鼻水・鼻づまりは漢方薬の得意分野です。
当院には、
「耳鼻科では抗生物質が代わる代わる処方され、下痢をしてしまう」
とか
「他院でずっと薬を飲んでいるがよくならない」
という患者さんが受診した場合、
漢方薬による治療を提案します。

私は希望する患者さんに時間経過と鼻汁の様子を聞き出し、
いくつかの漢方薬を使い分けています。

ただし、1剤では解決しない例も多く、
2剤併用で落ちつくこともしばしば経験します。
参考となる記事を見つけたので整理しておきます。

■ 鼻汁、鼻閉に対する漢方薬の使い方

・鼻閉が強いとき → 葛根湯加川芎辛夷辛夷清肺湯
・化膿が強いとき → 排膿散及湯辛夷清肺湯

・鼻汁が前に流れるとき → 葛根湯加川芎辛夷
・後鼻漏が多いとき → 辛夷清肺湯

葛根湯加川芎辛夷は温薬が主
辛夷清肺湯は寒薬が主。

・副鼻腔炎の初期 → 葛根湯加川芎辛夷桔梗石膏
・副鼻腔炎慢性期 → 荊芥連翹湯



耳鼻科へ行くと「副鼻腔炎(≒ ちくのう症)」「鼻副鼻腔炎」と診断されて、
抗生物質漬けにされることが多いのですが、
これは西洋医学には他に方法がないからです。

さらに、副鼻腔炎の多くは「ウイルス性副鼻腔炎」であり、
抗生物質は効きません。

ではどういう副鼻腔炎が抗生物質が必要な「細菌性副鼻腔炎」かというと、
以下の3点を満たす場合に疑います;

1.症状が少なくとも10日間持続し、その間改善がない
2.重篤な症状(39℃以上の高熱、膿性鼻汁、顔面痛)が3日以上続く
3.症状が一旦改善した後、再度症状が悪化し3日以上続く

鼻水が濁っているだけでは「細菌感染」の可能性は低く、
抗生物質は必要ないのですね。