新型コロナ関連でインフルエンザワクチンが例年になく推奨される雰囲気になっています。
当院でも準備を進め、毎年作成しているプリントを更新しましたので内容を提示します。
インフルエンザワクチンの有効率(発症予防効果)は約50%とされ、乳幼児ではさらに低いことが報告されています。
しかし、重症化予防率は約70%と、罹っても重くならないことが期待されます。
ですから、
「インフルエンザワクチンの接種目的は、“罹らない”ではなく軽く済ませること」
とお考えください。
<当院のインフルエンザワクチン方針 2020/2021>
■ 日本・WHO・アメリカの接種回数を比較してみると?
実は、日本と外国では小児への接種回数が異なります。 例として下表にWHOと アメリカにおける接種回数を示しました。日本では12歳までは2回接種ですが、 WHO/アメリカ方式では、より低年齢の9歳以上で1回接種、それ以下の年齢でも 過去の接種をカウントして回数を減らしています。
つまり、「乳幼児にも1回接種が導入されているのが世界標準」です。


ワクチ ンの効果は「HI抗体価」の「抗体陽転 率」で判定し、ヨーロッパのワクチン認可基準は70%以上です。さて、A型株の抗体陽転率(赤下線部)を見てみると・・・

※ 残念ながら、B型は2回接種でも 60%未満にとどまります。

その理由は、乳幼児でも1回接種で抗体がつくことがわかっているからです。
当院では2015年からWHOやアメリカ方式を参考に、
「3歳以上9歳未満は、 過去に2回接種してあれば1回でも可」
という方針にしています。
当院の方針は強制するものではありませんので、「1回でホントに大丈夫?」と悩んで決められない方は、従来通りの日本方式をお勧めします。
★ 3歳以上は1回接種でもよい理由
1回接種と2回接種の抗体陽転率(=有効率)を調べてみると3歳以上13歳未満ではその差 があまりないことがわかります。 下の表はインフルエンザワクチン(ビケ ンHA)添付文書にある表です。

<6ヶ月以上 3歳未満>
1回接種後は40%に達せず、 2回目の上乗せ効果は30%以上。
<3歳以上 13歳未満>
1回接種後に70%以上、 2回目の上乗せ効果は10%以内。
以上より;
・生後6ヶ月〜3歳 :2回必要
・3歳〜13歳未満 :1回でも十分
と判断しました。
ただし、3〜13歳未満でも2回接種後の上乗せ効果が少しあり「有効率を1% でも上げたい」と思う人は日本方式をお勧めします。
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