「同じクラスの子どもがマイコプラズマ肺炎で入院した」と聞くと心配になり、うちの子は大丈夫かと受診される方がいらっしゃいます。マイコプラズマに感染しこじれて肺炎になる確率は、小児で約2%、若年成人で約10%と決して多くありません。
■ 原因:肺炎マイコプラズマ(大きさはウイルスと細菌の中間くらい)
■ 疫学:1歳までに40%、5歳までに65%、大人では97%感染を経験する、誰でもかかる気道感染症です。
免疫は一生持続せず、何回も感染することがあります。
■ 感染経路:飛まつ感染
■ 潜伏期間:2~3週間
■ 感染力を有する期間:発症2~8日前から、発症後数週間(4〜6週間続くという説もあります)
■ 症状:
こじれて肺炎を起こしやすいのは小学生以上で、5歳未満の乳幼児は風邪症状で済むことが多いのが特徴です。
※ RSウイルスは乳幼児でこじれやすく、年長児で軽く済むのと逆です。
典型的な症状は以下の通り;
・発熱・頭痛・気分不快ではじまり、
・咳はだんだん目立ってきて乾いた咳が止まらなくなります(※1)。
・鼻水・痰は多くありません。
・熱が下がったあとも咳が悪化し数週間から1ヶ月続きます。
・子どもの約25%に吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状が出ます。
・耳痛、筋肉痛、関節痛、発疹を認めることもあります。
・症状の程度には個人差が大きく、軽い人は数日で治ってしまうこともあります(※2)。
※1)ふつうの風邪では、咳のピークは3〜4日目でその後は減っていきますが、マイコプラズマではピーク後も悪化傾向が続きます。
※2) 一般の「肺炎」のイメージは、高熱がつらくて咳が止まらなくて眠れず苦しそう・・・というものですが、マイコプラズマはこじれて肺炎になっても比較的元気です。典型的ではないという意味で「非定型肺炎」「異型肺炎」などと呼ばれています。
■ 診断:当院では迅速検査(咽頭ぬぐい液)を導入しています。残念ながら陽性率50〜60%と高くありません。
■ 治療:抗生物質が有効です。ただし、有名なペニシリン系は無効で、マクロライド系(クラリスロマイシンなど)が第一選択薬です。近年、薬が効きにくい耐性菌が増えて問題になっており、マクロライド系抗生物質を2~3日間内服しても熱が下がらないときは、第二選択薬(ミノマイシン®、オゼックス®)を考慮します。
■ 経過:長くても4週間くらいで自然治癒します。
■ 予防:ワクチンはありません。手洗いを励行し、咳をしている人はマスクをしましょう(咳エチケット)。
■ 登園/登校基準:学校伝染病に指定されていないので明確な規定はありません。
感染力が発症前からあり、発症後も数週間続くので、症状がある人だけ欠席させても無意味、感染力のある数週間休ませるのも現実的ではありません。
厚生労働省は「登校登園については、急性期が過ぎて症状が改善し、全身状態の良いものは登校可能。流行阻止の目的というよりも、患者本人の状態によって判断すべきであると考えられる。」としています。園/学校の方針があれば、その指示に従ってください。
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