カテゴリ: 事故

頭の中の出血、脳へのダメージが心配になります。やること・すべきことの順番は、

1.意識があるかを確認

2.ぶつけ方症状を確認


緊急性がある場合
→ 以下の一つでも当てはまるときは、救急車搬送

意識がない、ボーッとして反応が悪い

けいれんしている

おう吐が止まらない

歩き方が変・うまく話すことができない

・ガマンできないほど頭が痛い

出血が止まらない(傷が大きい、深い)


緊急受診すべきかどうか迷う場合

 → 以下の一つでも当てはまるときは、頭部CT検査可能な病院の救急外来へ

チェックポイント1頭のぶつけ方

高いところ2歳未満は90cm2歳以上は150cm)からの転落

・交通事故などの高速スピードで移動中(あるいは移動する物)に激しく頭をぶつけた

・誰かに突き倒された

チェックポイント2症状・様子

・(一瞬でも、一過性でも)意識消失があった

・強い頭痛乳児では強いグズリ

・おでこ以外のコブ(2歳未満)

・さわってわかる頭蓋骨骨折(凹みや溝)

様子がおかしい(眠りがち、元気がない、変におとなしい、遊ばない)

・パンダのように目の周りが紫色(眼底骨折の可能性)

鼻や耳から血や血液混じりの液体が出ている


緊急性がない場合
→ 小児科開業医を受診(当日あるいは翌日)

・足が地面や床についた状態からの転倒や、歩行中に止まっている物へ頭をぶつけた

・すぐ泣き、その後ふだんと変わりない

・頭をぶつけて4~6時間後も症状らしきものがない


* 頭をぶつけた直後は元気でも、最低48時間は慎重に様子観察してください。まれに、数日後~数ヶ月後に症状が出てくることもあります。 

 赤ちゃんは生後5-6ヶ月から何かを見つけるとまず触って確かめたくなります。さらに口に入れて確かめるクセがあり、時にはそれを飲み込んでしまうことがあります。

 赤ちゃんの口は最大直径4cmまで入ります。4cmはトイレットペーパーの芯とほぼ同じであり、確認の際に利用できます(下図「政府広報オンライン」より引用)。

スクリーンショット 2022-03-21 16.08.53

まわりの大人が赤ちゃんの口に入る大きさのものを手の届くところに置かないよう注意する必要があります。 

では、「子どもの手の届くところ」とは?

これは「手の届く範囲+台の高さ」で考えます。目安は以下の通りです;

1歳:約90cm

2歳:約110cm

3歳:約120cm

(下図も「政府広報オンライン」より)
 

スクリーンショット 2022-03-21 16.09.09


もし飲み込んでしまった場合は、喉につまって窒息する可能性があります。

この場合は、

・のどを気にする仕草

・突然咳込む、ゼーゼー息が苦しそう、

・顔色が悪い

等の症状が出ます。
そして完全に喉を塞いだ場合、

・3-4分で顔色が悪くなり、

・5-6分で呼吸が止まり、

命に関わります。
気づいたら救急車を呼ぶと共に、以下の応急処置
をしましょう。


<子どもが何かをのどにつまらせたときの応急処置>

  

背中を叩く1歳未満         

下図のように赤ちゃんを片腕にのせもう一方の手の平の付け根で背中をしっかり叩く(5-6回を1セット)。   

スクリーンショット 2022-03-21 16.09.24

腹部突き上げ法1歳以上

子どもの背後から腕を回して片方の手を握りこぶしにし、こどものみぞおちの下にあて、もう片方の手をその上に当てて両手で腹部を上に圧迫、これを反復。  

スクリーンショット 2022-03-21 16.09.33
★ 参考:
窒息事故から子どもを守る(政府インターネットテレビ)
気道異物除去の手順(日本医師会)


<飲み込むと危険なもの>

のどや気管ににつまらなくても、飲み込むと有害なものがあります;

(例)ボタン電池・パック型液体洗剤・漂白剤・除光液・灯油・くすり・タバコ・・・

危険かどうかの判断は難しいため、ただちに以下に電話相談してください;

小児救急電話相談#8000

日本中毒情報センター中毒110番(相談は無料ですが通話料がかかります)

 つくば029-852-9999(9~21時対応)

 大阪 072-727-2499(24時間対応)

 

<タバコの誤飲>

気づいた時点で上記「中毒110番」か下記に電話してください;
タバコ専用相談電話」;072-726-9922(24時間対応、テープ情報提供)

口の中のタバコの葉を取り除き吐かせるのが原則(水や牛乳は飲ませないでください)ですが、タバコが浸かった水を飲んだとき、2cm以上飲み込んだとき、症状(吐き気や嘔吐、ぐったりしている、顔色が悪い)等の場合はすぐに救急外来のある病院を受診してください。

当院は小児科で脳神経外科ではないのですが、よく相談を受けるのでまとめてみました。
頭を激しくぶつけたとき、頭の中の出血、脳へのダメージが心配になります。
保護者のやること・すべきことの順番は、

1.意識があるかを確認

2.ぶつけ方と症状を確認

です。

緊急性がある場合
→ ひとつでもあれば救急車搬送

・意識がない、ボーッとして反応が悪い

・けいれんしている

・おう吐が止まらない

・歩く・話すことがうまくできない

・ガマンできないほど頭が痛い

・出血が止まらない(傷が大きい、深い)


緊急受診すべきかどうか迷う場合

 → 以下の一つでも当てはまるときは、頭部CT検査可能な病院の救急外来へ

(チェックポイント1)頭のぶつけ方

・高いところ(2歳未満は90cm、2歳以上は150cm)からの転落

・交通事故などの高速スピードで移動中(あるいは移動する物)に激しく頭をぶつけた

・誰かに突き倒された

(チェックポイント2)症状・様子

・(一瞬でも、一過性でも)意識消失があった

・強い頭痛(乳児では強いグズリ)

・おでこ以外のコブ(2歳未満)

・さわってわかる頭蓋骨骨折(凹みや溝)

・様子がおかしい(眠りがち、元気がない、変におとなしい、遊ばない)

・パンダのように目の周りが紫色(眼底骨折の可能性)

・鼻や耳から血や血液混じりの液体が出ている


緊急性がない場合
→ 小児科開業医を受診(当日あるいは翌日)

・足が地面や床についた状態からの転倒や、歩行中に止まっている物へ頭をぶつけた

・すぐ泣き、その後ふだんと変わりない

・頭をぶつけて4~6時間後も症状らしきものがない


* 頭をぶつけた直後は元気でも、最低48時間は慎重に様子観察してください。まれに、数日後~数ヶ月後に症状が出てくることもあります。

熱中症とは?

「暑い環境で生じる体の不調」のことで、「暑気あたり」「かくらん」とも呼びます。原因として外気温が高いことだけでなく、湿度、風の強さ(気流)、太陽光(輻射)にも影響を受け、また寝不足・風邪気味などの体調にも左右されます。

乳幼児は大人よりも体温が高めにもかかわらず、汗をかくことによる体温の調節機能が未発達であり 、さらに体重に比べて体表面積が大きく外気温の影響を受けやすいので、熱中症になりやすい傾向があります。

体の中では、多量の発汗による脱水・ナトリウム欠乏、皮膚への血流が増えるため内臓への血流量が減る(虚血)などが起こっています。


熱中症の症状は?

熱中症に特有の症状はありません。全ての内臓・臓器がダメージを受けるからです。

例えば、吐き気や嘔吐は消化器への血流量が減るから、頭痛やめまい、立ちくらみは脳への血流量が、足のこむら返りやけいれんは筋肉への血流が減るからと考えてください。

一応、症状からは以下の表のように分類されています。

下に行くほど重症ですが、熱失神→ 熱けいれん→ 熱疲労→ 熱射病と進行するわけではありません。いきなり熱射病で発症することもあり得ます。

分類

病態・症状

治療

熱失神

heat syncope

全身の血液量が低下し、脳への血液が一時的に不足し、めまい立ちくらみ失神が起こる。いわゆる「のぼせ」「湯あたり」に近い。体温は平熱、発汗あり。

水分補給や日陰で休むなどの応急処置で対応。

熱けいれんheat cramp

大量の発汗で血液中のナトリウムが欠乏し、筋肉の痛みこむら返り硬直などが起こる(全身のけいれんではない)。

体温は平熱、脈拍は弱く早くなる。

熱疲労

heat exhaustion

大量の発汗で脱水症状が現れ、頭痛吐き気嘔吐全身の倦怠感虚脱感などが起こる。

体温は平熱~40℃、脈拍と血圧は低下する。

病院へ搬送して点滴などの治療を。

熱射病

heat stroke

脳による体温調節機能が失われ、体温が40℃以上に上昇し、発汗が止まり皮膚が乾燥する。ひきつけや呼びかけや刺激に反応しなくなるなどの意識障害が起こる。

脈は速く、血圧は初期は高くのちに低下する。

ただちに救急車で病院に搬送し治療を。


※ 左端のⅠ・Ⅱ・Ⅲは1999年に安岡らが提唱した重症度分類です。


熱中症が疑われたらどうすればよいですか?

★ チェック・ポイントは「意識状態」と「吐き気の強さ

・意識がない、言動がおかしい、応答が鈍いなどがみられたら、ただちに救急車を要請。

・意識がしっかりしていることを確認できれば、風通しのよい日陰やエアコンの効いた屋内で休ませ、吐き気の程度を確認します。吐き気が強くて水分摂取ができない場合は、体を冷やしながらすぐに医療機関を受診させてください。水分摂取可能なら応急処置へ。

★ 応急処置のポイントは「体を冷やす」と「水分&塩分補給

・衣服をゆるめて体をぬらし(濡れたタオルで拭く、霧吹きで水を吹きつける)、うちわや扇風機で風を送るのが一番効果的。氷のうや冷えたペットボトル、保冷剤などがあれば、首元、腋窩、太腿のつけ根に当てて冷やすことも有効です。水分補給は次項参照。

容態が落ち着いたら、軽いと思っても医療機関を受診させてください。

注意)熱中症の高熱には解熱剤を使ってはいけません(無効かつ危険です)。


熱中症の予防について

服装

素材では麻や綿、吸水性・速乾性に優れた合成線維、色は熱吸収率が低い白またはパステルカラー、形は体を締め付けないゆったりしたものがお勧め。エアコンの効いた屋内では袖のある服など、環境に合わせて衣服の枚数をまめに調整しましょう。

外出・運動

ベビーカーにはひさしをつけましょう。子どもは大人より地面に近いところで生活しており、より高い気温の中で活動していることをお忘れなく。日差しと照り返しの強い正午から午後3時の外出は控えましょう。

気温が30℃以上、湿度が60%以上のときは運動を控えるか、15~20分おきに休憩をとり、そのたびに水分補給をしましょう。

水分&塩分補給

予防でも治療でもスポーツ飲料や自作の食塩水(水1Lに食塩1~2g)がお勧めです。

水だけでは塩分が足らなくなり、緑茶や紅茶、コーヒーなどはカフェインの作用でおしっこがたくさん出てしまい不向きです。甘いジュースや炭酸飲料は少量で満足しやすいので量不足になりがちです。

コツは「のどの渇きを感じる前に少量ずつこまめに水分補給」。

1回につきコップ半分の100ml(子どもは50~100ml)の補給を心がけましょう。

エアコンの上手な使い方

 室内は「室温28℃、湿度60%以下」を目安に調整します。エアコンから出る冷気は下の方にたまるので、大人目線で温度に設定すると乳幼児には寒くなりがちです。風が直接当たらない場所に寝具を置く、扇風機やサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させる、などの工夫をしましょう。

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