じんま疹には西洋医学の抗アレルギー薬が有効です。

効きが悪い場合は、
① 他の抗アレルギー薬に変更する。
② 他の抗アレルギー薬を追加する。
③ 短期間、ステロイド薬を使用する(皮膚科専門医)。
等の方法があります。

私は①②でも解決しない場合、漢方薬を提案しています。
有効な漢方薬が見つかると、
それを内服し続けることにより体質改善が期待できるので、
すべての薬を休薬できる可能性があるのが漢方薬のメリットです。


漢方医学では西洋医学のように「じんましん → 抗アレルギー薬」という単純な公式ではなく、
患者さんの体質・体調により複数の方剤を使い分けます。

いろいろ調べた結果、谷口聖明先生の解説がわかりやすいので引用・紹介します。
まずは私が好きな“陰陽虚実グラフ”を提示します;

スクリーンショット 2025-02-16 7.26.15

陰陽虚実の意味するところは、グラフの文言を参考にしてください。
3つの方剤がありますが、すべて実証&陽証のため、これだけでは使い分けが難しい。

次に、「発症後どのくらい時間が経過しているか」による使い分けを提示します。

スクリーンショット 2025-02-16 7.26.54

こちらは単純でわかりやすい。

(急性期)葛根湯(1)
(亜急性期)十味敗毒湯(6)
(慢性期)大柴胡湯(8)

なぜこうなるのか?
病気の経過の起承転結を漢方では「六病位」で表現します。
上表の右端の項目ですね。
これは病気の始まりは体表が侵され、進行すると体内が侵されるというイメージです。

その順番は、
太陽病 → 少陽病 → 陽明病 → 少陰病 → 太陰病 → 厥陰病
ですが、じんましんに使う方剤は太陽病・少陽病期のもの。
イラストを提示します。

スクリーンショット 2025-02-16 7.26.34

つまり、漢方医学的には、

太陽病期 → 葛根湯(1)
表的少陽病期 → 十味敗毒湯(6)
裏的少陽病期 → 大柴胡湯(8)

となります。
少陽病をさらに細かく“表的”と“裏的”に分けているのが興味深いですね。

私は「皮膚科で抗アレルギー薬治療しているけどよくならないじんましん」の相談を受けると、
漢方薬を提案し、希望があれば処方しています。
抗アレルギー薬併用、OKです。

急性期には葛根湯、
亜急性期には十味敗毒湯、
慢性期には大柴胡湯。

有効であれば、抗アレルギー薬を減量・中止し、
いずれ漢方薬も減量・中止していきます。



<参考>
じんましんの漢方(その2
1剤で治まらないときの併用療法の説明です。

<参考ブログ>
(2023.04.27)陰陽・虚実・寒熱で使い分けるじんま疹漢方