よくある偏食相談例と対応方法を提示します。
ポイントは、
「食べられるものから拡げる>食べられないものに慣れる」
です。
食べられる食材・料理の特徴(形・味・食感・温感)を捉え、
それに似せるよう苦手な食材の調理方法を工夫し、
少しずつ、少しずつ、進めましょう。
半年〜数年先に達成できればよい、くらいのスタンスで。
それから「食べる以前の生活・環境整備」も大切です。
・十分な睡眠は取れているか?
・便秘はないか?
・食卓の設定(椅子など)は適切か?
・食事環境(気が散るものがたくさんある?)は適切か?
・しつけや強制圧がないか?
等々、心当たりがあれば改善してください。
そして、これは偏食外来の書籍を読んで、
家族が楽しく健康的な食事をするためには、
「食卓での親子の役割分担」
という視点を持つとよいことを知り、目からうろこが落ちました。
具体的には以下の通り(Satterの「摂食における役割分担」より);
● 保護者の役割は「いつ」「どこで」「なにを」食べるか決めること
(いつ) → 規則正しい食事とおやつを提供する
⭕️ 2歳まで:3食+軽食2回(朝食・午前軽食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 2歳以降:3食+軽食1回(朝食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 食事間隔を2.5〜3時間開ける
⭕️ 1回の食事時間を15〜30分
❌️ 1日3食
❌️ 食事と食事の間に欲しがったら与える(ダラダラ食べ)
❌️ 1回の食事時間が40分以上
(どこで) → 家族が食べる食卓で一緒に
⭕️ 座位保持から独步まで(6ヶ月〜1歳):ハイチェア
⭕️ 小走りし始めたら(1歳半〜2歳以降):ステップチェア
⭕️ 座卓の場合は豆椅子
✓ 1〜2歳:背もたれつき
✓ 3歳以降:円座(硬めの正座用クッション)
⭕️ 外出時は親が決めた場所
❌️ 親が食事の途中に離席する
✓ 離席した子どもの相手をするため
✓ 食卓にないものを取りに何度も立ち上がる
❌️ テレビやビデオ、YouTube、スマホ、タブレットを見せる
❌️ 親が食事中に食卓で授乳する
(なにを)
⭕️ 栄養バランスの取れたメニューを決めて出す
❌️ 何を食べたいか子どもに聞く
❌️ 出すつもりではなかった食べ物を出す
❌️ 食べる順番を決めて守らせる
❌️ 食べ物をごほうびにする
● 子どもの役割は「食べるかどうか」「どのくらい食べるか」を決めること
〜そのためには保護者は子どもを信頼する必要がある、すると・・・
⭕️ 食べる・食べない・食べ残すを決める
⭕️ 好きなものだけ食べる、嫌いなものは食べない
⭕️ その食卓のメニューのおかわりをする
❌️ その食卓のメニュー以外のものを要求する
● 上記の役割分担の境界線を越えると、摂食の問題が発生する
(例)子どもが何をどれだけ食べるかを保護者が決める・コントロールする
(例)子どもに献立を決めさせる
● 上記の役割分担を守ると子どもたちは食べることを楽しいと感じるようになる
では、具体的な相談を例示します。
▶ 離乳食に興味を示さない
● 対応
・発達段階にあった椅子を用意する(歩き始めるまではローチェア)。
・保護者が一緒に食事をしてお手本を示す。
・食べさせない、食べることを強制しない。
・子どもが興味を示したら、その食べ物を自分から食べるよう支援する、手づかみでもOK。
・飽きたら次の食べ物を出す。
・飽きていやがる前に椅子から下ろす。
● ポイント
・「乳児型食思不振症」タイプで、哺乳時期から始まることが多い。
・哺乳歴を聞くと「母乳でもミルクでもチビチビ飲みで、眠いときに意識して飲ませていた」というのが典型例(覚醒レベルの調節不全)。
・このタイプの子どもは、起きている限り動き回り、遊びが大好きで交感神経優位。
・座って食べるという副交感神経優位にする状況を退屈と感じ、遊び食べがなかなか治らない。
▶ 離乳食が思うように進まない、食事中も母乳をせがむ子ども
・生後6ヶ月〜1歳までは成長曲線に沿って健康であれば、
食べる量が少なくても気にせず、欲しがるままに母乳を与えて良い。
・1歳以降になっても食べる量が少なく、すぐに授乳をせがむ場合の対処法は以下の通り:
● 対応
・空腹過ぎるときは食卓に座らないことが多いので、
授乳時間と食事時間を調整し、
授乳から1〜2時間後に食事時間を設定する。
・1歳以降は嘱託で子どもが授乳をせがんでも、
「ママは今、食べているよう」「ママが食べ終わってからね」
と言って相手にしない。
・1歳以降は「授乳は寝室で」などと決めて、昼間はできるだけその場所に行かないようにする。
・朝起きてすぐ、昼寝前、夜寝る前はたっぷり授乳、また、疲れた時は安心のための授乳を。
● ポイント
・食事量が少ないことを心配して母乳の量を減らしたりやめたりしても、
食べるようにはならないため、母乳はそのまま続けるべし。
・食卓に座ることがストレスになっていると、子どもは授乳をせがむ傾向がある。
・空腹すぎるとき、眠いとき、体調が悪いときは食卓に座っているのは難しいので、
無理に食べさせずに寝かせる。
▶ ベビーフードばかり食べる
・ベビーフードばかり食べて、家族の食べるものに興味を示さない。
● 対応
・家族と一緒に食卓を囲み、家族が一緒に楽しそうに美味しそうに食べる様子を見せる。
(もしかしたら食べさせることに注力しすぎて保護者は食べていないかもしれない)
・すると子どもは興味を示して自分から手を出してくるかもしれない。
● ポイント
・ベビーフード自体は悪くない。
・ただ、家族と同じものを食べていないという点で、食が広がりにくいデメリットがある。
▶ 牛乳を飲めない(牛乳アレルギーと乳糖不耐症を除く)
● 対応
・好きな感覚を手がかりに少しずつ飲めるよう工夫していく。
・ 牛乳と親和性のある飲み物(お茶、飲むヨーグルト、カルピス、ココアなど)はキーアイテム。
・上記のうち今、子どもが飲めるものに、牛乳を少しだけ追加して飲ませることから始める。飲めたら牛乳を入れる量を少しずつ増やし、徐々に100%の牛乳に近づけていく。急ぐと失敗する。
● ポイント(こちらも参考に)
・ 上記の方法で牛乳をある程度飲めるようになったら、100%牛乳にトライする前に、「牛乳パックから牛乳をコップに注ぐ様子を子どもに見せる」ことが重要。これをやらないと、コップに入った牛乳は飲めるけど、パックから出てきた液体は別のものだから飲めない、という事態になりかねません。
▶「吸い食べ」のクセがある
・決まったものしか食べない、チューチュー吸うような食べ方をする子ども。
・食事の形態が広がりにくい。
● 対応
・スプーンで与えることを嫌がらず、食べ物が口に入った後に唇を閉じて横に引き延ばす動きがあれば、以下のことを試す。
✓ 食事の形態を変えるときは、好みの味のペーストの中にやわらかいつぶがほんの少し混じるようにする。
✓ ペーストで食べていた量より少な目のひとくち量を、スプーンの先端で下唇にのせるように置く。
✓ 「〇〇のつぶつぶさんだよ、モグモグね」などと言いながら、子どもの表情を見る。
✓ 子どもが嫌がらず上顎と舌でモグモグし始めたら大丈夫、少しずつ粒の量を増やしていく。
・スプーンで与えられることを嫌がり、かつ走れるようになっても吸い食べをするようなら、好きなフレーバーの下腿ものを噛む練習を保護者が一緒にしながら、前歯で噛んで歯ぐきに持っていく遊びを提案する。
● ポイント
・スプーンで粒のあるものを与え始めた頃に舌を左右に動かして食べ物を左右の歯ぐきに持っていって噛むことを学んでいない可能性がある。
・椅子とテーブルのセッティングが適切でないことがある。
・いろいろ試しても改善がないなら、口腔機能を評価できる歯科医の受診を提案する。
▶ 野菜嫌い
・就学前〜小学校低学年までは「野菜は体にいいから食べなさい」を理解して食べることは難しい。
・食物線維が取れないことを心配している保護者には、キノコ類、海藻(ワカメ、海苔)などを提案する。
・「苦手な野菜を食べさせる」から「野菜と友だちになる」という発想への転換が必要。
● 対応
・親子の役割分担を再確認する。
✓ 食べる・食べないは子どもが決める → 食卓で強制することをやめる。
✓ 食卓で大人が美味しそうに食べる要する見せる。
▶ 野菜嫌い&フライドポテトが好き
〜毎日の食事が数種類に固定化され、肉・魚・野菜類をほとんど食べない幼児
● 対応
・まず保護者が楽しく食事し、それを子どもに見せること。
・ファストフードのフライドポテトが食べられることに注目し、そこから食を拡げていく。
・食べられない食材の「ささみ」「ほうれん草」をフライドポテト の形状・味に近づけて調理。それぞれ細長い形に切って小麦粉をつけて揚げ、濃いめの塩味に仕立てる。
・空腹は最高の調味料・・・ 間食を減らしてお腹を空かせたり、好きなものを出し過ぎないよう食事全体の量の調整を並行して行う。
・食べてくれたら、以下のことを少しずつ進めて食を拡げる;
✓ 形を大きくしていく:千切り → 細切り → 短冊切り → → 一口大
✓ 衣の量を減らしていく:最初は多め → 次第に素揚げに近い形へ
✓ 塩味を薄くしていく:少しずつ気づかない程度に
・揚げたものをある程度食べられるようになったら他の調理法にも挑戦;
✓ カリカリ感を減らしていく:揚げたもの → しっかりと硬く焼いたもの
→ 柔らかな食感に焼いたもの → 煮物
・食べられるものが増えてきたら、見た目・形状もアレンジしていく。
・食材に慣れてきたら、「調理を工夫したもの」と「同じ食材を少量、ふつうに料理したもの」を並べて「同じ食べ物なんだよ」を伝える。
● ポイント(こちらも参考に)
・子どもに人気の「フライドポテト」・・・小麦粉をつけて揚げる調理法は比較的子どもが口にしやすい。カリカリした食感が好きな子どもの場合、厚切りより千切りの方がお勧め。
・食を拡げていく際に、見た目・形状はできるだけ変化させないことがコツ。
▶ 手作りのものを食べない(スーパーの惣菜、特定のメーカー・お店の食品は食べる)
● 対応
・手作りコロッケは食べないけど、スーパーの惣菜コロッケは食べられる子の場合、食感の違いがあるなら、惣菜の食感に似せる工夫をする。味の濃さ、温度、油っぽさ・・・を意識して調理する。
・食べられたら徐々に受け入れられる間隔を広げていく。濃い味 → 少しずつ薄味へ。
● ポイント(こちらも参考に)
・大人にとっては同じ食品・料理でも、子どもにとっては「見た目・味・食感・風味」から別物に見えていることがある。特に感覚が過敏な子は、本当に小さな違いも察知する。
・スーパーの惣菜やインスタント食品は、家庭料理より塩味が強く、味が常に一定という特徴がある。子どもは安心して口にすることができる。
・感覚過敏系の子どもには、今の感覚に合うものを提供しながら、少しずつグラデーション状に 食べられるものを拡げていく。
・ 子どもの偏食改善には、
①「見た目」
②「味や食感」
の2つを両立するのが大切で、
「口すらつけてくれない」 → ① がクリアできていない、
「ひとくち食べても、ふたくち目は食べてくれない」 → ① はクリア、② がクリアできていない
と考えて対応する。
▶ ふりかけ類がないとお米が食べられない
● 対応
・ ご飯にかけるふりかけ類の量を大人が調整し、半年〜年単位で少しずつ減らしていく。
・すると少しずつふりかけ以外のおかずに手を伸ばすことが増えるはず。
▶ 鮭フレークは食べられても焼き魚の鮭の切り身は食べられない
● 対応
・少なめの① 鮭フレークと② 焼き鮭の切り身をフレーク状にほぐしたものを用意する。
・① を食べた子どもが「もっと欲しい!」と言い出したときに ② を与えると、口をつける可能性がある。
・② が食べられるようになったら、子どもの目の前で「焼き鮭の切り身をほぐす様子」を見せ、「これとこれが一緒なら切り身も食べられるかもしれない」ことを覚えてもらう。これを繰り返す。
▶ 調理方法が変わると食べられない
● 対応
・調理方法が変わると、それらを同じ食材だと認識できない子どもは少なくない。
(例)フライドポテトとジャガイモは同じもの?
・形が変わる様子や、容器へうつす様子を繰り返し見せて「同じもの」という事実を子どもにインプットする作業が必要。
・いつも食べているものと「同じ」ということがわかれば、それが「安心」につながり、
次第に違う料理法のものでも口をつけられるようになっていく。
<参考>
・「はじめてのずかん たべもの」(高橋書店、2022年発行)
▶ 苦手なものを食卓に出すと怒る
● 対応1:感覚過敏系
・基本的には(食べなくても)苦手なものも食卓に並べた方が食が広がりやすい。
・しかし程度が強いときは、子どもに感覚過敏(ニオイに敏感、など)があるかもしれない。そのような例では「安心できて楽しい食卓」を優先して並べるのを控える。
・対策としては、子どもの好きなものに似ていて、かつ、ニオイの薄いもの・弱いものから食卓に並べていくことも選択枝。
● 対応2:完食圧系
・「食卓に並んでいるものは食べなければいけない」と叱られた経験や、苦手なものを毎食「ひとくち食べてみたら?」と言われた経験がある、つまり嫌な記憶があると拒否することがある。
苦手なものは食べたくない
⇩
食卓に並んでいるものは食べなくてはいけない
⇩
最初から並べないで欲しい
⇩
拒否!
・子どもから離れた場所に苦手な食べ物を置き、食べることを勧めない。
・食卓に並んでいても無理に食べされられないことがわかるとだんだん怒らなくなっていく。
▶ 食材が混ざると食べられない
(例1)焼きそばは食べられないけど、麺・人参・モヤシを単独で焼いたものなら食べられる
(例2)牛丼は食べられないけど、白いご飯と牛肉の煮込みなら食べられる
● 対応
・感覚の問題が多い。
① 視覚:混ざっている状態が(子ども本人には)グロテスクに見えたり、まずそうに見えたり、食材がなんなのかよくわからず手をつけにくかったり。
② 食感や味覚:牛丼の汁でご飯が軟らかく湿った状態が気持ち悪く感じたり。
・好きな感覚からはじめて拡げていく・・・混ざったものを分ける。
・分けた状態で、好きなものは食べるけど、苦手なものを食べないときは、
「苦手なもの“ひとかけら”を好きなものと一緒に食べてみることを提案し、
もし食べられたら「〇〇(苦手なもの)を食べられたね」と認める言葉をかける。
▶ お弁当に何を入れたらいいのか(苦手なものを入れるべきか)わからない
● 対応
・お弁当では食を拡げるよりも、子どもがお弁当を楽しめることを優先すべし。
・お弁当の中身は「好きなもの多めの法則(⇩)」を守らなくてよい、
「好きなもの:ふつう(食べたことがある):嫌い(苦手・はじめて)=3:5:2」
“好きなもの多め”、“チャレンジメニューは少な目”でいこう。
・お弁当はできたてで食べられないので、味・食感・温感・においを再現できないため、感覚が敏感の子には難しい。
・もし苦手メニューも少し入れたいときは、メインの弁当箱と別の小さな箱に入れて持たせるとよい。
・お弁当箱の中で、おかず同士が混ざらないよう注意して詰め、さらに汁漏れがないよう工夫することが大切。一つのお弁当箱ではなく、小さいタッパーにおかずを分けて持たせるのもよい。
・園や学校の先生に根回しをしておく;
✓「おかずが残っていても、無理に食べさせようとしなくて大丈夫です」
✓「家ではひとくち食べてみたら?ではなくペロッとなめてみたら?というと口をつけることが多いので、そのように声かけしていただけると助かります」
▶ 食べられるものが少なく、栄養面が心配
● 対応
・偏食の子どもは炭水化物を好んで食べることが多く、他の栄養素(とくにミネラル、ビタミン)を補うことを考える。
・栄養補助食品やサプリを使用してもよいが、それに頼りすぎないようにする。特定の栄養素だけ摂取できるものより、いろいろなビタミン・ミネラル類が入ったのものがベター。
(例)ゼリーやプロテインばかり飲み続け、噛むものを食べなくなった。
(例)ある栄養素だけを強化したものを毎日摂取すると、その栄養素の過剰摂取になり好ましくない。
・子どもの栄養素が心配なら「食事管理アプリ」を利用する方法もある。中には食事の写真をスマホde撮影するだけでAIが解析してくれるタイプもある。
● ポイント;
・子どもに与える栄養素の優先順位は、
① 炭水化物・脂質・一部のタンパク質:筋肉・骨・血液・内臓などを作り、体の熱やエネルギーになるもの
② タンパク質・ミネラル(カルシウムなど):筋肉や神経の伝達に関わり、骨や歯を作るもの
③ ミネラル・ビタミン:体の調子を整えるもの
▶ なかなか「卒乳」できない
・卒乳の前提は「成長に十分な栄養を固形食から取れていること」。
・卒乳すれば栄養状態が改善するわけではない。食べる技能・スキルを獲得していないと、母乳をやめても食べるようにはならない。
● 対応
・食べる技能・スキルを獲得するためのヒント;
✓ 子どもと大人の仕事を分けて考える:「食べる・食べない・食べる量」は子どもが決める、大人は「いつ、何を、どこで出すか」だけを決める。
✓ 3食と哺乳をセットにしない。哺乳・授乳は食卓以外の場所(寝室など)で行う。
● ポイント
・全体の摂取カロリーに占める、乳汁からの栄養は、1歳で約半分、2歳で約1/4。
▶ 3歳でバナナしか食べない
・栄養評価と発達の問題の有無の確認目的で小児科受診が必要。
● 対応
・発達段階は年齢相当か。
・家庭で食卓での様子を動画撮影してもらう。
✓ 食べることを強制していないか( → ほぼ全例で強制の要素が見られる)
✓ 摂食機能の確認
✓ 本人の表情(他人が食べているものに興味を持っているか)
・一切の強制をやめる。
・子どもが食卓に楽しく座ることから始める。
・食卓での親子の役割分担を徹底する。
・子どもが食べられるもの、自分から喜んで食べるものから、
わずかに色・におい・形を変えたものに移行していく(顕微鏡的変化)
▶ 5歳になっても決まったものしか食べない
● 対応
・まずは状態把握を
✓ 認知機能・発達は年齢相当か
✓ 摂食スキルが年齢相当か
・食べられるもので一番固いものは何か、そこから摂食スキルが未熟かどうかがわかる
(例)唐揚げはそのままかじる、ピザやフランスパンはかじる → 年齢相当
(例)肉はひき肉料理だけ → 1歳過ぎ相当の摂食スキル
● 対策
・子ども自身が納得して、自分から取り組めるような対応を心がける。
・この年齢では「食べなくても食卓に出しましょう」は意味がない。食卓の雰囲気が悪くなるだけ。
・摂食スキルが未熟な場合、好きな味のもので少しずつ硬さのあるものを家族でゲーム的にチャレンジする。
・今食べているもので、好きな色や食感・ニオイがほんの少し違う食品を試す。
・食べられるものが限られる場合、食べ物に顕微鏡的変化(本人が気づかない程度の変化:メーカー、買う店、形など)をつけて食べ飽きないようにしていく。
・身長体重が成長曲線に沿っていても、微量元素欠乏のリスクがあるため小児科でスクリーニング検査を。
● ポイント:
・年齢相当の発達を理解する。
・3〜4歳以降の子どもは食べない理由を言葉で表現し始める。
→ 食卓で親子バトルが発生する。
・質問しない、できそうにない目標を作らないことがポイント。
・人は圧・報酬より、自分の興味・関心に基づいて行動する。
・保護者は子どもの応援団!
・食卓における親子の役割分担を守る。
<参考書籍>
・・子どもの偏食外来(大山牧子著、診断と治療社、2023年発行)
・子どもの偏食Q&A(大山牧子著、中外医学社、2024年発行)
・子どもの偏食相談スキルアップ(大山牧子著、診断と治療社、2025年発行)
・
<参考サイト>
・きゅうけん(月刊給食指導研究資料)
・(動画)食べない子ども・偏食への対処法(大山牧子)
・(動画)小児摂食障害(食物アレルギーを持つ子どもの場合を含む)(大山牧子)
・発達障害の方の偏食・摂食のご相談(藤井葉子)
ポイントは、
「食べられるものから拡げる>食べられないものに慣れる」
です。
食べられる食材・料理の特徴(形・味・食感・温感)を捉え、
それに似せるよう苦手な食材の調理方法を工夫し、
少しずつ、少しずつ、進めましょう。
半年〜数年先に達成できればよい、くらいのスタンスで。
それから「食べる以前の生活・環境整備」も大切です。
・十分な睡眠は取れているか?
・便秘はないか?
・食卓の設定(椅子など)は適切か?
・食事環境(気が散るものがたくさんある?)は適切か?
・しつけや強制圧がないか?
等々、心当たりがあれば改善してください。
そして、これは偏食外来の書籍を読んで、
家族が楽しく健康的な食事をするためには、
「食卓での親子の役割分担」
という視点を持つとよいことを知り、目からうろこが落ちました。
具体的には以下の通り(Satterの「摂食における役割分担」より);
● 保護者の役割は「いつ」「どこで」「なにを」食べるか決めること
(いつ) → 規則正しい食事とおやつを提供する
⭕️ 2歳まで:3食+軽食2回(朝食・午前軽食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 2歳以降:3食+軽食1回(朝食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 食事間隔を2.5〜3時間開ける
⭕️ 1回の食事時間を15〜30分
❌️ 1日3食
❌️ 食事と食事の間に欲しがったら与える(ダラダラ食べ)
❌️ 1回の食事時間が40分以上
(どこで) → 家族が食べる食卓で一緒に
⭕️ 座位保持から独步まで(6ヶ月〜1歳):ハイチェア
⭕️ 小走りし始めたら(1歳半〜2歳以降):ステップチェア
⭕️ 座卓の場合は豆椅子
✓ 1〜2歳:背もたれつき
✓ 3歳以降:円座(硬めの正座用クッション)
⭕️ 外出時は親が決めた場所
❌️ 親が食事の途中に離席する
✓ 離席した子どもの相手をするため
✓ 食卓にないものを取りに何度も立ち上がる
❌️ テレビやビデオ、YouTube、スマホ、タブレットを見せる
❌️ 親が食事中に食卓で授乳する
(なにを)
⭕️ 栄養バランスの取れたメニューを決めて出す
❌️ 何を食べたいか子どもに聞く
❌️ 出すつもりではなかった食べ物を出す
❌️ 食べる順番を決めて守らせる
❌️ 食べ物をごほうびにする
● 子どもの役割は「食べるかどうか」「どのくらい食べるか」を決めること
〜そのためには保護者は子どもを信頼する必要がある、すると・・・
⭕️ 食べる・食べない・食べ残すを決める
⭕️ 好きなものだけ食べる、嫌いなものは食べない
⭕️ その食卓のメニューのおかわりをする
❌️ その食卓のメニュー以外のものを要求する
● 上記の役割分担の境界線を越えると、摂食の問題が発生する
(例)子どもが何をどれだけ食べるかを保護者が決める・コントロールする
(例)子どもに献立を決めさせる
● 上記の役割分担を守ると子どもたちは食べることを楽しいと感じるようになる
では、具体的な相談を例示します。
▶ 離乳食に興味を示さない
● 対応
・発達段階にあった椅子を用意する(歩き始めるまではローチェア)。
・保護者が一緒に食事をしてお手本を示す。
・食べさせない、食べることを強制しない。
・子どもが興味を示したら、その食べ物を自分から食べるよう支援する、手づかみでもOK。
・飽きたら次の食べ物を出す。
・飽きていやがる前に椅子から下ろす。
● ポイント
・「乳児型食思不振症」タイプで、哺乳時期から始まることが多い。
・哺乳歴を聞くと「母乳でもミルクでもチビチビ飲みで、眠いときに意識して飲ませていた」というのが典型例(覚醒レベルの調節不全)。
・このタイプの子どもは、起きている限り動き回り、遊びが大好きで交感神経優位。
・座って食べるという副交感神経優位にする状況を退屈と感じ、遊び食べがなかなか治らない。
▶ 離乳食が思うように進まない、食事中も母乳をせがむ子ども
・生後6ヶ月〜1歳までは成長曲線に沿って健康であれば、
食べる量が少なくても気にせず、欲しがるままに母乳を与えて良い。
・1歳以降になっても食べる量が少なく、すぐに授乳をせがむ場合の対処法は以下の通り:
● 対応
・空腹過ぎるときは食卓に座らないことが多いので、
授乳時間と食事時間を調整し、
授乳から1〜2時間後に食事時間を設定する。
・1歳以降は嘱託で子どもが授乳をせがんでも、
「ママは今、食べているよう」「ママが食べ終わってからね」
と言って相手にしない。
・1歳以降は「授乳は寝室で」などと決めて、昼間はできるだけその場所に行かないようにする。
・朝起きてすぐ、昼寝前、夜寝る前はたっぷり授乳、また、疲れた時は安心のための授乳を。
● ポイント
・食事量が少ないことを心配して母乳の量を減らしたりやめたりしても、
食べるようにはならないため、母乳はそのまま続けるべし。
・食卓に座ることがストレスになっていると、子どもは授乳をせがむ傾向がある。
・空腹すぎるとき、眠いとき、体調が悪いときは食卓に座っているのは難しいので、
無理に食べさせずに寝かせる。
▶ ベビーフードばかり食べる
・ベビーフードばかり食べて、家族の食べるものに興味を示さない。
● 対応
・家族と一緒に食卓を囲み、家族が一緒に楽しそうに美味しそうに食べる様子を見せる。
(もしかしたら食べさせることに注力しすぎて保護者は食べていないかもしれない)
・すると子どもは興味を示して自分から手を出してくるかもしれない。
● ポイント
・ベビーフード自体は悪くない。
・ただ、家族と同じものを食べていないという点で、食が広がりにくいデメリットがある。
▶ 牛乳を飲めない(牛乳アレルギーと乳糖不耐症を除く)
● 対応
・好きな感覚を手がかりに少しずつ飲めるよう工夫していく。
・ 牛乳と親和性のある飲み物(お茶、飲むヨーグルト、カルピス、ココアなど)はキーアイテム。
・上記のうち今、子どもが飲めるものに、牛乳を少しだけ追加して飲ませることから始める。飲めたら牛乳を入れる量を少しずつ増やし、徐々に100%の牛乳に近づけていく。急ぐと失敗する。
● ポイント(こちらも参考に)
・ 上記の方法で牛乳をある程度飲めるようになったら、100%牛乳にトライする前に、「牛乳パックから牛乳をコップに注ぐ様子を子どもに見せる」ことが重要。これをやらないと、コップに入った牛乳は飲めるけど、パックから出てきた液体は別のものだから飲めない、という事態になりかねません。
▶「吸い食べ」のクセがある
・決まったものしか食べない、チューチュー吸うような食べ方をする子ども。
・食事の形態が広がりにくい。
● 対応
・スプーンで与えることを嫌がらず、食べ物が口に入った後に唇を閉じて横に引き延ばす動きがあれば、以下のことを試す。
✓ 食事の形態を変えるときは、好みの味のペーストの中にやわらかいつぶがほんの少し混じるようにする。
✓ ペーストで食べていた量より少な目のひとくち量を、スプーンの先端で下唇にのせるように置く。
✓ 「〇〇のつぶつぶさんだよ、モグモグね」などと言いながら、子どもの表情を見る。
✓ 子どもが嫌がらず上顎と舌でモグモグし始めたら大丈夫、少しずつ粒の量を増やしていく。
・スプーンで与えられることを嫌がり、かつ走れるようになっても吸い食べをするようなら、好きなフレーバーの下腿ものを噛む練習を保護者が一緒にしながら、前歯で噛んで歯ぐきに持っていく遊びを提案する。
● ポイント
・スプーンで粒のあるものを与え始めた頃に舌を左右に動かして食べ物を左右の歯ぐきに持っていって噛むことを学んでいない可能性がある。
・椅子とテーブルのセッティングが適切でないことがある。
・いろいろ試しても改善がないなら、口腔機能を評価できる歯科医の受診を提案する。
▶ 野菜嫌い
・就学前〜小学校低学年までは「野菜は体にいいから食べなさい」を理解して食べることは難しい。
・食物線維が取れないことを心配している保護者には、キノコ類、海藻(ワカメ、海苔)などを提案する。
・「苦手な野菜を食べさせる」から「野菜と友だちになる」という発想への転換が必要。
● 対応
・親子の役割分担を再確認する。
✓ 食べる・食べないは子どもが決める → 食卓で強制することをやめる。
✓ 食卓で大人が美味しそうに食べる要する見せる。
▶ 野菜嫌い&フライドポテトが好き
〜毎日の食事が数種類に固定化され、肉・魚・野菜類をほとんど食べない幼児
● 対応
・まず保護者が楽しく食事し、それを子どもに見せること。
・ファストフードのフライドポテトが食べられることに注目し、そこから食を拡げていく。
・食べられない食材の「ささみ」「ほうれん草」をフライドポテト の形状・味に近づけて調理。それぞれ細長い形に切って小麦粉をつけて揚げ、濃いめの塩味に仕立てる。
・空腹は最高の調味料・・・ 間食を減らしてお腹を空かせたり、好きなものを出し過ぎないよう食事全体の量の調整を並行して行う。
・食べてくれたら、以下のことを少しずつ進めて食を拡げる;
✓ 形を大きくしていく:千切り → 細切り → 短冊切り → → 一口大
✓ 衣の量を減らしていく:最初は多め → 次第に素揚げに近い形へ
✓ 塩味を薄くしていく:少しずつ気づかない程度に
・揚げたものをある程度食べられるようになったら他の調理法にも挑戦;
✓ カリカリ感を減らしていく:揚げたもの → しっかりと硬く焼いたもの
→ 柔らかな食感に焼いたもの → 煮物
・食べられるものが増えてきたら、見た目・形状もアレンジしていく。
・食材に慣れてきたら、「調理を工夫したもの」と「同じ食材を少量、ふつうに料理したもの」を並べて「同じ食べ物なんだよ」を伝える。
● ポイント(こちらも参考に)
・子どもに人気の「フライドポテト」・・・小麦粉をつけて揚げる調理法は比較的子どもが口にしやすい。カリカリした食感が好きな子どもの場合、厚切りより千切りの方がお勧め。
・食を拡げていく際に、見た目・形状はできるだけ変化させないことがコツ。
▶ 手作りのものを食べない(スーパーの惣菜、特定のメーカー・お店の食品は食べる)
● 対応
・手作りコロッケは食べないけど、スーパーの惣菜コロッケは食べられる子の場合、食感の違いがあるなら、惣菜の食感に似せる工夫をする。味の濃さ、温度、油っぽさ・・・を意識して調理する。
・食べられたら徐々に受け入れられる間隔を広げていく。濃い味 → 少しずつ薄味へ。
● ポイント(こちらも参考に)
・大人にとっては同じ食品・料理でも、子どもにとっては「見た目・味・食感・風味」から別物に見えていることがある。特に感覚が過敏な子は、本当に小さな違いも察知する。
・スーパーの惣菜やインスタント食品は、家庭料理より塩味が強く、味が常に一定という特徴がある。子どもは安心して口にすることができる。
・感覚過敏系の子どもには、今の感覚に合うものを提供しながら、少しずつグラデーション状に 食べられるものを拡げていく。
・ 子どもの偏食改善には、
①「見た目」
②「味や食感」
の2つを両立するのが大切で、
「口すらつけてくれない」 → ① がクリアできていない、
「ひとくち食べても、ふたくち目は食べてくれない」 → ① はクリア、② がクリアできていない
と考えて対応する。
▶ ふりかけ類がないとお米が食べられない
● 対応
・ ご飯にかけるふりかけ類の量を大人が調整し、半年〜年単位で少しずつ減らしていく。
・すると少しずつふりかけ以外のおかずに手を伸ばすことが増えるはず。
▶ 鮭フレークは食べられても焼き魚の鮭の切り身は食べられない
● 対応
・少なめの① 鮭フレークと② 焼き鮭の切り身をフレーク状にほぐしたものを用意する。
・① を食べた子どもが「もっと欲しい!」と言い出したときに ② を与えると、口をつける可能性がある。
・② が食べられるようになったら、子どもの目の前で「焼き鮭の切り身をほぐす様子」を見せ、「これとこれが一緒なら切り身も食べられるかもしれない」ことを覚えてもらう。これを繰り返す。
▶ 調理方法が変わると食べられない
● 対応
・調理方法が変わると、それらを同じ食材だと認識できない子どもは少なくない。
(例)フライドポテトとジャガイモは同じもの?
・形が変わる様子や、容器へうつす様子を繰り返し見せて「同じもの」という事実を子どもにインプットする作業が必要。
・いつも食べているものと「同じ」ということがわかれば、それが「安心」につながり、
次第に違う料理法のものでも口をつけられるようになっていく。
<参考>
・「はじめてのずかん たべもの」(高橋書店、2022年発行)
▶ 苦手なものを食卓に出すと怒る
● 対応1:感覚過敏系
・基本的には(食べなくても)苦手なものも食卓に並べた方が食が広がりやすい。
・しかし程度が強いときは、子どもに感覚過敏(ニオイに敏感、など)があるかもしれない。そのような例では「安心できて楽しい食卓」を優先して並べるのを控える。
・対策としては、子どもの好きなものに似ていて、かつ、ニオイの薄いもの・弱いものから食卓に並べていくことも選択枝。
● 対応2:完食圧系
・「食卓に並んでいるものは食べなければいけない」と叱られた経験や、苦手なものを毎食「ひとくち食べてみたら?」と言われた経験がある、つまり嫌な記憶があると拒否することがある。
苦手なものは食べたくない
⇩
食卓に並んでいるものは食べなくてはいけない
⇩
最初から並べないで欲しい
⇩
拒否!
・子どもから離れた場所に苦手な食べ物を置き、食べることを勧めない。
・食卓に並んでいても無理に食べされられないことがわかるとだんだん怒らなくなっていく。
▶ 食材が混ざると食べられない
(例1)焼きそばは食べられないけど、麺・人参・モヤシを単独で焼いたものなら食べられる
(例2)牛丼は食べられないけど、白いご飯と牛肉の煮込みなら食べられる
● 対応
・感覚の問題が多い。
① 視覚:混ざっている状態が(子ども本人には)グロテスクに見えたり、まずそうに見えたり、食材がなんなのかよくわからず手をつけにくかったり。
② 食感や味覚:牛丼の汁でご飯が軟らかく湿った状態が気持ち悪く感じたり。
・好きな感覚からはじめて拡げていく・・・混ざったものを分ける。
・分けた状態で、好きなものは食べるけど、苦手なものを食べないときは、
「苦手なもの“ひとかけら”を好きなものと一緒に食べてみることを提案し、
もし食べられたら「〇〇(苦手なもの)を食べられたね」と認める言葉をかける。
▶ お弁当に何を入れたらいいのか(苦手なものを入れるべきか)わからない
● 対応
・お弁当では食を拡げるよりも、子どもがお弁当を楽しめることを優先すべし。
・お弁当の中身は「好きなもの多めの法則(⇩)」を守らなくてよい、
「好きなもの:ふつう(食べたことがある):嫌い(苦手・はじめて)=3:5:2」
“好きなもの多め”、“チャレンジメニューは少な目”でいこう。
・お弁当はできたてで食べられないので、味・食感・温感・においを再現できないため、感覚が敏感の子には難しい。
・もし苦手メニューも少し入れたいときは、メインの弁当箱と別の小さな箱に入れて持たせるとよい。
・お弁当箱の中で、おかず同士が混ざらないよう注意して詰め、さらに汁漏れがないよう工夫することが大切。一つのお弁当箱ではなく、小さいタッパーにおかずを分けて持たせるのもよい。
・園や学校の先生に根回しをしておく;
✓「おかずが残っていても、無理に食べさせようとしなくて大丈夫です」
✓「家ではひとくち食べてみたら?ではなくペロッとなめてみたら?というと口をつけることが多いので、そのように声かけしていただけると助かります」
▶ 食べられるものが少なく、栄養面が心配
● 対応
・偏食の子どもは炭水化物を好んで食べることが多く、他の栄養素(とくにミネラル、ビタミン)を補うことを考える。
・栄養補助食品やサプリを使用してもよいが、それに頼りすぎないようにする。特定の栄養素だけ摂取できるものより、いろいろなビタミン・ミネラル類が入ったのものがベター。
(例)ゼリーやプロテインばかり飲み続け、噛むものを食べなくなった。
(例)ある栄養素だけを強化したものを毎日摂取すると、その栄養素の過剰摂取になり好ましくない。
・子どもの栄養素が心配なら「食事管理アプリ」を利用する方法もある。中には食事の写真をスマホde撮影するだけでAIが解析してくれるタイプもある。
● ポイント;
・子どもに与える栄養素の優先順位は、
① 炭水化物・脂質・一部のタンパク質:筋肉・骨・血液・内臓などを作り、体の熱やエネルギーになるもの
② タンパク質・ミネラル(カルシウムなど):筋肉や神経の伝達に関わり、骨や歯を作るもの
③ ミネラル・ビタミン:体の調子を整えるもの
▶ なかなか「卒乳」できない
・卒乳の前提は「成長に十分な栄養を固形食から取れていること」。
・卒乳すれば栄養状態が改善するわけではない。食べる技能・スキルを獲得していないと、母乳をやめても食べるようにはならない。
● 対応
・食べる技能・スキルを獲得するためのヒント;
✓ 子どもと大人の仕事を分けて考える:「食べる・食べない・食べる量」は子どもが決める、大人は「いつ、何を、どこで出すか」だけを決める。
✓ 3食と哺乳をセットにしない。哺乳・授乳は食卓以外の場所(寝室など)で行う。
● ポイント
・全体の摂取カロリーに占める、乳汁からの栄養は、1歳で約半分、2歳で約1/4。
▶ 3歳でバナナしか食べない
・栄養評価と発達の問題の有無の確認目的で小児科受診が必要。
● 対応
・発達段階は年齢相当か。
・家庭で食卓での様子を動画撮影してもらう。
✓ 食べることを強制していないか( → ほぼ全例で強制の要素が見られる)
✓ 摂食機能の確認
✓ 本人の表情(他人が食べているものに興味を持っているか)
・一切の強制をやめる。
・子どもが食卓に楽しく座ることから始める。
・食卓での親子の役割分担を徹底する。
・子どもが食べられるもの、自分から喜んで食べるものから、
わずかに色・におい・形を変えたものに移行していく(顕微鏡的変化)
▶ 5歳になっても決まったものしか食べない
● 対応
・まずは状態把握を
✓ 認知機能・発達は年齢相当か
✓ 摂食スキルが年齢相当か
・食べられるもので一番固いものは何か、そこから摂食スキルが未熟かどうかがわかる
(例)唐揚げはそのままかじる、ピザやフランスパンはかじる → 年齢相当
(例)肉はひき肉料理だけ → 1歳過ぎ相当の摂食スキル
● 対策
・子ども自身が納得して、自分から取り組めるような対応を心がける。
・この年齢では「食べなくても食卓に出しましょう」は意味がない。食卓の雰囲気が悪くなるだけ。
・摂食スキルが未熟な場合、好きな味のもので少しずつ硬さのあるものを家族でゲーム的にチャレンジする。
・今食べているもので、好きな色や食感・ニオイがほんの少し違う食品を試す。
・食べられるものが限られる場合、食べ物に顕微鏡的変化(本人が気づかない程度の変化:メーカー、買う店、形など)をつけて食べ飽きないようにしていく。
・身長体重が成長曲線に沿っていても、微量元素欠乏のリスクがあるため小児科でスクリーニング検査を。
● ポイント:
・年齢相当の発達を理解する。
・3〜4歳以降の子どもは食べない理由を言葉で表現し始める。
→ 食卓で親子バトルが発生する。
・質問しない、できそうにない目標を作らないことがポイント。
・人は圧・報酬より、自分の興味・関心に基づいて行動する。
・保護者は子どもの応援団!
・食卓における親子の役割分担を守る。
<参考書籍>
・・子どもの偏食外来(大山牧子著、診断と治療社、2023年発行)
・子どもの偏食Q&A(大山牧子著、中外医学社、2024年発行)
・子どもの偏食相談スキルアップ(大山牧子著、診断と治療社、2025年発行)
・
<参考サイト>
・きゅうけん(月刊給食指導研究資料)
・(動画)食べない子ども・偏食への対処法(大山牧子)
・(動画)小児摂食障害(食物アレルギーを持つ子どもの場合を含む)(大山牧子)
・発達障害の方の偏食・摂食のご相談(藤井葉子)
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