症状の基本処方
芍薬甘草湯(68):1回1〜2包、疼痛時頓用(1回3包まで服用可)
・・・月経痛に対して屯用する基本処方
・・・即効性があり、効果は強力(数分で効いてくる)
・・・月経痛以外にも、こむら返り、尿管結石、ギックリ腰、吃逆などにも有効
・・・甘草の副作用(偽アルドステロン症、低カリウム血症、高血圧、浮腫)のため頓用が基本で、長期連用は不可。
当帰建中湯(123):1回1包、1日3回(月経期間中も継続)
・・・月経痛のある期間服用を継続する(1週間程度)
・・・月経期間以外は当帰芍薬散を服用する
当帰芍薬散(23):1回1包、1日3回
・・・やせ型、色白、冷え症、浮腫傾向、頭冒感(頭に重しが乗った感じ)、月経痛、月経不順、不妊症
・・・四物湯(ー地黄)+五苓散(ー桂皮・猪苓)の構成
・・・月経痛に用いる場合は、月経の期間以外も継続服用し、月経時は当帰建中湯に変更するとよい。
※ オースギに錠剤あり。
温経湯(106):1回1包、1日3回
・・・冷え、手のほてり、唇のあれ・乾き
・・・冷えのある月経痛に
・・・不妊症への応用可
桂枝茯苓丸(25):1回1包、1日3回
・・・月経不順、子宮筋腫、子宮内膜症、臍傍圧痛(瘀血)、肩こり
・・・のぼせやホットフラッシュなど更年期障害にも使用する
・・・瘀血を改善する基本薬
※ クラシエに錠剤あり。
加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経前のイライラ、月経痛、月経不順、訴えが多彩(※)、受診毎に訴えが変わる
・・・山梔子には軽い瀉下作用があり、大黄で腹痛を起こすような便秘にも効果が期待できる
※ 身体熱感、灼熱感、寒気、のぼせ、顔面紅潮、足冷え、心悸亢進、頭痛、めまい、耳鳴、不眠、イライラ・・・
女神散(67):1回1包、1日3回
・・・のぼせ、めまい、月経前後のイライラ、同じ訴えが続く
・・・加味逍遥散の対象となる患者よりものぼせが強く、訴えが執拗で受診毎に変わることが少ない場合に。
桃核承気湯(61):1回1包、1日2回で開始(下痢をするため服用量の調整が必要)
・・・頑固な便秘、小腹急結(左下腹部の強い圧痛)、月経困難症
・・・子宮筋腫・子宮内膜症で強い月経痛がある場合に使用
・・・月経時に強いPMS(イライラや興奮)を認めるときに使用
・・・漢方エキス剤で最も強い瀉下作用を有するため、初回から3包/日では下痢することが多い。
※ クラシエに錠剤あり。
■ 月経関連症状に対する第二選択薬
大黄牡丹皮湯(33)
・・・便秘と下腹部痛を訴え、瘀血所見を認めるときに
通導散(105)
・・・便秘+月経痛に。桃核承気湯(61)に類似するが、不安・不眠などの精神症状が激しいときに。
・・・打撲傷などの外傷にも使用可。
<参考>
・すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)