小児とは無縁というイメージのある「ドーピング」。でもスポーツが盛んな昨今、無視もできないようです。
子どものドーピングと注意すべきサプリメントについての解説を読んでみましたので、ポイントと思われる箇所を抜粋して紹介します。
▶ サプリメントとは?
サプリメントについての法律上の定義はなく,一般に「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」が該当し,いわゆる「健康食品」として位置づけられている。そして,サプリメントを含む, 栄養補助食品,健康補助食品,栄養調整食品は,販売業者等が独自の判断で販売,そして機能性の表示をで きないことになっている。このように,明確な定義 がないためにサプリメントの種類は多岐にわたっており,健康被害の報告も後を絶たないのである。
▶ 子どもにサプリメントは必要?
サプリメントは,食事では不足する栄養素を補充する目的で用いられることが多いが,健康な子どもは必要な栄養素を食事から十分に補うことができるので,特殊な状況を除いてはサプリメントを利用する必要性はほとんどない。
▶ スポーツとサプリメントとドーピング
国内外で多数の健康食品やサプリメントが入手できるが,世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は, スポーツでのサプリメントの使用を推奨していない。
アスリートは,身体活動量,つまりエネルギー消費量が多くなるので,それに見合った食事をすることが難しい場合がある。その場合は,必要量を満たすことができいビタミンやミネラルを補充するためにサプリメントを使用することになる。しかし,サプリメントは含 有成分がすべて明らかではないため,ドーピング禁止 薬物が混入している可能性もあり,製造工程などで禁止物質が意図せず混入してしまっているコンタミネー ション(通称 コンタミ)の可能性もある。コンタミはドーピング違反の事例として頻発している。
2019年 4月に「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公 開の枠組みに関するガイドライン」が公表された。 今後,日本のサプリメントによるアンチ・ドーピング は,このガイドラインに沿って進んでいくことになっており,安全性の高い商品を選択するための情報として,第三者機関による認証プログラムがある。こ のガイドラインに合致していると思われるアンチ・ ドーピング認証プログラムは,インフォームドスポー ツ,インフォームドチョイス,BSCG の3つとされ ている。なお,日本スポーツ栄養協会公式情報サイトで,認証マークのついた商品リストを調べることができるようになっている。本来は,食事からエネルギーや必要な栄養素をとることが基本である。 ジュニアアスリートを含め,成長期の子どもについて は,バランスよく食事をとることが重要で,サプリメントが必要なほど身体活動をさせてはいけないと考える。
▶ ドーピングとは?
ドーピングとは,「スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め,意図的に自分 だけが優位に立ち,勝利を得ようとする行為」のことで,禁止薬物を意図的に使用することだけをドーピングと呼びがちであるが,それだけではない。意図的であるかどうかにかかわらず,ルールに反するさまざまな競技能力を高める「方法」や,それらの行為を「隠すこと」も含めて,ドーピングと呼ばれる。
わが国でのドーピング違反は諸外国に比べ極めて低いが,その違反例の多くは,ドーピングによる競技向上を意図しない「うっかりドーピング」であると言われている。「うっかりドーピング」に処方薬や市販薬などの医薬品の服用が該当することもある。子どもを含め,保護者や指導者に対して,ドーピングに関する十分な知識の教育が必要である。
アンチ・ドーピングとは,ドーピング行為に反対し,スポーツがスポーツとして成り立つための教育・啓発や検査といったさまざまな活動のことである。スポーツは,そもそも,その参加者がフェアで なければ成り立たない。日本アンチ・ドーピング機 構(JADA)は,アンチ・ドーピング活動によって, すべての人がフェアであることを支え,アスリートの健康を保護するために,ドーピングの撲滅を目指している。アスリート対象だけでなく,アスリートがドーピングのリスクを理解し,そのうえで自分自身,自分の取り組む競技,スポーツ全体を守るために具体的な行動を行うことや,その教育活動を推進することもアンチ・ドーピングである。なお,日本では2018年10月1日に「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」が施行されている。
★ 処方薬でドーピングに抵触する例
1) 糖尿病 治療薬のインスリン
2) ぜん息治療薬のベータ 2 作用薬
3) 痛風 治療薬のプロベネシド
4) 高血圧治療薬の利尿薬・ベータ遮断薬(特定競技のみ)など
→ 具体的には主治医に相談するか、以下の検索・相談サイトを利用
★ あなたに処方されている薬剤が禁止されているかどうか調べる検索サイト
「grobal DRO」
★ 薬剤師への相談窓口
「薬剤師会アンチ・ドーピングホットライン」
→ 電話で問い合わせ、メールやFAXでやり取りをするようです。
<参考>
・ 子どもの運動スポーツとサプリメント・ドーピング(小児保健研究、第80巻 第6号,2021)
・アンチ・ドーピングQ&A(日本スポーツ協会)
・アンチ・ドーピング使用可能薬リスト(2025年版)
・薬剤師のための「アンチ・ドーピングガイドブック2025」(日本薬剤師会、日本スポーツ協会)



