よかれと思ってやったことが逆効果、なNG集。
NGが存在するということは、“正しい食生活”が存在するということ。

では“正しい食生活”って何?

・・・偏食外来の書籍に答えが書いてありました。
子どもが楽しく食事するために必要なことは、
・適切な生活リズム
・適切な食事環境
・適切な保護者のスタンス
・適切な親子の役割分担
などが揃って初めて実現できることなんですね。

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食べる以前の生活・環境整備」が大切です。

・生活リズムを整える
 ✓ 十分な睡眠は取れているか?
 ✓ 便秘はないか?
・食卓の設定(椅子など)は適切か?
・食事環境は適切か?
 ✓ 気が散るものがたくさんある?
・食卓でのしつけや強制圧がないか?
 → ストレス下、交感神経緊張状態では食欲が低下する

また、家族が楽しく健康的な食事をするためには、
食卓での親子の役割分担」が大切です。

● 保護者の役割は「いつ」「どこで」「なにを」食べるか決めること

(いつ) → 規則正しい食事とおやつを提供する
⭕️ 2歳まで:3食+軽食2回(朝食・午前軽食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 2歳以降:3食+軽食1回(朝食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 食事間隔を2.5〜3時間開ける
⭕️ 1回の食事時間を15〜30分
❌️ 1日3食
❌️ 食事と食事の間に欲しがったら与える(ダラダラ食べ)
❌️ 1回の食事時間が40分以上

(どこで) → 家族が食べる食卓で一緒に
⭕️ 座位保持から独步まで(6ヶ月〜1歳):ハイチェア
⭕️ 小走りし始めたら(1歳半〜2歳以降):ステップチェア
⭕️ 座卓の場合は豆椅子
 ✓ 1〜2歳:背もたれつき
 ✓ 3歳以降:円座(硬めの正座用クッション)
⭕️ 外出時は親が決めた場所
❌️ 親が食事の途中に離席する
 ✓ 離席した子どもの相手をするため
 ✓ 食卓にないものを取りに何度も立ち上がる
❌️ テレビやビデオ、YouTube、スマホ、タブレットを見せる
❌️ 親が食事中に食卓で授乳する

(なにを)
⭕️ 栄養バランスの取れたメニューを決めて出す
❌️ 何を食べたいか子どもに聞く
❌️ 出すつもりではなかった食べ物を出す
❌️ 食べる順番を決めて守らせる
❌️ 食べ物をごほうびにする

● 子どもの役割は「食べるかどうか」「どのくらい食べるか」を決めること
〜そのためには保護者は子どもを信頼する必要がある、すると・・・
⭕️ 食べる・食べない・食べ残すを決める
⭕️ 好きなものだけ食べる、嫌いなものは食べない
⭕️ その食卓のメニューのおかわりをする
❌️ その食卓のメニュー以外のものを要求する

● 上記の役割分担の境界線を越えると、摂食の問題が発生する
(例)子どもが何をどれだけ食べるかを保護者が決める・コントロールする
(例)子どもに献立を決めさせる
● 上記の役割分担を守ると子どもたちは食べることを楽しいと感じるようになる


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対応に悩んだら、どうすべきか迷ったら、
上記の基本に立ち戻って組み立てるとよさそうです。


▶ 「子ども主体」はNG
・子どもの要求通りに食事を用意することを続ける(奴隷化)と、保護者は疲れていく。
・最終的に食べる・食べないは子どもが決めること、しかし食事のメニュー決めなどの主導権は保護者が握るべきである。 
・食べられるものだけを食卓に並べ続けると、子どもの食は広がらない。
・子どもが食べられないものでも、同じ食卓で保護者が好きなものを美味しそうに食べているのを見ていると、子どもはその食べ物に興味を持ち前向きになれる。

▶ 「食べてみたら?」という圧はNG
・毎食のように苦手な食べ物を「食べてみたら?」と誘うと子どもは疲れてくる。
・「言われて食べる」より「自分から食べる」ことを目標にすべし。

▶ 連日同じものを出すのはNG
・「工夫をしたら苦手なものを食べてくれた!」とうれしくても、それを連日出すのはNG。
・同じメニューが何日も続くと、さすがに食べる意欲は落ちてくる。
・同じものを出す場合、最短でも3日、できれば1週間くらいはあけるべし。
・飽きてしまって食べなくなったものでも、1か月くらいあけると秋が解消されてまた食べるようになる。

▶ 子どもの口に食べ物を運ぶことはNG
・保護者はスプーンで「はい、ア〜ン」と食べ物を子どもの口元に運びがち。
・よかれと思ってやる対応だが、すでに自分で食べられる年齢の子であれば、この対応はお勧めできない。
・これが集感づくと保育園など家庭以外の場面でも自分から食べなくなることがある。
・「口の近くにあるから食べる」ではなく「自分でどんな物か認識した上で食べる」方が食が広がりやすい。

▶ 後出し(食べなかったら好きなものが出てくる)はNG
・食卓に出したものを食べなかったら、別の食べ物を出しても良いか?
・「何を出すか決めるのは保護者の役割」だから「これは嫌だからアレが食べたい」はNG。
・もし子どもの言いなりになり出してしまうと、子どもは「ごねれば自分の好きなものが出てくる」ことを学習する。
・これを繰り返すと、ばっかり食べ → 食べ飽きる → 品が図がさらに減る → 栄養失調、につながる



<参考書籍>
食べない子が変わる魔法の言葉(山口健太著、辰巳出版、2020年発行) 
子どもの偏食外来(大山牧子著、診断と治療社、2023年発行)
子どもの偏食Q&A(大山牧子著、中外医学社、2024年発行)
子どもの偏食相談スキルアップ(大山牧子著、診断と治療社、2024年発行)
発達障害児の偏食改善マニュアル(山根希代子監修、藤井葉子著/編集、中央法規出版、2019年発行)

<参考サイト>
きゅうけん(月刊給食指導研究資料)
・(動画)食べない子ども・偏食への対処法(大山牧子)
・(動画)小児摂食障害(食物アレルギーを持つ子どもの場合を含む)(大山牧子)
発達障害の方の偏食・摂食のご相談(藤井葉子)