参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

循環器疾患がある場合は西洋医学の治療が優先されます。
ここでは「検査に異常のない動悸」が対象です。

小児科で「動悸」の訴えは少ないのですが、私自身が不整脈持ちで「動悸発作」があるため、以前から興味がありました。

「期外収縮は漢方治療の対象になるのか?」
「心房細動は道なのか?」
という疑問がありましたが、従来、セミナーで講師に質問すると、
「不整脈は対象になりません、洞性頻脈だけです」
という返答ばかり。

では炙甘草湯の「脈の結滞」は何を指すのか?

この本では「期外収縮は対象になる」と書いてあります。
このような考え方に初めて出会いました。


■ 2剤併用による効果増強レシピ

炙甘草湯2包+桂枝加竜骨牡蛎湯2包/日
・・・炙甘草湯証で動悸が強いときに併用

苓桂朮甘湯3包+甘麦大棗湯3包/日 → 苓桂甘棗湯の方意
・・・苓桂朮甘湯証で、単剤では効果不十分の場合に併用
・・・またはパニック発作で併用(苓桂甘棗湯①

苓桂朮甘湯1包+桂枝加竜骨牡蛎湯1包、発作時頓用
・・・パニック障害に対して苓桂甘棗湯②の方意として

苓桂朮甘湯3包+四物湯3包/日
・・・月経や更年期と関係あるときは四物湯を併用(連珠飲

加味逍遥散3包+黄連解毒湯2包/日
・・・加味逍遥散証で、単剤では効果が弱いときに併用


■ 動悸に対する基本処方

柴胡加竜骨牡蛎湯(12):1回1包、1日3回
・・・心臓神経症、驚きやすい、期外収縮、バセドウ病
・・・期外収縮による動悸に有効
・・・適応となる患者は几帳面で真面目な人が多い
・・・クラシエ、コタローの製剤は大黄を含んでおり、鎮静効果が高い
※ クラシエに錠剤あり

黄連解毒湯(15):1回1包
・・・動悸発作の頓用、便秘なし
※ クラシエ、オースギに錠剤あり、コタローにカプセルあり

三黄瀉心湯(113):1回1包、1日3回
・・・動悸発作の頓用(使用目標は黄連解毒湯と同じ)、便秘あり
・・・期外収縮などによる動悸にも有効
・・・昔は刀傷の止血として服用した(止血には冷服が効果的)
※ コタローにカプセルあり

炙甘草湯(64):1回1包、1日3回、動悸時頓用も可(1回1包)
・・・脱水による動悸、脈の結滞、頻脈、バセドウ病
・・・発作性頻拍、期外収縮、不整脈の動悸などに有効
・・・効果発現までに数週間の服用が必要

苓桂朮甘湯(39):1回1包、1日3回
・・・突き上げるような動悸、めまい
※ ジュンコウに錠剤あり

半夏厚朴湯(16):1回1包、1日3回
・・・発作性動悸、不安感が強い、心臓神経症
・・・発作的に動悸が起こり「死ぬのではないか?」と不安を訴える場合に
・・・胸が圧迫されて息がつまる感じなどが使用の目安
※ クラシエ、オースギに錠剤あり

加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経や更年期のイライラ、女性の動悸

柴胡桂枝乾姜湯(11):1回1包、1日3回
・・・神経過敏、冷え、抑うつ
・・・ストレスで不眠や動悸を自覚する場合に
・・・柴胡加竜骨牡蛎湯の裏処方(虚証用)

桂枝加竜骨牡蛎湯(26):1回1包、1日3回
・・・動悸発作、虚弱者、神経過敏、脱毛、夢精
・・・桂枝湯(感冒薬)+竜骨牡蛎(精神安定効果)の構成


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)