▢ ポイント
※ 効果判定は3ヶ月が目安;
【男性】
・荊芥連翹湯(軽症では十味敗毒湯)を炎症が治まるまで使用
・ニキビ瘢痕には柴苓湯へ変更あるいは併用(半年内服すると赤みが目立たなくなる)
(軽症:赤ニキビ) 十味敗毒湯 → (十味敗毒湯+)柴苓湯
(中等症:+しこり)荊芥連翹湯 → (荊芥連翹湯+)柴苓湯
(重症:ボコボコ) 荊芥連翹湯 + 柴苓湯
【女性】
・桂枝茯苓丸加薏苡仁をベースに
・赤ニキビ・嚢腫が目立つ場合は荊芥連翹湯(軽症では十味敗毒湯)併用
・炎症が治まったら柴苓湯へ変更(半年内服すると赤みが目立たなくなる)
(軽症) 桂枝茯苓丸加薏苡仁(+十味敗毒湯) → 柴苓湯
(中等症)桂枝茯苓丸加薏苡仁+荊芥連翹湯 → 荊芥連翹湯を柴苓湯へ変更
(重症) 桂枝茯苓丸加薏苡仁+荊芥連翹湯(あるいは荊芥連翹湯+柴苓湯)
▢ ニキビ(痤瘡)の漢方治療の基本
▶ 「清熱剤」と「駆於血剤」の組み合わせが基本
(清熱剤)十味敗毒湯(6)、荊芥連翹湯(50)、清上防風湯(58)、黄連解毒湯(15)
(駆於血剤)当帰芍薬散(23)、桂枝茯苓丸(25)・桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)、加味逍遥散(24)桃核承気湯(61)
▶ 炎症が強い場合は2剤を併用し、炎症が落ちついたら駆於血剤のみにする
→ 再発を抑え、痤瘡瘢痕の治療目的で継続する。
▶ 痤瘡瘢痕が懸念される場合は、炎症が落ちついたら駆於血剤と柴苓湯(114)の併用を継続する
→ 再発を抑え、痤瘡瘢痕の治療を強力に行う。
※ 柴苓湯はもともと、ケロイドや瘢痕に用いる漢方薬で、むくみ(浮腫)を取る作用がある。
▶ 十味敗毒湯(6)と荊芥連翹湯(50)の使い分け
(キーワード)
✓ 荊芥連翹湯:炎症の場が深い(嚢腫)、慢性化膿性炎症、肉芽腫性炎症
✓ 十味敗毒湯:炎症の場が浅い(紅色丘疹)、急性化膿性炎症
・荊芥連翹湯は湿潤を伴う紅斑や膿疱を認め、炎症の場が深くて慢性化した例(嚢腫様痤瘡)に効果を発揮する。
・十味敗毒湯を開始後、紅色丘疹はまあまあでも、嚢腫が新たにできるようなら荊芥連翹湯への変更を検討する。
▶ 柴苓湯(114)の適応と使い方
(適応例)
・ニキビ跡(痤瘡瘢痕)が気になる方
・男性の重症例
(開始時期)
・上記患者さんには最初から併用を検討
・荊芥連翹湯による炎症治療が成功した例には、まず荊芥連翹湯減量を試み、再燃がないようなら柴苓湯へ切り替える(効果判定は3ヶ月程度で)。
▶ 漢方薬の効果判定・投与期間・減薬方法
・効果判定は開始後3ヶ月が基本
・桂枝茯苓丸加薏苡仁は女性で月経前の悪化が疑われる例には基本薬(「ない」と本人が思い込んでいてもあるかも)として連日内服(月経3周期後に効果判定)、ただし30代後半になると効きにくくなる傾向あり。
・ニキビ痕(痤瘡瘢痕)対策の柴苓湯(114)の開始時期:炎症が十分治まってきた時点で清熱剤を減量し再燃がなければ変更するが、すでにできている例や重症例には最初から併用する。
▢ 治療例
◆ 女性のニキビの治療例(中等症)
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)をベースに外用療法併用
・炎症が強い場合は荊芥連翹湯を併用し炎症を取る
・炎症が落ちついてきたらニキビ痕改善目的で荊芥連翹湯を柴苓湯(114)へ変更
◆ 男性のニキビの治療例(中等症以上)
・膿腫・嚢胞は切開排膿+外用抗菌薬・・・しかし再燃・反復例が多い
・荊芥連翹湯を併用すると再燃を予防可能、3ヶ月くらいで炎症が改善傾向、1年で軽快
・ニキビ痕が目立つ場合は柴苓湯をはじめから併用
<方剤解説>
■ 荊芥連翹湯(50)
・効果:湿潤を伴う紅斑や膿疱を認め、炎症の場が深くて慢性化した例に効果を発揮する。「化膿体質の改善」に役立つ・・・抗炎症、排膿作用のある生薬に血流改善の生薬が加わる。
・機序:
✓ 痤瘡に関与する好中球由来の活性酵素を抑制する。
✓ アクネ菌の増殖を抑制する(黄連、黄柏)
✓ アクネ菌に対するリパーゼ作用を有する(黄連)
・構成:17の生薬からなる複雑な構成・・・四物湯+黄連解毒湯+(薄荷・白芷・防風・連翹・甘草・桔梗・枳実・荊芥・柴胡)
✓ 熱を冷ます・肝を整える ← 柴胡、薄荷
✓ 熱を冷ます ← 黄連、黄岑、山梔子、黄柏、連翹
✓ かゆみ・痛み止め ← 白芷、防風、荊芥、川芎
✓ 排膿 ← 連翹、桔梗、枳実、芍薬、川芎
✓ 血を補い潤す ← 川芎、芍薬、地黄、当帰
・保険適応:ちくのう症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
<参考>
・形成外科医が行う漢方治療(毛山剛先生、2025.3.1)
・「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」における漢方薬の位置づけ
注)C1:選択枝の一つとして推奨する、C2:行ってもよいが推奨はしない
Q. 炎症性皮疹に漢方は有効か?
(C1)荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯
(C2)黄連解毒湯、温清飲、温経湯、桂枝茯苓丸
Q. 面疱に漢方は有効か?
(C1)荊芥連翹湯
(C2)黄連解毒湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸
※ 効果判定は3ヶ月が目安;
【男性】
・荊芥連翹湯(軽症では十味敗毒湯)を炎症が治まるまで使用
・ニキビ瘢痕には柴苓湯へ変更あるいは併用(半年内服すると赤みが目立たなくなる)
(軽症:赤ニキビ) 十味敗毒湯 → (十味敗毒湯+)柴苓湯
(中等症:+しこり)荊芥連翹湯 → (荊芥連翹湯+)柴苓湯
(重症:ボコボコ) 荊芥連翹湯 + 柴苓湯
【女性】
・桂枝茯苓丸加薏苡仁をベースに
・赤ニキビ・嚢腫が目立つ場合は荊芥連翹湯(軽症では十味敗毒湯)併用
・炎症が治まったら柴苓湯へ変更(半年内服すると赤みが目立たなくなる)
(軽症) 桂枝茯苓丸加薏苡仁(+十味敗毒湯) → 柴苓湯
(中等症)桂枝茯苓丸加薏苡仁+荊芥連翹湯 → 荊芥連翹湯を柴苓湯へ変更
(重症) 桂枝茯苓丸加薏苡仁+荊芥連翹湯(あるいは荊芥連翹湯+柴苓湯)
▢ ニキビ(痤瘡)の漢方治療の基本
▶ 「清熱剤」と「駆於血剤」の組み合わせが基本
(清熱剤)十味敗毒湯(6)、荊芥連翹湯(50)、清上防風湯(58)、黄連解毒湯(15)
(駆於血剤)当帰芍薬散(23)、桂枝茯苓丸(25)・桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)、加味逍遥散(24)桃核承気湯(61)
▶ 炎症が強い場合は2剤を併用し、炎症が落ちついたら駆於血剤のみにする
→ 再発を抑え、痤瘡瘢痕の治療目的で継続する。
▶ 痤瘡瘢痕が懸念される場合は、炎症が落ちついたら駆於血剤と柴苓湯(114)の併用を継続する
→ 再発を抑え、痤瘡瘢痕の治療を強力に行う。
※ 柴苓湯はもともと、ケロイドや瘢痕に用いる漢方薬で、むくみ(浮腫)を取る作用がある。
▶ 十味敗毒湯(6)と荊芥連翹湯(50)の使い分け
(キーワード)
✓ 荊芥連翹湯:炎症の場が深い(嚢腫)、慢性化膿性炎症、肉芽腫性炎症
✓ 十味敗毒湯:炎症の場が浅い(紅色丘疹)、急性化膿性炎症
・荊芥連翹湯は湿潤を伴う紅斑や膿疱を認め、炎症の場が深くて慢性化した例(嚢腫様痤瘡)に効果を発揮する。
・十味敗毒湯を開始後、紅色丘疹はまあまあでも、嚢腫が新たにできるようなら荊芥連翹湯への変更を検討する。
▶ 柴苓湯(114)の適応と使い方
(適応例)
・ニキビ跡(痤瘡瘢痕)が気になる方
・男性の重症例
(開始時期)
・上記患者さんには最初から併用を検討
・荊芥連翹湯による炎症治療が成功した例には、まず荊芥連翹湯減量を試み、再燃がないようなら柴苓湯へ切り替える(効果判定は3ヶ月程度で)。
▶ 漢方薬の効果判定・投与期間・減薬方法
・効果判定は開始後3ヶ月が基本
・桂枝茯苓丸加薏苡仁は女性で月経前の悪化が疑われる例には基本薬(「ない」と本人が思い込んでいてもあるかも)として連日内服(月経3周期後に効果判定)、ただし30代後半になると効きにくくなる傾向あり。
・ニキビ痕(痤瘡瘢痕)対策の柴苓湯(114)の開始時期:炎症が十分治まってきた時点で清熱剤を減量し再燃がなければ変更するが、すでにできている例や重症例には最初から併用する。
▢ 治療例
◆ 女性のニキビの治療例(中等症)
・桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)をベースに外用療法併用
・炎症が強い場合は荊芥連翹湯を併用し炎症を取る
・炎症が落ちついてきたらニキビ痕改善目的で荊芥連翹湯を柴苓湯(114)へ変更
◆ 男性のニキビの治療例(中等症以上)
・膿腫・嚢胞は切開排膿+外用抗菌薬・・・しかし再燃・反復例が多い
・荊芥連翹湯を併用すると再燃を予防可能、3ヶ月くらいで炎症が改善傾向、1年で軽快
・ニキビ痕が目立つ場合は柴苓湯をはじめから併用
<方剤解説>
■ 荊芥連翹湯(50)
・効果:湿潤を伴う紅斑や膿疱を認め、炎症の場が深くて慢性化した例に効果を発揮する。「化膿体質の改善」に役立つ・・・抗炎症、排膿作用のある生薬に血流改善の生薬が加わる。
・機序:
✓ 痤瘡に関与する好中球由来の活性酵素を抑制する。
✓ アクネ菌の増殖を抑制する(黄連、黄柏)
✓ アクネ菌に対するリパーゼ作用を有する(黄連)
・構成:17の生薬からなる複雑な構成・・・四物湯+黄連解毒湯+(薄荷・白芷・防風・連翹・甘草・桔梗・枳実・荊芥・柴胡)
✓ 熱を冷ます・肝を整える ← 柴胡、薄荷
✓ 熱を冷ます ← 黄連、黄岑、山梔子、黄柏、連翹
✓ かゆみ・痛み止め ← 白芷、防風、荊芥、川芎
✓ 排膿 ← 連翹、桔梗、枳実、芍薬、川芎
✓ 血を補い潤す ← 川芎、芍薬、地黄、当帰
・保険適応:ちくのう症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
<参考>
・形成外科医が行う漢方治療(毛山剛先生、2025.3.1)
・「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」における漢方薬の位置づけ
注)C1:選択枝の一つとして推奨する、C2:行ってもよいが推奨はしない
Q. 炎症性皮疹に漢方は有効か?
(C1)荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯
(C2)黄連解毒湯、温清飲、温経湯、桂枝茯苓丸
Q. 面疱に漢方は有効か?
(C1)荊芥連翹湯
(C2)黄連解毒湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸
コメント