水いぼは皮膚の病気と思われがちですが、実はウイルス感染症です。
細菌感染症であるとびひ(伝染性膿痂疹)ほどスピードはありませんが、自分で掻いて広げていき、自然治癒するのですが半年以上かかるという、やっかいな感染症です。
治療の基本はイボ摘除(つまんで取る、薬品や液体窒素で処置)です。
漢方系の内服薬も半分位の患者さんに有効なので、通院が長引いたり痛がっていやがるお子さんに、当院では皮膚科通院&漢方薬の併用をお勧めしています。
まずは、公的な解説を紹介します。

■ 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(2021年改訂版)

(日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会)

概要
特に幼児期に好発する皮膚疾患である。半球状に隆起し、光沢を帯び、中心に窪みをもつ粟粒大~米粒大(2-5mm)のいぼが、主に体幹、四肢にできる。
病原体】伝染性軟属腫ウイルス
潜伏期間】2〜7 週、時に6か月まで。
感染経路】主として感染者への接触により直接感染するが、タオルの共用などによる間接感染もあり得る。
症状】いぼ以外の症状はほとんどない。いぼの内容物が感染源となる。発生部位は体幹、四肢。 特にわきの下、胸部、上腕内側などの間擦部では自家接種により多発する傾向がある。 自然治癒まで 6-12 か月、時に 4 年程度かかることがある。
好発年齢】幼児
診断法】臨床症状によりなされる。
治療法自然治癒傾向があり放置してよい。

しかし、自家接種や他者への伝播を防止するため、ピンセットでの摘出液体窒素での除去など、積極的に治療する考え方もある。
感染拡大予防法】多数の発疹のある者については、プールでタオル、浮輪などを共用しないよう、プール後はシャワーで肌をきれいに洗うよう指導する。 
登校(園)基準】制限はないが、浸出液がでている場合は被覆する。


■ 「皮膚の学校感染症に関する統一見解
(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・日本小児感染症学会)
幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ることもありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に感染することを考慮して治療します。
プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。この疾患のために、学校を休む必要はありません。


皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解
(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。



<水いぼの治療あれこれ>


医療機関では以下のような治療が行われます。なぜこんなに種類があるのかというと、実は決め手の治療法がないのです。

小児科は放置(1)、皮膚科は処置(2~6)が多いと思われます。

当院では(7)の内服薬を処方していますので、ご希望の方はご相談ください。


1.取らない

水いぼは本来自然に治るウイルス感染症です。ただし半年以上時間がかかるので辛抱が必要です。いぼが大きく育つと痕が残り、将来子ども(特に女の子)に恨まれるかもしれません。
水いぼが小さく数も多くない場合は「取らない」選択もありかもしれませんが、勢いが強い場合は治療をお勧めします。


2.ピンセットで摘除(むしり取る)

通称「水いぼ鉗子」と呼ばれるピンセットでつまみ取る方法。痛いので子どもは嫌がり、一度に取れる数はせいぜい5~6個のため何回か通院する必要あり。
痛み止めテープ併用:事前に痛覚を麻痺させるペンレステープ®(一般名:リドカインテープ)を貼り、1時間後に摘除する方法。副作用としてショックの可能性あり。


3.液体窒素で冷凍治療
ドライアイスのような極低温の液体窒素を皮膚に当てる方法。これも痛みがあります。

消退するまで時間がかかり、何回も通院する必要があります。


4.硝酸銀をつけて腐食させる
硝酸銀を綿棒で(あるいは小麦粉でこねたものを)付着させる方法。痛みはありませんが時間がかかります(1週間~)。他の皮膚に付くと一過性に黒くなる欠点あり。


5.スピール膏®(サリチル酸絆創膏)を貼る

本来はいぼ(尋常性疣贅)に対する治療を応用した方法。


6.抗ウイルス薬であるアラセナA軟膏®(ビダラビン)を塗る

本来は単純ヘルペスウイルスに対する治療を応用した方法。


7.内服治療(ヨクイニン、漢方薬・・・当院で処方できます

免疫賦活作用を狙った方法です。痛くはありませんが、有効率は約50%とあまり高くないのが欠点です。急ぐ必要がない場合は試してみる価値があります(自験例では最短1ヶ月で消えました)。