カテゴリ: アレルギー

花粉症で病院・医院を受診すると、アレルギー性結膜炎に対する点眼薬が処方されます。しかし、正しく使用できている方は(私を含めて)少ないようです。
アレルギー学会主催の眼科専門医のレクチャー内容を伝授します。

▶ 正しい目薬の使い方
① 1滴だけでOK
② まばたきしない
③ 2つ以上使う場合は5分以上間隔を開ける
④ 処方箋の回数を守る

<解説>
① 1滴だけ
・点眼1滴は40μL、結膜嚢容量(目全体に行き渡る量)は30μL
② まばたきしない
・まばたきをすると鼻涙管への排出が増えてなくなってしまう
③ 2つ以上使う場合は5分以上間隔を開ける
④ 処方箋の回数を守る(プロアクティブ点眼)
・1日2回(あるいは4回)使用して最大効果を発揮するように作られている。
・「かゆくなったら点眼」では十分な効果が得られない。


▶ チェックすべき点眼薬の性質
(点眼回数)
・1日1回・・・軟膏製剤のみ
・1日2回
・1日4回・・・標準
(刺激感)
・涙液の pH は7.4(中性)
・涙液よりも酸性・アルカリ性に傾くと刺激感あり
(防腐剤)
・BAK-free(Benzalkonium chloride):コンタクト・レンズ使用者、BAKアレルギー患者に
・防腐剤 free:角膜上皮障害患者、防腐剤アレルギー患者

※ 防腐剤無添加の点眼液「PF(Preservative Free)デラミ容器®」
PFマークが目印
<参考>
PF点眼薬の正しい使い方(ロート製薬)

▶ 刺激感が少ない点眼液例
・塩酸レボガドスチン(リボスチン®点眼液):中性
・塩酸オロパタジン(パタノール®点眼液):中性
・エピナスチン塩酸塩(アレジオン®点眼液、アレジオンLX®点眼液):中性

▶ BAK free の点眼液
・エピナスチン塩酸塩:アレジオン®点眼液(中性)、アレジオンLX®点眼液(中性)
・クロモグリク酸ナトリウム:クロモグリク酸Na®・PF点眼液(酸性)
・トラニラスト:トラメラス®PF点眼液(中性)
・ケトチフェンフマル酸:ケトチフェン®PF点眼液(酸性)
・アシタザノラスト水和物:ゼペリン®点眼液(酸性)

▶ アレジオン®眼瞼クリームの登場(2025年)
・上下眼瞼に1日1回塗布
・子ども、多剤点眼使用者、アドヒアランスが低い患者などへ有用な選択肢
・眼瞼炎への使用は推奨されない

・・・成人女性にも評判が良いようです。1日1回でよいので、夜メイクを落としたあとに塗ると1日効果が持続するのがポイントらしい。

▶ ステロイド点眼の種類
(弱)フルオロメトロン0.02%点眼液
(中)フルオロメトロン0.1%点眼液
(強)ベタメタゾン0.1%点眼液、デキサメタゾン0.1%点眼液

▶ ステロイド点眼の副作用
・眼圧上昇に注意:ピークに至るまでの期間は;
✓ デキサメタゾン0.1%では平均8日
✓ フルオロメトロン0.1%では平均14日
 → 安全に使うには1週間以内にとどめるべし
・眼圧が上昇して緑内障を発症しても、末期にならないと自覚しない、一度欠けた視野は治らない。

▶ 非薬物療法も大切
・洗眼液や人工涙液を用いた洗眼 → 抗原の除去
(例)ウェルウォッシュ®(Santen)
・防護カバー付きのメガネの装用 → 抗原曝露の回避
・冷却圧迫の併用 → 搔痒感の改善

▶ 花粉症期間中もコンタクト・レンズを使う場合の注意点
・半数以上が花粉症時期もコンタクトを使い続けているというデータあり。
・コンタクト・レンズに花粉が付着すると、巨大乳頭結膜炎の合併リスクがある。
・花粉時期は使用をできる限り中止すべし。あるいは1dayソフト・コンタクトレンズに変更する。
・点眼薬はBAKフリーのものを使用する。

花粉性眼瞼炎
・I&IV型アレルギー
✓ 花粉症時期に目の周りの皮膚が荒れる症状。
✓ 境界明瞭な紅斑(赤い斑点)と浮腫(むくみ)
✓ 女性に多い(クレンジング使用など皮膚バリア機能低下)
✓ 花粉パッチテスト陽性
・接触眼瞼皮膚炎も合併しやすい
✓ 抗アレルギー点眼薬(例:ケトチフェン)
✓ 防腐剤(BAK)
✓ アミノグリコシド系抗菌薬
✓ 植物

「正しい点眼法」を検索していたら製薬会社HPに「親が子どもに点眼するときのポイント」という記述を見つけましたので、引用・抜粋させていただきます。

▶ 親が子どもに目薬を点すとき

① ひざ枕で仰向けに寝かせる

まず手を清潔にします。ひざ枕をして、足の間に子どもの頭をのせて、仰向けに寝かせます。この時、子どもが泣いていると目薬を点しても流れ出てしまうので、子どもが落ち着いて点せる状態で行ってください。

② 下まぶたに目薬を点す

子どもの下まぶたをそっと引っぱって「あかんべえ」の状態にし、下まぶたの上に目薬を点します。その後目を閉じると、目薬が目の中に入っていきます。
ここで注意したいのは、目薬を直接目に着けないようにすることです。感染症予防のため、また、目薬の中に目やにやゴミなどの異物が入ることを防ぐためです。
どうしても目を閉じてしまう子どもは、目の周りを清潔にしてから、目頭あたりに目に触れないように注意して点してください。点したあとにまばたきをすることで、目薬が目の中に入っていきます。

③ 目のまわりにこぼれた目薬を拭きとる

目薬を差した後は、目からあふれた分は清潔なガーゼ、ハンカチ、ティッシュなどで拭きとります。拭き取らずに皮膚についたままにしていると、かぶれてしまう可能性もあるので、忘れずに拭いてあげましょう。


<参考>
・木村芽以子先生講演記録(第12回総合アレルギー講習会2026)
目薬の点し方~自分にも、子どもにも、年を重ねても~(ロート製薬)

私がアレルギー専門医資格を取得した頃(1990年代)の食物アレルギー分野の医学は、どちらかというと宗教的なイメージが強く、学会のセクションを覗いても一種異様な雰囲気がありました。
2000年代に、それに穴を開けてサイエンスしたのが昭和大学小児科の故・飯倉洋治教授です。クセのある人物でしたが、食物アレルギーを発展させた功労者だと私は思っています。
その後、食物アレルギーの進歩は目まぐるしく、毎年のように新しいエビデンスが公表されるようになりました。
ここに基礎知識の整理をして残しておきます。

二重抗原曝露仮説:Dual allergen exposure hypothesis
(Lack G. J Allergy Clin Immunol. 2008; 121: 1331-1336)

(皮膚暴露)
 湿疹など荒れた皮膚から抗原が入る
  ⇩
 皮膚からアレルゲンが入ってくる
  ⇩
 経皮感作
  ⇩
 アレルギーを発症

(経口暴露)
 口からアレルゲンを摂取
  ⇩
 腸にアレルゲン
  ⇩
 経口免疫寛容(アレルゲンと反応が起こらないしくみ)
  ⇩
 アレルギーを抑える


▶ 環境中には食物アレルゲンがたくさん存在する
(Kitazawa H,et al. Allergol Int. 2019; 68(3): 391-393)
(Yasudo H,et al. Allergol Int. 2023 Oct; 72(4): 607-609)
(Yasudo H,et al. J Dermatol Sci. 2021 Dec; 104(3): 213-215)

・3歳児の布団のホコリすべてから鶏卵アレルゲンを検出し、ダニの主要アレルゲンより多かった。
・ベッドやリビングのホコリにクルミの蛋白を検出。
・ペットの毛にも食物(鶏卵・ピーナッツ)アレルゲンを検出。

▶ 食物アレルギー発症予防戦略
〜早期に皮膚を正常な状態にする&早期からアレルゲン摂取により食物アレルギー予防
・皮膚暴露対策:早期皮膚介入でアレルギー予防(PACI Study: JACI 2023)
・経口暴露対策:早期経口摂取でアレルギー予防
 ✓ ピーナッツ(LEAP Study: NEJM. 2016)
 ✓ 卵(PETIT Study: Lancet, 2017)
 ✓ 牛乳(SPADE Study: JACI, 2021)

PETIT研究(Natsume,et al. Lancet. 2017; 389: 276-286)
(対象)アトピー性皮膚炎児
(方法)加熱全卵粉末を毎日摂取
 生後5〜6か月から25mg(全卵0.2g相当)
 生後9ヶ月から125mg(全卵1g相当)
(結果)1歳時点でのたまごアレルギー発症
 コントロール群:38%
 鶏卵早期摂取群:4%
(結論)
 生後5〜6か月から微量加熱全卵(卵黄+卵白)を毎日摂取することで安全に鶏卵アレルギーの発症を抑制できた。
(発展)
 PETIT研究に基づいたタンパク量の加熱全卵粉末が開発された(ミルステップegg®1/2/3 Https://bcase.co.jp/mealstep-egg/)

LEAP研究(Du Toit G,et al. N Engl J Med. 2015 Feb 26; 372(9): 803-813)
〜ピーナッツ早期摂取によるアレルギー予防
(対象)アトピー性皮膚炎児 卵アレルギー
(方法)生後4〜11か月児に1週間でピーナッツ蛋白を6g摂取(ピーナッツとして約24g)
(結果)5歳時点でのピーナッツアレルギー発症
 コントロール群:17.2%
 早期摂取群:3.2%
(結論)
 生後4〜11か月から1週間に24gピーナッツを摂取するとピーナッツアレルギー発症を抑制できた。

▶ マルチアレルゲン早期摂取
(Nishimura,at al. Allergol Int. 2022 Mar 30: S1323-8930(22)00011-9)
(対象)アトピー性皮膚炎児
(方法)6品目パウダー(卵白粉末、ミルク粉末、小麦、大豆、そば、ピーナッツ)を生後3-4か月から摂取開始、2、4週目で増量し合計12週間摂取(食品でそれぞれ2.5mg、7.5mg、20mg)
(結果)1歳半時点での食物アレルギー発症率(コントロール群/摂取群)
・すべての食品:23.8%/8.4%(6.5割の予防効果)
・卵:16.3%/6.0%(6割の予防効果)
・卵以外:13.2%/4.8%(6割の予防効果)

▶ 海外と日本の補完食ガイドラインの状況
(海外)WHO、EAACI、AAAAI、BSACI、DGAなど
・生後4〜6か月からの導入を推奨
・ナッツ類も適切な形状(ペーストやパウダー)で開始
・1歳より遅らせる理由がない
・食物アレルギーハイリスク集団では生後4か月から
・乳は生後1週間は摂取しない
(日本)授乳・離乳の支援ガイド2019
・生後5〜6か月から卵黄・豆腐など
・生後7〜8か月から卵白
・ナッツ類については特に記載なし

▶ アレルゲン早期導入食品の開発
・ミルステップegg®1/2/3(https://bcase.co.jp/mealstep-egg/)
・パクパ(シングルアレルゲン、日本)(https://fufumu.com/pages/paqupa)
・Lil mixins(シングルアレルゲン、アメリカ)(https://www.lilmixins.com/)
・Ready set food!(マルチアレルゲン、アメリカ)(https://readysetfood.com/)
(現況と問題点)
・早期導入製品は利便性がよく実行可能性に有用
・製品後とのばらつきや精度、予防効果に問題が残る(経済的な問題も)
・食品により感作が始まる時期が異なるため、食品ごとの最適な導入時期の検討が必要

▶ Difense Study(2025年現在進行中)
(対象)生後42日から90日までのアトピー性皮膚炎児
(方法)2群に分けて登録16週後の食物アレルゲン(卵白・牛乳・小麦・クルミ・ピーナッツ)感作の割合を比較
A群:モイゼルト塗布群
B群:ヒルドイド塗布群

食物アレルギー患者さんが集団生活に入り、給食が用意される状況では、除去などの対策が必要になります。保護者が園や学校に配慮を希望する場合には生活管理指導表を作成します。

しかし、医師の間でも温度差があり、園や学校側が混乱してしまうケースが後を絶ちません。
(一応)アレルギー専門医である私が、作成の際に気をつけている点を説明します。

▶ 正確な診断
・検査陽性+食べると症状が出る → 確定診断
・検査陽性+食べても症状なし → 食物アレルギーではない
・検査陽性+未摂取 → 食物アレルギーの可能性(負荷試験が必要)
  → 負荷試験未施行の場合は園・学校では除去せざるを得ない。
  → 負荷試験ができる医療機関へ紹介。

▶ 「とりあえず除去」を避けるために
・「心配だから多項目スクリーニング検査」は慎重に。
・スクリーニング検査で陽性でも食べて症状が出なければ除去は不要。
・スクリーニング検査陽性で安易に「とりあえず除去」を指示すると、児・保護者・園/学校の負担増。

▶ ナッツ類はスクリーニング検査を考慮
・ナッツ類のアレルゲンコンポーネント検査(一般のアレルギー検査とは異なる)は感度・特異度が高いため、一つのナッツにで症状が出る場合は考慮すべき。
・アレルゲンコンポーネント例
(例)クルミ → Jug r 1
(例)カシューナッツ → Ana o 3
(例)ピーナッツ → Ara h 2

▶ 学校給食での食物アレルギー対応例
・献立表対応
・除去食対応
・弁当対応
・無提供

▶ 生活管理指導表の「診断根拠」
・症状が出た(エピソードあるいは負荷試験陽性)+検査陽性 → ⭕️ 
・診断根拠無記載 → ❌️ 
・血液検査陽性+症状なしでの除去は❌️ 
・血液検査陽性+未摂取での除去は△ → 「食物アレルギーの可能性」にとどまる。

▶ 生活管理指導表の「除去内容」
・安易に「すべて」にチェックを入れない。
・ナッツ類は個々の食材を記入すべし。
(例)クルミ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、松の実、クリ、ギンナン、ココナッツ、カカオ、・・・

▶ 安全に解除するために気をつけるべき点
・日常摂取量で無症状になるまでは完全除去対応が基本。
・学校での部分解除指導は行わない。
 → 事故防止の観点から摂取可・完全除去の二者択一が望ましい。
・自宅での摂取状況、負荷試験の結果などの情報提供が望ましい。
・小学生以上は「運動負荷」を考慮
(例)日常摂取量で無症状でも、激しい運動が加わると誘発されることがある


▶ 「より厳しい除去が必要なもの」の考え方
・これらに反応する患児は重症症例のみ。
・実際にこれらの食材での既往がある場合に除去が必要、なければ必要なし。
(例)大豆あるいは小麦でじんま疹が出るが、味噌や醤油では無症状

▶ 花粉・果物アレルギーについて
・近年増えてきた病型で口腔アレルギー症状のみ。
・生の果物野菜には反応するが、加熱や加工したものは症状が出にくい。
・対応は学校と養育者が相談して決めるが、高学年で自分で理解していれば「本人任せ」も。
・「除去」で作成する場合は、「加熱した〇〇は摂取可能」と記載するとよい。

この食物アレルギー、ちょっと変わっています。
アレルゲンとなる食物を食べただけでは症状が出ないのです。
でも、その食物を食べた後に運動すると強いアレルギー症状(アナフィラキシー)が出ます。
そして運動しただけでも症状が出ません。つまり、

 アレルゲン食物摂取(単独) → 無症状
        運動(単独) → 無症状

 アレルゲン食物摂取 + 運動  → アナフィラキシー

という構図です。
ですから、患者さん自身は気づきにくく、医師が積極的に疑わないと診断にたどり着きにくいという特徴があります。

典型的には・・・
・小学生中学年以上の生徒が、 
・学校給食でパン(小麦)を食べて、 
・5時間目、あるいは6時間目の体育の授業中に症状が出る、
というパターンですね。

では病気の解説をします。
 
病名】食物依存性運動誘発アナフィラキシー
(FDEIA,food-dependent exercise-induced anaphylaxis)

定義
食物摂取単独あるいは運動負荷単独での症状は認められず、ある特定の食物摂取後の運動が加わることによって、全身じんま疹、喘鳴などを呈するアナフィラキシーが誘発される病気。

疫学
・発症:10〜20歳代以降。
・男女比:男性>女性
・頻度は学童で0.0047%、中学生で0.018%(2012年、横浜市)。
・頻度は国によって異なる。
・何らかのアレルギー疾患の既往がある例が多い。

原因食品と運動

▶ 原因食品
食物アレルギー診療ガイドライン2021より)
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・(日本)小麦>甲殻類>軟体類
※ 「食物アレルギー診療ガイドライン2021」(日本小児アレルギー学会)によると、小麦62%、甲殻類28%、そば3%、2%、果物1%、牛乳1%。
※ 小麦によるFDEIAは特に小麦依存性運動誘発アナフィラキシーWDEIA)とも呼ばれる。

・近年は果物や野菜が増加傾向。
・複数の食品が原因抗原になり得る。

▶ 誘発する運動
・運動強度の高い運動(フットボール、ランニング、ダンスなど)での発症が多い。
・散歩のような軽度の運動でも症状が出ることがある。
・入浴でも症状が出ることがある。
※ 「食物アレルギー診療ガイドライン2021」(日本小児アレルギー学会)によると、球技38%、ランニング28%、歩行17%、自転車3%、水泳3%、ゴルフ3%

症状
・食後から運動開始まで2時間以内で、運動開始後1時間以内の発症が多い。
・なかには食後4時間の運動で発症した例もある。
・皮膚症状(全身じんま疹、血管性浮腫、紅斑)がほとんどの例で出現する。 
・ほかに、呼吸器症状(70%)、ショック症状(50%)。
・半数以上が再発し、頻回に繰り返す例もある。


アナフィラキシーの診断基準】「アナフィラキシーガイドライン2022」(日本アレルギー学会)
1.皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性のじんま疹、かゆみまたは紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)が急速に(数分〜数時間で)発症した場合で、さらに少なくとも次の一つを伴う;
A. 重度の呼吸器症状(呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支れん縮、吸気性喘鳴、低酸素血症)
B. 循環器症状(血圧低下、筋緊張低下、失神、失禁など)
C. 重度の消化器症状(重度のけいれん性腹痛、反復性嘔吐など)
2.典型的な皮膚症状を伴わなくても、その患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性が極めて高いものに暴露された後、血圧低下または気管支れん縮または喉頭症状が急速に(数分〜数時間で)発症した場合;
(乳幼児・小児)収縮期血圧が低い(※)、または30%を超える収縮期血圧の低下
(成人)収縮期血圧が90mmHg未満、または本人のベースライン値に比べて30%を超える収縮期血圧の低下。
※ 乳児および10歳未満の小児:収縮期血圧が(70+[2×年齢(歳)])mmHg未満

症状を増悪させる因子
・食物、運動のほかに複数の要因が発症に影響する。
(全身の状態)疲労、寝不足、感冒
(自律神経)ストレス
(女性ホルモン)月経前状態
(気象条件)高温、寒冷、湿度
(薬剤)NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬:アスピリンなど)
※ 運動をしなくても、NSAIDsの服用によって食物アレルギー症状が誘発されることがある。アスピリン前投薬により皮膚テストの原因アレルゲンに対する反応が増強されることが示されている。
(その他)アルコール摂取、入浴、花粉飛散時期

病態
・アレルゲン特異的IgE抗体が関与する即時型アレルギー反応。
・運動により腸管上皮からの透過性が亢進し、アレルゲンの吸収が促進されることで発症すると考えられている。

鑑別すべき病気
・気管支喘息発作:皮膚症状は出ない。
・急性じんましん・血管性浮腫:腹痛(消化器症状)・血圧低下(循環器症状)はない。
・不安発作・パニック発作:皮膚症状、喘鳴(呼吸器症状)、血圧低下(循環器症状)はない。
・血管迷走神経反射:皮膚症状、呼吸器症状、消化器症状は出ない。

診断
1.問診
・食後から2時間(〜最大4時間)以内の運動負荷でアレルギー症状を呈した場合に疑う。
※ ただし、症状の再現性は低く、食物+運動+αの要素がある病気である。
2.血液検査
・疑われる食品の特異的IgE抗体を検査する。
・特異的IgE抗体陽性率は80%、皮膚テスト陽性率は90%。
(例)小麦では、小麦とω-5 グリアジン
 → ω-5 グリアジンは陽性適中率:38%、陰性的中率:91%、感度:93%(成人)、46%(20歳未満)
※ 20歳以下では高分子量グルテニン特異的IgE抗体陽性率が高い。
・甲殻類の原因アレルゲンは不明であり、感度・特異度の高い血液検査はない。
3.運動誘発負荷試験(入院管理下)
・疑わしい食品を摂取して30〜60分後に運動負荷(トレッドミル、エルゴメーター)を行う。
・偽陰性が多い検査のため、陰性の場合はアスピリン前負荷投与後に再度行うことも検討。

対応・生活指導
1.運動回避:
・原因食物を摂取後、最低2時間(可能であれば4時間)は運動を避ける。
・運動2〜4時間前の原因食物摂取を禁止する。
・NSAIDs内服時は原因食物を摂取しない。
・運動時に軽い症状が出た時点でただちに運動を中止して、2〜4時間は休憩する。必要に応じて医療機関を受診する。
・学校給食について、原因食物の除去が必要かどうかを、患者家族・医師・学校で検討する。
(例)学校では除去、家庭では運動に気をつける条件で許可、など。
2.アナフィラキシーへの対応
・頻回発症例や重症例にはアドレナリン自己注射製剤(エピペン®)の処方を検討。

予後
・将来治るかどうか、一定の見解はない。 
・ω-5 グリアジン特異的IgE抗体陽性のWDEIAの長期予後は不良の可能性が高いと報告されている。
 

<参考>
小児科 2023年4月号 Vol.64 No.4 2023(金原出版)
大人の食物アレルギー必携ハンドブック(永田真著、中外医薬社、2024年発行) 

21世紀となり、喘息の治療の中心は吸入ステロイドになりました。
20世紀に小児科医になった私は、それまでのテオフィリン製剤やDSCG吸入が懐かしい。

さて現在、吸入ステロイド製剤は百花繚乱状態で、次々に新しい製剤が登場しています。
しかし規格がバラバラで、吸入方法もバラバラ・・・混乱状態とも言えます。
 
小児科医の視点で、現在使用可能な吸入ステロイド製剤を一覧表に整理してみました。

 スクリーンショット 2025-10-26 15.04.36
当院使用の吸入ステロイド薬

じんま疹には西洋医学の抗アレルギー薬が有効です。

効きが悪い場合は、
① 他の抗アレルギー薬に変更する。
② 他の抗アレルギー薬を追加する。
③ 短期間、ステロイド薬を使用する(皮膚科専門医)。
等の方法があります。

私は①②でも解決しない場合、漢方薬を提案しています。
有効な漢方薬が見つかると、
それを内服し続けることにより体質改善が期待できるので、
すべての薬を休薬できる可能性があるのが漢方薬のメリットです。


漢方医学では西洋医学のように「じんましん → 抗アレルギー薬」という単純な公式ではなく、
患者さんの体質・体調により複数の方剤を使い分けます。

いろいろ調べた結果、谷口聖明先生の解説がわかりやすいので引用・紹介します。
まずは私が好きな“陰陽虚実グラフ”を提示します;

スクリーンショット 2025-02-16 7.26.15

陰陽虚実の意味するところは、グラフの文言を参考にしてください。
3つの方剤がありますが、すべて実証&陽証のため、これだけでは使い分けが難しい。

次に、「発症後どのくらい時間が経過しているか」による使い分けを提示します。

スクリーンショット 2025-02-16 7.26.54

こちらは単純でわかりやすい。

(急性期)葛根湯(1)
(亜急性期)十味敗毒湯(6)
(慢性期)大柴胡湯(8)

なぜこうなるのか?
病気の経過の起承転結を漢方では「六病位」で表現します。
上表の右端の項目ですね。
これは病気の始まりは体表が侵され、進行すると体内が侵されるというイメージです。

その順番は、
太陽病 → 少陽病 → 陽明病 → 少陰病 → 太陰病 → 厥陰病
ですが、じんましんに使う方剤は太陽病・少陽病期のもの。
イラストを提示します。

スクリーンショット 2025-02-16 7.26.34

つまり、漢方医学的には、

太陽病期 → 葛根湯(1)
表的少陽病期 → 十味敗毒湯(6)
裏的少陽病期 → 大柴胡湯(8)

となります。
少陽病をさらに細かく“表的”と“裏的”に分けているのが興味深いですね。

私は「皮膚科で抗アレルギー薬治療しているけどよくならないじんましん」の相談を受けると、
漢方薬を提案し、希望があれば処方しています。
抗アレルギー薬併用、OKです。

急性期には葛根湯、
亜急性期には十味敗毒湯、
慢性期には大柴胡湯。

有効であれば、抗アレルギー薬を減量・中止し、
いずれ漢方薬も減量・中止していきます。



<参考>
じんましんの漢方(その2
1剤で治まらないときの併用療法の説明です。

<参考ブログ>
(2023.04.27)陰陽・虚実・寒熱で使い分けるじんま疹漢方

当院の花粉症診療の特徴は、
・漢方薬の併用により効果・満足度をアップ
・オンライン診療に対応
していることです。
※ おとなの花粉症も条件付で診療しています。

子どもの花粉症

おとなの花粉症

舌下免疫療法

舌下免疫療法の副反応 

子どもの花粉症と分けて項目を作ったのには理由があります。
大人で使う薬は小児とは違った注意点が存在するからです。それは以下の2つ;
・車の運転
・妊娠・授乳


車の運転が許可されている(添付文書に注意喚起がない)抗アレルギー薬は限定されます
また、「妊娠中でも安全に使用できる」ことを保証している抗アレルギー薬はありません授乳中も「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」と、何かあったときは医師に責任を転嫁するというずるいしくみになっています。

当院は小児科ですが、子どもの付き添いで来院したおとなの花粉症も“条件付き”で診療しています。その条件とは、

① 診断が確定している。
② 他に持病がない。
③ 他に薬を飲んでいない。
④ 妊娠していない(治療期間中に妊娠予定がない)。
⑤ 授乳中の場合は、漢方薬を飲める方。

の5点です。②と③は、薬の飲み合わせを確認するのが大変で診療が止まってしまうため。①②③④⑤のすべてをクリアした方は当院で診療可能です。ただし処方は「最長1ヶ月単位」とさせていただいています。

・・・以上にご了承いただける方のみ、ご相談ください。

当院の特徴は、
・漢方薬併用により眠気中和&効果倍増、高い満足度
・オンライン診療に対応
です。自分に合う薬・治療法が決まるまでは通院していただきますが、一旦治療が決まるとオンライン診療(※)に切り替えることができます。
※)自宅にいながらスマホで診察室の私とつながり診察&処方が可能です。
なお、花粉症の種類や診断については、「子どもの花粉症」の項目に書きましたのでそちらをご参照ください。では早速、実際の治療のお話に入ります。

▶ 基本治療:(抗アレルギー薬内服)+(局所療法:点眼・点鼻)

まずは抗アレルギー薬(内服薬)のお話を。
子どもの治療と異なる点は「眠くなる薬を使えない」ことです。成人では車の運転をする方がほとんどと思われ、以下のような「車の運転が許可されている薬」に限定されます。

・ロラタジン(クラリチン®)
・フェキソフェナジン(アレグラ®)
・ビラスチン(ビラノア®)


残念ながらロラタジンとフェキソフェナジンは、眠くならない代わりに効果が今ひとつ、という弱点があります。
ビラノア®は最近登場した薬ですが、眠くなりにくいけど効果がある、と評判です。ただし空腹時内服(※)というルールがあり、タイミングが難しくて内服を忘れてしまいがち、という欠点もあります。
※ )食前1時間〜食後2時間は避ける、この時間帯に服用すると効果が半減する
当院で処方可能なすべての薬のラインナップを、効果と眠気の強さでランキングしつつ紹介しておきます。

効果:①強 → ⑥弱)
① オロパタジン(アレロック®)
② レボセチリジン(ザイザル®)
③ ビラスチン(ビラノア®)
④ エピナスチン(アレジオン®)
⑤ ロラタジン(クラリチン®)
⑥ フェキソフェナジン(アレグラ®)

眠気:①強 → ⑥弱)
① オロパタジン(アレロック®)
② レボセチリジン(ザイザル®)
③ エピナスチン(アレジオン®)
④ ロラタジン(クラリチン®)
⑤ フェキソフェナジン(アレグラ®)
⑥ ビラスチン(ビラノア®)

つまり、効果と眠気は比例関係にあるのですね(セミナーでは否定する講師が多いのですが)。わかりやすい一覧表を見つけましたので引用します(こちらから)。⭕️は「車の運転OK」の薬です。

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上記抗アレルギー薬の他に、別系統の抗アレルギー薬を併用することもあります。「抗ロイコトリエン薬」というグループで、以下の2種類があります;

・プランルカスト(オノン®)
・モンテルカスト(キプレス®、シングレア®)


鼻閉に有効、とされていますが、実感として効果はそれほど強くありません。鼻閉には後に述べる漢方薬の方が手応えがあります。

★ 授乳中の方へ
(⇩)妊娠時の安全性評価・授乳中のカテゴリー(2017年改定版)(神戸医療センター母乳育児推進委員会
授乳婦への抗アレルギー薬
・抗アレルギー薬の添付文書には「授乳中は禁止」あるいは「
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」と書かれています。
・一方で、安全に投与できるというデータも報告されてきており、成育医療研究センターが情報発信しています(参考⇩)。
・以上より、現時点では「副作用の可能性を了解して希望される方のみ」処方する、というスタンスになるため、当院では漢方薬を基本としています。

<参考>
授乳中に安全に使用できると考えられる薬(国立成育医療研究センター)
授乳中の薬は母乳に影響しますか?(日本ラクテーション・コンサルタント協会)

内服薬のみでは効果が不十分な場合、以下の局所療法(点眼・点鼻薬)を併用します。つらい場所にダイレクトに薬を投与するため、効果が実感されます。

点眼薬
・オロパタジン(パタノール®)点眼
・エピナスチン(アレジオン®)点眼
・アレジオン®眼瞼クリーム
(点眼が苦手な方へお勧め、ただし少しお値段が高い)
点鼻薬
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト®)点鼻薬

点眼薬は即効性があるものの・・・「かゆくなったら使用する」方が多いのですが、それよりも「かゆくならないいために使用する」、つまり処方箋の指示通り「1日〇回」と定期的に使用する方が効果的です。
アレジオン眼瞼クリームは2025年に発売された「塗る目薬」で、点眼を嫌がる小児に使いやすい薬です。1日1回でよいため、夜メークを落としたあと塗ると一日効果が続くという女性の味方でもあります。
<参考>
点眼薬の正しい使い方


点鼻薬は即効性がないタイプ(※)で、効果が出るまでに約1週間かかります。でも1本使い切ると鼻閉が改善して鼻で呼吸ができるようになりますので、「“三日坊主”でやめてしまうともったいないですよ!」と指導しています。
※ 内科や耳鼻科で処方される「血管収縮剤点鼻薬」は即効性はありますが依存性もあり、長期連用すると鼻閉が増悪する副作用もあるため、当院では処方しておりません。

▶ 追加治療

上記基本治療を行っても効果が今ひとつの場合には、以下の追加治療を提案しています;

1.抗アレルギー薬を増量
・ロラタジンとフェキソフェナジンは倍量投与可能
・ビラスチンは倍量投与不可

※ 他にも倍量投与可能な薬剤:オロパタジン(アレロック®)、エピナスチン(アレジオン®)、セチリジン(ジルテック®)、レボセチリジン(ザイザル®)

2.抗アレルギー薬を変更
・抗アレルギー薬は、その成分構造から「三環系」と「ピペリジン・ピペラジン系」に分けられ、別系統に変更すると効果が得られることがあります。

(三環系)
・オロパタジン(アレロック®)
・ロラタジン(クラリチン®)
・エピナスチン(アレジオン®)

(ピペリジン・ピペラジン系)
・フェキソフェナジン(アレグラ®)
・レボセチリジン(ザイザル®)
・ビラスチン(ビラノア®)


3.抗ロイコトリエン薬の併用
・プランルカスト(オノン®)、モンテルカスト(キプレス®、シングレア®)など。
・鼻閉への効果が(ある程度)期待できます。

3.漢方薬の併用当院一押し!
・眠くならず、鼻閉にも有効、目のかゆみにも有効と良いことずくめ。
・漢方薬散剤の味とニオイが苦手な方には錠剤が用意されている方剤(※)もあります。
・当院では抗アレルギー薬+局所療法(点眼・点鼻)+漢方薬の黄金トリオで満足度が高い患者さんが多くいらっしゃいます。

※ 錠剤のある漢方薬:
・小青竜湯(19)
・葛根湯加川芎辛夷(2)
・五虎湯(95)


(漢方薬がお勧めの患者さん)

✓ 抗アレルギー薬では効果が今ひとつ
✓ 目の症状が強くて目薬を使っても今ひとつ
✓ 喉のチリチリ感がよくならない
✓ 花粉症期間中、体がだるくて熱っぽい
✓ 抗アレルギー薬を飲むと眠くなる
✓ 他院で強い薬(ステロイド薬)を処方され心配

(以下の図表はツムラのHPより引用)

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4.舌下免疫療法(スギ花粉症のみ)
・いろいろ治療を尽くしてもなおつらい方、体質改善して根治を目指したい方にお勧めです。
・舌下免疫療法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください;
▶ 「スギ花粉症・ダニによるアレルギー性鼻炎に舌下免疫療法


<参考>
■ 薬物治療コンサルテーション「妊娠と授乳」(南山堂)
・製薬会社的には添付文書に「有益性投与」と記載されており推奨はしていないが、経験的に以下の薬剤が使用される;ロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、セチリジン
・第一・第二世代抗ヒスタミン薬は人への催奇形性は報告されておらず、授乳に関してもほとんどのモノが問題ないとされているが、本人が納得する選択をすべき。

当院では主に赤ちゃん〜幼児期の湿疹・アトピー性皮膚炎の治療をしています。
生まれて数ヶ月の赤ちゃんの湿疹でもかゆみを伴うと、
その後反復・遷延する傾向があり、
その経過を視野に入れた治療・管理が必要になります。

近年、乳児期の湿疹がキッカケに食物アレルギーを発症することが判明しました。
食物アレルギー発症を予防する目的で、
湿疹を治してツルツル・ピカピカの肌を維持することを目指しています。

▶ 赤ちゃんのスキンケア〜一般篇〜

▶ 赤ちゃんのスキンケア~乾燥肌篇~

▶ ステロイド軟膏Q&A

▶ 湿疹がある赤ちゃんの離乳食の進め方

▶ 子どもの湿疹(≒アトピー性皮膚炎)の治療 

当院はアレルギー専門家による標準治療を提供しています;
・院長:日本アレルギー学会認定専門医
・看護師:PAE(小児アレルギーエデュケーター)

▶ 子どもの喘息 

喘息の基本治療は吸入ステロイド剤ですが、正しい吸入方法でないと効果が期待できません。当院ではチェックリストを使用し、満点になるまで繰り返し指導・アドバイスをしています。
▶ キュバール吸入手技チェックリスト

▶ アドエア・フルタイド吸入手技チェックリスト 

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