ここでは「好き嫌い」があっても成長・発達に問題なく、元気に過ごせている子どもを対象にしています。
(注意)
★ 苦手な食べ物があり体重が増えない・体も小さいというレベルでは、医療の介入が必要です。かかりつけ医に相談してください。
★ 発達障害系の特性がある子どもは、「感覚過敏」「こだわり」「食感が苦手」「ニオイが苦手」などが前面に出てくることがあり、ここで紹介する方法では解決できないことがあります。主治医にご相談ください。
そもそも、子どもにはなぜ“好き嫌い“があるのでしょうか?
実はこれ、“生きるための本能”で説明できてしまうんです。
ヒトは甘み・うま味・塩辛い味は脳が本能的に「食べられるもの・おいしいもの」と認識し、苦みと酸味(すっぱい)は「食べると危険なもの(毒・腐敗物)」と認識します。
2歳児の50%が偏食とされていますが、これは異常ではなく“本能“なんですね。発達段階における“自己防衛行動”と言い換えることもできます。
すると、「この食べ物は危険ではない」ことがわかると口にするようになるはず。つまり、食べる以前に“その食べ物に慣れさせる”ことが大切になります。聴覚・視覚・嗅覚に訴えて興味を持たせる工夫をしましょう。
初めて出会う食材を食べるまでには、次の段階を踏むとされています;
① 知る → ② 興味を持つ → ③ 触れる → ④ 食べる
このステップを上手に誘導してあげましょう。
例えば、
・一緒に買い物をして、苦手な食材を購入する際に子どもにどれがよいか選ばせる。
・買った食材を見て・触って・ニオイを嗅いでみる。
・その食材を絵に描いてみる。
・(可能ならば)料理を手伝ってもらう。
などなど。
ところが現実に、あの手この手の調理法で苦手な食材を食卓に出しても、
拒否られ続けるとお母さんも心が折れそうになります。
しかしここで諦めてはいけません。
研究によると、調理を工夫して食べさせる試みは、5回以内であきらめてはいけない、10~20回出し続けると成功率が上がると報告されています(中には30-50回と紹介している専門家も)。
つまり、「この食べ物は安全だよ」と親が保証してあげることと、
「これは食べるものだよ」と慣れさせることを諦めないで、
忍耐強くその食材を食卓に出し続けるのです。
ここで注意すべきは調理法です。
その食材の形や味がわからないように調理しがちですが、実はそれはNGです。
苦手意識を克服するためには、直球勝負がベスト。
また、調理法に関する注意点として、実際に食べさせる際に「食べやすいかどうか?」という視点も必要です。
スプーンやフォークですくいやすいか?とか、
子どもによっては味ではなく調理法(バラバラになって食べにくい)が苦手なポイントかも。
さらに、食感(例:固い食べ物、ヌルッとした食べ物、パサパサした食べ物)が嫌いな場合もあるかもしれません。
それから、苦手な“食材の価値を下げるような行為“は避けましょう。
ありがちな“ご褒美形式“(これを食べたら好きなものを食べていいよ)は、苦手な食材の価値を下げるイメージを植え付けてしまう行為でありNG。
子どもの偏食に関する親の会話を子どもに聞かせると“自分は〇〇がキライ”というイメージを植え付けてしまい、これもNG。
以上をまとめると、
・その食材に慣れさせる。
・子どもが主役(“食べさせる“ではなく“自分で食べる“)の食卓を作る。
がポイントでしょうか。
次に、YouTubeで見つけた、子どもに関わる様々な職業(保育士・助産師・栄養士・モンテッソーリ教師など)の方々が提案する「好き嫌い・偏食克服作戦」の具体例を紹介します。
<苦手な食材克服作戦のいろいろ>
▶ 選択ボード作戦
・調理法を書き並べたボードを用意し、子どもに選ばせると興味が湧いて食べる確率アップ。
・こども用のエプロンを用意し、調理(無理な場合は配膳でも可)に参加させると興味が湧いて食べてくれる確率アップ。
▶ ささくれ作戦
・食材を指先のささくれより小さくカットし、それを1個食べられたらほめましょう。これを繰り返すと、たとえ微量でも子どもに自信がつきます。子どもがその気になったら少しずつ増やしていってください。
★ 「一口だけ食べて」は専門家の中でも賛否両論
・ハードルが高いのでNGという意見と、繰り返して安全であることを保障するために必要という意見が。
<食卓に着かない・自分で食べない・途中で飽きてしまう>
▶ 食券作戦
・その子用の特別な食券を作りお店屋さんごっこを演出する方法。
▶ お手伝い作戦
・ちょっとしたお手伝い(箸を並べる、ソース・ドレッシングを置く)をさせて参加させると俄然興味が湧きます。
▶ くじ引き作戦
・自分で食べようとしない子ども(食べさせて~)対策
・食べ物の絵や名前を書いた紙を箱に入れ、くじを引かせると「自分で選んだ」感が生じて食べてくれる確率アップ、子どもが使う食器を一緒に買いに行き選んでもらうだけでも効果あり。
▶ どんぶり作戦
・食事の途中で飽きてしまう子どもに。
・残りのご飯を別の器(どんぶり)に移し替えてまとめてみてください。器を替えることで気持ちがリセットされ食事に対する集中力が戻ります。
<スプーン・フォークがうまく使えない>
・スプーン、フォーク、2cm角にカットしたスポンジを用意し、親子で皿から皿へ運ぶ遊びをして、楽しみながら練習すると苦手を克服できます。
・ていねいに運ぶとか、はやく運ぶとか、ルールを変えてみると盛り上がります。
<参考>
▢ 「ハロー!ちびっこモンスター」(NHK、てぃ先生)
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