カテゴリ: 思春期

某研究会で宮内倫也先生の講演を聴きました。
この先生は、精神科医で漢方使いなのですが、昔(10年以上前)に彼の著書を読んだことがあります。しかし、当時の私にはちんぷんかんぷん。今回は少し頭に入りました。やはり中医学系だったことがわかります。
備忘録としてメモを残しておきます。


▶ 「正気」と「病邪」

1.正気
・生命力&抵抗力
気・血・津液の3つの要素からなる

① 気:体内を巡る目に見えないエネルギー

② 血:全身に栄養とうるおいを運ぶ物質

③ 津液:血液以外のあらゆる正常な水分

・気・血・津液は独立変数ではなく、手を取り合って巡っている。

 ✓ 気は血の師

 ✓ 血は気の母

・ほどよい量がほどよく巡るのが健康、量が減るのが“虚”、巡りが滞るのが“滞”。

2.病邪

外因・内因・不内外因の3つからなる。

外因:気候や環境の異常な変化が人体に侵入して起こす病気のもと。

(例)梅雨の時期は体が重い

内因:人体の内部から生じる病気の原因であり、感情の過度な変動(内傷七情)が代表。

(例)精神的ストレス

不内外因:生活習慣(食事、嗜好、労働、睡眠、性生活など)

3.正気と病邪のバランスで病気が決まる

1.外感病:(正気:実)+(病邪:実)

2.多くの雑病:(正気:やや虚)+(病邪:やや実) 

・雑病では気滞に陥り、病理的産物(悪血、痰湿)が生成される

・さらに気滞・病理的産物・正気・病邪が互いに影響し合って病像を作る

(具体的に言うと)

  患者さん側の因子(遺伝、発達、生活習慣など)

   ×

  環境側の因子(種々のストレッサー、気候の変化)

   ⇩

  精神症状(正気の虚、気滞、病理的産物)

▶ 治療原則:「扶正」と「祛邪」
扶正)正気を助けること
祛邪)病邪を追い出すこと

▶ 治療の実際:扶正と祛邪のどちらを重視するか?
 → 病状により治療を変える
イライラの強いうつ症状 → 祛邪メイン
(例)大柴胡湯(8)合香蘇散(70)
疲労感の強いうつ症状 → 扶正メイン
(例)十全大補湯(48)
いずれもあるうつ症状 → 祛邪&扶正の両方を同時に、もしくは扶正を優先
(例)十全大補湯(48)合四逆散(35)

▶ 抑うつ・イライラ・疲労感に対する処方マップ

気虚

 六君子湯(43)

 補中益気湯(41)

 帰脾湯(65)

 十全大補湯(48)

 人参養栄湯(108)

気滞

 苓桂朮甘湯(39)

 香蘇散(70)

 半夏厚朴湯(16)

 四逆散(35)

 加味逍遥散(24)

 加味帰脾湯(137)

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 抑肝散(54)

 大柴胡湯(8)

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 抑肝散(54)

 大柴胡湯(8)

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 抑肝散(54)

 黄連解毒湯(15)

 加味逍遥散(24)

 加味帰脾湯(137)

「自律神経失調症」という病名、怪しいですよね。

体調不良で医者にかかり、検査で異常が検出されないとこの病名がつけられる傾向があります。

あるいは、「気のせいでしょう」とか「心療内科・精神科へ行ってみますか?」と誘導されてショックを受けたり。


漢方好きの私から見ると、

「気のせい」=「気の異常」

です。

漢方医学では「気」という概念を用いてその患者さんの病態を把握し、それに見合う漢方薬を処方して治療してきました。

見立てが合えば、手応えがあります。


私は子どもたちのメンタルの不調を漢方で治療することを目標にしています。

乳幼児期の夜泣き、かんしゃく。

幼児学童期の寝ぼけ、自家中毒、登校・登園しぶり、反復性腹痛。

思春期の起立性調節障害、倦怠・疲労感、反復性腹痛・頭痛、不登校、メンタルの不調(不安・緊張・イライラ・ウツウツ)、等々。


今まで診療してきた印象では、「水毒」体質、「脾虚」体質の虚弱児が、ストレスにさらされてそれに反応し「気」の異常(気逆・気うつ・気虚)をきたしている病態であると考えています。


今回、谷川聖明先生による自律神経失調症のセミナーを視聴しました。

理論的でかつわかりやすくて、私のお気に入りの専門家です。

スライドを細見してみましたが、やはり捉えどころがないというか、頭の中で整理しにくいですね。

ポイントと感じた箇所を引用・抜粋させていただきます。


<ポイント>


▶ 自律神経失調症とは

・体の動きを自動で調節している「自律神経」のバランスが乱れ、さまざまな心身の不調が出る病態。

・身体症状:動悸、めまい、頭痛、だるさ、胃腸の不調、手足の冷え、発汗異常、不眠

・精神的な症状:不安感、イライラ、気分の落ち込み、集中力低下


▶ 気の異常(漢方医学的概念)

・気虚(気の不足):疲労倦怠、易疲労、気力低下、食欲不振、食後の眠気、風邪を引きやすい

・気滞(気の滞り):抑うつ、のどや胸のつまり感、腹部の張り、時間で症状が動く、排ガスが多い、ゲップが多い

・気逆(気の逆行):症状が発作的、冷えのぼせ、動悸、顔面紅潮、焦燥感、手足の汗、イライラ、驚きやすい


▶ 気の異常に対する代表的漢方薬 〜陰陽虚実の視点から〜

陽・実    → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

陽・虚実中間 → 半夏厚朴湯(16)

陽・やや虚  → 加味帰脾湯(137)

陽・虚    → 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)


▶ 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)

気逆に対応

・構成生薬の竜骨・牡蛎は動揺する精神を安定させる効果がある。

・適応:

✓ 体力が衰えている人で、症状の根底に強い不安感を抱いている場合に。

✓ 自律神経失調状態により神経過敏と也、動悸や不眠などの症状を訴える方に。

✓ 「悪夢を見る」というキーワードが使用目標になることがある。

✓ 比較的年配のやせ型の女性で、常に不安を感じオドオドしたタイプの方には特に有効。

・効果:愁訴の根底にある不安感を改善させることにより、諸症状を緩和することができる。


▶ 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

・陰陽虚実:陽・実

・気血水:気逆、気滞が併存

・適応:ストレスにより交感神経芽か緊張状態となり、不安、抑うつ、イライラ、神経過敏などの精神神経症状を訴える場合。

・竜骨・牡蛎という精神安定作用を持つ生薬を含み、精神不安や抑うつ状態を改善する効果がある。

▶ 半夏厚朴湯(16)

・気血水:気滞

・年齢:ストレス世代

・徴候:

① 咽喉頭異常感症(咽中炙臠)

② 狭心症様症状・喘息様症状

③ 腹部膨満・腹痛・めまい

④ 神経質・几帳面

・適応:

✓ 心気的でこだわりが強い方

✓ 自分の症状をしっかりメモに書いてくるような方

✓ ストレスなどにより気の流れに停滞が生じ、気がうっ滞した部位に閉塞感やつまり感を自覚する方

✓ ヒステリー球、咽中炙臠、梅核気は本剤の使用目標

・心理傾向:末梢性気うつ

✓ 心理的葛藤を身体表現にして解放する。

✓ 精神的に行き詰まると、弱いところ・敏感なところに不快な症状として具体的に現れ、愁訴が安全弁になっている場合がある。

▶ 香蘇散(70)

・適応:① 胃腸虚弱・高齢者の風邪、② 食事性蕁麻疹

・年齢:虚弱者・中高年

・徴候:

① 食事性蕁麻疹

② うつ状態(無力様顔貌)

③ 腹部膨満・腹痛

④ かぼそい声・小さな字

・心理傾向:中枢性気うつ

✓ 心理的葛藤が内向し、鬱々悶々としている。

✓ 身体表現が下手で精神的な息詰まりを上手に解放できない傾向にある。

▶ 精神神経症状4処方の使い分け(気の異常と患者さんの特徴)

・気逆:打ち解けにくい → 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)

・気逆:打ち解けやすい → 加味逍遥散(24)

・気逆>気うつ:打ち解けにくい → 抑肝散(54)、抑肝散加陳皮半夏(83)

・気虚>気うつ:打ち解けやすい → 加味帰脾湯(137)


▶ 過剰適応(overadaptation)

・内的な欲求を無理に抑圧してでも、外的な期待や欲求にこたえる努力を行うこと。

・過剰適応になりやすい人の特徴:

✓ まじめ

✓ 頑張り屋

✓ 頼まれるとイヤと言えない

✓ 相手の期待に添う

✓ よいこ

▶ 代表的な婦人科処方薬の陰陽虚実

陽実:桂枝茯苓丸(25)

陽虚:加味逍遥散(24)

陰・虚実中間:温経湯(106)

陰虚:当帰芍薬散(23)


▶ 加味逍遥散(24)を構成する4つのユニット

① 当帰・芍薬・牡丹皮 → 補血、駆瘀血

② 茯苓・白朮・甘草・生姜 → 利水(胃腸の働きを整える)

③ 薄荷、山梔子 → 清熱(精神安定)・・・カッと熱くなって発汗し、スッと引くという「熱のふけさめ」

④ 柴胡 → 自律神経系の緊張緩和


▶ 加味逍遥散(24)

・証:陽虚、瘀血・気逆

・腹診:胸脇苦満、臍傍圧痛、臍上悸

・適応:

✓ 疲労しやすく、精神不安、不眠、イライラなどの精神神経症状

✓ 換気の高ぶりによる、上半身を中心とした熱感や発作性の発汗


▶ 柴胡桂枝乾姜湯(11)と加味逍遥散(24)の証

柴胡桂枝乾姜湯:気逆>気滞

加味逍遥散:瘀血・気逆>血虚・気滞・気虚



<生薬解説>

▶ 生薬解説「竜骨」

・古代の大型ほ乳動物の骨の化石(サイ、ゾウ、マンモスなど)。

・骨は人体でも最も硬い収斂した組織で「気の収斂力が高い」と考えられている。

・動揺する精神を安定させ、気持ちを座らせる効果がある。

・体に必要なものが外に漏れてしまうのを防ぐために用いられる。


▶ 生薬解説「牡蛎」

・牡蛎の殻

・動揺する心神・肝を重しを乗せるように安定させる。

・不安・動悸・不眠に対する鎮静剤。

・体に必要なものが外に漏れてしまうのを、殻で覆うかのように防ぐ。

(例)寝汗、失禁、夢精、帯下、等。


▶ 竜骨と牡蛎の違い(山本巌先生)

・両者の作用は似ている。ともに鎮静作用があり、精神を安定させ、胸腹の動悸を鎮め、弛緩作用がある。

・心悸・煩驚(神経過敏状態)・不眠・多夢などに用いる。

竜骨は安神作用が優れ、牡蛎は心悸を鎮める


▶ 生薬解説「茯苓」

・体から余分な水分を取り除く利水作用がある。

・水毒によるむくみ、めまい、胃内停水などを改善する。

脾の作用を高めることで気を補う効果があり、食欲不振、胃もたれ、嘔気・嘔吐などの消化器症状によく用いられる。

精神を安定させる(=安神)作用にも優れ、不安・不眠・動悸などの精神神経症状にも使用される。


▶ 生薬解説「大黄」

瀉下剤として用いられる。

清熱(抗炎症)活血(血の巡りを改善)する作用がある。

・活血や瀉下により気を下に下ろすことによって、のぼせや興奮など精神的に落ち着かない状態を改善する。


▶ 生薬解説「蘇葉」

・ふだん食用で用いる青じそではなく赤じそを使用する。シソの香りが強いものを良品とする。

・香りの作用で風邪(ふうじゃ)を追い払い、肺や脾胃の気を巡らせる理気作用がある。

・気滞を取り除くことで、嘔気・嘔吐・胸のつかえや不安感などを改善する。

・気滞の代表薬である香蘇散(70)や半夏厚朴湯(16)に含まれる。


▶ 生薬解説「薄荷」

・辛涼解毒剤

・清涼感のある香りが熱を冷まし気を巡らす

・薄荷含有方剤:川芎茶調散(124)、清上防風湯(58)、滋陰至宝湯(92)、竜胆瀉肝湯(76)


▶ 生薬解説「山梔子」

・清熱瀉火:三焦の火熱を瀉し、祛湿解毒する

・熱を冷まし気持ちを静める働き、大便溏泄作用

・山梔子含有方剤:黄連解毒湯(15)、温清飲(57)、加味逍遥散(24)、梔子柏皮湯、加味帰脾湯(137)

▶ 生薬解説「柴胡」

・気血水:気滞 → 理気薬

・気を巡らせ、体にこもった熱を発散させる。

・炎症を抑える。

・怒りの感情を穏やかにする。

・気を持ち上げる。

・ウツウツとした感情を回復させる。



<備考>

★ コタロー香蘇散(N70)の適応:長期処方可能

神経質で、頭痛がして、気分がすぐれず食欲不振を訴えるもの、あるいは頭重、めまい、耳鳴を伴うもの。

感冒、頭痛、じんま疹、神経衰弱、婦人更年期神経症、神経性月経困難症

★ コタローの加味逍遥散(N24)は男性にも処方できる

・頭痛、頭重、のぼせ、肩こり、倦怠感などがあって食欲減退し、便秘するもの。

・神経症、不眠症、更年期障害、月経不順、胃神経症、胃アトニー証、胃下垂症、胃拡張症、便秘症、湿疹



<参考>

・「自律神経失調症」に対する漢方治療(2026.6.4)

(谷川聖明:谷川醫院)

 この問題を扱ったNHKの番組(ハートネットTV、NHKスペシャル、あさいち、等)や書籍を見つけましたので、ポイントを引用・抜粋させていただきます。とくに「親子の約束を作るコツ」はすべての親に知っておいて欲しい内容だと思いました。
 そして子どもを律するには「親自身が自分を律する覚悟」が必要であることをヒシヒシと感じました。

<基礎知識>

▢ 子どものスマホ所有の実態(2025年)
・スマホ所有率が過半数を超えるのは小学5年生。
・スマホを持ち始める時期は、女子平均9.9歳、男子平均10.4歳、最も多いのは12歳。

▢ ネット依存の実態
・内訳:
(7〜8割)ゲーム
(2〜3割)SNS、掲示板、動画サイト
・ゲーム依存患者は世界の人口の、男性:3%、女性:1%
・日本では100万人以上いると推定される。

▢ オンラインゲームの特徴と依存しやすい要因
・インターネットを通じて、複数の人が同時に参加するゲーム。
・メッセージ・会話機能がある。
・深夜でも誰かがいてつながれる。

▢ ネット依存の徴候
・使用時間がかなり長くなった。
・夜中まで続ける。
・朝起きられない。
・他のことに興味を示さない。
・絶えず気にする。
・注意すると激しく怒る。
・使用時間や内容などについてウソをつく。
・ネットにより成績が下がった。

▢ 脳で何が起きているのか
1.ドーパミン活性異常(覚醒剤などの薬物依存症と同じメカニズム
・ゲームをしていると楽しい
 → ドーパミン(幸福感・やる気の元)が放出される
  ⇩
・長時間ゲームを続ける
 → (線条体にある)ドーパミン受容体活性が低下する
   受容体数も減少し、やがて枯渇する
   ⇩
・幸せ気分が憂うつ気分に変わる
 → 本来のドーパミン効果が得られない状態
2.ブドウ糖代謝が低下する
3.セロトニン受容体機能低下

▢ ゲーム依存は脳の発達にブレーキをかける(川島隆太氏、東北大学)
・ヒトがものを考えたり記憶したり相手とコミュニケーションしたりする働きは脳の前頭葉の前頭前野が担当している。
・前頭前野は0歳〜5歳までの間に急速に発達し、その後穏やかな発達ペースとなり、思春期に再び爆発的に発達する。つまり2回、発達のチャンスがある。
・思春期の子どもを対象にゲームの頻度と前頭前野容積の増加量を3年間追跡調査したところ、ゲームをする頻度が高いと増加量が少ないことが判明した。これは神経細胞間をつなぐネットワークが弱いまま3年間が過ぎてしまったことを意味し、非常に深刻な問題である。

<診療>

▢ ゲーム依存の定義・診断(WHO、2019年)
1.ゲームの使用時間や頻度をコントロールできない。
2.ほかの楽しみよりもゲームが一番。
3.ゲームにより社会生活に著しく支障が出る。
 → 上記3つの項目が12か月続く場合に「ゲーム依存」と診断する。

▢ “社会生活に支障”の内容(アンケート調査)
(76%)朝起床できない
(60%)昼夜逆転
(59%)欠席・欠勤
(51%)物にあたる・壊す
(49%)食事を摂らない
(33%)ひきこもり
(32%)睡眠時間が短い
(27%)家族に対する暴力
(15%)過剰な課金

▢ “やめられない”要因
① ゲームで得られる快感はアルコール・薬物に匹敵する。
② 常にアップデートされ終わりがない。
③ ガチャ(課金システム)
★ ゲーム依存にはADHD(神経発達症の一つ)と伴うケースが存在する。

▢ 治療対象
・ネットの過剰使用+明確な体や心の問題(※1)
・ネットの過剰使用+明確な家族的・社会的問題(※2)

※1)低栄養、体力低下、骨密度低下、睡眠障害、感情をコントロールできない、うつ状態
※2)家族関係の悪化、遅刻、不登校、成績不振、退学

▢ 診療内容
・診察
(身体検査)血液検査、肺機能、骨密度、体力測定、等
(心理検査)ネット依存傾向(※)、精神疾患、等
・カウンセリング
・デイケア
・入院:危機的な状況の時・・・ネットから離れられない、過剰な課金、健康状態の異常、家族関係の極端な悪化、等

※)インターネット依存度テスト(IAT)

▢ 認知行動療法
・問題が発生しているにもかかわらずゲームを続けているのは、考え方に問題があると捉え、その考え方の歪みを補正する手法。
(例)「ゲームのメリットとデメリットを一緒に考えよう」「今までゲームに何時間費やしてきたか、その時間を勉強に費やしたら将来どんなことができるか」

▢ 治療のゴール
・インターネットとうまく付き合えるようになる。
・依存しているコンテンツだけをやめる。
・利用時間を減らす。
★ アルコールや薬物依存では完全にやめ続けることが治療の目標となるが、ゲームの場合はそれは困難なため、「減らす」という現実的なゴールを設定することになる。ゲーム依存患者は子どもが多いので「やめる」という選択は非常に難しく、まずは減らすというソフトランディングを選択する。

▢ 思春期例の問題点・注意点
・ゲームの制限・禁止は回復につながらない。
・ゲーム依存は氷山の一角で、その下には本人が悩んでいる家庭や学校、社会生活の問題が隠れている。
・子どもはゲームをすることにより安らぎを得ている面がある。
・ゲームをしている・していないではなく、ゲーム依存の原因となることに目を向けることが大切。
・思春期の子どもは反抗期でもあり、両価性(アンビバレンツ)状態。ゲームをやりたくて仕方ないけど、やめられない現状に不安を持っていることも多い。本人が困っている要素(睡眠問題・食欲不振など)をきっかけにして相談に乗り受診につなげる。最初は抵抗するかもしれないが、何回も何回もくり返し話していくことが大切。本人が怒っているときは避け、話を聞いてくれそうなときにわかりやすく説明していく。
・治療の結果、ゲーム使用時間が少しでも減れば(例:10時間 → 8時間)、それを評価することが大切。

<対策>

▢ ゲーム・ネットについての教育
・ 現代社会に必要不可欠のものでもあり、禁止するのではなく適切な使い方を教えるべき。
・いつから教えるのが適切か、乳幼児にスマホで動画を見せること、簡単なゲームで遊ばせることが良いのかどうかに関しては、明確な研究結果は存在しない。
・親としては連絡や居場所の確認目的にスマホを考えるが、子ども自身はスマホを持ったらいろいろやりたいことがある。ゲームをやりたい、動画を見たい、友達とLINEでやり取りをしたい、など子どもの要望を聞いた上で、それぞれのアプリの可否や条件など、家庭内ルールを話し合う。
・子どもが社会のルールを覚え始めるのが2歳頃、しかし小学校高学年になると、親に反抗したり、素直に学べなくなる傾向が出てくる。以上を考慮すると、5〜10歳くらいの間に、ゲーム・ネットの適切な使い方を教え始め、約束・ルールを作り、守らせることが望ましい

▢ 機種選定の際の注意点
・親が管理することが難しい場合は、安心機能が搭載されているキッズケータイがお勧め(カメラやメッセージ機能あり)。
・親の古いスマホを渡すことになったら、可能なら初期化して子どものアカウントを作成すべし(親の決済情報などは消しておく)。子どものアカウントなら、年齢に併せたコンテンツが表示される。

▢ スマホを使う時間・時間帯の設定
・時間:小学生では1日30分〜1時間が目安
(例)「平日は30分、休日前は1時間、休日は2時間」
   「30分使ったら10分休む」
・時間帯:
(例)
「夜は21時まで、塾の日は30分延長」
   「寝る1時間前までに終了」
・アプリごとの制限:
(例)「1回30分のゲームなら1日2ゲーム」
   「ゲーム40分、動画20分」
・Wi-Fiルータで端末ごとの時間設定も可能。

▢ スマホを使う場所と保管場所の設定
・自室への持ち込みNG、リビングのみ利用OK。
・寝るときはリビングで充電する。

▢ ペナルティも一緒に決めてリビングに貼っておく
・ルールを破ったときのペナルティ:
(例)「翌日の使用時間を30分減らす」
   「3回破ったら1日使用禁止」
・完成したルールはリビングや冷蔵庫に貼っておき、いつでも確認できるようにする。
・学年が変わるときや習い事の時間が変わるときは見直すタイミング。
・子どもの成長に合わせて「もう自分でコントロールできそう」と感じたら、ルールを弛めてITスキルを上げられるよう誘導する。

▢ 親子の「約束」を作るコツ
1.「約束」についての話し合いは、機器を買う前、サービスを使い始める前がよい。

2.所有権は大人に。
3.上手な「おしまい」を身につける。
(例)子どもが見通しをつけられるように、タイマーを利用したり、上手におしまいできたら報酬を与えたり。
4.「やるべきことをやってからゲーム」はうまくいかないことが多い。
(例)宿題が終わったらゲームしていいよ、とすると、宿題に取りかかってもゲームのことが頭から離れず進まないのでいつまで経っても宿題が終わらない。
5.ゲームができる時間は短すぎる設定にしない。
(例)15分だけ・・・では短すぎてトラブルの素になる。
6.次にいつ使えるのかを明確にする。
(例)「今日はおしまいだけど、明日になればまた〇時間できるよ」と言うと納得しやすい。
7.ゲームの時間を「交換可能財」にする。
(例)お手伝いをしたらゲームの時間が少し増えるなど。
8.機器を取りあげる方法をひと工夫。
・物理的に奪う方法はトラブルの元。
(例)Wi-Fi が時間で自動的に切れるなど。
9.子どもはネットから離れていたいときもある。
(例)LINEのやり取りから離れられず長時間使用してしまう子どもがいる、苦痛でも離れられないタイプもいる。時間を区切るルールを作り、やり取りから離脱するきっかけを作ってあげる。
10.睡眠時間の確保。
・生活リズムを崩すような時間設定はしない。
(例)「ちゃんと寝た方がゲームの能力がアップするよ」などとアドバイス。

▢ ネットのルール作りのポイント
・親が買い、子どもには貸し出す。
・使用する時間・場所・金額を指定する。
(例)午後10時まで、居間でのみ使用し自分の部屋に持ち込まない、等
・決めたら書面にして目につくところに貼る。
・親子が一緒にルールを作る。
親も守る

▢ 他の依存対策のポイント
・子どもだけにルールを押しつけるのではなく、家族みんなでルールを守るべし。
親がゲームに興味を持つと、子どもが教えてくれる。親も子どもの考えを理解しやすくなる。親の方がゲームが上手、ネットに詳しいと、子どもは親を尊敬して言うことを聞きやすくなる。

▢ 具体的な項目
・夫婦で異なる考えだと子どもは混乱するため、家族みんなで話し合い、決める。
・ペアレンタルコントロール機能のフィルタリングなどの設定で時間制限を。
・家庭内のルール作り(時間と場所)や親からの声かけでリテラシーを育てる。
★ 子どもにスマホを与えると、子どもは親のアカウントを探し、誰をフォローしているのか、どんな投稿と返信をしているのかを見る可能性があることを覚悟する。大人はSNSで子どものお手本になるような振る舞いを心がけるべし。

▢ 使いすぎ予防のポイントは「日中活動の充実」
・日中活動が充実していると、前述の約束事のポイントを子どもに守らせることが簡単になる。
ゲームよりリアルワールドが楽しければゲーム依存は発生しないはずだが、現実は逆になりがち。
・日中活動を子ども本人が楽しみにしていたら、子どもは朝起きようと努力する。逆に言えば、日中活動がつらい、怖い、不安、退屈な状況では、生活リズムが崩れやすくなる。

▢ 無駄に見える時間も必要
・ストレスのかかる活動、努力が必要な活動をしたあと、ストレスを発散できる楽しい時間(ゲームに夢中)や、一見無駄に見えるボーッとした時間(スマホをなんとなく眺める)は必要なもの。
・ボーッとした時間もストレス発散に役立っているが、それを理解できない親と葛藤を引き起こしがち。
例)試験前・発表会前などストレスが高まる。熱中して取り組む活動は維持される。
   ⇩
  この無駄に見える時間が長くなる。
   ⇩
  睡眠時間が短くなる。
   ⇩
  昼間眠くて、努力ができなくなる。熱中して取り組めなくなる。
   ⇩
  親がイライラする。

★ ニール・イヤール氏(作家・コンサルタント)のコメント
・スマホやアプリ開発の裏側を知る
✓ 魅力的で習慣性が高いものが「優秀なスマホ製品」とされる。
✓ 習慣的に使用してもらうためにユーザーの不快な感情(退屈、孤独、疲労、不確実性、ストレス、不安、等)に入り込み「気晴らし」を展開させる。
✓ 不確実性で変わりやすいものにヒトは注意深くなり集中する傾向があり、それがあると習慣化しやすい。予測可能なものには誰も興味を示さない。

★ 樋口進氏(久里浜病院名誉院長)のコメント
・ゲームに勝ち続けると依存性はなくなるが、ときどき負けるという不確実性があるため習慣化する。
・仲間とやり取りしていて、自分だけ置いてきぼりになることを皆とても怖がる。イヤだけど見ざるを得ない状況になっていることが多い。
・依存患者に「見るのはいいけど、書き込むのはしばらくやめよう」と提案している。書き込むと必ず反応を見たくなるため。
・依存性のあるゲームやネットは、早い年齢から始めると依存のリスクが高くなることがわかっている。国がガイドラインを作成すべき時に来ている。
・スマホ・ネットを使わない時間を家族で設定・共有することを提案したい。
(例)夜の7〜8時は家族全員で使わない時間を作る( → 会話が増えるかもしれない)。

★ スティーブン・クレイン氏(スタンフォード大学 行動デザインラボ)の提案
・使いやすく便利に作られているスマホを自分で使いにくく楽しめないようにするくする工夫が必要。
・人間は3つの要素「やりたい・できる・きっかけ」がそろったときに行動する。
1.「きっかけ」を減らす:
(例)お休みモードをオンにして通知が来ないようにする。
2.「できる」を減らす:
(例)パスワードは長いものにして保存しない( → 精神的な負担が増える)。指紋認証や顔認証も使わない。
3.「やりたい」を減らす:
(例)画面の色を変える(赤一色にするとずっと画面を見たくなくなる、白黒にすると魅力が半減する)。


<参考>
・「ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち」(吉川徹著、合同出版)
・「思春期の「つながる気持ち」はどこへ行く?」(関正樹著、日本評論社)
・「子育て支援者応援チャンネル」(YouTube動画 by 木下直俊先生)
・「思春期 心と体の不調 ゲーム依存」(NHK-Eテレ きょう
の健康、2025年)
・「ゲームネット依存」(NHKサイエンスZERO、2022年)
・「
子どものスマホ、いつから持たせる?(AERA Kids+、2026.4.8)

<相談窓口>
エンジェルアイズHP
全国精神保健福祉センター(厚生労働省)
保健所検索(厚生労働省)

 片頭痛の治療薬は日進月歩で、近年、新薬が相次いで登場してきています。
 しかしこれは成人領域の話で、小児(特に小学生)への使用が正式に認められている新薬はほとんど存在せず、相変わらずアセトアミノフェンやイブプロフェンの頓服でしのいでいる旧態依然のまま。私は何とかならないかと漢方薬を提案しています。五苓散内服で5割、五苓散と呉茱萸湯を組み合わせると7割の患者さんに効果があると報告されています。
 さて、偏頭痛と群発頭痛を扱う番組を視聴し、わかりやすい説明だったので備忘録としてポイントを書き残しておきます。相変わらず小児には使えない薬の話ですが。

 いくつか記憶すべき数字が登場しました;
・鎮痛剤が有効かどうか → 内服2時間後に楽になっているかどうかで判断
・鎮痛薬は月に10回以内の使用にとどめる。月に10日間以上、それを3か月以上続けると「薬剤の使用過多による頭痛」のリスクが高くなる。
週1回以上鎮痛薬を服用している人は医療機関を受診し予防薬による治療の検討が必要。


<総論>

▢ 三大頭痛(頭痛そのものが病気)
・片頭痛
・緊張型頭痛
・群発頭痛

▢ 片頭痛の診断
(問診)約9割が診断される:頻度、起こり方、痛み方、服薬歴、等
(診察)神経系の診察
(検査)血液検査、MRIなどの画像検査を行うこともある。
・・・以上により二次性頭痛(ほかの病気が原因の頭痛)を除外する。

▢ 二次性頭痛の例
・脳梗塞
・脳出血
・くも膜下出血
・髄膜炎

▢ 危険な頭痛(二次性頭痛)の特徴
・突然の頭痛、今までにない激痛
・麻痺やしびれ、しゃべりにくい
・精神症状(厳格・妄想・幻聴、等)
・意識がぼんやりしている
・発熱
・視力低下を伴う
・50歳以上で新規発症
・頻度や程度が増えている、等

▢ 頭痛治療薬まとめ

1.片頭痛
(発作治療)
・トリプタン製剤(内服薬)
・ラスミジタン(レイボー®、内服薬)
(予防薬:毎日内服)・・・効果がない・副作用が出た場合は注射薬を試す
・カルシウム拮抗薬
・β-遮断薬
・抗てんかん薬
・抗うつ薬
(予防薬:月1回注射)
・CGRP関連抗体薬:少しでも効果があれば1年〜1年半ほど継続(痛み軽減作用もある)
(治療&予防薬)
・リメゲパント(ナルティーク®、2026年9月承認、12月販売):副作用が少ない、血管収縮作用がない。

2.群発頭痛
(発作治療)
・トリプタン製剤(自己注射薬)2007年承認
・在宅酸素療法
(予防薬)
・カルシウム拮抗薬
・ステロイド

<各論>

【片頭痛】

▢ 片頭痛について
・慢性頭痛の代表的な疾患の一つ。
・患者数は1000万人(推計)。
・女性に多く、女性:男性=3:1。
・頭の片側、もしくは両側が痛み、吐き気・嘔吐を伴うことがある。
・日常生活に非常に大きな支障をきたす疾患。

▢ 片頭痛が起きるメカニズム
・脳の視床下部で痛み物質が産生される。
・痛み物質は三叉神経を刺激する。
・三叉神経は脳の血管を拡張させるとともに炎症を起こす。
・血管拡張と炎症が痛みを発生させる。
・嘔吐中枢も活性化され、吐き気を催す。

▢ 片頭痛の特徴(セルフチェック)
① 動くと悪化する。
② 吐き気がある。
③ 光・音・においに過敏になる。
①②③の2つ以上該当する → 片頭痛の可能性あり

▢ 片頭痛の誘因(きっかけ)
(自己調節可能な誘因)
・まぶしい光
・強いニオイ
・飲酒
・睡眠不足
・寝過ぎ
・人混み
・騒音
(対人関係)
・ストレス
・ストレスからの解放
(自然現症)
・天候の変化
・温度の変化
・高い湿度
・月経
・更年期

▢ 市販の鎮痛薬の効果
・市販薬で痛みが改善し、支障なく過ごせているのであれば問題ない。
服用して2時間後に楽になっているかを確認すべし(本当に効いている?)。

▢ トリプタン製剤(内服薬)
・頭痛のメカニズムに沿って作られた薬(血管の拡張と炎症を抑える)。
・これまでの鎮痛薬(NSAIDs)で効かない人にも効果が期待できる。
・種類;
 スマトリプタン(イミグラン®)点鼻あり、ジェネリックあり
 ゾルミトリプタン(ゾーミッグ®)ジェネリックあり
 エレトリプタン(レルパックス®)ジェネリックあり
 リザトリプタン(マクサルト®)速く効く、ジェネリックあり
 ナラトリプタン(アマージ®)効果が長い、ジェネリックあり
・副作用;
 のどが締めつけられるような感じ
 だるくなる
 眠くなる、等
・服用日数:ひと月に10日以内
・服用できない人(禁忌):血管を収縮させるため、以下の病気の人は服用できない。
 ❌️ 脳梗塞
 ❌️ 心筋梗塞
 ❌️ 重い高血圧
 ❌️ 肝障害

▢ 「薬剤の使用過多による頭痛」
・トリプタン製剤でも市販薬でも起こりうる。
・使用頻度が月に10日間(※)以上、それを3か月以上続けていると脳が痛みに過敏になってしまい、わずかな刺激でも頭痛が起きやすくなる。
※)非オピオイド系鎮痛薬は15日。
・週1回以上鎮痛薬を服用している人は医療機関を受診し予防薬による治療の検討が必要

▢ トリプタン製剤が使えない人へ
・ラスミジタン(レイボー®、2022年承認):血管収縮作用がない。
 
▢ CGRP関連抗体薬(予防薬)
・頭痛のメカニズムに焦点を当てた新たな予防薬。
・月に1回自己注射をして片頭痛の発生を抑える効果がある。
・三叉神経末端から分泌されるCGRPが血管のレセプターに結合して作用し血管が拡張&炎症を起こすが、CGRP関連抗体薬はCGRPが受容体に結合する前にトラップして持ち去ってくれる。
・薬剤;
 ガルカネズマブ(エムガルティ®)
 フレマネズマブ(アジョビ®)
 エレヌマブ(アイモビーグ®)
※)費用:保険適用あり、3割負担の場合1本12,000円程度。


【群発頭痛】

▢ 群発頭痛の疫学
・患者数:約10万人
・男性に多く、20〜40歳で発症(近年は女性も増えている)

▢ 群発頭痛の症状
・片側の目の奥やこめかみが痛くなる。
・短時間で痛みがピークになる。
・15分〜3時間続く(終わると通常に戻る)。
・1日のうち短時間だけ痛みが起こる。治まるが毎日起こる。
・痛む側の目が充血し涙が出る、鼻水が出る。
・群発期がある。毎日数時間頭痛が起きる、数週間〜2か月ほど続く。
・群発期以外は頭痛は起こらない。
・群発期は半年〜数年おきに来る。

▢ 群発頭痛の治療
(発作用)
・トリプタン製剤(イミグランキット皮下注®、自己注射薬)(2007年承認):効果が出るまで数十分(内服薬では1〜2時間)、1日2回まで使用可能
・在宅酸素療法:高濃度の酸素を15分間吸入すると、群発頭痛の症状改善が期待できる。なお、酸素は登山用などではなく医療用酸素。
(予防薬)群発期のみ服用し、痛みの程度や頻度を減らすことができる。
・カルシウム拮抗薬
・ステロイド


<参考>
・チョイス@病気になったとき「頭痛〜治療と予防の最新情報」(NHK Eテレ、2026年5月3日放送)
頭痛専門医検索(日本頭痛学会HP)

<追加>
 最初に書いたように、トリプタン製剤は添付文書上、小児に適応がありません。しかし、適応がない中でも安全に使える可能性が高いことが「頭痛ガイドライン」にも記載されている、という宙ぶらりん状態が現状です。製薬会社さん、小児適応取得をお願いします。

小児に使用が許可されているトリプタン製剤
(12歳以上、体重40kg以上)スマトリプタン(イミグラン®)点鼻
・・・ほかのトリプタン製剤は小児に対する有効性が証明されていない。もし使用する場合は、説明と同意の上、年令12才以上・体重40kg以上は成人と同じ量、年令8才以上~12才未満・体重25kg以上~40kg未満は、成人の半量が処方量の目安。

正式に認可されていないが、説明と同意の上、小児使用可能なトリプタン製剤例
(6〜12歳)
 スマトリプタン(イミグラン®)点鼻あり
 リザトリプタン(マクサルト®)速く効く
(13〜17歳)
 スマトリプタン(イミグラン®)点鼻あり
 リザトリプタン(マクサルト®)速く効く
 ゾルミトリプタン(ゾーミッグ®)
 エレトリプタン(レルパックス®)
 ナラトリプタン(アマージ®)効果が長い

頭痛ガイドラインでは・・・
頭痛ガイドラインでは、カロナールでコントロールできない頭痛はトリプタン製剤(リザトリプタン、マクサルト®が推奨されている。体重によって40kg以上は10mgで40kg未満は5mgが推奨されている。

 もちろん、ガンコな頭痛、鎮痛薬抵抗性の頭痛の際は、二次性頭痛の可能性を検査で除外しなくてはなりません。実際に、頭痛を主訴に受診された小学生に「頻度・程度が悪化傾向なら脳神経外科で検査が必要です」と説明したところ、その半年後に脳神経外科で「もやもや病」と診断されたお子さんがいました。

 子どもたちの心の問題を追及していると、生きることの基本に立ち返ります。それは、食事・運動・睡眠。いくら薬を使っても、この3つがボロボロだったら立て直せません。
NHKで睡眠障害を扱った番組を視聴したところ、わかりやすい説明だったので備忘録としてポイントを書き残しておきます。
 睡眠医学は、メラトニンやオレキシンという物質の発見で飛躍的に進歩し、それが治療薬の開発につながっています。しかし、子どもに使用できる薬は限られています。
 さらに一番最後に出てきた「子どもの睡眠障害の原因」には環境(塾やスマホ)と心の問題(悩み・ストレス)が挙げられており、これを紐解いていくには心理士の介入も必要になりそうです。私は漢方薬の内服を提案しています(子どもの睡眠の悩みに漢方を)。

▢ 睡眠・覚醒障害とは
・夜中の睡眠の質が悪い、量が足りない。
・寝不足により日中の活動に支障がある。
・約70種類の病気が含まれる。

▢ 睡眠不足と睡眠障害の違い
・睡眠不足:眠ない(睡眠習慣の問題)
・睡眠障害:眠ない(日常生活に困りごとがある状態)

▢ 患者さんの生の声

▶ ナルコレプシー1型:日中に過剰な眠気があり、夜はグッスリ眠れない病気。
・情動脱力発作(突然、体の力が抜けて倒れてしまう症状):感情の動きが大きいときに全身の力が一気に抜けてしまう。
・「倒れ方が気持ち悪い」と言われた。自分でこらえよう・戻そうとする動きも加わるので、バタッではなくガクガクガクッと倒れ込む。倒れたあと眠ってはいるけど耳は聞こえる。

▶ むずむず脚症候群:夕方から夜に欠けて足の不快感が悪化して睡眠の妨げになる病気
・足が気になって、ほてって眠れない。
・「脚の中に虫が這うような感じ」とか「じっとしていられない、マッサージし続けないといけない、じゃないと気持ち悪くていられない」
・脚のむずむずの不快感は、なぜか明け方くらいになるとちょっと症状が治まる。2〜3時くらいにはうとうとして少し眠れる。
・でも夜になると、また寝られない戦いをしなければならないとため息が出る。

▶ 睡眠・覚醒相後退障害:脳の体内時計のリズムが乱れて睡眠時間が後ろにずれる病気
・超夜型で、みんなが眠る0時頃になっても眠気が来ない、眠りたいのに眠れない。
・定時制高校に通うようになり、登校時間が自分のリズムに合うようになり、困りごとが解消した。
・社会全体が朝型の生活でまわっている、社会に合わせに行くのではなく、自分に合った生活リズムを見つけるという考え方も大切だと思う。

▢ 睡眠・覚醒障害の分類
1.不眠
・慢性不眠障害
・短期不眠障害、等
2.睡眠リズムの異常
・睡眠・覚醒相後退障害
・非24時間睡眠・覚醒リズム障害、等
3.過眠
・ナルコレプシー
・反復性過眠症、等
4.睡眠中の異常現象
・むずむず脚症候群
・睡眠時無呼吸症候群、等

▢ オレキシンの発見(1998年、柳沢正史)
・人の覚醒を促す脳内物質。
・ナルコレプシーの治療薬開発につながった。

▢ 子どもの睡眠問題
・日本国内の子どもの3〜4人に1人が睡眠問題を抱えている。
・寝付きが悪い、夜中に動く、朝目が覚めないなど睡眠問題で「ほぼ毎日困っている」親が約30%。

▢ 年齢による体内時計の変化
・幼児期〜学童期は朝型
・思春期〜20代は夜型に傾く
・中高年になると再び朝型へ

▢ 子どもの睡眠障害の原因
・体質:生まれつき寝るのが苦手、等
・環境:塾や習い事で多忙、スマホ・ゲーム、等
・心:悩みやストレス、等


<参考>
▢ フクチッチ「睡眠障害・前編/後編」(NHK・Eテレ、2025年)

生理痛ではなく、生理が始まる前につらい症状で悩まされる女性は多くいらっしゃいます。
軽度の症状を含めると、80〜90%の女性が何らかの症状を経験すると報告されています。そのうち、PMSと診断される女性は20〜30%、PMDDを辛酸される女性は1.2〜6.4%。

日本産婦人科学会の定義は以下の通り;
PMS(premenstrual syndrome):月経前症候群
・・・月経前3〜10日間の黄体後期に発症する多種多様な精神的、あるいは身体的症状で月経の開始とともに減弱あるいは消失するもの
PMDD(premenstrual dysphoric disorder:月経前不快気分障害
・・・PMSの中で精神症状が主体で強いもの
★ 2013年に改定されたDSM-5にて初めてPMDDが抑うつ障害群のカテゴリーの一つに分類され、うつ病と同列の独立した疾患として格上げされた。

PMS/PMDDの漢方医学的病態(後山尚久先生)
・瘀血と水滞が病態の中心+気鬱
瘀血)骨盤内臓器の充血・鬱血
水滞)黄体ホルモンの作用で、浮腫、体重増加、乳房緊満感、頭痛、眩暈
気鬱)強い瘀血は血の巡りを妨げ気鬱を引き起こす。抑うつ、腹部膨満感

PMSの漢方治療
・婦人科3処方の適応:当帰芍薬散(23)、加味逍遥散(24)、桂枝茯苓丸(25)
水滞)浮腫・めまい・頭痛
 +(陰証)冷え症・寒がり → 当帰芍薬散:貧血傾向、皮膚の乾燥、色白、月経困難
 +(陽証)冷えなし、暑がり、のぼせ → 五苓散:口渇、自汗、尿不利

PMSの気逆(イライラ)対策
・赤鬼タイプ(外に発散する怒り) → 加味逍遥散
・青鬼タイプ(陰に籠もった怒り) → 抑肝散(54)


・・・小児科の当院にも、PMS症状(生理前のイライラ感)でつらい思いをしている中学生女子が通院しています。加味逍遥散(24)が合い、本人も家族も「楽になった」と喜ばれています。

以前書いた記事では、月経関連症状に使用する漢方薬を、虚実と随伴症状から選択する内容でした。
もう少し掘り下げて、気血水理論で使い分けるセミナーを視聴したので、備忘録としてポイントを書き残しておきます。
患者さんにとっては症状で選ぶ方がわかりやすいのですが、医師側から見ると理論から根拠を持って選択できた方が使い分けしやすい傾向がありますね。
気(生体エネルギー)を体内にまんべんなく行き渡らせる(血・水)状態を健康と捉え、各要素が不足したり、滞ったり、逆流したりすると病気が発生するというイメージです。
そして漢方薬はその偏り・歪みを補正する薬です。だから、その人の本来の健康な状態に戻す薬であり、それ以上のことはできません。過剰な期待は無意味です。


▶ 月経関連処方の気血水(まとめ)
当帰芍薬散(23) → 瘀血・血虚・水滞
加味逍遥散(24) → 瘀血・  ・  ・気鬱・気逆
桂枝茯苓丸(25) → 瘀血・  ・  ・  ・気逆


▶ 気血水とは
【気】
・目に見えない生命エネルギー
・生体における精神活動を含めた機能活動を統一的に制御する要素
【血】
・気の働きを担って生体を循行する赤色の液体
【水】
・気の働きを担って生体を滋潤し、栄養する無色の液体

▶ 気血水の病態
気 → 気虚・気滞・気逆
血 → 血虚・瘀血
水 → 水毒

▶ 瘀血と駆瘀血剤
・血の流れが滞っている状態
・瘀血スコア:瘀血スコア5点以上の項目をセレクト、21点以上で瘀血
(症状)
 ✓ 月経障害(10)
 ✓ 皮下溢血(10)
 ✓ 眼瞼部の色素沈着(10)
 ✓ 舌の暗赤紫化(10)
  ✓ 皮膚の甲錯(5)
  ✓ 歯肉の暗赤化(5)
  ✓ 細絡(5)
  ✓ 手掌紅斑(5)
  ✓ 痔疾(5)
(診察所見)
 ✓ 臍傍圧痛抵抗・右(10)
  ✓ 臍傍圧痛抵抗・左(5)
  ✓ 臍傍圧痛抵抗・正中(5)
  ✓ S状部圧痛抵抗(5)
  ✓ 季肋部圧痛抵抗(5)
★ 瘀血の腹候と圧痛点
(当帰芍薬散)右臍傍、軽いしこりのみ、硬結なし
(桂枝茯苓丸)左臍傍
(大黄牡丹皮湯)回盲部
(桃核承気湯)S状結腸部
・駆瘀血薬:血の巡りをよくする
(虚証)当帰・川芎
(虚実間証)芍薬
(実証)桃仁・牡丹皮(・冬瓜子・大黄)

▶ 血虚と補血剤
・血虚:
(身体症状)皮膚乾燥、あかぎれ、脱毛、爪のもろさ、手足のしびれ、めまい、こむら返り
(精神症状)不眠、集中力低下
(診察所見)腹直筋攣急
・補血薬:血を補う・栄養を隅々まで届ける
(生薬)芍薬、当帰、地黄、阿膠、酸棗仁、小麦、何首鳥
(方剤例)
 ✓ 四物湯《和剤局方》:当帰・芍薬・川芎・地黄
 ✓ 芍薬甘草湯《傷寒論》:芍薬・甘草
 ✓ 小建中湯《傷寒論》:桂皮・生姜・大棗・芍薬・甘草・膠飴

▶ 当帰芍薬散(23)
・気血水:瘀血・血虚・水滞
・症状:頭痛、めまい、吐き気、浮腫
・外見:なで肩、色白、当芍美人

当帰芍薬散の生薬構成 ≒ 四物湯+五苓散
 補血:当帰・芍薬・川芎
 駆瘀血:芍薬・川芎
 利水:茯苓・蒼朮・沢瀉
 順気(気鬱):川芎
 順気(気逆):なし

▶ 加味逍遥散(24)
・気血水:瘀血・気鬱・気逆
・症状:イライラ、のぼせ、便秘
・特徴:煩躁(気分が落ち着かず、イライラしてじっとしていられない)、逍遥(症状がコロコロ変わる)
・生薬説明
✓ 柴胡:清熱作用、抗ストレス作用
✓ 山梔子:清熱作用、煩躁改善作用

加味逍遥散の生薬構成
 補血:当帰・芍薬
 駆瘀血:当帰・芍薬・牡丹皮
 利水:茯苓・蒼朮
 順気(気鬱)柴胡・山梔子・薄荷
 順気(気逆)なし

▶ 桂枝茯苓丸(25)
・気血水:瘀血・気逆
・症状:のぼせ、赤ら顔
・所見:臍上悸、左臍傍圧痛

桂枝茯苓丸の生薬構成
 補血:芍薬
 駆瘀血:芍薬・牡丹皮・桃仁
 利水:茯苓
 順気(気鬱)なし
 順気(気逆)桂皮

▶ 柴胡剤のラインナップ
 実
 ⇧ 大柴胡湯(8)
 ⇧ 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
 ⇧ 四逆散(35)
   小柴胡湯(9)
 ⇩ 柴胡桂枝湯(10)
 ⇩ 加味逍遥散(24)
 ⇩ 柴胡桂枝乾姜湯(11)
 ⇩ 補中益気湯(41)
 虚

▶ 陰陽と月経関連処方
(陽証)桂枝茯苓丸(25)、加味逍遥散(24)
(陰証)当帰芍薬散(23)

▶ 六病位と月経関連処方
(少陽病期)桂枝茯苓丸(25)、加味逍遥散(24)
(太陰病期)当帰芍薬散(23)

▶ 冷えのタイプと月経関連処方
・四肢の冷え(血虚・瘀血) → 当帰芍薬散(23)
・上熱下寒タイプ(気逆)・・・手先足先の冷え+顔面紅潮 → 加味逍遥散(24)、桂枝茯苓丸(25)

▶ 月経関連処方の舌所見
当帰芍薬散(23)蛋白・腫大・歯根
加味逍遥散(24)舌尖赤い、しまった感じの形
桂枝茯苓丸(25)紫色、舌下静脈怒張


<参考>
・2026年3月にWEB配信された堀河漢方塾セミナー(谷口聖明Dr.、水澤理可Dr.)

・・・谷口先生のセミナーは何回も聞いていますが、理解しやすくて毎回楽しみです。処方に行き詰まったとき「陰陽」という視点を取り入れることを教えていただきました。
・・・水澤先生は気血水でキレイに分類してくれました。
一つ気づいたこと。以前から「加味逍遥散には気逆の生薬が入っていないのに、なぜ気逆の患者さんに使うんだろう?」と疑問に思ってきたのですが、キーとなる生薬は山梔子であることが判明しました。山梔子は煩躁(気分が落ち着かずイライラしてじっとしていられない状態)を緩和してくれるのですね。

 当院は小児科ですが、思春期のニキビの治療も行っています。
 当院の特徴は、皮膚科専門医も使う新しいニキビ治療外用薬と漢方薬内服を併用することで、「外からも中からも治す」方針です。
 中高生は定期的に通院することが難しく、ドロップアウトしがちですが、治療法が安定したタイミングで「オンライン診療」へ変更することが可能です。来院せずとも、自分のスマホと診察室のタブレットをつないで診療できますので、ぜひご相談ください。

 先日「小児・思春期のスキンケアのコツ」というWEB配信セミナーを視聴しました。小児科医にとっては馴染みのない内容であり、勉強になりました。ポイントと感じた箇所を引用・抜粋させていただきます。
※ 具体的な製品名が出てきますが、講師が紹介されたもので、私が推奨するものではありません。

▶ 思春期のスキンケアの問題点
・学校や部活動で忙しい:受診時間確保困難
・母親に連れられて(自分の意思ではなく)気乗りしないまま受診
・何でも面倒くさい、処方しても外用してくれない
・好き嫌いが多い、野菜を食べない
・前髪命!(額は絶対出しません)
・質問に対して「ふつう」としか答えない
 (自分が「ふつう」と思っている)
・週末になると化粧する(今や小学生も!)
・SNSでの誤情報も信じてしまう

▶ 正しいスキンケア

1.洗顔は1日2回、洗顔料を使って洗います。
(参考動画「ニキビに悩む方への洗顔Movie」マルホ提供)
・洗顔料をよく泡立てる(泡の洗顔料(※ 1)でもOK)
・湯温は30℃を目安
・すすぎ残しに注意
・清潔なタオルで水分を拭き取る → 拭かない!こすらない!
・摩擦レス(※ 2)が基本

※ 1)西村先生のオススメは、
 ① クリーミィフォーム(iniks)
 ② コラージュフルフルホイップソープ(持田製薬)
※ 2)「こすること」は肌トラブル(乾燥・赤み・シミ・シワ・たるみ等)の原因になります。

2.保湿は必要最小限で。
・化粧水(パックなどは不要)
・必要なら油分の少ない(※ 3)クリームを使用
※ 3)油分の多いものは毛穴をふさいでニキビを繰り返しがち

3.紫外線対策は低刺激のものを繰り返し塗る。
・低刺激の日焼け止めを塗る。
・SPFの数値に関係なく3時間毎に塗る。

メイク
・クレンジング不要のものが好ましい。
・クレンジングを使用するときはW洗顔が必要のない種類を選びましょう。
・オイルクレンジングはニキビの悪化や乾燥を招きます。
・拭き取りは肌を傷めるため避けましょう。

保護者にお願いしたいこと;
・内服外用忘れがないか見守りと声掛け
・できる範囲でバランスの良い食事の提供
・中高生に適したスキンケア用品の購入
・サンスクリーン剤の使用状況確認
※ 以下のことはNGです!
❌️ 母親が自分の基礎化粧品を使わせている。
❌️ クレンジング・パックをさせている(やり過ぎ)。
❌️ 小学生のメイクを容認している。

▶ 中高生に適したスキンケア用品
〜思春期の肌はデリケートで乾燥とニキビが混在します〜
・高価すぎない(ひと月2000円までが適当?)
・香料・添加物・刺激が少ないこと
・ノンコメドジェニック(ニキビ肌での安全試験クリア)
・洗顔料は泡タイプ、もしくは泡立ちのよいもの。洗浄力が強すぎて保湿成分まで取ってしまうものはNG。
・サンスクリーン剤は吸収剤を含まないもの、べとつかず伸びのよいもの、できれば石けんで落とせるもの。
・化粧水は1本で保湿まで補えるものを。

※ 西村先生のオススメ(iniksと皮膚科医である西村先生共同開発):
(洗顔料)クリーミィフォーム(iniks)・・・約40日分で2420円
(保湿液)ACモイスト Cコンディショナー(iniks)・・・約60日分で3960円
(日焼け止め)バリアUVプロテクション フェイス&ボディ(iniks)2420円


<参考>
・小児・思春期のスキンケア(西村香織先生)WEB配信セミナー、2026.3.11
美肌講座(マルホ)
親子で挑むスキンケア大作戦(iniks)
・美肌研究所公式LINE(iniks)

漢方医学で問題となる3種類の精神状態
・抑うつ・無力 → 気虚+気うつ
・不安・緊張  → 気うつ+気逆
・興奮・焦燥  → 気逆+血虚


▶ 漢方医学で問題となる3種類の精神状態と対応方剤

抑うつ・無力気虚・気うつ 

 補中益気湯(41) 
 茯苓四逆湯(人参湯+真武湯) 
 八味地黄丸(7) 
 半夏厚朴湯(16) 
 香蘇散(70) 
 加味帰脾湯(137)等


不安・緊張
気うつ・気逆

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12) 
 柴胡桂枝乾姜湯(11) 
 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)等

興奮・焦燥気逆・血虚

 加味逍遥散(24) 
 抑肝散(54) 
 黄連解毒湯(15)


▶ 抑うつ・無力(気虚・気鬱)に対する漢方フローチャート


食後の眠気(+)
→ 朝調子が出ない(+) → 加味帰脾湯(137)

  朝調子が出ない(ー)
  → 冷え(+)→ (著明な倦怠感)茯苓四逆湯

           (年齢からくる衰え)八味地黄丸(7)

  → 冷え(ー)→ 補中益気湯(41)


食後の眠気(ー)
→ 訴えがしつこい(+)→ 半夏厚朴湯(16)

  訴えがしつこい(ー)→ 香蘇散(70)

※ 気虚スコアより:体がだるい、気力がない、疲れやすい、日中の眠気

※ 気鬱スコアより:朝起きにくく調子が出ない抑うつ傾向、時間により症状が動く


▶ 不安・緊張(気鬱・気逆)に対する漢方フローチャート


冷えのぼせ(+)
→ 胸脇苦満(+) →(体格中等度以上)柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

          →(華奢)柴胡桂枝乾姜湯(11)

  胸脇苦満(ー) →  桂枝加竜骨牡蛎湯(26)

冷えのぼせ(ー)
→ 訴えがしつこい(+) → 半夏厚朴湯(16)

  訴えがしつこい(ー) → 香蘇散(70) 


▶ 興奮・焦燥(気逆・血虚)に対する漢方フローチャート


我を忘れるほど興奮(+) → 黄連解毒湯(15)

我を忘れるほど興奮(ー)
 → 不定愁訴(+) → 加味逍遥散(24)

 → 不定愁訴(ー) → 抑肝散(54)

※ 血虚を疑うとき:朝起きられない睡眠障害日中ボーッとする、会話にまとまりがない


LGBTQ+の e-learning を視聴・修了しました。備忘録として講義メモをここに残しておきます。

1.LGBTQ+の基礎知識
2.LGBTQ+と健康問題
3.LGBTQ+と医療問題
4.LGBTQ+と医療問題:カミングアウトへの対応
5.LGBTQ+と医療問題:医療者側から当事者への質問集
6.LGBTQ+と医療問題:医療者同士のQ&A集

基礎知識の一部を提示します。

▶ LGBTQ+の頻度

・日本国内の調査では3〜10%

 

▶ LGBTQ+とは

L(レズビアン):女性同性愛者(性自認・性的指向がともに女性)

G(ゲイ):男性同性愛者(性自認・性的指向がともに男性)

B(バイセクシャル):両性愛者(男女いずれも恋愛・性愛の対象となる)

T(トランスジェンダー):出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる

 ※ シスジェンダー:出生時に割り当てられた性別と性自認が一致している

Q(クィア):性的マイノリティを広く指す言葉として主に当事者に用いられる

Q(クエスチョニング):セクシュアリティを決めたくない、探索中の人

 

▶ LGBTQ+の意義

・その性のあり方を生きる人が声を上げるために、社会に届けるために、自分たちを表すために、連帯するために使い始めた言葉。

・たくさんの性のあり方を表す言葉がある。

(例)パンセクシュアル、A型陽性。セクシュアル、アロマンティック、エックスエンダー、ノンバイナリー、ジェンダーフルイド、etc・・・

・「自分がありのままで自分」と言えるために使う言葉

 

▶ LGBTQ+の内容

・LGBは「性的志向」(Sexual Orientation, SO)に関する話

・Tは「性自認」(Gender Identity, GI)に関する話

・QはSOとGIどちらも含む性の多様性全体を表す。Qに+をつけて、LGBTの他にもある多様な性のあり方を示す。

・セクシュアルマイノリティ(性的マイノリティ、性的少数者)の総称としてLGBTQ+という用語が使われることもある。

 

▶ SOGIという言葉

・SO(性的指向)、GI(性自認)はLGBTQ+かどうかに限らず、すべての人に関わること。

Sexual Orientation:性的指向・・・恋愛や性愛の対象となる性

Gender Identity:性自認・・・自分の性をどう認識しているか

 

▶ セクシュアリティを理解する〜性のあり方を分解して考える

1.性自認:GI(Gender Identity)こころの性

・自分の性をどう思うか

・自分にとってしっくりくる性

2.生物学的性:からだの性

・出生時に指定された性:Sex Assigned at birth

・身体的・生物学的な性:Biological Sex  → トランスジェンダーでは薬物療法(ホルモン療法)や外科的療法で変化がある場合あり

3.性的指向:SO(Sexual Orientation)好きになる性

・恋愛や性愛の対象となる相手の性

4.性表現:Gender Expression  → 見えるのはここだけ

・身なりや言動や素振りなど外見に表現する性

 

▶ 性のグラデーション

上述の性自認(こころの性)、生物学的性(からだの性)、性的指向(好きになる性)、性表現はすべて、男女の二元論だけでは語れないグラデーションである。

 

▶ 医療とLGBTQ+の歴史

・多様な性のあり方を「精神病理」の枠組みで捉えて「治療」しようとしていた過去がある。

 → 性自認・性的指向そのものを変えることは、いかなる場合においても治療対象ではない。強引に進めると、うつ、不安障害、自殺など深刻な被害をもたらす。

・病理化(疾患・傷害として定義)した過去と脱病理化(多様な性のあり方として捉える現在)の歴史。

・医療がLGBTQ+の人々に対するスティグマ・偏見を作り出した歴史があり、現在も影響が残っている。

 

▶ 医療とLGBTQ+の歴史:同性愛(性的指向、Sexual Orientation, SO)

・DSM-IIまでは「同性愛」は精神疾患リスト内に

・1987年:DSM-III-Rで完全に削除 → 脱精神病理化

 WHO「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とならない」

 

▶ 医療とLGBTQ+の歴史:トランスジェンダー(性自認、Gender Identity, GI)

(DSM)

1980年:DSM-III  Gender identity disorder(性同一性障害)

2013年:DSM-V  Gender dysphoria(性別違和) → 脱障害化

(ICD)

〜ICD-10までは精神及び行動の障害

2018年:ICD-11  Gender incongruence(性別不合)

 Conditions related to sexual health に → 脱精神病理化 

 

▶ DSD(Disorders of Sex Development、性分化疾患)

・「からだの性」のグラデーション

・DSDs:Differences of Sex Development, からだの性の様々な発達、と呼ばれることもある。

・性分化の過程で、染色体 → 性腺 → 外性器の性が発達するプロセスのどこかが非典型的である状態、と定義される。

・いくつかの疾患を総合した用語

(例)Turner症候群、AIS(アンドロゲン不応症)、CAH(副腎過形成)など数十の疾患群

・DSDを持つ人々にとって「中性」「男性でも女性でもない」と表現されることは重大な心的被害をもたらすことがある。

・DSDの人々の中にも性自認や性的指向の多様性がある場合もあるが、そうでない場合、LGBTQ+の文脈で語られたくないと感じる人もいる。

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