食べる・食べないを巡って、食事時間は子どもと保護者のバトルが発生しがちです。
✓ 食卓で遊び出す
✓ 食べ物を投げる
✓ 食卓から逃げ出す
✓ 食べるのに時間がかかる
等々。
それをどううまく乗り切るか、専門家のアドバイスを聞いてみましょう。
基本は、
・子どもの行動の背景を理解する
・子どもの気持ちに共感し、望ましい行動を肯定文で提案する
・評価する言葉、質問形は使わない
・大人がユーモア、遊び心のある態度を取る
等々。
そして、好ましくない行動が発生したとき、
保護者が取るべき行動にはポイントがあります。
それは「完全無視」。
★ 好ましくない行動(食べようとしない、食事中に立ち上がる、さわぐ・泣きわめく、食器で遊ぶ、食べ物で遊ぶ、食べ物を投げる)は完全無視
・好ましくない行動に、保護者が「ダメ!」と反応すると、
注目されたと勘違いしてその行動を繰り返す。
(具体例)
✓ 「こら、またやってる!」
✓ 「いいかげんにしなさい!」
✓ 「お願いだからやめて!」
✓ 「もう、ちゃんとしなさい!」
・好ましくない行動が始まったら注目せずに完全に無視する。
(具体例)
✓ 好ましくない行動が始まったら「注目しない」を開始する。
少しでも相手をすると子どもは「認められている」と感じる。
✓ 体の向きを変え、子どもと視線を合わせない。
親が怒っている様子も見せない。
✓ 好ましくない行動がおさまるまで注目しないでおく。
反応すると好ましくない行動がエスカレートする。
✓ 好ましい行動が出たらすぐにほめる。
すると、好ましくない行動が自然に減っていく。
そして逆に、子どもが好ましい行動をしたときも、
保護者が取るべき行動のポイントがあります。
★ 子どもの好ましい行動は「まねる」「言語化する・実況中継する」
・口に入れるだけで大げさに「上手上手〜」とほめがちだが、
何度も使っているうちに効果が薄れ、
何をほめられているのかよくわからなくなり、
うれしくなってそれ以上食べなくなることもあるのでお勧めできない。
・して欲しい行動が始まったらすぐに、
その行動を(スポーツの実況中継のように)言葉にすると、
子どもはその行動をさらにしたくなる。
以上のことは、子育て本を読むと「応用行動分析」という心理学として説明されていることが多いですね。
私はこの手の本を読むといつも、
「動物の調教に似ている」
と感じてしまいます。
・・・では実例を見ていきましょう。
▶ 離乳食 → 取り分け食の頃から好き嫌い・偏食が目立ってきた
・されるがままであった乳児期を過ぎ、不快なことを拒絶するまで発達が進んだ証拠。
・まだ言葉で表現できないので行動(顔を背ける、払いのける、怒る、泣く、逃げ出す)に出る。
▶ 「食べる」という言葉を嫌がる
・「ご飯だよ」「食べよう」の代わりに、
「手を洗う人!」「座る人!」「座る時間だよ」と声をかける。
▶ 食べることに興味がない(乳児型食思不振症)
・特徴;
✓ 食べる品数は少なくない(ふつう20以上)
✓ 食べる量が少ない
✓ その日により食べる・食べないが予測できない
✓ 体格はほっそり・線が細い
✓ 一人っ子のことが多い
✓ 両親ともとても心配して子どもに干渉している
✓ 乳児期の哺乳もチビチビ飲み、眠いときに意識して飲ませていた
・食べるより遊びが好きな子ども。
・起きている限り動き回っている。
・遊びが大好きで常に交感神経緊張状態。
・副交感優位になる状況を退屈と感じ、遊び食べがなかなか治らない。
▶ 椅子に座りたがらない
・その椅子が子どもの年齢・発達にあったものか再確認する。
・あらかじめ、食事時間を予告する。
・時間が来たら家族が食卓に座って楽しそうに食事をはじめ、
本人がやってくるのを待つ(無理強いはしない)。
・時間が来て家族が食べ終わったら、本人不参加でも食べ物を片付ける。
▶ 食べ物を食べる前に拒否る
・2〜3歳の頃は、食べ物を色と形で判断する。
・5〜7歳までは、味よりも手触りと見た目で判断する。
→ つまり、見ただけで食べないという行動は“あるある”。
▶ 新しい食べ物(味や形)を拒否る
・新しい食べ物はモンスターに見える。
・新しい食べ物は(ストレスにならないように)2〜3日以上の間隔で最低10回以上出すべし。
✓ 5回くらいであきらめない!
・何回も出しているうちに慣れてきてお友達になれる可能性アップ。
▶ 母乳ばかり飲んで離乳食が進まない
・「おっぱいをいつまでも飲んでいるから離乳食が進まない」
と考えがちであるが、これは正しくない。
● 対応
・生活リズムを年齢相当に整える。
・強制のない状態で食卓につく。
・保護者や家族が楽しく食べる様子を見せる。
・1歳を超えているなら、
✓ 1日3回は食卓につく。
✓ 母乳は食卓では与えない(寝室など、別の場所に決める)。
● ポイント
・母乳育児でも固形食の食べる能力の発達に差はない。
・食べない理由は母乳のせいではない。
▶ 好きなものがないと「〇〇が食べたい」とごねる、グズる
・ぐずっても希望通りのものは出さない。
・出してしまうと「ごねり勝ち」を学習して繰り返すことになる。
・結果的に、食べる品数が増えない、減っていく。
・食事のメニューを決めるのは「親の仕事」であり、
子どもに主導権を渡すと問題が発生するパターン。
(対応)
・子どもが食卓にない「〇〇が食べたい!」と言い出したら、
「ふ〜ん、〇〇が食べたいんだね」
「そうか、じゃあ〇〇は今度出すね」
・食事の時に遊んでいてあまり食べなかった子どもが1時間後に、
「お腹空いた、〇〇を食べたい!」と言い出しても出さない、
「さっき食べなかったからでしょ!」と叱るのもNG、
「ふ〜ん、〇〇を食べたいんだ」
「今度、✖️✖️の時に出すよ」と次の食事時間を知らせる。
▶ 手づかみ食べをさせると、グチャグチャにしたり投げたりする
・3歳までの子どもにとって、食べることと遊ぶことに違いはない。
・この年齢の子どもに「食べ物を粗末にしてはいけません」は通用しない。
・初めてのものはモンスターに見える・・・見て、触って、ニオイを嗅ぎ、周りの大人がどう扱っているか観察し、大丈夫と判断した時点で始めて口にする。
▶ 食べさせようとすると大人の口に入れてくる
・1歳台はものまねが大好き。大人が食べさせようとする動作をまねる行動。
(対策)
・1回目は「ありがとう」と言って食べる。
・2回目も「ありがとう」と言ってひとくち食べ、食べ物を手に持つ。
・3回目は「ありがとう、今あるよ、はいどうぞ」と子どもに返す。
・4回目以降も「ありがとう、今あるよ、はいどうぞ」を繰り返す。
・繰り返すうちに子どもは飽きてゲームオーバー。
▶ 他人のお皿のものを取りに来る
・9歳までは、自分のお皿のものも隣のお皿のものも、違いがないと思っている。
・他人のお皿のものを取ることを「行儀が悪い」と遮っても子どもには理解できない。
(対策)
・大皿から小皿に取り分ける方法を選択する。
▶ 手づかみ品を出すと、一瞬で投げてしまう
・新しい食べ物はモンスターに見える。
・反射的に視線から外したくなり投げることが多い。
・3歳までは食べることと遊ぶことの違いがわからない。
・「投げちゃダメ!」と言い聞かせても理解できないので、怒るか泣くか。
・感覚遊びを取り入れながら、馴染みのない食べ物をモンスターから友だちにする。
(対策)
・問題行動(投げること)には注目しない:1歳前半の子どもの場合、親が注目をやめると比較的早期に飽きてやめる。
・子どもの気持ちにネーミングして対処する、約束を述べる:「食べ物さんはテーブルにいるよ、心配ならここに片付けてもいいよ」
・「〜してもいいね」フレーズで適応行動を提案する。
✓ 「ボールに入れてもいいね」
✓ 「テーブルの向こうに押してもいいね」
・食卓への出し方を変えてみる。
✓ 大人が美味しそうに食べているところ繰り返し見せ、興味を示したら、ちょっともったいぶって、ほんの少しだけ出す。
▶ 食べさせてもらいたがる(自分で食べられるけど)
・「スプーンにのせるところまでママね」「一回だけね」
▶ えずく、吐き出す(スプーン食べの場合)
・食べ物がのどの粘膜に当たりオエッとなったり、
吐き出しそうになったりするのは生理的な防御反応(咽頭反射)。
・スプーン食べでは子どもが自ら食べ物を触って確認するステップがない。
・いきなり食形態の違うもの (ドロドロ〜固形物)が敏感な口の中に入ると、
パニックになることがある。
・食形態を変える場合は少量から試し、唇に触れさせ、
舌先で確認して慣れるようサポート。
▶ えずく、吐き出す(手づかみ食べの場合)
・手づかみ食べを始める際に、えずいたり、吐き出したりするのも生理的な防御反応。
・食べ物を見て、自分で触って、確認しても、
口に入れたら「思うような味・食感ではなかった、処理できない」
様な場合にえずいたり吐いたりすることがある。
・食べ物を細かくしないで手づかみサイズを長さ7〜8cmのスティック状にするとよい。
これは万が一のとき、保護者が口から取り出しやすいサイズでもある。
・手づかみ品を自分から食べる方が、ドロドロやペーストで与えられるよりもえずき・嘔吐は少ない。
・手づかみ食べよりスプーンで与える方が、のどに詰まらせる頻度は高い。
★ 食べ物を吐き出した時の対応(こちらも参照)
・呼吸をしておらず、顔色が悪いときは「窒息」 → 救急対応(日本小児科学会)
・その時、呼吸をしていて顔色が悪くなければ問題ない。
・保護者があわてると、子どもはビックリしてパニックになるかもしれない。
・保護者は落ちついて笑顔で「オエッとなっちゃったんだね、出してごらん」と、
前屈みになって吐き出す様子を見せてまねをさせる。
・吐き出せないようなら「お手伝いするね」と言ってから、
口にあるものを取り出してあげる。
▶ 食べさせると口の中にため込む、丸呑みをする
・食べる機能(口腔機能)と食事形態のミスマッチがあると、
飲み込めずに口の中にためたり、困って丸呑みすることがある。
→ こちらを参照
▶ 食事中に椅子から降りてリビングへ行こうとする
(対応)
・知らんぷりして保護者は食事を楽しそうに続ける。
・誰も相手をしないと大抵子どもは戻ってくる。
・戻ってきたらニコニコ笑顔で迎える。
▶ 母乳・ミルク以外は拒否るので保育園で預かってもらえない
・発達段階をチェック(小児科受診)
・強制(スプーンを含めすべての食べさせる行為)をやめる。
・同じ食卓で保護者・家族が楽しそうに食べる様子を見せて安心させる。
・手づかみ食べを導入。
✓ 家族が食べているものから一つ、トレイに出す
✓ それを見て、触り、ニオイを嗅ぎ、つかむ(投げる?)、
などの過程を経て安心すれば、口につけるようになる可能性あり
▶ 園で水分を摂取したがらない(自宅では飲める)
● 対応
・容器を馴染みのもの(いつものコップ、あるいは水筒)にして、
他の子どもたちと一緒の時間、一定の時間にそれを渡す。
・自宅でのタイムテーブルを園に合わせる。
(例)「〇〇で遊んだら次は水筒でゴクゴク」
(例)「〇〇のあとは水筒でゴクゴク」
・飲み物の味を徐々に変えて水に慣れさせる。
(例)自宅でジュースばかり飲んでいる場合、
気づかれないくらい少しずつ水で薄めていって最後に水でも飲めるようにする。
・園全体の取り組みとして:
✓ 児童全員に対してあらかじめ設定した「水分摂取タイム」を見える化する。
✓ 「ゴクゴクの時間だよ」「まわりの友だちがゴクゴクしているよ」と知らせる。
・・・さて、上記の問題と対応をルール化できないものでしょうか。
大山牧子医師が上手にまとめていますので紹介します。
始めにこの文章を読んだときはピンときませんでしたが、
偏食について調べれば調べるほど、
このルールが正しいことがわかってきます。
<食卓での親子の役割分担>
● 保護者の役割は「いつ」「どこで」「なにを」食べるか決めること
(いつ) → 規則正しい食事とおやつを提供する
⭕️ 2歳まで:3食+軽食2回(朝食・午前軽食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 2歳以降:3食+軽食1回(朝食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 食事間隔を2.5〜3時間開ける
⭕️ 1回の食事時間を15〜30分
❌️ 1日3食
❌️ 食事と食事の間に欲しがったら与える(ダラダラ食べ)
❌️ 1回の食事時間が40分以上
(どこで) → 家族が食べる食卓で一緒に
⭕️ 座位保持から独步まで(6ヶ月〜1歳):ハイチェア
⭕️ 小走りし始めたら(1歳半〜2歳以降):ステップチェア
⭕️ 座卓の場合は豆椅子
✓ 1〜2歳:背もたれつき
✓ 3歳以降:円座(硬めの正座用クッション)
⭕️ 外出時は親が決めた場所
❌️ 親が食事の途中に離席する
✓ 離席した子どもの相手をするため
✓ 食卓にないものを取りに何度も立ち上がる
❌️ テレビやビデオ、YouTube、スマホ、タブレットを見せる
❌️ 親が食事中に食卓で授乳する
(なにを)
⭕️ 栄養バランスの取れたメニューを決めて出す
❌️ 何を食べたいか子どもに聞く
❌️ 出すつもりではなかった食べ物を出す
❌️ 食べる順番を決めて守らせる
❌️ 食べ物をごほうびにする
● 子どもの役割は「食べるかどうか」「どのくらい食べるか」を決めること
〜そのためには保護者は子どもを信頼する必要がある、すると・・・
⭕️ 食べる・食べない・食べ残すを決める
⭕️ 好きなものだけ食べる、嫌いなものは食べない
⭕️ その食卓のメニューのおかわりをする
❌️ その食卓のメニュー以外のものを要求する
● 上記の役割分担の境界線を越えると、摂食の問題が発生する
(例)子どもが何をどれだけ食べるかを保護者が決める・コントロールする
(例)子どもに献立を決めさせる
● 上記の役割分担を守ると子どもたちは食べることを楽しいと感じるようになる
<参考書籍>
・・子どもの偏食外来(大山牧子著、診断と治療社、2023年発行)
・子どもの偏食Q&A(大山牧子著、中外医学社、2024年発行)
・子どもの偏食相談スキルアップ(大山牧子著、診断と治療社、2025年発行)
・
<参考サイト>
・きゅうけん(月刊給食指導研究資料)
・(動画)食べない子ども・偏食への対処法(大山牧子)
・(動画)小児摂食障害(食物アレルギーを持つ子どもの場合を含む)(大山牧子)
・発達障害の方の偏食・摂食のご相談(藤井葉子)
✓ 食卓で遊び出す
✓ 食べ物を投げる
✓ 食卓から逃げ出す
✓ 食べるのに時間がかかる
等々。
それをどううまく乗り切るか、専門家のアドバイスを聞いてみましょう。
基本は、
・子どもの行動の背景を理解する
・子どもの気持ちに共感し、望ましい行動を肯定文で提案する
・評価する言葉、質問形は使わない
・大人がユーモア、遊び心のある態度を取る
等々。
そして、好ましくない行動が発生したとき、
保護者が取るべき行動にはポイントがあります。
それは「完全無視」。
★ 好ましくない行動(食べようとしない、食事中に立ち上がる、さわぐ・泣きわめく、食器で遊ぶ、食べ物で遊ぶ、食べ物を投げる)は完全無視
・好ましくない行動に、保護者が「ダメ!」と反応すると、
注目されたと勘違いしてその行動を繰り返す。
(具体例)
✓ 「こら、またやってる!」
✓ 「いいかげんにしなさい!」
✓ 「お願いだからやめて!」
✓ 「もう、ちゃんとしなさい!」
・好ましくない行動が始まったら注目せずに完全に無視する。
(具体例)
✓ 好ましくない行動が始まったら「注目しない」を開始する。
少しでも相手をすると子どもは「認められている」と感じる。
✓ 体の向きを変え、子どもと視線を合わせない。
親が怒っている様子も見せない。
✓ 好ましくない行動がおさまるまで注目しないでおく。
反応すると好ましくない行動がエスカレートする。
✓ 好ましい行動が出たらすぐにほめる。
すると、好ましくない行動が自然に減っていく。
そして逆に、子どもが好ましい行動をしたときも、
保護者が取るべき行動のポイントがあります。
★ 子どもの好ましい行動は「まねる」「言語化する・実況中継する」
・口に入れるだけで大げさに「上手上手〜」とほめがちだが、
何度も使っているうちに効果が薄れ、
何をほめられているのかよくわからなくなり、
うれしくなってそれ以上食べなくなることもあるのでお勧めできない。
・して欲しい行動が始まったらすぐに、
その行動を(スポーツの実況中継のように)言葉にすると、
子どもはその行動をさらにしたくなる。
以上のことは、子育て本を読むと「応用行動分析」という心理学として説明されていることが多いですね。
私はこの手の本を読むといつも、
「動物の調教に似ている」
と感じてしまいます。
・・・では実例を見ていきましょう。
▶ 離乳食 → 取り分け食の頃から好き嫌い・偏食が目立ってきた
・されるがままであった乳児期を過ぎ、不快なことを拒絶するまで発達が進んだ証拠。
・まだ言葉で表現できないので行動(顔を背ける、払いのける、怒る、泣く、逃げ出す)に出る。
▶ 「食べる」という言葉を嫌がる
・「ご飯だよ」「食べよう」の代わりに、
「手を洗う人!」「座る人!」「座る時間だよ」と声をかける。
▶ 食べることに興味がない(乳児型食思不振症)
・特徴;
✓ 食べる品数は少なくない(ふつう20以上)
✓ 食べる量が少ない
✓ その日により食べる・食べないが予測できない
✓ 体格はほっそり・線が細い
✓ 一人っ子のことが多い
✓ 両親ともとても心配して子どもに干渉している
✓ 乳児期の哺乳もチビチビ飲み、眠いときに意識して飲ませていた
・食べるより遊びが好きな子ども。
・起きている限り動き回っている。
・遊びが大好きで常に交感神経緊張状態。
・副交感優位になる状況を退屈と感じ、遊び食べがなかなか治らない。
▶ 椅子に座りたがらない
・その椅子が子どもの年齢・発達にあったものか再確認する。
・あらかじめ、食事時間を予告する。
・時間が来たら家族が食卓に座って楽しそうに食事をはじめ、
本人がやってくるのを待つ(無理強いはしない)。
・時間が来て家族が食べ終わったら、本人不参加でも食べ物を片付ける。
▶ 食べ物を食べる前に拒否る
・2〜3歳の頃は、食べ物を色と形で判断する。
・5〜7歳までは、味よりも手触りと見た目で判断する。
→ つまり、見ただけで食べないという行動は“あるある”。
▶ 新しい食べ物(味や形)を拒否る
・新しい食べ物はモンスターに見える。
・新しい食べ物は(ストレスにならないように)2〜3日以上の間隔で最低10回以上出すべし。
✓ 5回くらいであきらめない!
・何回も出しているうちに慣れてきてお友達になれる可能性アップ。
▶ 母乳ばかり飲んで離乳食が進まない
・「おっぱいをいつまでも飲んでいるから離乳食が進まない」
と考えがちであるが、これは正しくない。
● 対応
・生活リズムを年齢相当に整える。
・強制のない状態で食卓につく。
・保護者や家族が楽しく食べる様子を見せる。
・1歳を超えているなら、
✓ 1日3回は食卓につく。
✓ 母乳は食卓では与えない(寝室など、別の場所に決める)。
● ポイント
・母乳育児でも固形食の食べる能力の発達に差はない。
・食べない理由は母乳のせいではない。
▶ 好きなものがないと「〇〇が食べたい」とごねる、グズる
・ぐずっても希望通りのものは出さない。
・出してしまうと「ごねり勝ち」を学習して繰り返すことになる。
・結果的に、食べる品数が増えない、減っていく。
・食事のメニューを決めるのは「親の仕事」であり、
子どもに主導権を渡すと問題が発生するパターン。
(対応)
・子どもが食卓にない「〇〇が食べたい!」と言い出したら、
「ふ〜ん、〇〇が食べたいんだね」
「そうか、じゃあ〇〇は今度出すね」
・食事の時に遊んでいてあまり食べなかった子どもが1時間後に、
「お腹空いた、〇〇を食べたい!」と言い出しても出さない、
「さっき食べなかったからでしょ!」と叱るのもNG、
「ふ〜ん、〇〇を食べたいんだ」
「今度、✖️✖️の時に出すよ」と次の食事時間を知らせる。
▶ 手づかみ食べをさせると、グチャグチャにしたり投げたりする
・3歳までの子どもにとって、食べることと遊ぶことに違いはない。
・この年齢の子どもに「食べ物を粗末にしてはいけません」は通用しない。
・初めてのものはモンスターに見える・・・見て、触って、ニオイを嗅ぎ、周りの大人がどう扱っているか観察し、大丈夫と判断した時点で始めて口にする。
▶ 食べさせようとすると大人の口に入れてくる
・1歳台はものまねが大好き。大人が食べさせようとする動作をまねる行動。
(対策)
・1回目は「ありがとう」と言って食べる。
・2回目も「ありがとう」と言ってひとくち食べ、食べ物を手に持つ。
・3回目は「ありがとう、今あるよ、はいどうぞ」と子どもに返す。
・4回目以降も「ありがとう、今あるよ、はいどうぞ」を繰り返す。
・繰り返すうちに子どもは飽きてゲームオーバー。
▶ 他人のお皿のものを取りに来る
・9歳までは、自分のお皿のものも隣のお皿のものも、違いがないと思っている。
・他人のお皿のものを取ることを「行儀が悪い」と遮っても子どもには理解できない。
(対策)
・大皿から小皿に取り分ける方法を選択する。
▶ 手づかみ品を出すと、一瞬で投げてしまう
・新しい食べ物はモンスターに見える。
・反射的に視線から外したくなり投げることが多い。
・3歳までは食べることと遊ぶことの違いがわからない。
・「投げちゃダメ!」と言い聞かせても理解できないので、怒るか泣くか。
・感覚遊びを取り入れながら、馴染みのない食べ物をモンスターから友だちにする。
(対策)
・問題行動(投げること)には注目しない:1歳前半の子どもの場合、親が注目をやめると比較的早期に飽きてやめる。
・子どもの気持ちにネーミングして対処する、約束を述べる:「食べ物さんはテーブルにいるよ、心配ならここに片付けてもいいよ」
・「〜してもいいね」フレーズで適応行動を提案する。
✓ 「ボールに入れてもいいね」
✓ 「テーブルの向こうに押してもいいね」
・食卓への出し方を変えてみる。
✓ 大人が美味しそうに食べているところ繰り返し見せ、興味を示したら、ちょっともったいぶって、ほんの少しだけ出す。
▶ 食べさせてもらいたがる(自分で食べられるけど)
・「スプーンにのせるところまでママね」「一回だけね」
▶ えずく、吐き出す(スプーン食べの場合)
・食べ物がのどの粘膜に当たりオエッとなったり、
吐き出しそうになったりするのは生理的な防御反応(咽頭反射)。
・スプーン食べでは子どもが自ら食べ物を触って確認するステップがない。
・いきなり食形態の違うもの (ドロドロ〜固形物)が敏感な口の中に入ると、
パニックになることがある。
・食形態を変える場合は少量から試し、唇に触れさせ、
舌先で確認して慣れるようサポート。
▶ えずく、吐き出す(手づかみ食べの場合)
・手づかみ食べを始める際に、えずいたり、吐き出したりするのも生理的な防御反応。
・食べ物を見て、自分で触って、確認しても、
口に入れたら「思うような味・食感ではなかった、処理できない」
様な場合にえずいたり吐いたりすることがある。
・食べ物を細かくしないで手づかみサイズを長さ7〜8cmのスティック状にするとよい。
これは万が一のとき、保護者が口から取り出しやすいサイズでもある。
・手づかみ品を自分から食べる方が、ドロドロやペーストで与えられるよりもえずき・嘔吐は少ない。
・手づかみ食べよりスプーンで与える方が、のどに詰まらせる頻度は高い。
★ 食べ物を吐き出した時の対応(こちらも参照)
・呼吸をしておらず、顔色が悪いときは「窒息」 → 救急対応(日本小児科学会)
・その時、呼吸をしていて顔色が悪くなければ問題ない。
・保護者があわてると、子どもはビックリしてパニックになるかもしれない。
・保護者は落ちついて笑顔で「オエッとなっちゃったんだね、出してごらん」と、
前屈みになって吐き出す様子を見せてまねをさせる。
・吐き出せないようなら「お手伝いするね」と言ってから、
口にあるものを取り出してあげる。
▶ 食べさせると口の中にため込む、丸呑みをする
・食べる機能(口腔機能)と食事形態のミスマッチがあると、
飲み込めずに口の中にためたり、困って丸呑みすることがある。
→ こちらを参照
▶ 食事中に椅子から降りてリビングへ行こうとする
(対応)
・知らんぷりして保護者は食事を楽しそうに続ける。
・誰も相手をしないと大抵子どもは戻ってくる。
・戻ってきたらニコニコ笑顔で迎える。
▶ 母乳・ミルク以外は拒否るので保育園で預かってもらえない
・発達段階をチェック(小児科受診)
・強制(スプーンを含めすべての食べさせる行為)をやめる。
・同じ食卓で保護者・家族が楽しそうに食べる様子を見せて安心させる。
・手づかみ食べを導入。
✓ 家族が食べているものから一つ、トレイに出す
✓ それを見て、触り、ニオイを嗅ぎ、つかむ(投げる?)、
などの過程を経て安心すれば、口につけるようになる可能性あり
▶ 園で水分を摂取したがらない(自宅では飲める)
● 対応
・容器を馴染みのもの(いつものコップ、あるいは水筒)にして、
他の子どもたちと一緒の時間、一定の時間にそれを渡す。
・自宅でのタイムテーブルを園に合わせる。
(例)「〇〇で遊んだら次は水筒でゴクゴク」
(例)「〇〇のあとは水筒でゴクゴク」
・飲み物の味を徐々に変えて水に慣れさせる。
(例)自宅でジュースばかり飲んでいる場合、
気づかれないくらい少しずつ水で薄めていって最後に水でも飲めるようにする。
・園全体の取り組みとして:
✓ 児童全員に対してあらかじめ設定した「水分摂取タイム」を見える化する。
✓ 「ゴクゴクの時間だよ」「まわりの友だちがゴクゴクしているよ」と知らせる。
・・・さて、上記の問題と対応をルール化できないものでしょうか。
大山牧子医師が上手にまとめていますので紹介します。
始めにこの文章を読んだときはピンときませんでしたが、
偏食について調べれば調べるほど、
このルールが正しいことがわかってきます。
<食卓での親子の役割分担>
● 保護者の役割は「いつ」「どこで」「なにを」食べるか決めること
(いつ) → 規則正しい食事とおやつを提供する
⭕️ 2歳まで:3食+軽食2回(朝食・午前軽食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 2歳以降:3食+軽食1回(朝食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 食事間隔を2.5〜3時間開ける
⭕️ 1回の食事時間を15〜30分
❌️ 1日3食
❌️ 食事と食事の間に欲しがったら与える(ダラダラ食べ)
❌️ 1回の食事時間が40分以上
(どこで) → 家族が食べる食卓で一緒に
⭕️ 座位保持から独步まで(6ヶ月〜1歳):ハイチェア
⭕️ 小走りし始めたら(1歳半〜2歳以降):ステップチェア
⭕️ 座卓の場合は豆椅子
✓ 1〜2歳:背もたれつき
✓ 3歳以降:円座(硬めの正座用クッション)
⭕️ 外出時は親が決めた場所
❌️ 親が食事の途中に離席する
✓ 離席した子どもの相手をするため
✓ 食卓にないものを取りに何度も立ち上がる
❌️ テレビやビデオ、YouTube、スマホ、タブレットを見せる
❌️ 親が食事中に食卓で授乳する
(なにを)
⭕️ 栄養バランスの取れたメニューを決めて出す
❌️ 何を食べたいか子どもに聞く
❌️ 出すつもりではなかった食べ物を出す
❌️ 食べる順番を決めて守らせる
❌️ 食べ物をごほうびにする
● 子どもの役割は「食べるかどうか」「どのくらい食べるか」を決めること
〜そのためには保護者は子どもを信頼する必要がある、すると・・・
⭕️ 食べる・食べない・食べ残すを決める
⭕️ 好きなものだけ食べる、嫌いなものは食べない
⭕️ その食卓のメニューのおかわりをする
❌️ その食卓のメニュー以外のものを要求する
● 上記の役割分担の境界線を越えると、摂食の問題が発生する
(例)子どもが何をどれだけ食べるかを保護者が決める・コントロールする
(例)子どもに献立を決めさせる
● 上記の役割分担を守ると子どもたちは食べることを楽しいと感じるようになる
<参考書籍>
・・子どもの偏食外来(大山牧子著、診断と治療社、2023年発行)
・子どもの偏食Q&A(大山牧子著、中外医学社、2024年発行)
・子どもの偏食相談スキルアップ(大山牧子著、診断と治療社、2025年発行)
・
<参考サイト>
・きゅうけん(月刊給食指導研究資料)
・(動画)食べない子ども・偏食への対処法(大山牧子)
・(動画)小児摂食障害(食物アレルギーを持つ子どもの場合を含む)(大山牧子)
・発達障害の方の偏食・摂食のご相談(藤井葉子)