2026年02月

食物アレルギー患者さんが集団生活に入り、給食が用意される状況では、除去などの対策が必要になります。保護者が園や学校に配慮を希望する場合には生活管理指導表を作成します。

しかし、医師の間でも温度差があり、園や学校側が混乱してしまうケースが後を絶ちません。
(一応)アレルギー専門医である私が、作成の際に気をつけている点を説明します。

▶ 正確な診断
・検査陽性+食べると症状が出る → 確定診断
・検査陽性+食べても症状なし → 食物アレルギーではない
・検査陽性+未摂取 → 食物アレルギーの可能性(負荷試験が必要)
  → 負荷試験未施行の場合は園・学校では除去せざるを得ない。
  → 負荷試験ができる医療機関へ紹介。

▶ 「とりあえず除去」を避けるために
・「心配だから多項目スクリーニング検査」は慎重に。
・スクリーニング検査で陽性でも食べて症状が出なければ除去は不要。
・スクリーニング検査陽性で安易に「とりあえず除去」を指示すると、児・保護者・園/学校の負担増。

▶ ナッツ類はスクリーニング検査を考慮
・ナッツ類のアレルゲンコンポーネント検査(一般のアレルギー検査とは異なる)は感度・特異度が高いため、一つのナッツにで症状が出る場合は考慮すべき。
・アレルゲンコンポーネント例
(例)クルミ → Jug r 1
(例)カシューナッツ → Ana o 3
(例)ピーナッツ → Ara h 2

▶ 学校給食での食物アレルギー対応例
・献立表対応
・除去食対応
・弁当対応
・無提供

▶ 生活管理指導表の「診断根拠」
・症状が出た(エピソードあるいは負荷試験陽性)+検査陽性 → ⭕️ 
・診断根拠無記載 → ❌️ 
・血液検査陽性+症状なしでの除去は❌️ 
・血液検査陽性+未摂取での除去は△ → 「食物アレルギーの可能性」にとどまる。

▶ 生活管理指導表の「除去内容」
・安易に「すべて」にチェックを入れない。
・ナッツ類は個々の食材を記入すべし。
(例)クルミ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、松の実、クリ、ギンナン、ココナッツ、カカオ、・・・

▶ 安全に解除するために気をつけるべき点
・日常摂取量で無症状になるまでは完全除去対応が基本。
・学校での部分解除指導は行わない。
 → 事故防止の観点から摂取可・完全除去の二者択一が望ましい。
・自宅での摂取状況、負荷試験の結果などの情報提供が望ましい。
・小学生以上は「運動負荷」を考慮
(例)日常摂取量で無症状でも、激しい運動が加わると誘発されることがある


▶ 「より厳しい除去が必要なもの」の考え方
・これらに反応する患児は重症症例のみ。
・実際にこれらの食材での既往がある場合に除去が必要、なければ必要なし。
(例)大豆あるいは小麦でじんま疹が出るが、味噌や醤油では無症状

▶ 花粉・果物アレルギーについて
・近年増えてきた病型で口腔アレルギー症状のみ。
・生の果物野菜には反応するが、加熱や加工したものは症状が出にくい。
・対応は学校と養育者が相談して決めるが、高学年で自分で理解していれば「本人任せ」も。
・「除去」で作成する場合は、「加熱した〇〇は摂取可能」と記載するとよい。

子どものココロのトラブルにどう漢方を適用するか・・・今まで試行錯誤してきました。最近、中高生の起立性調節障害患者さんと話をしていると、気分の浮き沈みとか、気分の不調を訴える人が多いことに気づきました。
そして、気分による漢方薬の使い分けを提唱している大澤稔先生(東北大学産婦人科)のセミナーを思い出しました。講義メモから、役立ちそうなポイントを拾ってみました。

▶ 日常的な「よくある気分の不調」
・ドキドキ:不安症、人前で緊張
・イライラ:苛立ち、落ち着きがない
・ウツウツ:抑うつ、元気がない

▶ 精神的不安定の分類

1.西洋医学の分類
非定型:不安症 → パニック症、予期不安
統合失調症:気分症 → うつ病、双極症

2.東洋医学の分類
急なドキドキがベースにあり、その先にウツウツ・ドキドキが存在する
急なドキドキ+ウツウツ
急なドキドキ+イライラ

▶ 精神的動揺のイメージ
(興奮)
 ↑ 病的興奮状態(イライラ)
   → 向精神薬(メジャートランキライザー)がよく効く
 ↑ 軽い興奮状態(イライラ反応)
   → 向精神薬は効きすぎて副作用の方が目立つ
(正常域)不安発作(急なドキドキ)
 ↓ 軽いうつ状態(抑うつ反応)
   → 抗うつ薬は効きすぎて副作用の方が目立つ
 ↓ 病的うつ状態(ウツウツ)
   → 抗うつ薬がよく効く
(うつ)

▶ 急にドキドキする方(不安症・神経症)への漢方
・すでに安定剤を飲んでいる方へ投与可能
・ひきつけを起こしそうなくらいつらい
・第一選択薬は甘麦大棗湯(72)・・・こみ上げてくる焦燥感(ドキドキ)を抑えてくれる

※ 追加症状には追加処方を;

桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・抑うつ傾向(神経衰弱)あり
・精神的に落ちている

苓桂朮甘湯(39)
・ふらつき(めまい)、立ちくらみ(起立性調節障害)
・自律神経調節障害
・不安で生じる自律神経の変動(ふらつき)を鎮めてくれる
・単独でも不安(ノイローゼ)軽減効果あり

▶ 不安発作のひどい方(不安症・神経症)への漢方
・パニック症・過呼吸などのエピソードのある方へ
 → 甘麦大棗湯苓桂朮甘湯(苓桂甘棗湯の方意)

▶ イライラ(いら立ち)している方への処方
・話の端々に気の高ぶりを感じる、いら立ち、不眠、物音に敏感な人には冷え・のぼせの有無を確認

Q. 冷え・のぼせがありますか?
 No → 動悸が強いですか? 感覚過敏(音・ニオイ・光)がありますか?
 Yes → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
 No  → 愁訴が多い → 加味逍遥散(24)
    愁訴が多くない → 抑肝散(54)、抑肝散加陳皮半夏(83)
 Yes → 頭汗多く神経過敏柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
   → 強いのぼせ・便秘・月経困難 → 桃核承気湯(61)
   → 軽いのぼせ・便秘・月経困難 → 加味逍遥散(24)

※ 柴胡加竜骨牡蛎湯は不眠にも有効
※ 抑肝散加陳皮半夏は「抑圧された怒り」に効く・・・何か我慢をしていることが多く、原因のよく分からない特定の身体症状が出ることがある(心身症・神経症)。

以上を別の視点からまとめると、

イライラ+動悸(+感覚過敏) → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
イライラ+多愁訴 → 加味逍遥散(24)
イライラ+少愁訴 → 抑肝散(54)、抑肝散加陳皮半夏(83)
イライラ+頭汗多い(+神経過敏) → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
イライラ+強い(のぼせ・便秘・月経困難) → 桃核承気湯(61)
イライラ+弱い(のぼせ・便秘・月経困難) → 加味逍遥散(24)

▶ ウツウツ(抑うつ)患者さんへの処方
・ウツウツ(神経衰弱)していて、外来に入ってくるときから元気がない。
 → 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・さらに気分がふさいでのどが苦しい(息がしづらい)。
 → 半夏厚朴湯(16)を併用 

▶ 竜骨牡蛎を含む薬について
・・・ココロの病気は大きく「イライラ」と「ウツウツ」で鑑別可能

柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
・キーワードは「イライラ
・神経性心悸亢進、ヒステリーに対応・ココロの高ぶりを抑える
・甘草を含まない

桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・キーワードは「ウツウツ
・性的神経衰弱、陰萎、遺精
・甘草を含む


<参考>
・Rp.+(レシピプラス)2026年冬号 Vol.25 No.1「使える漢方薬ABC

ニキビの治療薬は近年、めざましい発展を遂げています。
昔は赤く炎症を起こしたニキビを治すことしかできなかったのですが、ニキビ肌(ニキビができやすい肌の状態)を改善するぬり薬が次々と登場してきたのです。

最初に登場したのがディフェリン®ゲル(一般名:アダパレン)。
次にベピオ®ゲル(一般名:過酸化ベンゾイル)。
そしてエピディオ(ディフェリン+ベピオ)、デュアック配合ゲル(ベピオ+抗菌薬)とかいろいろ。

ニキビに悩んでいる思春期世代の男子女子たちに対応できるようにと、以前集中して資料を読み込んだ時期がありました。そして分かったことは・・・新薬では副作用が問題になるということ。

ディフェリン®ゲルは塗布開始後1週間頃をピークにほとんどの患者さんで刺激感が出てきます。少し赤くなってヒリヒリするのです。これは、効いている証拠で、1週間を過ぎると徐々に治まってきます。なので、初回に処方する際、このことをあらかじめ説明しておきます。そうしないと、「肌に合わない、副作用だ」と使用をやめてしまうため。
少し赤い&ヒリヒリというレベルを超えて、真っ赤に腫れ上がったときは明らかな副作用ですので、中止します。

次に登場したベピオ®ゲル以降は、この「真っ赤に腫れ上がってしまう副作用」が散見されるようです(100人に1人)。もし、そのような副作用が出た場合、小児科医の私には対応しきれないと考え、今まで手を出さないできました。

最近、ベピオウォッシュゲルという製品が登場しました。
これは、ベピオ®ゲルを塗ってから5〜10分後に洗い流す、という特殊な使用法のぬり薬です。
つまり、製薬会社もベピオ®ゲルの副作用を認識していて、副作用軽減のための使い方を考案したわけですね。

皮膚科系セミナーを視聴すると、現在この薬がベストセラーになっているようです。
そして、塗った後5〜10分を待たずに「ヒリヒリを感じたら3分でも洗い流してもOK」と説明していました。

ベピオウォッシュゲルに私が感じるメリットは、
・副作用回避
・衣服の着色回避
・9歳から使用可能(今までのぬり薬は12歳以上)
・顔以外の部位にも使用可能

等々。当院でもすでに導入済みです。
解説記事が目に留まりましたので、ポイントを抜粋・引用させていただきます。


<ポイント解説>

過酸化ベンゾイル(商品名ベピオ)は、抗菌作用と角質剥離作用を併せ持ち、炎症性および非炎症性の皮疹を改善する薬剤。過酸化ベンゾイル製剤としては、
(2015年)ベピオゲル
(2023年)ベピオローション
がすでに発売されている。
・日本皮膚科学会による「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では尋常性ざ瘡(にきび)の第一選択薬として推奨されている1)
・使用中の皮膚刺激やそれによる全顔塗布への移行の難しさ、衣類や寝具への付着による脱色リスクなどが、治療継続を妨げる要因となっていた。こうした課題を解消するために開発されたのが、25年6月発売のベピオウォッシュゲル短時間接触療法によりにきびを治療する新たなタイプの過酸化ベンゾイル製剤であり、塗布後5〜10分作用させてから洗い流す(⇩)。過酸化ベンゾイル濃度をゲルおよびローションの2.5%より高い5%に設定することで、短時間の作用でも十分な効果が得られるよう工夫されている。

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・皮膚に薬剤が長時間残らないため、皮膚刺激や脱色への不安を軽減できる。
・炎症性皮疹だけでなく、毛包内に皮脂が貯留した状態である面皰(コメド)にも効果があるので、にきびのない部分も含め顔全体に塗布する。ぬるま湯や水のみで容易に薬剤を除去できる。
・乾燥が気になる場合には、ベピオウォッシュゲルを洗い流した後に保湿ケアを行い、併用薬があればその後に塗布する。顔だけでなく体幹部のにきびに対して使用することも可能
・ベピオウォッシュゲルは開始初期に乾燥や赤みといった皮膚刺激症状が現れやすいが、一般的には1カ月を過ぎると刺激を感じる頻度は減っていく。過酸化ベンゾイルの皮膚刺激性は日光曝露によって増悪する可能性があるため、帽子などで日差しを遮る、日焼け止めを塗る、日焼けランプや紫外線療法を避けるなどの対応が必要。
・痒みや湿疹を症状とする接触皮膚炎を100人に1人程度の頻度で生じることがあり、こうした症状が見られた場合は使用を中止する必要がある。使用開始時は狭い範囲に塗布して徐々に量を増やし、刺激がなければにきび部分だけでなく顔全体に塗布する、脱色を防ぐため髪や眉毛に付かないよう気を付ける

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★ ベピオウォッシュゲルのよる脱色対策(堀内祐紀先生の指導)
・ヌルつきゼロ:洗顔料をしっかり泡立て、ヌルつきが消えるまで洗浄
・境界もしっかりと:顎下、生え際の「すすぎ残し」を徹底チェック
・手洗いもしっかり:手を再度洗い、専用のタオルで水分を完全に拭き取る


参考>
洗い流す」にきび治療薬ベピオウォッシュゲル
島田 真帆=康生会武田病院(京都市)薬局(2025/12/8:日経DI)

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