カテゴリ:アレルギー > 花粉症

花粉症で病院・医院を受診すると、アレルギー性結膜炎に対する点眼薬が処方されます。しかし、正しく使用できている方は(私を含めて)少ないようです。
アレルギー学会主催の眼科専門医のレクチャー内容を伝授します。

▶ 正しい目薬の使い方
① 1滴だけでOK
② まばたきしない
③ 2つ以上使う場合は5分以上間隔を開ける
④ 処方箋の回数を守る

<解説>
① 1滴だけ
・点眼1滴は40μL、結膜嚢容量(目全体に行き渡る量)は30μL
② まばたきしない
・まばたきをすると鼻涙管への排出が増えてなくなってしまう
③ 2つ以上使う場合は5分以上間隔を開ける
④ 処方箋の回数を守る(プロアクティブ点眼)
・1日2回(あるいは4回)使用して最大効果を発揮するように作られている。
・「かゆくなったら点眼」では十分な効果が得られない。


▶ チェックすべき点眼薬の性質
(点眼回数)
・1日1回・・・軟膏製剤のみ
・1日2回
・1日4回・・・標準
(刺激感)
・涙液の pH は7.4(中性)
・涙液よりも酸性・アルカリ性に傾くと刺激感あり
(防腐剤)
・BAK-free(Benzalkonium chloride):コンタクト・レンズ使用者、BAKアレルギー患者に
・防腐剤 free:角膜上皮障害患者、防腐剤アレルギー患者

※ 防腐剤無添加の点眼液「PF(Preservative Free)デラミ容器®」
PFマークが目印
<参考>
PF点眼薬の正しい使い方(ロート製薬)

▶ 刺激感が少ない点眼液例
・塩酸レボガドスチン(リボスチン®点眼液):中性
・塩酸オロパタジン(パタノール®点眼液):中性
・エピナスチン塩酸塩(アレジオン®点眼液、アレジオンLX®点眼液):中性

▶ BAK free の点眼液
・エピナスチン塩酸塩:アレジオン®点眼液(中性)、アレジオンLX®点眼液(中性)
・クロモグリク酸ナトリウム:クロモグリク酸Na®・PF点眼液(酸性)
・トラニラスト:トラメラス®PF点眼液(中性)
・ケトチフェンフマル酸:ケトチフェン®PF点眼液(酸性)
・アシタザノラスト水和物:ゼペリン®点眼液(酸性)

▶ アレジオン®眼瞼クリームの登場(2025年)
・上下眼瞼に1日1回塗布
・子ども、多剤点眼使用者、アドヒアランスが低い患者などへ有用な選択肢
・眼瞼炎への使用は推奨されない

・・・成人女性にも評判が良いようです。1日1回でよいので、夜メイクを落としたあとに塗ると1日効果が持続するのがポイントらしい。

▶ ステロイド点眼の種類
(弱)フルオロメトロン0.02%点眼液
(中)フルオロメトロン0.1%点眼液
(強)ベタメタゾン0.1%点眼液、デキサメタゾン0.1%点眼液

▶ ステロイド点眼の副作用
・眼圧上昇に注意:ピークに至るまでの期間は;
✓ デキサメタゾン0.1%では平均8日
✓ フルオロメトロン0.1%では平均14日
 → 安全に使うには1週間以内にとどめるべし
・眼圧が上昇して緑内障を発症しても、末期にならないと自覚しない、一度欠けた視野は治らない。

▶ 非薬物療法も大切
・洗眼液や人工涙液を用いた洗眼 → 抗原の除去
(例)ウェルウォッシュ®(Santen)
・防護カバー付きのメガネの装用 → 抗原曝露の回避
・冷却圧迫の併用 → 搔痒感の改善

▶ 花粉症期間中もコンタクト・レンズを使う場合の注意点
・半数以上が花粉症時期もコンタクトを使い続けているというデータあり。
・コンタクト・レンズに花粉が付着すると、巨大乳頭結膜炎の合併リスクがある。
・花粉時期は使用をできる限り中止すべし。あるいは1dayソフト・コンタクトレンズに変更する。
・点眼薬はBAKフリーのものを使用する。

花粉性眼瞼炎
・I&IV型アレルギー
✓ 花粉症時期に目の周りの皮膚が荒れる症状。
✓ 境界明瞭な紅斑(赤い斑点)と浮腫(むくみ)
✓ 女性に多い(クレンジング使用など皮膚バリア機能低下)
✓ 花粉パッチテスト陽性
・接触眼瞼皮膚炎も合併しやすい
✓ 抗アレルギー点眼薬(例:ケトチフェン)
✓ 防腐剤(BAK)
✓ アミノグリコシド系抗菌薬
✓ 植物

「正しい点眼法」を検索していたら製薬会社HPに「親が子どもに点眼するときのポイント」という記述を見つけましたので、引用・抜粋させていただきます。

▶ 親が子どもに目薬を点すとき

① ひざ枕で仰向けに寝かせる

まず手を清潔にします。ひざ枕をして、足の間に子どもの頭をのせて、仰向けに寝かせます。この時、子どもが泣いていると目薬を点しても流れ出てしまうので、子どもが落ち着いて点せる状態で行ってください。

② 下まぶたに目薬を点す

子どもの下まぶたをそっと引っぱって「あかんべえ」の状態にし、下まぶたの上に目薬を点します。その後目を閉じると、目薬が目の中に入っていきます。
ここで注意したいのは、目薬を直接目に着けないようにすることです。感染症予防のため、また、目薬の中に目やにやゴミなどの異物が入ることを防ぐためです。
どうしても目を閉じてしまう子どもは、目の周りを清潔にしてから、目頭あたりに目に触れないように注意して点してください。点したあとにまばたきをすることで、目薬が目の中に入っていきます。

③ 目のまわりにこぼれた目薬を拭きとる

目薬を差した後は、目からあふれた分は清潔なガーゼ、ハンカチ、ティッシュなどで拭きとります。拭き取らずに皮膚についたままにしていると、かぶれてしまう可能性もあるので、忘れずに拭いてあげましょう。


<参考>
・木村芽以子先生講演記録(第12回総合アレルギー講習会2026)
目薬の点し方~自分にも、子どもにも、年を重ねても~(ロート製薬)

当院の花粉症診療の特徴は、
・漢方薬の併用により効果・満足度をアップ
・オンライン診療に対応
していることです。
※ おとなの花粉症も条件付で診療しています。

子どもの花粉症

おとなの花粉症

舌下免疫療法

舌下免疫療法の副反応 

子どもの花粉症と分けて項目を作ったのには理由があります。
大人で使う薬は小児とは違った注意点が存在するからです。それは以下の2つ;
・車の運転
・妊娠・授乳


車の運転が許可されている(添付文書に注意喚起がない)抗アレルギー薬は限定されます
また、「妊娠中でも安全に使用できる」ことを保証している抗アレルギー薬はありません授乳中も「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」と、何かあったときは医師に責任を転嫁するというずるいしくみになっています。

当院は小児科ですが、子どもの付き添いで来院したおとなの花粉症も“条件付き”で診療しています。その条件とは、

① 診断が確定している。
② 他に持病がない。
③ 他に薬を飲んでいない。
④ 妊娠していない(治療期間中に妊娠予定がない)。
⑤ 授乳中の場合は、漢方薬を飲める方。

の5点です。②と③は、薬の飲み合わせを確認するのが大変で診療が止まってしまうため。①②③④⑤のすべてをクリアした方は当院で診療可能です。ただし処方は「最長1ヶ月単位」とさせていただいています。

・・・以上にご了承いただける方のみ、ご相談ください。

当院の特徴は、
・漢方薬併用により眠気中和&効果倍増、高い満足度
・オンライン診療に対応
です。自分に合う薬・治療法が決まるまでは通院していただきますが、一旦治療が決まるとオンライン診療(※)に切り替えることができます。
※)自宅にいながらスマホで診察室の私とつながり診察&処方が可能です。
なお、花粉症の種類や診断については、「子どもの花粉症」の項目に書きましたのでそちらをご参照ください。では早速、実際の治療のお話に入ります。

▶ 基本治療:(抗アレルギー薬内服)+(局所療法:点眼・点鼻)

まずは抗アレルギー薬(内服薬)のお話を。
子どもの治療と異なる点は「眠くなる薬を使えない」ことです。成人では車の運転をする方がほとんどと思われ、以下のような「車の運転が許可されている薬」に限定されます。

・ロラタジン(クラリチン®)
・フェキソフェナジン(アレグラ®)
・ビラスチン(ビラノア®)


残念ながらロラタジンとフェキソフェナジンは、眠くならない代わりに効果が今ひとつ、という弱点があります。
ビラノア®は最近登場した薬ですが、眠くなりにくいけど効果がある、と評判です。ただし空腹時内服(※)というルールがあり、タイミングが難しくて内服を忘れてしまいがち、という欠点もあります。
※ )食前1時間〜食後2時間は避ける、この時間帯に服用すると効果が半減する
当院で処方可能なすべての薬のラインナップを、効果と眠気の強さでランキングしつつ紹介しておきます。

効果:①強 → ⑥弱)
① オロパタジン(アレロック®)
② レボセチリジン(ザイザル®)
③ ビラスチン(ビラノア®)
④ エピナスチン(アレジオン®)
⑤ ロラタジン(クラリチン®)
⑥ フェキソフェナジン(アレグラ®)

眠気:①強 → ⑥弱)
① オロパタジン(アレロック®)
② レボセチリジン(ザイザル®)
③ エピナスチン(アレジオン®)
④ ロラタジン(クラリチン®)
⑤ フェキソフェナジン(アレグラ®)
⑥ ビラスチン(ビラノア®)

つまり、効果と眠気は比例関係にあるのですね(セミナーでは否定する講師が多いのですが)。わかりやすい一覧表を見つけましたので引用します(こちらから)。⭕️は「車の運転OK」の薬です。

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上記抗アレルギー薬の他に、別系統の抗アレルギー薬を併用することもあります。「抗ロイコトリエン薬」というグループで、以下の2種類があります;

・プランルカスト(オノン®)
・モンテルカスト(キプレス®、シングレア®)


鼻閉に有効、とされていますが、実感として効果はそれほど強くありません。鼻閉には後に述べる漢方薬の方が手応えがあります。

★ 授乳中の方へ
(⇩)妊娠時の安全性評価・授乳中のカテゴリー(2017年改定版)(神戸医療センター母乳育児推進委員会
授乳婦への抗アレルギー薬
・抗アレルギー薬の添付文書には「授乳中は禁止」あるいは「
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」と書かれています。
・一方で、安全に投与できるというデータも報告されてきており、成育医療研究センターが情報発信しています(参考⇩)。
・以上より、現時点では「副作用の可能性を了解して希望される方のみ」処方する、というスタンスになるため、当院では漢方薬を基本としています。

<参考>
授乳中に安全に使用できると考えられる薬(国立成育医療研究センター)
授乳中の薬は母乳に影響しますか?(日本ラクテーション・コンサルタント協会)

内服薬のみでは効果が不十分な場合、以下の局所療法(点眼・点鼻薬)を併用します。つらい場所にダイレクトに薬を投与するため、効果が実感されます。

点眼薬
・オロパタジン(パタノール®)点眼
・エピナスチン(アレジオン®)点眼
・アレジオン®眼瞼クリーム
(点眼が苦手な方へお勧め、ただし少しお値段が高い)
点鼻薬
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト®)点鼻薬

点眼薬は即効性があるものの・・・「かゆくなったら使用する」方が多いのですが、それよりも「かゆくならないいために使用する」、つまり処方箋の指示通り「1日〇回」と定期的に使用する方が効果的です。
アレジオン眼瞼クリームは2025年に発売された「塗る目薬」で、点眼を嫌がる小児に使いやすい薬です。1日1回でよいため、夜メークを落としたあと塗ると一日効果が続くという女性の味方でもあります。
<参考>
点眼薬の正しい使い方


点鼻薬は即効性がないタイプ(※)で、効果が出るまでに約1週間かかります。でも1本使い切ると鼻閉が改善して鼻で呼吸ができるようになりますので、「“三日坊主”でやめてしまうともったいないですよ!」と指導しています。
※ 内科や耳鼻科で処方される「血管収縮剤点鼻薬」は即効性はありますが依存性もあり、長期連用すると鼻閉が増悪する副作用もあるため、当院では処方しておりません。

▶ 追加治療

上記基本治療を行っても効果が今ひとつの場合には、以下の追加治療を提案しています;

1.抗アレルギー薬を増量
・ロラタジンとフェキソフェナジンは倍量投与可能
・ビラスチンは倍量投与不可

※ 他にも倍量投与可能な薬剤:オロパタジン(アレロック®)、エピナスチン(アレジオン®)、セチリジン(ジルテック®)、レボセチリジン(ザイザル®)

2.抗アレルギー薬を変更
・抗アレルギー薬は、その成分構造から「三環系」と「ピペリジン・ピペラジン系」に分けられ、別系統に変更すると効果が得られることがあります。

(三環系)
・オロパタジン(アレロック®)
・ロラタジン(クラリチン®)
・エピナスチン(アレジオン®)

(ピペリジン・ピペラジン系)
・フェキソフェナジン(アレグラ®)
・レボセチリジン(ザイザル®)
・ビラスチン(ビラノア®)


3.抗ロイコトリエン薬の併用
・プランルカスト(オノン®)、モンテルカスト(キプレス®、シングレア®)など。
・鼻閉への効果が(ある程度)期待できます。

3.漢方薬の併用当院一押し!
・眠くならず、鼻閉にも有効、目のかゆみにも有効と良いことずくめ。
・漢方薬散剤の味とニオイが苦手な方には錠剤が用意されている方剤(※)もあります。
・当院では抗アレルギー薬+局所療法(点眼・点鼻)+漢方薬の黄金トリオで満足度が高い患者さんが多くいらっしゃいます。

※ 錠剤のある漢方薬:
・小青竜湯(19)
・葛根湯加川芎辛夷(2)
・五虎湯(95)


(漢方薬がお勧めの患者さん)

✓ 抗アレルギー薬では効果が今ひとつ
✓ 目の症状が強くて目薬を使っても今ひとつ
✓ 喉のチリチリ感がよくならない
✓ 花粉症期間中、体がだるくて熱っぽい
✓ 抗アレルギー薬を飲むと眠くなる
✓ 他院で強い薬(ステロイド薬)を処方され心配

(以下の図表はツムラのHPより引用)

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4.舌下免疫療法(スギ花粉症のみ)
・いろいろ治療を尽くしてもなおつらい方、体質改善して根治を目指したい方にお勧めです。
・舌下免疫療法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください;
▶ 「スギ花粉症・ダニによるアレルギー性鼻炎に舌下免疫療法


<参考>
■ 薬物治療コンサルテーション「妊娠と授乳」(南山堂)
・製薬会社的には添付文書に「有益性投与」と記載されており推奨はしていないが、経験的に以下の薬剤が使用される;ロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、セチリジン
・第一・第二世代抗ヒスタミン薬は人への催奇形性は報告されておらず、授乳に関してもほとんどのモノが問題ないとされているが、本人が納得する選択をすべき。

もはや国民病と化した花粉症。
スギ花粉症の罹患率は年々増加し、日本人の5割に迫る勢いです。


★ ご両親も診療も扱っています( →  大人の花粉症
当院は小児科ですが、お父さん・お母さん世代の花粉症にも対応しています。ただし、持病があり他に主治医がいる場合は除きます。


■ どんな病気?

植物の花粉が顔の粘膜に付着してアレルギー反応を起こし、
・眼症状(かゆみ、充血、目やに)
・鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)
を起こす病気です。
つまり「花粉によるアレルギー性結膜炎&アレルギー性鼻炎の同時発症」
ということになります。ほかにも皮膚や耳のかゆみ、咽頭違和感、咳なども出現することがあります。


■ 花粉の種類

代表的なものを列挙します;

(春)スギ、ヒノキ、ハンノキ

(夏)カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリ

(秋)ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ

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もう少し詳しい表を見つけましたThermo Fisher Scientific HP より
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■ 診断

特定の花粉が飛散している時期に一致して、
上記眼症状&鼻症状が続くと疑い、
血液検査で確認して確定診断します。

ただ、初期症状は「くしゃみ、鼻水」なので、
一般の風邪(新型コロナを含めて)と区別するのが難しいです。


<風邪と花粉症の鑑別ポイント>


・目のかゆみの有無:
 風邪 → かゆみは乏しい
 花粉症 → かゆみが強い


目やにの量:
 感染性(ウイルスや細菌) → 黄色い目やにがたくさん
 花粉症(アレルギー性) → 目やには少ない

鼻汁の様子:
 風邪 → 経過中ににごって白くなり長引くと青っぱなになる
 花粉症 → ずっと透明のまま


私は花粉症を心配して受診した患者さんに、

「2週間経ってもくしゃみと水様鼻汁が続くようならまた診せてください。2週間以内に治ってしまったら風邪と考えてよいと思います。」

と説明しています。


★ 花粉症が関連する病気:
口腔アレルギー症候群」(OAS、Oral Allergy Syndrome)
花粉-食物アレルギー症候群」(PFAS、Pollen-Food Allergy Syndrome)

・大人になって果物を食べると口の中がかゆくなるようになった、という発症の仕方の果物アレルギー。
実は花粉症が原因で、花粉アレルゲンと果物アレルゲンの構造が似ているため、人間の免疫システムが誤認識&誤爆する病態です。
・おもに口の中の症状(腫れ、かゆみ)にとどまるため、口腔アレルギー症候群と呼ばれています。
・反応する果物は特定の花粉とリンクします;

ハンノキ、シラカバ)リンゴ、モモ、大豆(豆乳)など
スギ)トマト
カモガヤ)メロン、スイカ、キウイなど
ヨモギ)セロリ、ニンジンなど
ブタクサ)メロン、スイカなど

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・この視点から「花粉-食物アレルギー症候群」とも呼ばれています。つまり、症状からは「口腔アレルギー症候群」、病態からは「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれているのですね。
・この場合の果物アレルゲンは体の消化液で簡単に構造が壊れてしまうので、全身症状に至ることは希です。
・さらに果物アレルゲンは
加熱・加工で簡単に構造が壊れてしまうので、基本的に“生”以外の缶詰やジャム、ドライフルーツなどでは症状が出ません。

※ なお、果物アレルギーはこのタイプの他にも存在します。気になる方は「果物・野菜アレルギー」の項目もご覧ください。


■ 検査

花粉症の診断は、問診でくわしく症状を確認することが基本です。希望により血液検査で原因となる花粉を確認できます。

当院では以下の二つの検査を用意しています;

①「花粉アレルゲン13」(13種類)・・・肘の静脈から採血が必要
 → 春・夏・秋の花粉を網羅し、それにダニ、ハウスダスト、イヌ、ネコを加えた、私がセレクトした
当院オリジナルです。結果が出るまでに1週間弱かかります。 

②「アレルゲン8」(8種類)・・・指尖採血(指先チックン)でOK
 → 採血を嫌がる子どもにはこちらを勧めています。指先がチクッとするだけで済みます。結果は翌日にわかります。 


■ 治療

 抗アレルギー薬の内服を基本とし、効果不十分な場合は点眼・点鼻を併用して治療します。

抗アレルギー薬(内服)
当院では、お子さんの年齢と希望する薬のかたち(剤形)で処方薬を決めています。

 シロップ → レボセチリジン(ザイザル®)
 粉ぐすり → オロパタジン(アレロック®)
        セチリジン(ジルテック®)
 錠剤   → オロパタジン(アレロック®)
        レボセチリジン(ザイザル®)

※ 受験生で眠気が気になる方には、飛行機のパイロットにも許可されている
 フェキソフェナジン(アレグラ®)
 ロラタジン(クラリチン®)
がお勧めです。 高校生以上ではビラスチン(ビラノア®)がオススメ。

★ 小児用抗アレルギー薬一覧(ユアクリニック秋葉原HPより) 
子どもの抗アレルギー薬

点眼薬:内服だけでは目のかゆみが治まらない方へ

 オロパタジン(パタノール®)
 エピナスチン(アレジオン®)・・・コンタクトレンズの上から使えるタイプ(アレジオン®LX点眼液)もあります。
 エピナスチン(アレジオン®眼瞼クリーム)・・・「塗る点眼薬」(上下のまぶたに塗ると目薬と同じ効果が得られます)、目薬をイヤがるお子さんに。

点鼻薬:内服薬だけでは鼻閉がつらい方へ
 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(リノコート®) ・・・細かい粉なので刺激や液だれがなくて幼児に使いやすい製剤 
 フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト®)・・・液体製剤。体に吸収される際に失活し、全身の副作用が少ない製剤です。

漢方薬

 上記治療を行っても効果不十分の患者さんには漢方薬の併用を勧めています。体質や症状により5種類以上の漢方薬を使い分けています。漢方薬は眠くならず、目の症状にも効く方剤があります。
 当院では「抗アレルギー薬と漢方薬の併用」がスタンダードです。

(漢方薬がお勧めの患者さん)

✓ 他院で処方された抗アレルギー薬では効果が今ひとつ
✓ 目の症状が強くて目薬を使っても今ひとつ
✓ 喉のチリチリ感がよくならない
✓ 花粉症期間中、体がだるくて熱っぽい
✓ 抗アレルギー薬を飲むと眠くなる
✓ 他院で強い薬(ステロイド薬)を処方され心配

(以下の図表はツムラのHPより引用)
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さて、漢方薬の治療目標は2つあります。一つは標治(対症療法:今つらい症状をやわらげる)、もう一つは本治(根治療法:体質改善して症状が出ないようにする)。上に紹介した漢方薬は主に標治です。
毎年つらい思いをすることがわかっている、軽く済ませる方法はないか・・・そんな人にお勧めなのが西洋医学では次の項目の舌下免疫療法ですが、漢方では本治の方剤です。
アレルギー体質をジワジワと改善してくれる薬は以下の二つ:
・小建中湯(99)
・黄耆建中湯(98)・・・皮膚の弱い人に合います。

■ 舌下免疫療法

・スギ花粉症のみ、体質改善の治療法が用意されています(詳しく知りたい方はこちらをご覧ください)。

舌下免疫療法の副反応は大きく二つ(局所的・全身的)に分けられます。
副反応は開始後1ヶ月以内に多く、それ以降は稀になります(ゼロではありません)。

1.局所的副反応
口の中とその周囲の症状です(⇩参照)。
舌下免疫療法を始めると口の中の違和感は珍しくありません。逆に、まず起きるものと考えていただいた方がよいでしょう。
この局所的副反応は継続していくうちに消失していくことがほとんどです。 
局所的副反応でも増悪傾向がある場合は医師に相談してください。時には、抗ヒスタミン薬内服で対応したり、喉の症状の時は吐き出し法へ変更することもあります。

2.全身的副反応
口の中とその周囲にとどまらず、全身に広がる症状です(⇩参照)。
全身的副反応が出る場合は減量・中止を検討する必要があります。
おなかの症状(腹痛・吐き気)の場合は「吐き出し法」に切り替えることもあります。
いずれにしても、速やかに医師に相談してください。


(以下は笹本明義先生の講演メモより)


「局所的」副反応  → 継続OK

1 口の中がピリピリしたり、かゆい
2 舌がしびれた感じがする
3 顔がかゆくなる
4 口の中や舌が少し腫れる
5 のどや耳がかゆくなる
6 口内炎ができる 


「全身的」副反応  → 減量・中止が必要

1 体がかゆくなる
2 のどがつかえる感じがする
3 体がだるくなる
4 おなかが痛くなる
5 吐き気がする
6 苦しくなる 


★ 「舌下免疫療法の指針」(日本鼻科学会、2013)の記載
・舌下免疫療法によるアナフィラキシーの発生についてはこれまで11例の報告があり、約1億回の投与に1回の頻度であり、死亡例の報告はない。アナフィラキシーが起こる原因として、全身反応の既往、免疫不全症の合併、治療のコンプライアンス不良、治療中断後の再投与、喘息重症例もしくはコントロール不良の喘息、などが関与している可能性がある。
・舌下免疫療法に関連する血圧低下などを伴う全身反応や死亡例の報告はない。

スギ花粉症は、日本人の3〜4割が患者である国民病です。
また、一年中鼻が出たりつまったりの患者さんは、アレルギー検査を行うとダニが陽性に出ることが多く、「ダニによる通年性アレルギー性鼻炎」と診断されます。
従来その治療法は「抗アレルギー薬による対症療法」しかありませんでしたが、近年自宅で可能な「舌下免疫療法」が登場し、高い有効率が確認されていますので、ここに紹介させていただきます。

当院では、
・スギ花粉症に対する「シダキュア®
・ダニアレルギーに対する「ミティキュア®
を採用しています。

舌下免疫療法とは
アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを患者さんの体に吸収させて体質改善を期待する治療を「
アレルゲン免疫療法」(=「減感作」あるいは「脱感作療法」)と呼びます。

近年、従来の皮下注射法の欠点を改善した「舌下免疫療法」という方法が開発されて、スギ花粉とダニのアレルギーに対して使用できるようになりました。これはアレルゲン・エキスを舌の下にしばらく保持し、その後に飲み込むという簡単な方法です。

初回は病院で行いますが、それ以降は自宅で可能になり、月に1回の通院で済みます。痛くありませんし、強い副反応が出るリスクも従来の皮下注射より低く安全です。ただし最低2年間は続ける必要がありますので、これを読んでご検討ください。 

 

対象疾患と製剤と対象年齢

スギ花粉症」(注意:スギ以外の花粉症には効きません)
シダキュア® (錠剤)年齢制限なし(*)


ダニによるアレルギー性鼻炎
ミティキュア® (錠剤)年齢制限なし(*)

 

* 目安は「5歳以上で“舌下投与”を理解し安全に行うことができる人

 

有効率8割に有効(見方を変えると2割には無効)

 著効:約2割 ・・・ 薬がいらなくなる

 有効:約6割 ・・・ 薬を減らせる、軽くなる

 無効:約2割 ・・・ 数年間がんばったのに、変わりなし

 

※ 即効性はなく、効果が出始めるまでに数ヶ月を要します。効果判定は年単位です。

※ 他にもいろいろなアレルゲンに反応しやすい人は効果を実感しづらい傾向があります。
※ 治療終了後、一定期間を過ぎると効果が弱くなることがあります。



<舌下免疫療法の実際>

 

使用禁忌者 ・・・希望されても以下に当てはまる人はこの治療を受けられません。

① β-阻害薬(高血圧・不整脈の薬)を使用している方

② 妊娠されている方(および、近いうちに妊娠希望のかた)

③ 重症の気管支喘息の方(1秒率が70%未満)

④ 重篤な全身疾患の方(悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症、重症心疾患など)

⑤ 全身ステロイド薬の連用や抗癌剤・免疫抑制剤を使用している方

 

方法の概要と注意点

・薬を舌下に置き、数分間保持し、その後飲み込む(すぐに飲み込んではいけません)。

・舌下への投与後、5分間はうがいや飲食を避ける。

・舌下への投与前、投与後2時間は激しい運動や入浴などは避ける。投与後2時間以降も運動・入浴する際は副反応の出現に注意する。

※ 中高生で朝練のあるスポーツ系の部活動に参加している人はご注意ください。投与前は2時間という縛りがないので、タイミングとして運動や入浴後に落ち着いたら舌下することをお勧めします。

・増量期と維持期がある。

 

治療期間

・症状の有無にかかわらず毎日服用し、2年間継続(効果があれば3~5年を推奨)

※ スギ花粉での開始は、花粉飛散期間とその前後(12月~5月)を避ける。

 

副反応

 アレルゲンを体に吸収させるのでアレルギー反応(副反応)が出る可能性があります。 
局所的副反応(多い)→  継続可能

「口の中がピリピリしたり、かゆくなる」
「舌がしびれた感じがする」
「顔が痒くなる」
「口の中や舌が少し腫れる」
「のどや耳がかゆくなる」
「口内炎ができる」


全身的副反応(まれ)→  減量・中止

「体がかゆくなる」
「のどがつかえる感じがする」
「体がだるくなる」
「おなかが痛くなる」
「吐き気がする」
「苦しくなる」

 

①の局所反応は珍しくありません。開始してから1ヶ月以内に多く、重症化のリスクは少なく、継続していると1週間ほどで消えていく例がほとんどです。


②の全身反応はまれですが、より強いアナフィラキシー(※)につながる可能性があるので、減量・中止を検討する必要があります。

いずれにしても、気になる症状が出たら主治医に相談してください。

 

※ 当院ではアナフィラキシー対策として、救急指定病院(太田記念病院、足利赤十字病院など)と病診連携することにより対応しています。


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