カテゴリ: 感染症

かぜを引いて小児科・耳鼻科を受診すると当たり前のように処方されるかぜ薬・・・果たして、どれくらい有効なのでしょう。
考えてみると、かぜの症状は「侵入してきた病原体(主にウイルス)を追い出す行動」であることがわかります。咳は気道に侵入した病原体を、鼻水は鼻腔に浸入してきた病原体を追い出す防衛反応。胃腸炎でも、嘔吐・下痢ともに消化管から病原体を追い出す行動ですね。発熱についても、ウイルスは38℃以上では失活することがわかっており、病原体にやられたダメージではなく、本来はウイルスをやっつける生体反応です。
すると、かぜ症状を完全に抑え込むことはいいことなの?という素朴な疑問が生まれてきます。そうです、過剰に押さえ込むと病原体を追い出せなくなるので、かえって病気が長引くことが報告されています。
ではかぜ薬の役割は?
防衛反応(=風邪症状)が激しいと本人もつらいため、それをやわらげるのが目的です。あとは自分の免疫力頼み。
しかし、かぜ薬の歴史を紐解くと、日本では西洋医学が入ってくる以前は(今で言う)漢方薬を使用していました。実は漢方薬、すごいことをやっていて、体の免疫力を高めて病原体を追い出すという働きを強化するのです。こちらの方が本来の“かぜ薬”かもしれません。しかし西洋医学に偏った現在、ただ症状を押さえ込む薬が中心となってしまいました。残念ですね。

耳鼻科の元大学教授の講演で「現在のかぜ薬がいかに効かないか」を解説していました。処方される咳止めも鼻水止めもどれも効かない・・・効くのは解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)と去痰薬のみ、という内容です。備忘録として講義メモをここに残しておきます。

▶ かぜ薬
・古くから葛根湯などの漢方薬が用いられてきた。漢方薬は生体の防衛反応を高める方向に作用する。
・大正時代から生薬(漢方の原料)と西洋薬との配合剤に移行。西洋薬は症状を抑える対症療法にすぎない
・1950年代から西洋薬を配合した総合感冒薬へ移行。対症療法としては優れるものの、治癒期間を遅らせ、場合によると副作用も生じるといった問題点も抱えた。
・小児用製剤では安全面から解熱成分としてアセトアミノフェンのみを含む製剤がほとんど。それ以外に、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、カフェイン、ビタミン、生薬などを含有。

▶ 小児の鼻汁・咳嗽への処方の現実
・抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、粘液融解薬/粘膜繊毛機能改善薬(去痰薬)などをセットにして処方しているケースは少なくない。

▶ 感冒に対する治療法の推奨(EPOS, European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps, 2020)
・抗菌薬(1a) → 推奨しない(有用性、副作用ともになし)
・ステロイド鼻噴霧(1a) → 推奨しない
抗ヒスタミン薬(1a) → 推奨しない(有用性なし
・血管収縮薬(1a) → (小児には使用しない)
アセトアミノフェン(1a) → 鼻閉鼻漏に有効
NSAIDs(1a) → 疼痛と倦怠感に有効
生食洗浄(1b) → 症状を抑制

▶ 子どもの風邪に抗ヒスタミン薬は有効か?
・Cochrane review での2つのランダム化比較試験では抗ヒスタミン薬のプラセボに対する咳嗽への効果に有意差は出ていない。
・抗ヒスタミン薬はヒスタミン由来の腺分泌に有効。
古典的な鎮静性抗ヒスタミン薬は併せ持つ抗コリン効果でウイルス感染による鼻汁分泌を25-30%抑制(Turner, Heyden)。
・脳内ヒスタミン神経系がH1受容体を介してけいれん抑制系として作動しているため、抗ヒスタミン薬により作用が阻害されて痙攣が誘発される。
・EPOSでは有用性な市としてガイドラインでは推奨されていない。

▶ 抗ヒスタミン薬の痙攣誘発効果
・ヒスタミンの作用 
 ✓ 覚醒
 ✓ 認知機能増加
 ✓ 自発運動量増加
 ✓ 摂食行動抑制
 ✓ けいれん抑制
 ✓ ストレスによる興奮抑制
・抗ヒスタミン薬により「けいれん抑制」系のヒスタミン作用が阻害されてけいれんを誘発する。
・特に小児ではGABAによる中枢神経の抑制系が発達していないため、けいれん誘発の可能性が高くなる。
・要注意:2歳以下、けいれんの既往
・使用する場合は非鎮静性抗ヒスタミン薬を。ただし、非鎮静性抗ヒスタミン薬の中ではセチリジンとロラタジンにはけいれんの記載あり。

▶ 子どものかぜに鎮咳薬は有効か
・2007年3月に Baltimore市が「6歳未満の小児へのOTC鎮咳薬やかぜ薬の使用は安全性と有効性に懸念がある」とする誓願書を提出した。FDAは2007年10月に6歳未満にかぜ薬を、2008年1月に2歳未満の乳児にOTD咳止め・かぜ薬を使用しないよう勧告した。
・2008年秋に製薬会社が自主的に「4歳未満の小児には使用しないこと」と変更した。これを受けて、同年中にイギリス、オーストラリア、カナダでは6歳未満のOTC咳止め・かぜ薬は使用すべきではないと勧告した。
・Dextromethorphan(メジコン®)を用いた cohort 研究では、夜間の咳やQOLにおいてプラセボと有意差がなかったと結論づけられている。
感冒時の咳嗽はむしろ後鼻漏の影響が大きく、鎮咳薬使用は勧められない

▶ 感冒に対する処方の是非
(抗ヒスタミン薬)
鎮静性のものは鼻汁を減らすがけいれんや眠気を誘発し、分泌物を粘稠化する
非鎮静性のものは副作用は少ないが、鼻水・鼻閉には無効
(鎮咳薬)
・感冒の咳嗽の軽減効果なし。
・呼吸抑制や咳嗽の遷延化もある。
(去痰薬)
・湿性咳嗽に有効、副作用もない。

今から20年以上前にも、かぜ薬について調べたことがありました。当時はアメリカをはじめ諸外国で「市販のかぜ薬(OTC薬)を乳幼児に使わないように」というムーブが起きてきた頃です。アメリカでは大瓶で販売されているため、一度に大量を飲んで中毒症状で医療機関に運ばれる、という事情もあったようです。

そして現在、私はかぜ症状にふつうの西洋医学の薬が今ひとつ効かない場合は漢方薬をお勧めしています。明らかに手応えがあるため、「苦い薬を飲む」というハードルを越えた患者さんはリピーターになりますね。

小児科医は鼻汁・鼻閉を「風邪症状の一部」として捉える傾向があります。一方、耳鼻科医は「鼻という臓器が炎症を起こしている」という視点で捉えます。
数年前に元大学教授の耳鼻科医(東京みみ・はな・のどサージクリニック、市村恵一先生)による講演を聴いたことがあり、その際に目からうろこが落ちた記憶があります。その講義メモが残っていましたので、ポイントと感じた箇所を引用・抜粋し、備忘録としてここに残しておきます。

近隣の耳鼻科では、鼻汁・鼻閉遷延例、反復例を抗生物質漬けにすることが多くて辟易しているのですが、市村先生のお話は「抗菌薬に有用性なし」「細菌性を疑う場合はまず細菌培養検査を」と現実と大きく異なる内容でしたね。大学教授と開業医の違いでしょうか・・・。ついでに言うと、抗ヒスタミン薬の代わりに抗アレルギー薬を処方している耳鼻科医・小児科医も多いです。抗ヒスタミン薬が効く理由は抗コリン効果のため、抗ヒスタミン効果のみの抗アレルギー薬ははっきり言って風邪の鼻水に効きません。「処方された薬を飲んでいるけどよくならないので・・・」と当院に流れてきます。私はそんな患者さんに漢方薬を提案しています。こちらの方が手応えがあり、乳幼児の夜の鼻づまりが軽くなるので喜ばれます。


▶ 鼻汁を構成するもの
① 鼻副鼻腔からの分泌液
・血液成分や組織液の移行したもの
・水やイオンが能動輸送により移行したもの
・粘膜の胚細胞や鼻腺から分泌された液
② 涙液
③ 呼気から凝結した水

▶ 鼻汁の基本知識
・健常人では粘液は1日に1000ml以上産生される。多くは吸気への加湿に使われ、残りは線毛運動で咽頭に運ばれ無意識に嚥下される。
・鼻分泌液量は刺激が加わると増量する。
・鼻腺の分泌刺激には、炎症により放出されるメディエーターの直接作用と、神経反射を介する間接作用の二通りがある。

▶ 鼻漏とは
・鼻汁の性質が正常と異なったり、多量に存在して外鼻孔や後鼻孔から流れ出る状態を指す。
・水性(漿液性)、粘性、膿性、および粘膿性、血性がある。
① 漿液性鼻漏:鼻腺からの反射性分泌が主体をなし、鼻の過敏状態を伴うことが多い。感冒の初期、アレルギー性鼻炎、特発性鼻炎、鼻性髄液漏など。
② 粘性鼻漏:胚細胞由来のものが主体で、持続的な炎症性刺激が存在する慢性副鼻腔炎が主で、アレルギー性鼻炎の非発作期にも見られる。
③ 膿性鼻漏:細菌感染の関与が考慮される。急性・慢性副鼻腔炎が多く、まれに異物が原因となる。
④ 血性鼻漏:組織の破壊・損傷が何らかの形で関与している。腫瘍、肉芽腫、鼻出血など。

▶ 小児で鼻水を生じる病態
・感冒および急性鼻副鼻腔炎
・アレルギー性鼻炎
・慢性鼻副鼻腔炎
・まれに鼻腔異物

▶ 鼻閉・鼻づまりとは
(定義)
・鼻から上咽頭にかけて空気の通過を妨げる要素が生じて鼻呼吸がうまくいかない状態。
・ふつうに息をしている状態で鼻を通る空気量が不十分と感じる自覚。
・鼻内気流が乱れた場合に生じる不快感。
(鼻閉を生じうる病態)
・鼻腔を構成する要素(粘膜、骨)の腫脹や変形によるもの
分泌物、異物など鼻腔内部の空間を充満するもの。
・鼻腔の外側からの圧迫や密閉。

▶ 小児で鼻閉を生じる病態
(急性)
① 感冒
② アレルギー性鼻炎の発作時
(慢性)
③ アレルギー性鼻炎
④ アデノイド増殖症
(まれ)
⑤ 後鼻孔鼻茸
⑥ 後鼻孔閉鎖
⑦ 異物
※ ①②③は鼻粘膜の血管拡張、浮腫、鼻汁貯留、④⑤は腫瘤による閉塞、⑥⑦は物理的閉塞


▶ 感冒(かぜ症候群)
・風邪症状(発熱・咳嗽・鼻漏)は、それぞれが免疫細胞の働きを活発にしたり、気道を確保したり、病原体の侵入を防御したりといった、生体の風邪病原体に対する防衛反応であり、原則として治療の必要はない
・しかし、諸症状により苦痛や不眠を訴えるときは対症療法を行う。
・小児の症状で親が最も敏感に反応するのは、① 発熱、② 咳嗽や鼻閉による夜間の不眠、である。

▶ 感冒時の鼻汁
・当初、透明で水性であるが、粘性に変化し、数日後には膿性となる。
・そこからは再び粘性、透明となり、乾燥してくる。

▶ 鼻汁の色が意味するもの
・感染(ウイルス感染を含む)が進行すると、鼻汁は透明〜黄色・緑色に変化する。この色調変化には、鼻腔・副鼻腔内への白血球浸潤が関わる。
・好中球や単球は、ミエロペルオキシダーゼの作用により緑色となるアズール親和性顆粒を内包する。
鼻汁は白血球をほとんど含まないと白色か透明で、白血球数が増えるにつれて黄色(淡緑色)、さらには緑色に変化する。
・従って「黄色い鼻水」は細菌感染を意味するものではなく、炎症反応の結果を表す。

▶ 急性鼻副鼻腔炎の定義
(日本)急性鼻副鼻腔炎診療GL, 2010年
・急性に発症し、発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉・鼻漏・後鼻漏・咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患
(欧州)EPOS, European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps, 2007
・急な発症で以下の症状が2つ以上あり、12週間以内続く状態
 ✓ 鼻閉 
 ✓ 色の付いた鼻漏
 ✓ 咳嗽(日中及び夜間)

10 day mark(ウイルス性と細菌性の線引き)(Ueda&Yoto: Pediatr Inf Dis J 1996)
・急性鼻副鼻腔炎上気道のウイルス感染に続発して発症。急性ウイルス性鼻副鼻腔炎では特別な治療をしなくとも10日以内に治癒する。
・膿性鼻汁が10日間以上持続する場合、あるいは5-7日後に悪化する場合は細菌の二次感染による急性細菌性鼻副鼻腔炎と診断する。
・症状が10〜30日間持続した症例は、X-rayで80%の患者に副鼻腔陰影を認め、上顎洞穿刺、細菌培養では70%で細菌を検出する(Wald)。

▶ 急性鼻副鼻腔炎の分類(欧州)
(10日以内)急性ウイルス性鼻副鼻腔炎
(12週以内)
1.急性ウイルス感染後鼻副鼻腔炎
2.急性細菌性鼻副鼻腔炎(先行する感冒症状+下記のうち少なくとも3項目該当)
 ✓ 38℃以上の発熱
 ✓ 二相性症状(経過観察中に症状増悪)
 ✓ 片側罹患
 ✓ 激痛
 ✓ 血沈やCRP上昇
※ 感冒から急性細菌性鼻副鼻腔炎に移行する率は、小児:6-13%、成人:0.5-2%。

▶ 感冒に対する治療法の推奨(EPOS, 2020)
・抗菌薬(1a) → 推奨しない(有用性、副作用ともになし)
・ステロイド鼻噴霧(1a) → 推奨しない
抗ヒスタミン薬(1a) → 推奨しない(有用性なし
・血管収縮薬(1a) → (小児には使用しない)
アセトアミノフェン(1a) → 鼻閉鼻漏に有効
NSAIDs(1a) → 疼痛と倦怠感に有効
生食洗浄(1b) → 症状を抑制

▶ 急性ウイルス感染後鼻副鼻腔炎治療法の推奨(EPOS, 2020)
・抗菌薬(1a) → 有効性なし
・ステロイド鼻噴霧(1a) → 全体症状スコアは改善するがエビデンスの質は低く推奨しない
抗ヒスタミン薬(1b) → 有効性なし
・菌体由来成分(1b) → 優勝期間を短縮するという1報告のみ

▶ 急性細菌性鼻副鼻腔炎治療の推奨(EPOS, 2000)
・抗菌薬(1a-) → 非常に限定されたデータのみ。2県の研究のみでプラセボとの効果の差がない上に有害事象は有意に高い。成人でみられた有用性とは異なることを証明する大規模研究が望まれる。
・粘液融解薬(1b-) → Erdostein を抗菌薬に付与してもプラセボと差はない。

▶ 急性鼻副鼻腔炎の臨床診断基準
① 膿性鼻汁または後鼻漏
② 湿性咳嗽
③ 細菌検査:発熱+膿性鼻汁が少なくとも3-4日連続する場合には急性細菌性鼻副鼻腔炎を疑い細菌検査を考慮することが望ましい(画像診断は有効でない)。

▶ 小児急性鼻副鼻腔炎の検出病原体
・15歳以下の小児41例から検出された病原体(工藤、2008)
(細菌のみ)85.4%
(ウイルス+細菌)12.2%
・上顎洞貯留液からの分離菌(松原:耳鼻臨床93:283,2000)
(40%)S.pneumoniae
(43%)H.Influenzae
(9%)S.aureus
(4%)M.catarrhalis
(2%)S.pyogenes

▶ 小児急性細菌性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬(急性鼻副鼻腔炎診療GL2010、日本鼻科学会)
(第1選択薬)
・AMPC(ABPC)経口 1回16-30mg/kg・1日3回を5日間
(第2・3選択薬)
・CDTR-PI(メイアクト®)経口 1回3mg/kg(高用量6mg/kg)・1日3回を5日間
・CFPN-PI(フロモックス®)経口 1回3mg/kg(高用量4.5mg/kg)・1日3回を5日間
・CFTM-PI(トミロン®)経口 1回3mg/kg(高用量6mg/kg)・1日3回を5日間
・TBPM-PI(オラペネム®)経口 1回4-6mg/kg・1日2回を5日間

▶ 小児慢性鼻副鼻腔炎
(疫学)
・日本の小児鼻副鼻腔炎罹患頻度:3-10%
・東京都学校健診(2018年)によると、アレルギー性鼻炎を除く鼻副鼻腔疾患の有病率は、小学校低学年:6%、中学生:4%、高校生:2%
(病態)
・年齢経過;
(3-5歳)中鼻道自然口ルート中心の病変
(6-7歳)汎副鼻腔病変
(10歳〜)自然軽快する方向
・自然口は成人と比較して大きい → 換気排泄保持
(症状)
・慢性でも症状変化は急激
(検査)
・急性鼻副鼻腔炎で同定される菌がよく検出される
・画像診断は偽陽性が多い
(合併症)
・アレルギー性鼻炎合併例が多い
・鼻茸形成は少ない
(治療)
・急性増悪時は積極的な治療が有効
(予後)
・10歳までは増加しその後減少(石塚)、10歳までに多くは消退(名越)
・成人の慢性副鼻腔炎への移行は16%
・治療抵抗性の慢性鼻副鼻腔炎小児患者の7年後は自然軽快が95%(多くは7歳までに)

▶ 小児慢性鼻副鼻腔炎治療の推奨
・抗菌薬:1b-:短期及び長期の抗菌薬投与に有効性を支持するレベルの高い研究はない。
・ステロイド鼻噴霧:5:有効性を示す証拠はない。
・ステロイド内服:1b+:抗菌薬への相加効果はない
・生食洗浄:1b+:いくつかの試験がある。安全性もある。
・アデノイド切除術:4:症状のある幼児症例には有効。薬物療法が無効な幼児例への施行を支持。
・内視鏡下鼻副鼻腔手術:4:年齢の高い小児で薬物治療抵抗例や既アデノイド切除例に安全で有効。

▶ 小児慢性鼻副鼻腔炎に対する局所治療
・鼻処置
・副鼻腔自然口開大処置
・ネブライザー治療
・上顎洞穿刺
・鼻腔洗浄
・副鼻腔洗浄
 ✓ 副鼻腔炎治療用カテーテルによる場合(ENT-DIBカテーテル、YAMIK)
 ✓ 副鼻腔炎の吸引処置:Proetz置換法
 ✓ 上顎洞洗浄:自然口洗浄、穿刺洗浄

▶ 慢性鼻副鼻腔炎の薬物療法
・抗菌薬
 ✓ 短期:増悪時
 ✓ 長期:マクロライド少量
・粘液融解薬/粘液線毛系修復薬
・ロイコトリエン拮抗薬
・ステロイド鼻噴霧薬
・漢方薬

▶ 小児のマクロライド療法ガイドライン(試案)
・使用薬剤:14員環マクロライドを半量〜1/4量で
 ✓ EM:8〜12mg/kg
 ✓ CAM:2〜5mg/kg
・投与期間:
 ✓ 症状が消退したら休薬
 ✓ 消退しなければ2ヶ月継続して効果を判定
 ✓ それでも効かないときは、さらに1か月投与 → 無効なら中止し他の治療法を考慮
・急性増悪時:起炎菌を同定し、適切な抗菌薬を投与
・対象:3歳以上で膿性または粘膿性鼻汁あり

▶ 小児慢性鼻副鼻腔炎の漢方治療
標治
・二重盲検比較試験やシステマティック・レビューはない。症例報告では有効な報告が多い。
 ✓ 辛夷清肺湯:マクロライド無効例の73%に有効(渋谷、1995年)
 ✓ 葛根湯加川芎辛夷:4か月投与で75%に有効(伊藤、1984年)
 ✓ 荊芥連翹湯:マクロライド無効例の70%に有効(岡村、2004年)
本治
 ✓ 小建中湯(99)
 ✓ 黄耆建中湯(98)
・小児の基本処方薬で、体力低下時に適するが、特に証にこだわらない
・くすぐったがりの小児でよく効く
・甘くて飲みやすい(膠飴含有)
・黄耆建中湯は小建中湯に黄耆を加え、より気を補う。
・小建中湯は急性副鼻腔炎の反復を減らすという報告あり

▶ 鼻閉に対する漢方薬
・麻黄湯(27):乳児の鼻閉塞・哺乳困難の適応あり
・他の麻黄含有薬剤でも有効
・長期投与は避ける
・乳児なら少量のお湯で泥状にしてよく練り、清潔な手で口蓋や頬粘膜に塗りつける。
・幼児ならパンに塗るチョコクリームに混ぜる。あるいはバニラアイス、チョコアイスに混ぜて飲ませる。
・学童なら薬の意味を理解させて、納得して飲んでもらう。

▶ 生理食塩水による洗浄の効果
(アレルギー性鼻炎)
・成人及び小児アレルギー性鼻炎患者において、行わない場合と比較して、疾患の重症度を最大3ヶ月低下させる可能性がある。しかしエビデンスの質は非常に低い(Cochrane Library 2018)

■ 治癒後4週間以上開けるもの
・麻疹
・風疹
・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
・水痘(水ぼうそう)
・帯状疱疹
・マイコプラズマ肺炎
・ノロウイルス胃腸炎

■ 治癒後2週間以上開けるもの
・突発性発疹
・百日咳
・伝染性紅斑(りんご病)
・ヘルパンギーナ
・咽頭結膜熱(プール熱)
・手足口病
・アデノウイルス
・流行性角結膜炎
・単純ヘルペス
・インフルエンザ
・RSウイルス
・ヒトニューモメタウイルス
・溶連菌 

■ 治癒していれば接種可能
・伝染性膿痂疹(とびひ)
 
感染症後の予防接種間隔(するがCC)
 

★ 12歳未満の小児に処方できる内服薬は、2025年12月現在、存在しない。

(凡例)
 ① 投与対象
 ② ワクチン未接種者への有効性
 ③ ワクチン接種者への有効性
 ④ 一緒に服用してはいけない薬
 ⑤ 妊婦への投与

ラゲブリオ
① 重症化リスクのある軽症〜中等症Iの18歳以上
② 入院・死亡リスク30%減
③ (未評価)
④ なし
⑤ 禁忌

パキロビッド
① 重症化リスクのある軽症〜中等症Iの12歳以上・40kg以上
② 入院・死亡リスク89%減
③ 救急受診・入院。重症化・死亡リスク約50%減
④ 39種類
⑤ 禁忌ではない
 
ゾコーバ
① 重症化リスクのない軽症〜中等症Iの12歳以上
② (未評価)
③ 症状回復期間を24時間短縮
④ 36種類
⑤  禁忌

 子どもは“風邪”をよく引きます。風邪の9割は上気道のウイルス感染症とされています。上気道とはのど・はな、下気道は気管支・肺です。
鼻水がつらいため耳鼻科を受診するとよく「副鼻腔炎」と言われます。一般に言う「ちくのう症」と同じです。 
 副鼻腔とは、鼻の奥につながっている顔面の空洞です。幼児の鼻風邪のほとんどは副鼻腔炎も合併しており、「鼻副鼻腔炎」と呼ぶことがあります。
 つまり、乳幼児の風邪 ≒ 鼻副鼻腔炎、ということですね。 
 副鼻腔炎は耳鼻科では抗生物質(=抗菌薬)で治療します。すると、風邪を引くたびに抗生物質を飲むことになり、一部のお子さんはその副作用(下痢、薬疹)で悩むことになります。また、善玉菌もやられてしまうため腸内細菌叢が乱れ、その回復に数ヶ月かかるとも言われています。
 この抗生物質漬けをなんとかできないかと、小児科医である私は漢方薬を応用し、手応えを感じています。
 西洋医学では鼻水止めは「抗ヒスタミン薬」一択ですが、漢方医学では鼻水の様子(水っぱな、濁った鼻、青っ洟)により、以下の薬を使い分けます。
 小青竜湯(19)
 葛根湯加川芎辛夷(2)
 辛夷清肺湯(104)
これらの薬は、鼻づまり(鼻閉)をやわらげてくれることも特徴です。急性期・亜急性期は以下の柴胡剤を併用すると効果がアップします。
 小柴胡湯(9)
 小柴胡湯加桔梗石膏(109)
副鼻腔炎が慢性化した場合は、
 柴胡清肝湯(80)
 荊芥連翹湯(50)
を定期内服してもらうと手応えがあり、鼻症状が解決した患者さんが何人かいます。
 上記の漢方薬を使い分けることにより、6〜7割の患者さんが漢方だけでよくなります。残念ながら100%ではありませんが。
 さて、知り合いの耳鼻科漢方医がYouTubeに副鼻腔炎漢方の動画をアップしていました。
「なぜこの漢方が効くのか?」
を生薬ベースで解説しており、興味深く視聴しました。だいたい、私の方針と一致していますね。ただ、
「副鼻腔炎には抗生物質が必要」
という前提なのがちょっと気になりました。
 備忘録としてメモを残しておきます。
 
▢ 副鼻腔炎の漢方

▶ 副鼻腔炎で使用される漢方薬
葛根湯加川芎辛夷(2) → 麻黄で温めて鼻閉・鼻汁を減らす
辛夷清肺湯(104) → 消炎〇、冷やす、潤す、粘液溶解◎
小柴胡湯加桔梗石膏(109) → 消炎◎、冷やす、やや乾かす、鼻汁⇩、粘液溶解〇

▶ 2剤併用で効果増強

葛根湯加川芎辛夷+小柴胡湯加桔梗石膏
・急性>慢性
・鼻粘膜腫脹、発熱、感冒、副鼻腔気管支症候群

葛根湯加川芎辛夷+辛夷清肺湯
・急性>>慢性
・鼻粘膜腫脹、粘稠鼻汁、副鼻腔炎のみ

小柴胡湯加桔梗石膏+辛夷清肺湯
・急性<慢性
・こじれた副鼻腔炎、顔面痛、粘稠鼻汁

辛夷清肺湯+小柴胡湯)・・・松田邦夫先生愛用処方
・難治性副鼻腔炎

辛夷清肺湯+小柴胡湯加桔梗石膏
・難治性副鼻腔炎

▶ 頻用2剤の比較

葛根湯加川芎辛夷】 vs 【辛夷清肺湯
 急性>慢性        慢性>急性
 冷えて鼻風邪       こじれた慢性副鼻腔炎
 風邪の鼻症状
 急性副鼻腔炎で発熱    急性副鼻腔炎で発熱
 副鼻腔炎以外の鼻閉    副鼻腔炎のみの鼻閉
  頭痛・肩こり
 アレルギー性鼻炎にも   アレルギー性鼻炎には無効
 単剤では今ひとつ     単剤では今ひとつ


葛根湯】      vs 【小柴胡湯
 初期の風邪        進行した風邪
 発熱           往来寒熱
 頭痛・悪寒・関節痛    咳・食欲不振・胃のもたれ・口苦
 初期の風邪の総合感冒薬  こじれた風邪の総合感冒薬

葛根湯加川芎辛夷】 vs 【小柴胡湯加桔梗石膏
 急性>慢性        急性〜慢性
 風邪の鼻症状       急性副鼻腔炎で発熱
 初期の副鼻腔炎      こじれた慢性副鼻腔炎
 温める          冷やす
 麻黄あり         麻黄なし
 アレルギー性鼻炎に有効  アレルギー性鼻炎に無効
 副鼻腔炎以外の鼻閉    鼻閉には無効
  頭痛・肩こりに     消炎強力(辛夷清肺湯に類似)
 単剤では今ひとつ     単剤では今ひとつ

▶ 難治性副鼻腔炎

● 免疫力を高めて対応 → 補中益気湯(41)

● 2剤併用(前出)
辛夷清肺湯+小柴胡湯)・・・松田邦夫先生愛用処方
辛夷清肺湯+小柴胡湯加桔梗石膏

▶ 各方剤解説

【葛根湯加川芎辛夷】(2)
● 構成生薬
葛根4-8;麻黄3-4;大棗3-4;桂皮2-3;芍薬2-3;甘草2;生姜1-1.5;川芎2-3;辛夷2-3 
● 生薬の薬効
麻黄(エフェドリン) → 鼻粘膜腫脹改善、鼻汁減少
葛根 → 抗炎症作用、排膿作用
 葛根+芍薬 → 抗炎症作用増強、排膿作用増強
川芎 → 排膿、頭痛改善
辛夷 → 鼻粘膜腫脹改善、鼻閉改善
葛根・芍薬・大棗・甘草 → 滋潤(鼻汁溶解)
麻黄・葛根・桂枝・生姜・川芎・辛夷 → 体を温める、冷えによる鼻閉改善 
● 薬効
以上をまとめると、葛根湯加川芎辛夷(2)の適応は、
 頭痛
 鼻閉 
 寒いと悪化する鼻症状
 水溶性鼻汁〇、粘膿性鼻汁△
 寒くて鼻水・鼻風邪〇 
 慢性<急性

★ ディレグラ®
・アレグラ+プソイドエフェドリン(プソフェキ)
・プソイドエフェドリン含有量は漢方薬の数倍
・薬剤性鼻炎に著効
・副作用:血圧上昇、頻脈、尿閉、嘔気(10人に1人)
 
【辛夷清肺湯】(104)
● 構成生薬《外科正宗》
辛夷2-3;知母3;百合3;黄芩3;山梔子1.5-3;麦門冬5-6;石膏5-6;升麻1-1.5;枇杷葉1-3 
● 生薬の薬効
辛夷 → 鼻閉改善
黄岑・山梔子 → 消炎(乾かす、分泌物を減らす) ← 黄連解毒湯(15)
石膏・知母 → 消炎(潤す) ← 白虎加人参湯(34)
枇把葉・升麻 → 消炎
(黄岑・山梔子・石膏・知母・枇把葉・升麻 → 消炎強力!
石膏・知母・麦門冬・百合・枇把葉 → 滋潤(粘液溶解)
● 薬効
・強力に消炎+潤す → 粘液溶解、膿性鼻汁排出改善
・感染が関与する副鼻腔炎・鼻炎に有効
 → アレルギー性鼻炎には無効
・慢性>急性
・石膏の副作用で消化器症状の可能性あり
・黄岑含有で間質性肺炎、肝機能障害の可能性あり
・甘草なし(偽アルドステロン症のリスクなし)
● 特徴
・OTC(市販薬)のチクナイン(小林製薬)
・安全性高い?
・黄岑含有 → 肝障害・間質性肺炎
● 製薬会社による違い
・クラシエ:石膏・麦門冬・辛夷・升麻が多く、山梔子・枇把葉が少ない

【小柴胡湯】(9)
● 構成生薬《傷寒論》
柴胡5-8;半夏3.5-8;生姜1-2;黄芩2.5-3;大棗2.5-3;人参2.5-3;甘草1-3
● 薬効:消炎、咳止め・去痰剤、吐き気止め、胃薬、安定剤
● 適応:往来寒熱、胸脇苦満、口が苦い、リンパ節炎

【小柴胡湯加桔梗石膏】(109)
● 構成生薬《本朝経験方》
柴胡7;半夏5;生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合4);黄芩3;大棗3;人参3;甘草2;桔梗3;石膏10
● 生薬の薬効
柴胡・黄岑・石膏 → 消炎
半夏・石膏 → 粘液溶解
桔梗 → 排膿
柴胡・半夏・生姜・人参・大棗・甘草 → 繊毛運動回復?(副交感神経刺激)
人参・大棗・生姜・甘草・半夏 → 胃薬(消化器への配慮)
● 薬効
・扁桃炎の漢方
・桔梗石膏:消炎・抗化膿、去痰、排膿
・気管支炎・肺炎にも有効
・「膿性痰を伴う咳」
● 適応
・扁桃炎
・咳・気管支炎
・咽喉頭炎
・化膿性中耳炎
・リンパ節炎
・唾液腺炎
● 応用
+半夏厚朴湯で咳・痰を減らす(柴朴湯)
+葛根湯加川芎辛夷(柴葛解肌湯の猿まね)

▶ 副鼻腔を漢方医学でどう捉えるか?

● 副鼻腔の特性
・半表半裏(表でも裏でもない)
・追い出す(解表・邪を下す)対応はできない
 → 和法
・咳の治療と同様
・小柴胡湯(9)の適応

▶ 漢方医学における表裏の概念
● 表
・体表部付近
・表証:体表部に闘病反応の結果が表出
 → 頭痛、悪寒、発熱、項背筋のこわばりと痛み、四肢の関節痛・筋肉痛
・治療法:体表から侵入しようとしている「寒邪」を発汗して追い出す

● 裏
・身体深部:消化管付近
・裏証:身体深部に闘病反応の結果が発現
 → 消化器症状:腹満、下痢、便秘
 → 身体深部の熱感、稽留熱、せん妄
・治療法:便秘で病邪が消化管にとどまる場合は下して追い出す

● 半表半裏
・胸郭内症状:咳嗽、胸満感、胸痛、胸内苦悶感
・上部消化器症状:悪心、嘔吐、口苦、心窩部痛、季肋部痛
・治療法:追い出せないので病邪を抑制(抗菌薬のイメージ)

 
<参考>
ちょいたし漢方・副鼻腔炎・副鼻腔炎気管支症候群(竹越哲男Dr.)
▢ 要約:副鼻腔炎・副鼻腔気管支症候群(竹越哲男Dr.)
 
<追加>
※ 市村恵一先生による漢方治療解説(Dr.s Prime Academy)

● 葛根湯加川芎辛夷(2)
・鼻炎あるいは副鼻腔炎による慢性化した鼻閉、鼻漏、後鼻漏などに用いられる。
・若年者、成人の慢性副鼻腔炎で漢方治療する場合の第一選択薬であり、頭重感、肩こり、鼻閉が続く場合に用いる。

● 辛夷清肺湯(104)
・鼻汁がより膿性の場合や、後鼻漏が多い場合、鼻茸合併例に用いると良い。
・小児には飲ませにくいのでカルピスソーダやヨーグルトに混ぜると飲んでくれる。

 

〜繰り返す、治りにくい、鼻づまりがつらい〜

集団生活が始まると、
乳幼児は風邪の洗礼を受けます。

中には「治る&もらう」を繰り返し、
「うちの子、免疫力が弱いのかしら」
と家族が不安になるケースも。
基本的に風邪を引いても、治って一旦元気になって、またもらうパターンは心配ありません。ただ、風邪の原因ウイルスは200種類もあるのでエンドレスです。

日々の診療では、

 「入園してからずっと風邪を引いてます」

 「かぜ薬を飲んでいるけどなかなか治りません」

 「鼻水・鼻づまりがつらそうで、夜眠れません」

 「咳止めを使っているのに夜中に咳き込んで目が覚めます」

等の悩みを、保護者の方からよく聞きます。
 

西洋薬で解決できないこのような悩みを、漢方薬が改善・解決してくれる可能性があり、当院では漢方薬の併用をオススメしています。

お役立ちケースを紹介します;

▶ 風邪を繰り返す、ずっと風邪を引いている

 → 漢方薬で風邪の回数と程度が軽くなることが期待できます。
 体力を底上げして健康になる薬、
 風邪を予防する薬、
 慢性の炎症を抑える薬、
 などがあります。

(例)小建中湯(99)、黄耆建中湯(98)、補中益気湯(41)

  柴胡清肝湯(80)、柴胡桂枝湯(10)

▶ 鼻水・鼻づまりが治りきらない、夜がつらそう

 → 鼻汁・鼻づまりは漢方の得意分野、西洋薬よりも明らかに効きます。
 透明な水様鼻汁、にごった白色鼻汁、青っぱなが止まらない・・・
 など、鼻水の様子で使い分けます。

 (例)小青竜湯(19)、葛根湯加川芎辛夷(2)、辛夷清肺湯(104)

  上記薬剤に小柴胡湯(9)/小柴胡湯加桔梗石膏(109)併用で効果アップ


▶ 薬を飲んでいるのに咳が止まらない

 → 西洋薬で改善しない咳にも漢方が有効です。乾いた咳、湿った咳、エヘン虫の咳、後鼻漏による咳、などで使い分けます。咳払いのクセにも効果が期待できます。

(例)麦門冬湯(29)、五虎湯(95)、半夏厚朴湯(16)、柴朴湯(96)、

   葛根湯加川芎辛夷(2)、辛夷清肺湯(104)



 スクリーンショット 2025-01-29 18.26.40

<参考>
・「HPVワクチンの接種を逃した方に接種の機会をご提供します」(厚生労働省)
子宮頚がんの予防効果が高い9価HPVワクチンが公費で接種可能に(政府広報オンライン)

<各病気の説明>

▶ 子どもの嘔吐・下痢(=感染性胃腸炎)とホームケア

▶ 気になるRSウイルス感染症

▶ 溶連菌性咽頭炎は繰り返す?

マイコプラズマは肺炎になるとは限らない

▶ 夏かぜ(ヘルパンギーナ・プール熱・手足口病)

▶ りんご病(伝染性紅斑)〜妊婦さんはご用心

▶ 水いぼ(伝染性軟属腫)はウイルス感染症


<総論>

▶ 子どもの発熱と対処法

▶ 熱性けいれん

▶ かぜはいつまで人にうつるの? 

▶ 抗菌薬(抗生物質)適正使用について

▶ かぜ・発熱と予防接種

乳幼児の発熱や熱性けいれんは、ご両親の心配事の上位にランクされる病態です。
どんな風に考えればいいのか、どのように対処すべきか、小児科専門医が解説します。

▶ 子どもの発熱と対処法

▶ 熱性けいれんについて

▶ 子どもの嘔吐・下痢(感染性胃腸炎)とホームケア

▶ 気になる「RSウイルス」感染症

▶ マイコプラズマが心配な方へ

▶ 夏かぜ(ヘルパンギーナ・プール熱・手足口病)にご用心!

▶ りんご病(伝染性紅斑)のお話

▶ 溶連菌性咽頭炎のお話

▶ かぜはいつまで人にうつるの?

▶ かぜ・発熱と予防接種

▶ インフルエンザワクチン 2024 

当院では日本の接種回数を基本としつつ、WHOや米国の方法を取り入れて、接種回数を少なくする方法を提案しています。
効果が変わらなければ、痛い思いは少ない方がよいですよね。

また、2024年から「痛くないワクチン」(経鼻生ワクチン、商品名「フルミスト」)を導入します。注射ではなく鼻の穴にスプレーする方法です。
注射が恐くてインフルエンザワクチンを接種できなかったお子さんは、是非ご検討ください。

■ 日本・WHO・アメリカの接種回数を比較してみると?

 実は、日本と外国では小児への接種回数が異なります。例として下表にWHOとアメリカにおける接種回数を示しました。
日本では12歳までは2回接種ですが、WHO/アメリカ方式では、より低年齢の9歳以上で1回接種、それ以下の年齢でも過去の接種をカウントして回数を減らしています。

 つまり、「乳幼児にも1回接種が導入されているのが世界標準」です。



6ヶ月~2

3歳~8

9歳~12

13歳~

日本

2回

1回

WHO

1~2回(注1)

1回

米国

1~2回(注2)

1回

(注1)過去に接種歴があれば1回 (注2)過去に2回接種歴があれば1回


 その理由は、乳幼児でも1回接種でも抗体がつくことがわかっているからです(裏面を参照)。

 当院では2015年からWHOやアメリカ方式を参考に3歳以上9歳未満は、過去に2回接種してあれば1回でも可という方針にしています。


 2024/25シーズンの当院の方針 


6ヶ月~2

3歳~8

9歳~12

13歳~

当院

2回

 1~2回()

1回

※ 過去に2回接種歴があれば1回

 

 当院の方針は強制するものではありませんので、「1回でホントに大丈夫?」と悩んで決められない方は、従来通りの日本方式をお勧めします。

 

▶ 3歳以上は1回接種でもよい理由


1回接種と2回接種の抗体陽転率(=有効率)を調べてみると、3歳以上13歳未満ではその差があまりないことがわかります。 
スクリーンショット 2024-09-05 10.25.21

上の表はインフルエンザワクチン(ビケンHA)添付文書にある表です。ワクチンの効果は「HI抗体価」の「抗体陽転率」で判定し、ヨーロッパのワクチン認可基準は70%以上です。さて、A型株の抗体陽転率赤下線部)を見てみると・・・


<6ヶ月以上 3歳未満>

 1回接種後は40%に達せず、2回目の上乗せ効果は30%以上。


<3歳以上 13歳未満>

 1回接種後に70%以上、2回目の上乗せ効果は10%以内。


以上より;

 6ヶ月~3歳  :2回必要

 3~13歳未満:1回でも十分

と判断しました。

ただし、3~13歳未満でも2回接種後の上乗せ効果が少しあり「有効率を1%でも上げたい」と思う人は日本方式をお勧めします。

※ 残念ながら、B型は2回接種でも60%未満にとどまります。


!!!注意!!!

インフルエンザワクチンの重症化予防効果は約70%であり、決して100%ではありません。


↑このページのトップヘ