参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
私は便秘の子どもに対する第一選択薬はモビコールです。
モビコールを使えない2歳未満児にはカマを中心に、
ラクツロースやラキソベロンを併用します。
大抵この処方でコントロール可能ですが、
うまくいかない例、
おなかが痛くなってしまう例には漢方薬を提案しています。
使う方剤は、
桂枝加芍薬大黄湯(134)、
小建中湯(99)
大建中湯(100)
などが多いですね。
■ 便秘の漢方治療
・基本は大黄含有製剤
・大黄は瀉下作用が強力なため、腹痛・下痢を起こすことがある。
・大黄を含まない方剤も存在する。
(例)大建中湯(100)、小建中湯(99)、加味逍遥散(24)
・下剤の効果は個人差が大きく、服用量の調節が必要。
・長期投与では甘草の有無も問題となる。
■ 2剤併用による効果増強レシピ
桂枝加芍薬大黄湯3包+大建中湯3〜6包/日
・・・桂枝加芍薬大黄湯証で、お腹が冷えている場合に併用
大建中湯3〜6包+桂枝加芍薬大黄湯3包/日
・・・大建中湯証で、単剤で効果不十分の時に併用する。
小建中湯3包+小柴胡湯1包/日(小学校低学年の場合)
・・・小建中湯証で、単剤では効果不十分の時、小柴胡湯を少量併用すると効果的
■ 便秘に対する基本漢方薬
麻子仁丸《傷寒論》:
▶ 麻子仁4-5;芍薬2;枳実2;厚朴2-2.5;大黄3.5-4;杏仁2-2.5(甘草1.5を加えても可)
(キーワード)便秘に対する第一選択薬、コロコロ便(兎糞状)、硬便
大黄甘草湯《金匱要略》:
▶ 大黄4-10;甘草1-5
(キーワード)腸管運動改善(プルゼニド®、センノシドと同じような効果)
調胃承気湯《傷寒論》:
▶ 大黄2-6.4;芒硝1-6.5;甘草1-3.2
(キーワード)大黄甘草湯の適応となる症例より強い便秘
大承気湯《傷寒論》:
▶ 厚朴5.0;枳実・芒硝各3.0;大黄2.0(適量)
(キーワード)腹部膨満、肥満傾向
桃核承気湯《傷寒論》:
▶ 桃仁5;桂皮4;大黄3;芒硝2;甘草1.5
(キーワード)小腹急結、月経困難症、頑固な便秘
潤腸湯《万病回春》:
▶ 当帰3-4;熟地黄・乾地黄各3-4(又は地黄6);麻子仁2;桃仁2;杏仁2;枳実0.5-2;黄芩2;厚朴2;大黄1-3;甘草1-1.5
(キーワード)麻子仁丸の適応症例よりも便の乾燥が強い。皮膚乾燥傾向。
桂枝加芍薬大黄湯《傷寒論》:
▶ 桂皮3-4;芍薬4-6;大棗3-4;生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合3-4);甘草2;大黄1-2
(キーワード)通常の下剤では腹痛が出てつらい。便秘型過敏性腸症候群
大建中湯《金匱要略》:
▶ 山椒1-2;人参2-3;乾姜3-5;膠飴20-64
(キーワード)腹部膨満、腸管ガスの貯留、冷えのある腹痛、便秘型過敏性腸症候群
小建中湯《傷寒論》:
▶ 桂皮3-4;生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合3-4);大棗3-4;芍薬6;甘草2-3;膠飴20(マルツエキス;滋養糖可;水飴の場合40)
(キーワード)子どもの腹痛、便秘、便秘型過敏性腸症候群
■ 便秘に対する第二選択薬
大柴胡湯《傷寒論》:
▶ 柴胡6-8;半夏2.5-8;生姜1-2(ヒネショウガを使用する場合4-5);黄芩3;芍薬3;大棗3-4;枳実2-3;大黄1-2
・・・ストレスにより自律神経のか緊張が隠岐、イライラや怒りっぽいなどの精神症状が見られるときに選択する。患者は両側の胸脇苦満が強く認められることが多い。
防風通聖散1《宣明論》:
▶ 当帰1.2-1.5;芍薬1.2-1.5;川芎1.2-1.5;山梔子1.2-1.5;連翹1.2-1.5;生姜0.3-0.5(ヒネショウガを使用する場合1.2-1.5);
・・・肥満を主訴に便秘がある場合に選択する。患者は太鼓腹がみられることが多く、便秘の解消で肥満が改善することがある。
加味逍遙散《女科撮要》:
▶ 当帰3;芍薬3;白朮3(蒼朮も可);茯苓3;柴胡3;牡丹皮2;山梔子2;甘草1.5-2;生姜1;薄荷葉1
・・・月経前後のイライラや気分の変調が多く、便秘気味のときに選択する。大黄を含まないため、通常の下剤で腹痛を訴える女性に使用してみるとよい。
<各方剤の解説>
▢ 麻子仁丸(126)
・便秘の第一選択薬。
・コロコロ便に有効であり、高齢者に使えるケースが多い(うるおいが足りないときは潤腸湯を使用)。
・油成分が多い(種子である麻子仁・杏仁・枳実)のため硬便が「スルッと出る」と感じられる。
・大黄の含有量が4g/日と最も多い(大黄甘草湯と同じ)。
・甘草を含まないため、長期投与が可能。効果不十分な場合、ほかの下剤と併用しやすい。
▢ 大黄甘草湯
・便秘症の基本方剤であるが、難治性の便秘には効果が弱い。
・甘草を含むため、多剤併用時に注意。
・「大正漢方胃腸薬」はこの方剤である。
・実際には油を含む生薬(麻子仁、杏仁、桃仁)や腸を潤す生薬(芒硝)等を含む漢方薬得見合わせる方が効果が高く、コロコロ便の場合、売るイオをつける調胃承気湯(74)や麻子仁丸(126)でないと快便は得られないことが多い。
▢ 調胃承気湯(74)
・大黄甘草湯+芒硝(塩類下剤、腸を潤す効果)
・「承気」とは「気を巡らす」という意味で、単なるdrains downward効果だけではなく、消化管運動を改善することで向精神作用も示す。
・効果の強さは、大承気湯(133)>桃核承気湯(61)>調胃承気湯(74)>大黄甘草湯。
・成分としては、センノシド+酸化マグネシウムとほぼ同じ。
▢ 大承気湯(133)
・瀉下効果をやわらげる甘草を含まないため、瀉下効果は強い。
・同じ腹部膨満でも腸管ガスが多い大建中湯とは違い、便が充実性に溜まっている場合に有効。
・直腸に硬便が貯留し、便が出ない場合も使用してみるとよい。
・昔は「高熱にうなされてうわごとを話すようなときの解熱剤」として使用した。
▢ 桃核承気湯(61)
・調胃承気湯+桃仁・桂皮
・漢方エキス剤の下剤では最も強力な瀉下効果を有するため、服用量の調節が必要。
・高齢者施設の寝たきり症例などは、桃核承気湯でないと反応が得られないことも多い。
・陰部を打撲して尿閉が起きたときにも有効。
・強いPMSに効果がある。
・便秘が解消すると、腰痛・肩こり・頭痛も改善することが多い。
▢ 潤腸湯(51)
・四物湯成分(当帰、地黄)により滋潤作用が強い。
・麻子仁丸で効果不十分の時に選択。
・甘草を含有しているため副作用に注意(麻子仁丸との違い)。
▢ 桂枝加芍薬大黄湯(134)
・便秘だけでなく、下痢にも使用できる。大黄は便秘時には瀉下剤に、下痢時には止痢剤として働く。
・刺激性便秘薬では腹痛が起こり服用できないときに有用。
・裏急後重(しぶり腹)に有効。
▢ 大建中湯(100)
・冷えが原因で起こる腹部症状によい。
・熱湯に溶いて温服する(冷水で服用すると効果半減)。
・便秘にも下痢にも使用できる。
・術後の癒着性イレウスで使用することが多い。
▢ 小建中湯(99)
・桂枝加芍薬湯+膠飴(水飴)
・子どもの便秘の第一選択薬。
・子どもの便秘および下痢の両方に使用可能。
<参考>
・すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
私は便秘の子どもに対する第一選択薬はモビコールです。
モビコールを使えない2歳未満児にはカマを中心に、
ラクツロースやラキソベロンを併用します。
大抵この処方でコントロール可能ですが、
うまくいかない例、
おなかが痛くなってしまう例には漢方薬を提案しています。
使う方剤は、
桂枝加芍薬大黄湯(134)、
小建中湯(99)
大建中湯(100)
などが多いですね。
■ 便秘の漢方治療
・基本は大黄含有製剤
・大黄は瀉下作用が強力なため、腹痛・下痢を起こすことがある。
・大黄を含まない方剤も存在する。
(例)大建中湯(100)、小建中湯(99)、加味逍遥散(24)
・下剤の効果は個人差が大きく、服用量の調節が必要。
・長期投与では甘草の有無も問題となる。
■ 2剤併用による効果増強レシピ
桂枝加芍薬大黄湯3包+大建中湯3〜6包/日
・・・桂枝加芍薬大黄湯証で、お腹が冷えている場合に併用
大建中湯3〜6包+桂枝加芍薬大黄湯3包/日
・・・大建中湯証で、単剤で効果不十分の時に併用する。
小建中湯3包+小柴胡湯1包/日(小学校低学年の場合)
・・・小建中湯証で、単剤では効果不十分の時、小柴胡湯を少量併用すると効果的
■ 便秘に対する基本漢方薬
麻子仁丸《傷寒論》:
▶ 麻子仁4-5;芍薬2;枳実2;厚朴2-2.5;大黄3.5-4;杏仁2-2.5(甘草1.5を加えても可)
(キーワード)便秘に対する第一選択薬、コロコロ便(兎糞状)、硬便
大黄甘草湯《金匱要略》:
▶ 大黄4-10;甘草1-5
(キーワード)腸管運動改善(プルゼニド®、センノシドと同じような効果)
調胃承気湯《傷寒論》:
▶ 大黄2-6.4;芒硝1-6.5;甘草1-3.2
(キーワード)大黄甘草湯の適応となる症例より強い便秘
大承気湯《傷寒論》:
▶ 厚朴5.0;枳実・芒硝各3.0;大黄2.0(適量)
(キーワード)腹部膨満、肥満傾向
桃核承気湯《傷寒論》:
▶ 桃仁5;桂皮4;大黄3;芒硝2;甘草1.5
(キーワード)小腹急結、月経困難症、頑固な便秘
潤腸湯《万病回春》:
▶ 当帰3-4;熟地黄・乾地黄各3-4(又は地黄6);麻子仁2;桃仁2;杏仁2;枳実0.5-2;黄芩2;厚朴2;大黄1-3;甘草1-1.5
(キーワード)麻子仁丸の適応症例よりも便の乾燥が強い。皮膚乾燥傾向。
桂枝加芍薬大黄湯《傷寒論》:
▶ 桂皮3-4;芍薬4-6;大棗3-4;生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合3-4);甘草2;大黄1-2
(キーワード)通常の下剤では腹痛が出てつらい。便秘型過敏性腸症候群
大建中湯《金匱要略》:
▶ 山椒1-2;人参2-3;乾姜3-5;膠飴20-64
(キーワード)腹部膨満、腸管ガスの貯留、冷えのある腹痛、便秘型過敏性腸症候群
小建中湯《傷寒論》:
▶ 桂皮3-4;生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合3-4);大棗3-4;芍薬6;甘草2-3;膠飴20(マルツエキス;滋養糖可;水飴の場合40)
(キーワード)子どもの腹痛、便秘、便秘型過敏性腸症候群
■ 便秘に対する第二選択薬
大柴胡湯《傷寒論》:
▶ 柴胡6-8;半夏2.5-8;生姜1-2(ヒネショウガを使用する場合4-5);黄芩3;芍薬3;大棗3-4;枳実2-3;大黄1-2
・・・ストレスにより自律神経のか緊張が隠岐、イライラや怒りっぽいなどの精神症状が見られるときに選択する。患者は両側の胸脇苦満が強く認められることが多い。
防風通聖散1《宣明論》:
▶ 当帰1.2-1.5;芍薬1.2-1.5;川芎1.2-1.5;山梔子1.2-1.5;連翹1.2-1.5;生姜0.3-0.5(ヒネショウガを使用する場合1.2-1.5);
・・・肥満を主訴に便秘がある場合に選択する。患者は太鼓腹がみられることが多く、便秘の解消で肥満が改善することがある。
加味逍遙散《女科撮要》:
▶ 当帰3;芍薬3;白朮3(蒼朮も可);茯苓3;柴胡3;牡丹皮2;山梔子2;甘草1.5-2;生姜1;薄荷葉1
・・・月経前後のイライラや気分の変調が多く、便秘気味のときに選択する。大黄を含まないため、通常の下剤で腹痛を訴える女性に使用してみるとよい。
<各方剤の解説>
▢ 麻子仁丸(126)
・便秘の第一選択薬。
・コロコロ便に有効であり、高齢者に使えるケースが多い(うるおいが足りないときは潤腸湯を使用)。
・油成分が多い(種子である麻子仁・杏仁・枳実)のため硬便が「スルッと出る」と感じられる。
・大黄の含有量が4g/日と最も多い(大黄甘草湯と同じ)。
・甘草を含まないため、長期投与が可能。効果不十分な場合、ほかの下剤と併用しやすい。
▢ 大黄甘草湯
・便秘症の基本方剤であるが、難治性の便秘には効果が弱い。
・甘草を含むため、多剤併用時に注意。
・「大正漢方胃腸薬」はこの方剤である。
・実際には油を含む生薬(麻子仁、杏仁、桃仁)や腸を潤す生薬(芒硝)等を含む漢方薬得見合わせる方が効果が高く、コロコロ便の場合、売るイオをつける調胃承気湯(74)や麻子仁丸(126)でないと快便は得られないことが多い。
▢ 調胃承気湯(74)
・大黄甘草湯+芒硝(塩類下剤、腸を潤す効果)
・「承気」とは「気を巡らす」という意味で、単なるdrains downward効果だけではなく、消化管運動を改善することで向精神作用も示す。
・効果の強さは、大承気湯(133)>桃核承気湯(61)>調胃承気湯(74)>大黄甘草湯。
・成分としては、センノシド+酸化マグネシウムとほぼ同じ。
▢ 大承気湯(133)
・瀉下効果をやわらげる甘草を含まないため、瀉下効果は強い。
・同じ腹部膨満でも腸管ガスが多い大建中湯とは違い、便が充実性に溜まっている場合に有効。
・直腸に硬便が貯留し、便が出ない場合も使用してみるとよい。
・昔は「高熱にうなされてうわごとを話すようなときの解熱剤」として使用した。
▢ 桃核承気湯(61)
・調胃承気湯+桃仁・桂皮
・漢方エキス剤の下剤では最も強力な瀉下効果を有するため、服用量の調節が必要。
・高齢者施設の寝たきり症例などは、桃核承気湯でないと反応が得られないことも多い。
・陰部を打撲して尿閉が起きたときにも有効。
・強いPMSに効果がある。
・便秘が解消すると、腰痛・肩こり・頭痛も改善することが多い。
▢ 潤腸湯(51)
・四物湯成分(当帰、地黄)により滋潤作用が強い。
・麻子仁丸で効果不十分の時に選択。
・甘草を含有しているため副作用に注意(麻子仁丸との違い)。
▢ 桂枝加芍薬大黄湯(134)
・便秘だけでなく、下痢にも使用できる。大黄は便秘時には瀉下剤に、下痢時には止痢剤として働く。
・刺激性便秘薬では腹痛が起こり服用できないときに有用。
・裏急後重(しぶり腹)に有効。
▢ 大建中湯(100)
・冷えが原因で起こる腹部症状によい。
・熱湯に溶いて温服する(冷水で服用すると効果半減)。
・便秘にも下痢にも使用できる。
・術後の癒着性イレウスで使用することが多い。
▢ 小建中湯(99)
・桂枝加芍薬湯+膠飴(水飴)
・子どもの便秘の第一選択薬。
・子どもの便秘および下痢の両方に使用可能。
<参考>
・すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)
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