参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

前項で扱った「風邪の引き始めの漢方」の続編です。
前述のように、漢方薬は風邪の経過に伴い次々と適応する方剤がかわり、
効果的に治療するには、それに合わせて処方を替える必要があります。

この項目では「風邪を引いた数日経過したとき」の漢方を扱います。
つまり、初期治療で治癒しないでスルーした場合です。

高熱が続いていたものが、
朝は下がるけど夕方からまた熱が上がる時期(往来寒熱)です。
漢方医学ではこの時期を「少陽病期」と呼び、
柴胡という生薬が入った薬(柴胡剤)を中心に用います。


■ 2剤併用による効果増強レシピ

小柴胡湯3包+麦門冬湯(あるいは麻杏甘石湯)3包/日
・・・小柴胡湯証で咳嗽がある場合に併用

参蘇飲3包+柴胡桂枝湯3包/日
・・・多愁訴の感冒には柴胡桂枝湯と併用して諸症状(発熱・咳嗽・咽頭痛・食欲不振)に対応可能

大柴胡湯3包+麦門冬湯3包/日
・・・肥満傾向のある患者で長引く咳嗽がある場合には麦門冬湯と併用してみる。


■ 感冒中期の基本漢方薬

・発症から3日ほど経過しても体調が回復せず、発熱・倦怠感・食欲不振・嘔吐・下痢などが残り、口の苦みや胸脇苦満(季肋部のつかえ感や痛み)、往来寒熱を訴えるときに柴胡の入った下記4剤の中から選択する。
・体力が充実している方から、大柴胡湯(8)>小柴胡湯(9)>柴胡桂枝湯(10)>柴胡桂枝乾姜湯(11)となる。

小柴胡湯《傷寒論》:柴胡5-8;半夏3.5-8;生姜1-2(ヒネショウガを使用する場合3-4);黄芩2.5-3;大棗2.5-3;人参2.5-3;甘草1-3
(キーワード)消化器症状、食欲不振、往来寒熱、体力中等度
・・・炎症が強い場合、頻回(1日3〜6回)の服用が効果的。
・・・咳嗽がある場合、麦門冬湯や麻杏甘石湯などと併用すると効果的。

柴胡桂枝湯《傷寒論》:柴胡4-5;半夏4;桂皮1.5-2.5;芍薬1.5-2.5;黄芩1.5-2;人参1.5-2;大棗1.5-2;甘草1-1.5;生姜1(ヒネショウガを使用する場合2)
(キーワード)市販のかぜ薬を服用しても症状が緩和しないときに選択、往来寒熱、体力中等度
・・・桂枝湯(太陽病)+小柴胡湯(少陽病)の組み合わせ
・・・感冒初期から数日経過した状態まで幅広く使用可能。
・・・市販のかぜ薬を数日服用したがよくならないと訴え受診したときの第一選択薬。
・・・上半身(とくに頭頸部)の発汗が選択の目安となる

大柴胡湯《傷寒論》:柴胡6-8;半夏2.5-8;生姜1-2(ヒネショウガを使用する場合4-5);黄芩3;芍薬3;大棗3-4;枳実2-3;大黄1-2
(キーワード)往来寒熱、体力充実
・・・腹部が充実肥満しているとき(固太り)には小柴胡湯では高価不十分であり、大柴胡湯を選択する。

柴胡桂枝乾姜湯《傷寒論》:柴胡6-8;桂皮3;栝楼根3-4;黄芩3;牡蛎3;乾姜2;甘草2
(キーワード)往来寒熱、体力低下
・・・やせ型で体質虚弱で風邪が長引いているときに選択する。


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)