某研究会で宮内倫也先生の講演を聴きました。
この先生は、精神科医で漢方使いなのですが、昔(10年以上前)に彼の著書を読んだことがあります。しかし、当時の私にはちんぷんかんぷん。今回は少し頭に入りました。やはり中医学系だったことがわかります。
備忘録としてメモを残しておきます。


▶ 「正気」と「病邪」

1.正気
・生命力&抵抗力
気・血・津液の3つの要素からなる

① 気:体内を巡る目に見えないエネルギー

② 血:全身に栄養とうるおいを運ぶ物質

③ 津液:血液以外のあらゆる正常な水分

・気・血・津液は独立変数ではなく、手を取り合って巡っている。

 ✓ 気は血の師

 ✓ 血は気の母

・ほどよい量がほどよく巡るのが健康、量が減るのが“虚”、巡りが滞るのが“滞”。

2.病邪

外因・内因・不内外因の3つからなる。

外因:気候や環境の異常な変化が人体に侵入して起こす病気のもと。

(例)梅雨の時期は体が重い

内因:人体の内部から生じる病気の原因であり、感情の過度な変動(内傷七情)が代表。

(例)精神的ストレス

不内外因:生活習慣(食事、嗜好、労働、睡眠、性生活など)

3.正気と病邪のバランスで病気が決まる

1.外感病:(正気:実)+(病邪:実)

2.多くの雑病:(正気:やや虚)+(病邪:やや実) 

・雑病では気滞に陥り、病理的産物(悪血、痰湿)が生成される

・さらに気滞・病理的産物・正気・病邪が互いに影響し合って病像を作る

(具体的に言うと)

  患者さん側の因子(遺伝、発達、生活習慣など)

   ×

  環境側の因子(種々のストレッサー、気候の変化)

   ⇩

  精神症状(正気の虚、気滞、病理的産物)

▶ 治療原則:「扶正」と「祛邪」
扶正)正気を助けること
祛邪)病邪を追い出すこと

▶ 治療の実際:扶正と祛邪のどちらを重視するか?
 → 病状により治療を変える
イライラの強いうつ症状 → 祛邪メイン
(例)大柴胡湯(8)合香蘇散(70)
疲労感の強いうつ症状 → 扶正メイン
(例)十全大補湯(48)
いずれもあるうつ症状 → 祛邪&扶正の両方を同時に、もしくは扶正を優先
(例)十全大補湯(48)合四逆散(35)

▶ 抑うつ・イライラ・疲労感に対する処方マップ

気虚

 六君子湯(43)

 補中益気湯(41)

 帰脾湯(65)

 十全大補湯(48)

 人参養栄湯(108)

気滞

 苓桂朮甘湯(39)

 香蘇散(70)

 半夏厚朴湯(16)

 四逆散(35)

 加味逍遥散(24)

 加味帰脾湯(137)

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 抑肝散(54)

 大柴胡湯(8)

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 抑肝散(54)

 大柴胡湯(8)

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 抑肝散(54)

 黄連解毒湯(15)

 加味逍遥散(24)

 加味帰脾湯(137)