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▶ (bird-egg syndrome)
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▶ (pork-cat syndrome)
▶ (マダニ咬傷由来獣肉アレルギー)
▶ (クラゲ刺症由来PGAアレルギー)
(番外編)
▶ アレルギー検査陽性だから除去、は正しい?
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▶ (bird-egg syndrome)
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▶ (pork-cat syndrome)
▶ (マダニ咬傷由来獣肉アレルギー)
▶ (クラゲ刺症由来PGAアレルギー)
患者さんは「検査をすればハッキリわかる、白黒が付く」と思っていたり、「保育園・幼稚園から検査結果を提出するように言われた」という事情があったり。
しかし残念ながら、現在のアレルギー検査の精度は必ずしも高くなくて、1回の検査で白黒が付かないことも多いのです。
もっとも、アレルギー検査の精度は日進月歩なので、いずれ皆さんの希望に応えられる日が来ると思われます。
さて、私が食物アレルギーの相談を受けた場合の診断に至るまでの手順を紹介します。
まず「そのエピソードがホントに食物アレルギーなのか?」をハッキリさせるために聞くことは、
① 食物アレルギーを疑っている食品・食材を食べるたびに毎回、同じ症状が出ますか?
例えば・・・
(エピソード1)
「ヨーグルトを食べた後に口の周りをかゆがるような気がして牛乳アレルギーを心配して受診したけど、混合栄養で育児用ミルクは飲んでます。」
→ 乳製品を食べると症状が出るけど、育児用ミルク(≒牛乳)を飲んでも無症状の牛乳アレルギーはありません。
(エピソード2)
「卵の入っているお菓子を食べると顔が赤くなるような気がするけど、出るときと出ないときがあります。」
→ 食物アレルギーはその食材を食べる度に毎回同じ経過で症状が出るのが原則ですので、出たり出なかったりでは可能性は低いです。
※ ただし、大人で多い「アニサキスアレルギー」では、その魚にアニサキスが入っているかどうかで症状出現の有無が決まります。
つまり、食物アレルギーが心配で受診した人のすべてが食物アレルギーというわけではないのです。
逆に①をクリアしたら、食物アレルギーを強く疑うことになり、さらに詳しく具体的に話を聞かせていただきます。
② 疑わしい食品・食材をどんな状態で、どのくらい食べましたか?
・生で食べたのか。
・加熱調理したのもか。
・少量含む加工品を食べたのか。
・・・これらの情報はアレルギーの強度、診断後の食事指導に役立ちます。
生だと症状が出るけど加工品では大丈夫、という事例は多く、その場合は「今まで食べて無症状だったレベルの加工品や調理品は続けて食べてください」という指導になるからです。〇〇〇アレルギーと診断したからといって、〇〇〇という食材を含む食品をすべて除去する必要はありません。
③ いつ、どんな症状が出ましたか?
・食べている最中~食べてから1時間以内か、2時間以降か、翌日以降か。
・症状は以下のうちどれとどれか?
(皮膚症状)かゆみ、赤くなる、じんましん、アトピー性皮膚炎の悪化
(呼吸器症状)咳、ゼーゼー、かすれ声、呼吸困難
(消化器症状)嘔気・嘔吐、腹痛、下痢、血便
(全身症状)ふらつき、顔面蒼白、意識障害
・・・これらの情報、とくに「いつ?」は、確定診断のために検査を選択するときに役立ちます。
血液検査で検出できるのは食べて2時間以内に症状が出る「即時型反応」に限定されるからです。
食べて2時間以降に症状が出た場合は、確定できる検査方法が現時点ではありません(例外的に保険的法外の自費検査で可能な場合があります)。
また、「食べた翌日にアトピー性皮膚炎が悪化した」エピソードの場合は、もともと湿疹のかゆみ・程度には波があるため、それが食物アレルギーによるものかどうかの判定は難しくなります。この場合は、湿疹を十分治療してすべすべの肌にした後に、仕切り直して負荷試験をして判定することになります。
食物アレルギーの症状は皮膚症状が圧倒的に多いのですが、時々、咳き込んだり(呼吸器症状)、吐いたり(消化器症状)するエピソードも相談を受けます。
複数のアレルギー症状が同時に出現する現象を「アナフィラキシー」と呼びます。新型コロナワクチン接種の際の副反応としてTVでたびたび取りあげられ、有名になりましたね。
「アナフィラキシー」を起こしたことのある患者さんは、自己判断で食べさせることは絶対にやめてください。医師の食事指導の指示をしっかり守ってください。除去解除をする際、あるいは量を増やす場合はアナフィラキシー対応可能な総合病院レベルでの経口負荷試験が必要になります。
以上をまとめますと、血液検査が診断に役に立つ食物アレルギーは、
① その食材・食品を食べるたびに毎回同じ経過で症状が出る。
② 食べた後2時間以内に症状が出る。
場合に限定され、それ以外は症状の再現性(あるいは経口負荷試験)で判断するということになります。
そして、診断確定後の食事指導の基本は、
① 今まで食べても無症状だったものは続けてOK、症状が出るレベルは除去。
② 除去解除は医師の管理下で行う。
ということになります。
おっと、肝心の検査について書くのを忘れていました。
当院では以下のエピソードがある場合に血液検査で確認しています。
・アナフィラキシー
・症状の再現性あり
つまり、「症状の再現性がない場合」「症状が出るときと出ないときがある場合」は検査をしていません。
最初に「アレルギー検査の精度が今ひとつ」と書きましたが、
(検査が陽性)+(症状は出ない)・・・日常茶飯事
(検査が陰性)+(症状が出る)・・・・まれ
という現象があるからです。
このメカニズムについて詳しく知りたい方は、
「食物アレルゲンの検査(IgE抗体)陽性だから除去してください、は正しい?」(当院ブログ)
をご覧ください。
症状が出ないけど検査は陽性の場合、あなたは食べますか? 食べませんか?
・・・そう、混乱を招くだけなのです。
<参考>
▢ 「プロバビリティ・カーブ」(食物アレルギー研究会)
「卵アレルギー」といえば、今までは「卵白アレルギー」のことを指していました。卵、特に卵白(白身部分)を食べると皮膚が赤くなってかゆがりじんま疹が出る、咳き込んでゼーゼーすることもある、という症状が典型的です。
しかし近年、「卵、とくに卵黄を食べた後に吐く」相談の患者さんが増えてきて、アレルギー学会でも話題になっています。
まったく健康な赤ちゃんが、卵黄を食べるたびに嘔吐を繰り返すことで気づかれます。卵黄を食べてから嘔吐までの時間はすぐではなく、1~4時間後と卵白より遅い傾向があります。
そのため、卵アレルギーは以下のように2種類に分けられるようになりました。
▢ 卵アレルギー
1.卵白アレルギー:鶏卵摂取後1時間以内に皮膚・呼吸器症状出現
2.卵黄アレルギー:鶏卵摂取後数時間以降に消化器症状出現
「卵黄アレルギー」について、私の耳学問の範囲でわかっていることは、
・乳児期に発症
・食べてすぐではなく数時間後に嘔吐を反復
・じんま疹などの皮膚症状は出ない
・血液検査は役に立たない
・卵白は食べられることが多い
・幼児期までに治ることが多い
等々。
まだまだ情報不足ですが、2022年7月時点で集めた情報を整理しておきます。
【卵黄アレルギー】
■ どんな病気?
・卵黄を食べると体の中でアレルギー反応が起こり、数時間後に嘔吐を主とする消化器症状が出る病気。
※ (参考)専門用語では・・・
・卵黄によるIgE非依存型消化管アレルギー(FPIES, food protein-induced enterocolitis syndrome)
・アレルゲン特異的リンパ球の過剰反応による細胞依存性アレルギー(遅延型アレルギー)・食物蛋白誘発胃腸炎
■ 原因は?
・卵黄中のアレルゲン成分はまだ分離・確定されていない。
(参考)
・国際機関WHO/International Union of Immunological Societies(IUIS)のデータベースには、鶏卵に含まれるアレルゲン性(アレルギー症状を誘発する能力)を有するタンパク質(アレルゲンコンポーネント)として、6種類が登録されています。主要なアレルゲンコンポーネントとしては、卵白ではオボムコイド、オボアルブミン、リゾチームが、卵黄ではα-リベチンが知られています。
■ どれくらいいるの?
・子どもの食物アレルギーで一番多いのは卵白アレルギーであるが、卵黄アレルギーは少ない。
・海外では嘔吐・下痢などのお腹の症状が出る消化管アレルギーの原因は穀物が多く、日本では鶏卵の卵黄が圧倒的に多い。
■ どんな症状が出るの?
・卵黄を食べてから1~4時間後に嘔吐。
・程度により顔面蒼白、脱力感(グッタリ感)も出現。
・卵白アレルギーでよく見られる皮膚症状(かゆみ・発赤・じんましん)はみられない。
■ どうやって診断する? 検査でわかるの?
・実際の臨床症状の再現性が確認できれば診断確定。
・明確でないときは食物負荷試験を行い再現性を確認。
・血液検査(卵黄特異的IgE抗体)は陰性(~弱陽性)なので役に立たない。
■ 治療は?
・卵黄を除去。
・一定期間(数ヶ月~半年)開けてから、医師の管理下で少量より再開、あるいは経口負荷試験を行う。
■ 治るんですか?
・3歳時点で9割が改善。
・寛解率(治る確率)は2年で30%、3年で80%という報告も。
<参考>
▢ 「卵黄」を食べて数時間後に嘔吐などを繰り返す赤ちゃんは注意 -食物アレルギーとは異なり、食物蛋白誘発胃腸炎では「卵黄」が原因に-
(2020年10月15日 慶應義塾大学医学部・国立成育医療研究センター)
▢ 2~3時間後に激しい嘔吐 赤ちゃんの食物蛋白誘発胃腸炎(国立成育医療研究センターアレルギー研究室 森田英明室長)(時事メディカル、2021.6.26)