現在、日本では子どもの3人に1人が睡眠関連の悩みを抱えている、
というデータがあります。
もう、他人事ではありません。
眠れないお子さんへの日常生活に関するアドバイスを以下に記載しました:
■ 睡眠のスケジュール
・ふとんに入る時間・起きる時間は、
毎日ほぼ同じ時間になるようにしましょう。
・睡眠時間に週末と平日の差があっても、
1時間以内になるようにしましょう。
・人間の体は“寝だめ”はできないしくみになっています。
週末寝だめをして、睡眠不足を解消するのはやめましょう。
■ 日光を浴びる
・朝、日光を浴びることは、
正常な睡眠覚醒の体内時計(サーカディアン・リズム)を
維持することに役立ちます。
■ 定期的な運動
・毎日、日中は外で活動する時間を作りましょう。
■ 昼寝の可否
・低年齢(3歳未満)の子どもには
昼寝は必要であり、問題ありません。
・高年齢(5歳以降)の子どもでは、
昼寝をすると夜の寝付きが悪くなるので長時間の昼寝は避けましょう。
ただし個人差があります。
■ 電子メディア
・テレビ、パソコン、スマホなどによる強い視覚刺激は、
寝付きの妨げになるので、寝室には置かないようにしましょう。
■ 夕方の活動
・ふとんに入るまでの時間は穏やかに静かに過ごすようにつとめ、
テレビゲーム(スマホゲーム)のような興奮する活動は避けましょう。
■ カフェイン
・カフェインはふとんに入る前の3~4時間は避けましょう。
・カフェインは炭酸飲料、コーヒー、アイスティーなどに入ってます。
★ 麦茶、ルイボスティー、十六茶には入っていません。
■ 規則正しい食事
・毎日決まった時間の食生活を心がけましょう。
・ふとんに入る1~2時間前の食事は睡眠の妨げになります。
・お腹が空いたままでは眠れない、途中で目が覚めるため、
その時間帯に食べることも仕方ない場合があります。
ミルクやクッキーのような軽食ならよいでしょう。
■ ふとんに入るときの習慣
・ふとんに入るときの20~30分間の習慣を作りましょう。
・本を読む、その日のことを話すなど、
静かで楽しい活動を寝室で行いましょう。
■ 寝室の環境
・暗くして、気持ちがよく快適な静かな環境にしましょう。
・部屋の温度は23~24℃以下で涼しめにしましょう。
・ふとんに入ったら、睡眠に関係のない勉強、電話などは控えましょう。
・・・以上のことを試してみても、
やはり眠れなくて昼間の生活に支障が出る場合、
子どもには成人用の睡眠薬は使えないため、
当院では漢方薬を提案しています。
体質に合う漢方薬が見つかると、悩み軽減が期待できます。
▶ 睡眠の悩みに効く漢方薬
(乳児期)夜泣き
+ 泣き虫、シクシク泣く、不安 → 甘麦大棗湯(72)
+ 怒りんぼ、ギャーギャー泣く、かんしゃくもち → 抑肝散(54)
(幼児期・学童期)眠らない・眠れない
+ 不安・泣き虫・あくび → 甘麦大棗湯(72)
+ 神経質・イライラ・多動 → 抑肝散(54)
+ 反復性腹痛・虚弱 → 小建中湯(99)
+ 鼻閉・口を開けて寝ている → 葛根湯加川芎辛夷(2)
(思春期)眠れない・朝起きられない
+ 不安 → 甘麦大棗湯(72)
+ イライラ・興奮 → 抑肝散(54)
+ 動悸・ストレス・恐怖 → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
+ うつうつ、不安・心配だらけ → 加味帰脾湯(137)
+ 心身ともに疲れて眠れない → 酸棗仁湯(103)
・・・乳児期〜幼児期〜学童期〜思春期に共通して登場する、
抑肝散は「自律神経の日内リズムの狂い」、つまり、
「昼間の交感神経優位 → 夜間の副交感神経優位」への移行
がうまくいかない状態を改善してくれます。
交感神経亢進状態をやわらげることにより、
緊張から解放されて眠りにつける、とされています。
現代社会では大人も子どもも交感神経亢進状態を強いられ、
それによる健康障害が発生しがちです。
自律神経失調によるカラダの不調は“現代病” と言えるかもしれません。
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