参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

帯状疱疹の原因はウイルス感染で、
そのウイルスは水ぼうそうと同じです。

どういうことかというと・・・
子どもの時に水ぼうそうに罹り治っても、
人間の免疫システムでは水痘ウイルスを排除できず、
体の中に居すわり、息を潜めて存在し続けます。

そして大人になり、
疲れが溜まったとき、免疫力が落ちたときに、
再度増殖して症状が出る、これが帯状疱疹です。

皮疹は1〜2週間程度で治まりますが、
痛みが残ることがあり(帯状疱疹後神経痛)、
これが誠にやっかいです。

西洋医学では抗ウイルス薬で治療します。

実は漢方薬は、この帯状疱疹も得意分野であり、
抗ウイルス薬と併用すると効果的です。
帯状疱疹後神経痛にも一定の効果が期待できます。
漢方薬は病気の相(フェイズ)により有効な方剤が変わっていくので、
きめ細かい観察と診療が必要です。 

小児科で帯状疱疹に出会うことはほとんどありませんが、
患者家族で希望があれば「越婢加朮湯+五苓散」を処方したいと思います。

■ 2(〜3)剤併用による効果増強レシピ
※ 痛みが強いときはNSAIDsを併用する。

越婢加朮湯3包+五苓散3包/日
・・・発症初期から併用することで帯状疱疹後神経痛発生予防効果を期待できる
越婢加朮湯3包+五苓散2包+黄連解毒湯1包/日など(五苓散・黄連解毒湯の量は適宜増減) 
・・・発赤・紅斑が強いときに

五苓散3包+黄連解毒湯3包/日
・・・麻黄(越婢加朮湯)が使いにくい患者には五苓散を第一選択とし、発赤が強いときは黄連解毒湯を併用する。

竜胆瀉肝湯3包+桂枝茯苓丸3包/日
・・・駆瘀血剤と併用すると効果的
竜胆瀉肝湯3包+麻黄附子細辛湯3包/日
竜胆瀉肝湯3包+桂枝加朮附湯3包/日
・・・痛みが続くときは麻黄附子細辛湯や竜胆瀉肝湯を併用して温めるとよい。

■ 帯状疱疹に対する基本治療薬 

越婢加朮湯(28):1回1包、1日3回
・・・発病初期の第一選択薬(皮膚の発赤と浮腫を改善する)
・・・皮疹の発赤・紅斑
・・・抗ウイルス薬と併用する(1週間は使用すべし)
・・・冷えが強い場合、冷えると痛みが増す場合は使用しない → 麻黄附子細辛湯や桂枝加朮附湯を考慮。
・・・麻黄の含有量が多く(2g/包)、麻黄の副作用に注意が必要。特に高齢者、胃腸虚弱、心疾患、前立腺肥大には注意。

五苓散(17):1回1包、1日3回
・・・皮疹の浮腫、神経痛
・・・皮膚の水疱や湿潤を改善する。
・・・神経組織の浮腫を改善し、神経痛の悪化を予防する。

竜胆瀉肝湯(76):1回1包、1日3回
・・・亜急性期結痂、黒色痂皮
・・・亜急性期で壊死性痂皮形成期に有効。
・・・長期使用で胃腸障害(山梔子による)の可能性あり。

葛根湯(1):1回1包、1日3〜5回
・・・発疹が出る前に神経痛などが現れたとき
・・・帯状疱疹の神経痛にも有効


■ 帯状疱疹に対する第二選択薬

黄連解毒湯(15):紅斑・発赤が強い場合に越婢加朮湯や五苓散と併用する。
桃核承気湯(61):痛みに対して駆瘀血剤として越婢加朮湯や竜胆瀉肝湯と併用する。
桂枝茯苓丸(25):痛みに対して駆瘀血剤として越婢加朮湯や竜胆瀉肝湯と併用する。
麻黄附子細辛湯(127)亜急性期の疼痛(温めると改善する痛み)を目標に五苓散や竜胆瀉肝湯と併用する。
桂枝加朮附湯:亜急性期の疼痛(温めると改善する痛み)を目標に五苓散や竜胆瀉肝湯と併用する(神経痛の適応あり)。
補中益気湯(41):亜急性期に体力低下や免疫低下の改善を目標に五苓散や竜胆瀉肝湯と併用する。
十全大補湯(48):亜急性期に体力低下や免疫低下の改善を目標に五苓散や竜胆瀉肝湯と併用する。


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)