カテゴリ: 乳幼児健診

 近年、よく耳にする言葉です。日本語訳は「愛着」ですが、専門家によると「愛着≠愛情」であり、愛着障害と愛情不足が区別されずに用いられて混乱している、とのこと。
 では、アタッチメントはどのような概念なのでしょう。NHKで取りあげられた番組(すくすく子育て、NHKスペシャル、あさいち、等)をいくつか視聴し、ポイントと感じた箇所を引用・抜粋させていただきます。

 「ウォッチ・ミー・プレイ」は衝撃的でしたね。いろんな育児番組や子育て啓蒙書に書かれている「子どもの“コッチ見て”行動、“私をかまって”行動」が5分間の観察だけで解決するなんて、驚きです。
 親が心がけたい声がけで登場した、3つのネガティブトーク「命令・質問・批判」を減らし、3つのポジティブトーク「ほめる・くり返す・行動を言葉にする」を増やす、この効果はマジック! 〜このスキルは親子関係にとどまらず、夫婦関係・友人関係・すべての人間関係に当てはまることだと思いました。実行するのはなかなか難しいけれど。
 海外で流行(?)している「アタッチメントスタイル」も興味深い。回避型・不安・安定型・・・私も質問票で自分のスタイルを確認してみましたが、思った通りの結果でした。


▢ アタッチメント(=愛着)とは
・特定の人との間にできる気持ちのつながり。
・不安をやわらげて安心したい、という本能的欲求。
・不安を感じたときに、自分を守ってくれる人に物理的にくっついて(近づいて)安心感を得る、身の安全を守る。
・不安を感じたときに“くっついて安心したい”気持ち。子どもが満たされ、親子関係も改善する。
・アタッチメントは信頼感・自己肯定感を育む。
・アタッチメントは一生涯にわたる幸せの形成に影響する。
・見知らぬ人では安心感を取り戻せない。
・自分を守ってくれる人との間にある気持ち的なつながりであり、誰でもいいというわけではない。
・保護されているという安心感を得たとき、外の世界を探索することができる。
・次の挑戦へとつながる。
・幼少期のアタッチメントは、その後の人間関係に影響する。

▢ アタッチメント理論(安心の輪)と注意点
・子どもは安心感があると、探索や挑戦ができる。
(子どもの気持ち)「見ていてね」
・不安になると養育者の元に戻ってくる。
(子どもの気持ち)「守ってね」「なぐさめてね」「気持ちを落ち着かせてね」
・養育者に抱かれて安心感を得る。
・再度探索に向かう。

★ 注意点:先回りに注意。不安と安心を繰り返し、不快にこたえてもらう経験が大切。

▢ 愛着障害
・「愛情不足」と同義ではなく、深刻な環境に置かれた子どもの危機的状況を専門家が診断するレベルの話。
・養育者との愛着形成がうまくいかず、子どもの情緒や対人関係に問題が生じること。

▢ 政策として「アタッチメント」を採用した日本政府
・「子ども大綱」(2023閣議決定)・・・子ども施策において、アタッチメントの重要性を打ち出した。
・「社会的養護を必要とするすべての子どもが、養育者との愛着関係を形成し、心身ともに健やかに養育される」

▢ 遠藤利彦先生(東京大学)の解説
 自分の気持ちを打ち明けて誰かから受け入れてもらえる、わかってもらえる、そして助けてもらえるという経験を積み重ねる中で、自分は愛してもらえる価値がある、人は信じていいんだという感覚をもう一回作り直すことができれば、その人、その個人というのは、その後生涯、健全に生きていける確率は高くなる。
 幸せの根幹に関わるものとしての自己信頼・他者信頼の重要性、その自己信頼・他者信頼に最も深く関わるアタッチメントに注目が集まっている。

▢ 理想の親とは?
温かみ+適切な指示が出せる親(難しい・・・)
・命令・質問・批判をやめ、ほめる・くり返す・行動を言葉にする。1日5分でOK、何歳から始めても遅いことはない。

▢ 温かく、適切な指示が出せる親になる4つの方法
“声かけ”の黄金ルール:3つのネガティブトーク「命令・質問・批判」を減らし、3つのポジティブトーク「ほめる・くり返す・行動を言葉にする」を増やす。
(命令)親が会話の主導権を握り、子どもは支配された気分になる。
(質問)否定(あるいは命令・批判)のニュアンスが含まれることが多く、大人が主導権を握ることになりがち。
(批判)子どもの自尊心を傷つけ摩擦を増やす。特に7歳以降は批判に敏感になる。
例)「宿題はやった?」・・・(早くやりなさい、まだやっていないなんてどういうこと)
(行動を言葉にする)親の注目が伝わる。
無視のスキル望ましくない行動には、怒らず無視してやり過ごす
伝わる確率7割アップの指示法
・適切な「禁止」の言い方:子どもの“行動”を批判するだけにとどめる。どうして欲しいか言った方が耳にも残る。
・適切な「命令」の言い方:中立的な声で、5秒おいて繰り返し3回まで言う。直接的命令は必要最低限に絞って使う(1日5回くらいまで)。絶対に聞いて欲しい場合はハッキリ伝え、選択肢を残さない。
・思春期は親は誘導するより見守るスタンスで、子どもがリードする関係性の方がよい。
例)進路の話題は親が誘導するより、子どもが持ちかけるタイミングを計る。時間の猶予がないときは、何かのついでではなく、話す時間をしっかりと作る・・・ハッキリ「明日の〇時から進路について話し合いたい」と伝える。
遊びの中で“ひたすら注目”ウォッチ・ミー・プレイ, “Watch me play!” by ジェニファー・ウェイクリン:心理療法士)⇩
親の感情をコントロール
・子どもがかんしゃくを起こしたら、イラッとさせる行動を起こして冷静に対応できなくなったら「シャーク・ミュージック」(映画「ジョーズ」でサメが登場するときの音楽)と客観的に捉える。
・「タイムアウト」という方法で、冷静になって何が起こったのかを考える。
例)家を出る、トイレに行く、目を閉じる、等

▢ “ Watch me play!” 〜家庭でのアタッチメントの実践
・世界の15か国で活用されているスキル(基本的に8歳まで)。
・「気持ちの安定・衝動的な行動が減る」と報告されている。
・1回5〜20分、子どもを自由に遊ばせ、養育者は側にいて注目するだけ。
・注目された子どもは“親との直接的なつながり”を感じることができる。
・すると子どもは(親を引きつけるために)戦う必要がなくなる。
・親から「注目される」と感情爆発が減り、親子関係も改善する。
・2〜3か月で効果が出やすい。

▢ Watch me play!を行うときのポイント
・子どもが自由に表現できるおもちゃを選ぶ。電池式のものはただ見ているだけで(時間が)過ぎてしまうので、シンプルで年齢相応のおもちゃが良い。
・この時間の主導権は子ども。親は誘導せず、遊びを言葉で表現する程度にとどめる。親が関心を寄せるだけで子どもは安心する。

▢ 厳しく叱ってしまったときの親子関係修復のコツ
厳しすぎるのも、弱すぎるのもNG
(厳しすぎる言い方)
「さっきの言い方は誤るけど、怒らせたのはあなたよ。ゲームをやめない際と言ったときにすぐに聞くべきだったのよ」
(弱すぎる言い方)
「ゴメンね、さっきの言い方はダメだったね、許してくれる? ゲームをしたいなら続けてもいいよ、もう泣かないで」
(理想的な言い方)
「ゴメンね、今の言い方はダメだったね。私は怒っていたの、あなたは嫌な気持ちになったでしょうね」

▢ 児童養護施設で物を壊す男の子の叫び
・事情により親が養育できない子どもたちが集まる施設にはアタッチメント不足の子どもが多い。
・毎日何かを壊し、職員を困らせて手を焼いた男の子、そして彼は最後に泣きながら「だって、何か悪いことをしないと、先生はオレを見てくれないじゃないか」と叫んだ。

▢ アタッチメントが必要なのは子どもだけではない
・子どもは“物理的なくっつき”が中心。
・成長すると“精神的なくっつき”で安心感を得るようになる。

▢ ジョン・ボウルビィ(1907-1990)が提唱した「アタッチメント理論」
・「安心感の輪」を構成する要素は「安心の基地安全な避難所」と「探索
・安心の基地で安心感を得ると人は探索に出かける。
・不安になると人は安全な避難所に戻ってくる。
・上記の流れを安心の輪と呼ぶ。
・安心の輪の行き来を繰り返すことで、安心の輪は大きくなる。
・安心の輪が大きくなると、一人でいられる力が身につく。
・アタッチメント対象(安心の基地)は成長とともに変わっていく、広がっていく。
(例)養育者 → 祖父母、先生、友人、・・・

▢ 安全基地としての大人(養育者)の役割
・変わらずに“いつもそこにあり続ける”こと。
・いつも“何気ない話”(ダル絡み?)ができることが最高の安心材料になる。

▢ 3つのアタッチメントスタイル
回避型)自分のことを隠す傾向、他者と距離を置こうとする。
不安型)人間関係にとても敏感、相手にどう思われているのか常に気がかり。
安定型)人と親密に関わることが容易、信頼を心地よく感じる。

▢ “アタッチメント”を有名にした専門家(アミール・レバイン:コロンビア大学医学部)の言葉
・信頼できる人とつながり合うことほど、人の心を落ち着かせてくれるものはない。
・アタッチメントスタイルは人間関係において、どのように安心感を得られるのかという尺度である。
・アタッチメントスタイルは優劣ではなく、自分の“人間関係のクセ”がわかるものさし。

▢ アタッチメントスタイルの誤用が氾濫している現状
・その人に寄り添うために使うものであり、区別するために使うものではない(トレイ・タッカー:公認心理士)。
・一歩下がって“人間とはそういうものだ”と考えることが重要(ケイト・スピアー:インフルエンサー)
・正しい情報へのアクセスが不十分であると、健康状態が悪化する(アマンダ・ヤーネル:ハーバード大学)


<参考>
子育てで大切な“アタッチメント”って?(すくすく子育て、2024年放送)
▢ こころの土台を育てる関わり方 アタッチメント実践編(すくすく子育て、2025年放送)
▢ 【あさイチ】子どもが伸びる!言葉がけのスキル♡(①〜⑤まであります)(2024年放送)
愛着スタイル診断テスト回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~ (光文社新書) を基にした質問票)
▢ 愛着(アタッチメント)スタイル診断公認心理師監修、BCC)
遠藤利彦先生講義動画集(保育 is オンライン研修)

▶ 発達障害早期発見を目的とした乳幼児健診の意義

乳児検診(1・4・10ヶ月)
→ 先天性疾患、脳性まひ、運動遅滞を伴う精神遅滞

1歳6ヶ月健診
→ 重度精神遅滞、ASD(自閉スペクトラム症)

3歳児健診
→ 中等度精神遅滞、ASD

5歳児健診
 → 軽度精神遅滞、ADHD、限局性学習障害、ASD

▶ 4ヶ月児の発達チェック項目
・首がすわっている
・あやすとよく笑う
・追視をする
・ガラガラを振ったり舐めたりして遊ぶ
・母親が呼びかけると顔を向ける
・仰向けで中央で手を合わせる

▶ 6ヶ月児の発達チェック項目
・寝返りをする
・少しの時間お座りをする
・手を伸ばしてほしいものをつかむ
・あやすと声を出して笑う、遊んで相手にしてもらいたがる
・母親がいらっしゃいをすると、喜んでからだを乗り出す


▶ 10ヶ月児の発達チェック項目
・ハイハイをする
・つかまり立ちをする
・指先で小さい物をつかむ
・バイバイ、チョチチョチなど、簡単な身振りのまねをする
・人見知りをする
・指さしして教えるとそちらを見る

★ 1歳前後までの発達障害児を診るポイント
(生後0ヶ月〜)視線は合うか?
・後頭葉の発達
・2者間の基本的コミュニケーション
(生後2ヶ月〜)社会的微笑はあるか?
・後頭葉・前頭葉の発達
・新生児期の反射的微笑と異なり、対人交流の能動的要求
(生後7ヶ月〜)愛着行動は形成されているか?
・前頭葉の発達
・人見知りをしない、1人でも平気(愛着行動の欠如)
・逆に人見知りがひどい、父親になつかない(愛着行動の異常)
(生後10ヶ月〜)感覚異常(特に偏食)
・聴覚・触覚などの刺激に対する過敏反応、異常なこだわり

▶ 1歳6ヶ月児の発達チェック項目
・しっかり1人で歩ける
・手を引くと階段を上る
・積み木を積む
・なぐり書きをする
・絵本を見せて知っているものを聞くと指さしをする
・名前を呼ぶと振り向く
・意味のある単語を言う
・お母さんの言っていることがわかる

▶ 3歳児の発達チェック項目
・つかまらないで片足立ちができる
・低いところから飛び降りる
・「どちらが大きい?」と聞かれて大きい方を指さす
・2語分が言える
・友達と遊びたがる
・1人で自分の靴が履ける
・1人でスプーンやフォークを使って食べる

★ 1歳半から3歳までの発達障害児を診るポイント
1)言語発達の遅れの有無(前頭葉)
・発語がない、既に出ていた言語が消失(退行)
2)アイコンタクト・共同注視ができる(前頭葉)
・相手と自分とが共通の事象に注目できること
3)落ち着きのなさ・多動傾向の有無(前頭葉・辺縁系)
・母親の指示を聞いているか?診察室などでの子どもの行動に注目
4)自傷行為・多少行為の有無(前頭葉・辺縁系)
・かんしゃく・パニックを起こした時に多い



<参考>
子どもの発達と発達障害のチェックポイント
(今村淳」岐阜県総合医療センター小児科)

<発達>
▢ 跳んだり、階段を1人で上がることができる。
▢ 閉じた丸を描ける
▢ 大小、長短、色がわかる
▢ 3語文以上を話し、自分の姓名・年齢を答えられる
▢ 同年齢の子どもたちと遊ぶことができる。

<概要>
・3歳は運動や社会性の発達の節目。
・発育面・発達面ともに個人差が大きくなる時期。
・食事・排泄などの基本的な生活習慣がほぼ自立する。
・単純なひとり遊びから複雑な小グループの遊びへ。
・自我が芽生えて「イヤ!」「自分でする!」といった自己主張をするようになる。
・身長は90cm越え。80cmで-2SD、100cmで+2SD。
粗大運動:走ったり跳んだり。片足立ちやケンケンといった平行感覚が身についてくる。
(他の例)三輪車をこげる。止まっているボールを蹴ることができる。
・微細運動:クレヨンを持って閉じた丸を書いたり、スプーンを上手に使ったり、ハサミを使うことができるようになる。
(他の例)衣服の着脱が自分でできる、紙を二つに折ることができる、箸が使える(子もいる)、こぼさずに食事ができる。
・言語能力:物の名前や動作に関する言葉以外にも、大小や色などの抽象的な言葉の理解も進み、多語文による会話が可能となる。
・認知能力:ままごとでお母さんのふりをしたり、積み木を車に見立てて押したりといったことが可能となる。

<チェックポイント>

▢ 母子手帳の確認
・胎児・新生児期の異常の有無
・成長曲線
・これまでの健診の問題点の有無
・予防接種歴

▢ 診察室での観察・反応
・姿勢:直立の姿勢
・運動機能:走行、両足跳び、手を使わずに階段上り
あいさつ(言葉と動作)・・・親より先に子どもに声がけ
・会話(名前年齢を聞く)
・体の部位(指さし)
・指示動作可能(お口を開けて)
・診療拒否、多動、親が制止不能、視線が合わない、奇声を出すなどに注目
→ ★ 問題行動の分類へ

▢ 一般診察
・顔面:顔貌(表情・反応)、眼(斜視、眼振、視線の合い方)、口腔(扁桃、歯の数、う蝕→ ★ う蝕へ)
・頚部:リンパ節、腫瘤、甲状腺
・胸部:胸部変形、心音(心雑音、不整脈)、呼吸音
・腹部:肝脾腫、腫瘤、ヘルニア
・皮膚:血色、緊張度、発疹、色素異常
・泌尿生殖器:ヘルニア、停留精巣
・四肢:O脚、X脚、反跳膝

★ 問題行動の分類
・正常な発達過程にみられる問題行動:攻撃性、反抗的行動、トイレトレーニング
・生活の尋常でないストレスによる問題行動:暴力行為の目撃、絶えず夫婦仲が悪い、自分の兄弟が慢性疾患を持っている、望まれずに生まれてきた子ども、悲劇的な出来事を経験したコミュニティの一員など
・生来の疾病により問題行動:注意欠陥・多動症、行為障害、うつ病、広汎性発達障害など

★ う蝕
・3歳は乳歯列が完成、安定していく時期であり、食事が多彩になる時期でもあるため、う蝕が発生しやすい。
・虐待や発達障害の発見の端緒となることがある。

★ 虐待
・複数あるいは不自然な傷やアザの有無について観察する。大きな傷にもかかわらず兄弟にされたというのは虐待を隠蔽する方便のことがある。
・行動の異常をきっかけとして虐待が見つかることがある(発達障害が原因のこともある)。

★ 発達障害
・強いこだわりや落ち着きのなさだけでなく、言葉の遅れや認知の発達の遅れを伴うなど、複数の逸脱が見られる場合に注意する。
・発達障害を1度の診察で確実に診断することは困難である。

<よくある質問>

Q. トイレトレーニングが思うように進まない
A. 個人差があること、失敗を怒らず成功を誉める対応の原則を説明する。

Q. 言葉の遅れ
A. 「言語理解の遅れ」「有意語が少なく2語文が出ない」「対人関係や行動面に異常がある」場合は専門家に紹介する。それらができているようなら次第に言葉が出てくることが多い。絵本の読み聞かせをする、子どもの目を見て優しくゆっくりと話しかけるようにするなどをアドバイスする。

Q. 落ち着きがない
A. 言葉の遅れがなく遊びに集中でき、指示を理解して完遂できる場合、特定の場面でのみ落ち着きがない場合は問題がない。それ以外は慎重に経過観察する。

Q. かんしゃく持ち
A. 発達過程で一過性にみられるものである。
 かんしゃくの程度が強く、特異なこだわりやささいな出来事で手のつけられないパニックを起こす場合は広汎性発達障害の可能性を疑う。
 → かんしゃくについてもっと知りたい方はこちらをご覧ください。 


<参考>
原朋邦:編集(南山堂、2018年発行)
(Youtube動画)けんいちろう准教授
3歳の乳児健診】小児科のチェックポイント
(Youtube動画)コアラ小児科チャンネル

 

1歳半健診で神経発達症の診断は可能なのか?
調べてみました。

▢ 発達障害への対応
・発達障害は単独の診断名ではなく一つ以上の特性を示すことが多い(ASD+ADHD+DSD・・・)
・発達障害の大多数に併存精神障害を認める→ 支援は一律ではなく個別の特性に応じて行うべき
・発達障害の症状/特性は早期に始まり、ライフコースに渡る。
・対応はまず、養育者の理解を促すこと(育児支援、心理教育)
・そして自己理解へ(上手につき合う)

本来「病名」とは、それをつけることにより治療や生活指導に役立つもの。いくつも病名がつくような病態なら、その付け方が適切ではないのでは?と思ってしまいます。

現在の精神疾患は「DSM-5」に基づいて分類・診断されていますが、これは症状を集めて診断するアナログ的手法です。
その背景として、遺伝子診断が日進月歩の現代医学を以てしても、精神疾患は分類しきれない・整理できないのが現状、と耳にしたことがあります。

いずれにしても、発達障害を含めて精神疾患の病名は、遺伝子異常による分類が確立するまでは、これからもコロコロ変わることが予想されます。

▢ ASD早期療育の中長期的なメリット
・一部(25%)にASD症状の著明な改善を認めた(改善群)。
・改善群全員が3歳までに療育を受けていた。
・一般的に開始が早いほうが効果が大きい。
・複雑化してからだと回復に時間がかかる。
・良好なメンタルヘルス(併存障害なし、服薬治療なし)。
・良好なQOL。

早期発見・早期療育が有効であることを強調されていました。「早期薬物治療開始」ではありません。

▢ ASDはいつからわかるか?
・1歳前ではまだわからない。
・0歳からよく知っているからといって後の発達障害診断を否定できない。
1歳6ヶ月〜2歳で十分な情報があればわかる
・全般的な発達の遅れがあればわかりやすい。
・わかりにくい子どももいる(女児、こわがり、発達の良好な子)
・家族歴があればハイリスク。

最近、1歳半検診と3歳児健診を担当するようになったので、発達障害について基本的なことを勉強中の私です。
1歳半検診でグレーゾーンの子どもを拾い上げ、保険相談〜療育につなげることの重要性を再認識させていただきました。 

▢ 幼児期の主なASD症状

A. 社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流の障害
・“共同注意”が少ない。
・非言語的コミュニケーション(アイコンタクト、身振り、表情)が少ない。
・言葉の後れ、会話にならない、同じ言葉を繰り返す。
・友だちをつくれない、ごっこ遊びをしない、ひとり遊び。

B. パターン化した行動、興味の限局、感覚過敏
・行動の切り替えの困難、初めての場所、ものへの不安、抵抗。
・新しいことを嫌がる、特定のもの、話題への没頭、興味
・聴覚、触覚などの感覚過敏

今まではなんとなくチェックしていた“指差し”が、これほど重要であるとは・・・。
 
▢ 1歳時のASDスクリーニング
〜社会性をチェックし「出現しているはずの行動が出現していないこと」を問題視する。

(通常は1歳になるまでに出現している行動)
・アイコンタクト
・他児(兄弟以外)への関心
・微笑み返し
・呼名反応
・人見知り

(通常は1歳6ヶ月までに出現している行動)
共同注意行動
・身近な大人の動作や言語の模倣

(あればASDを疑うべき行動)
・感覚的な遊びに没頭する
・音や触覚に過敏

▢ “共同注意”の概念
他者とモノ・コトに向ける注意をシェアすること
・自分の気持ちを他者の気持ちに重ねることの始まり。
・生後10ヶ月頃からみられるようになる。
 10ヶ月児の通過率:約50%
 1歳6ヶ月児の通過率:100%

▢ 実際の共同注意に関する質問項目

(質問)あなたが部屋の中の離れたところにあるおもちゃを指さすと、お子さんはその方向を見ますか?
※ 質問の意図:指差し追従(他人の指差しに応答する)できるかどうか

 → PASS例:
・指でさされたモノを見る。
・自分もそれを指でさす。
・それを見て、何かそれについて言う。
・もしお母さんがそれを指さして「ほら!」と言えば見る。

 → FAIL例:
・無視する。
・部屋中をキョロキョロ見回す。
・(モノではなく)お母さんの指を見る

(質問)◯◯ちゃんは、興味を持ったモノを指をさして伝えますか?
※ 質問の意図:興味の指差し:要求の指差しではなく、興味を持っていることを表現するために指差しをするかどうか。1歳6ヶ月児の通過率100%。応答の指差しと区別する必要あり。

 → PASS例:
・自分にとって面白いモノを指さして教える。
・お母さんの注意を興味あるモノに引くために指差しする。
例)空を飛んでいる飛行機、道路を通っている大きなトラック、地面の上を這っている虫など

 → FAIL例:
・指差ししない、または、時々しか指差ししない。
要求の指差しはするが、興味を指し示す指差しはしない

(質問)◯◯ちゃんは、お母さんに何かを見てもらおうとして、モノを見せに持ってきますか?
※ 質問の意図:要求ではなく、共有目的でモノを見せに持ってくるかどうか。1歳6ヶ月児の通過率:92.9%。

 → PASS例:◯◯ちゃんはお母さんに見せようとして、
・**を持ってくる。
例)絵やオモチャ、自分が描いた絵、自分が摘んだ花、自分が見つけた虫など

 → FAIL例:
・・・モノを持ってくるが、見せるためかどうかは分からない。
例)本(読んでもらうため)、オモチャ(動かす、修復のため)、お菓子(袋を開けて欲しいなど)

“共同注意”の概念は、「興味のあること・モノを他人と共有することが楽しい、うれしい」という「人間関係を気づく基本となる感情」なのですね。
 
▢ 日本語版「M-CHAT
・乳幼児期自閉症チェックリスト修正版。
・H30年度診療報酬改定により、検査D283:発達及び知能検査の「操作が容易なもの」(80点)として保険収載。
・対象年齢:16〜30ヶ月
・23項目 親記入式質問紙(はい・いいえ)
・日本語版の特徴:イラストの説明あり
・国内外の大規模研究で、健診場面での有用性が実証済み
 2段階(質問紙→ フォローアップ面接)>質問紙のみ・・・擬陽性例が減る
 2段階 陽性的中率 43〜46%(日本)、54%(アメリカ)
・海外の主要なガイドラインで推奨されている。

A. 社会的障害(M-CHAT)
(園での友達関係)
・ひとり遊びを好む(周囲に子どもがいてもお構いなし、あるいは、周囲に子どもがいる場を避ける)
・自分からは仲間に入らないが、誘われると受け身的に参加する。おとなしい子や年下の子となら遊べる。
・自分から仲間に参加するが、自分のやり方を強要するのでケンカとなり、嫌がられる。
(情緒的反応性)
・他者に無頓着(マイペース)
・他者の気持ちに敏感だが(こわがり?)、意図は分からない。
(言葉の理解)
・言語理解は言語表出と比べて悪い(しゃべるけれども言われたことは理解できない)
・自分の関心のあることしか話さない。
・要求と関連して話しかける(質問に答えることもある)
・言語理解はしているが、答えられない。
・やりとりが目的の会話はできない。

B. 限局・反復的様式と感覚反応(M-CHAT)
・苦手な感覚(聴覚・触覚・視覚・味覚・嗅覚)のために苦手な場面、活動がある。
・今している活動を止めることの抵抗、あるいは新しい活動への切り替えの困難・不安のために、集団生活がストレスになる。 


<まとめ>
・発達障害は一つの診断名で済むことは少なく、いくつかの要素を持っていることが多い。
・療育開始が早いほど予後がよい。
・1歳半頃に徴候が現れるので、1歳半検診は重要。
・“共同注意”という概念を理解しチェックの際に用いるべし。

 

<チェックポイント>

▢ 一般診察
・大泉門:閉鎖していることを確認
・皮膚:母斑、白斑、カフェオレ斑、血管腫、毛巣洞
・体型:脊柱側弯、胸郭の異常
・胸部聴診:心雑音
・腹部:腹部腫瘤、鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、停留精巣、外陰部異常
・眼:対光反射と眼球運動(斜視、網膜芽細胞腫など)

▢ 体格:成長曲線に沿って伸びている
・絶対値より伸び方が重要。

▢ 粗大運動:一人で上手に歩ける
・90%が一人で歩けるようになる時期(歩行できない子どもは全体の2%とも)。
・“上手に歩ける”とは10m以上転ばずに安定して歩けるという意味。
1歳頃の “high guard” 歩行から “low guard” 歩行へ
shuffling baby(いざりっこ):お座り→ ハイハイ→ つかまり立ち→ つたい歩き→ 歩行がふつうの発達だが、ハイハイをせずにいざり移動(座位のまま移動)から歩行にいたる場合は歩行開始が遅れることがある(1歳半で歩行不能でも2歳頃までに可能となる)。日本における頻度は約3%。
・環境因子により歩行が遅れる事例もある。
(例)歩くのが遅いと心配した保護者が歩行器を使用して無理に歩かせようとしている。
(例)自宅に捕まれる場所がなくつたい歩きがしっかりできていないため歩行ができない。
1歳6ヶ月で上手に歩けない児は専門機関へ紹介high guard 歩行の場合は経過観察

▢ 微細運動:小さいものを指でつまめる。積み木を2-3個積める。鉛筆で殴り書きをする。
・微細運動のチェックは軽度の脳障害の判定に有用である。

▢ 言語:意味のある言葉をいくつか話せる。簡単な指示を理解できる。
・「ママ」「ブーブー」など5つ程度の単語を話せるようになる。意味のある単語が出ない場合は、聴力障害、言語理解ができているかどうかについて評価する。
(例)「ポンポンどこ?」と聞いて腹部を指さしできれば、聴覚・言語理解・指示の理解ができていることがわかる。
(例)診察の終わりにこちらの「バイバイ」に「バイバイ」で返してくれば、身振りや動作の意味を理解し模倣する能力が確認できる。
・全く反応がない場合は、知的発達や聴覚の異常などの可能性を疑い、保護者の手に負えないほど無秩序に動き回って拒絶的だったり、験者と視線がほとんど合わないときなどは発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症など)を考慮する。
・言葉は模倣により覚えるので、保護者がハッキリした大きな声でゆっくり話すようにする。

▢ 社会性:周囲への関心を持つ。興味のあるものを指さして示す模倣ができる
・要求の指さしや模倣は、ASD(autism spectrum disorder, 自閉症スペクトラム障害)の識別度が高い項目である(M-CHAT:modified checklist for autism in toddlers, 乳幼児期自閉症チェックリスト)。

▢ 事故予防:
・行動範囲が広くなるので事故が多くなる。
・喫煙者がいる場合、タバコ誤飲にリスク、受動喫煙の有害性を指導し、保護者の禁煙支援を提案。

▢ 予防接種:
・接種漏れの有無を確認し、有る場合は背景に有る保護者の事情に耳を傾ける。

▢ 虐待のサイン:
・複数の外傷の有無
・痩せ、無表情
・親の無関心、児への高圧的な態度
・親子の様子に違和感

▢ 「ちょっと気になる子」
・周産期既往歴:極低出生体重児、重症仮死、新生児けいれん、無呼吸
・粗大運動:歩行の遅れ、歩き方がおかしい、high guard歩行
・微細運動:スプーンを使おうとしない。積木で遊べない。
・言語発達:単語が出ない。
・診察所見:全体的に筋肉が柔らかい・硬い、頭が大きい・小さい(あらゆる年齢で頭囲の2SDは3cm)。
・社会性:応答の指さしが十分にできない。視線が合わない、落ち着きがない、周囲に無関心、など。
・生活習慣:離乳が未完了、摂食行動(噛む、飲み込む、吸うなど)が下手、偏食が著しい。

→ 上記が気になる場合は「経過観察健診」が必要となる。症状や所見によるが、2〜3ヶ月後、遅くとも6ヶ月後(2歳頃)に。


<健診結果と事後措置>

▢ 運動発達の遅れ → 保健機関や療育機関、病院に紹介
・言語理解の遅れに加え、運動発達の遅れ(歩行未開始)、微細運動の遅れ(積み木が積めない)、遊びや基本的な生活行動の発達の遅れ(おもちゃを用いて遊ぶことができない、スプーンを使って食べる・簡単なお手伝いをするなどの行動が見られない) があれば全般的な精神運動発達遅滞が疑われるので医療機関を紹介する。
・歩行開始の遅れのみで、言語理解が良く知的発達が良好である場合は追跡観察で粗大運動の発達を再評価する。

▢ 指示が入らない → 保健機関や療育機関、病院に紹介
応答の指差しがみられない絵を指差すことができない
→ 以下の可能性を考慮(1回の評価では不正確なこともあるので追跡観察を行い、言語発達の遅れが続く場 合は療育機関や医療機関を紹介する)
① 聴力障害
② 精神発達遅滞
③ コミュニケーションの発達の遅れ(自閉スペクトラム症)
④ 養育環境の問題

(アドバイス)
・やり取り遊びや関わり遊びを増やして「もっと」「もう1回」という要求を引き出す。
・生活リズムを一定にして生活の見通しを持たせ、要求を引き出す。
・「どっち?」と二者選択をさせ、手差しから指差しを教える。

▢ 指示は入るが言葉が少ない → 2歳児健診あるいは2歳時に電話でフォロー
・有意語が2語以下
→ 有意語がないあるいは 2 語以下であっても、言語理解が良く、社会性の発達が良好である(言葉は話さないが、応答の指差しが可能で、 視線がよく合い、言語のみの指示に的確に従うことができる)は表出性言語遅滞の可能性が高い。家族歴があればさらに可能性は高まる。通常3歳までに言葉表出が伸びることが多く、無理に言語表出を促す必要はないが、2歳時にフォローアップを行い、 ことばの発達を確認することが望ましい。

(アドバイス)
・動作に言葉を添える。「くっく、履こうね」など
・「〜とって」などお手伝いをさせながら単語のチェックをし、指差しして教える。

▢ 視聴覚などの理学的異常所見あり → 他機関紹介

▢ 社会性・行動の異常所見あり → 要再評価&保健機関や療育機関、病院に紹介
・名前を呼んであいさつをしても視線が合わない、物のみに注意が向き相手に注意を向ける様子(共同注意)が見られない、 言語指示のみでなくジェスチャーを交えたやりとりも全く成立しない場合は、コミュニケーションの発達の遅れ(自閉スペクトラム症)が疑われる。
・この年齢の子どもは緊張してやりとりに応じられないことが良くあるが、これらの様子が目立つ場合は再評価が必要である。フォローアップを行い、医療機関や療育機関へ紹介する。
・子どもが親の膝上でじっとしていることができず再々降りようとしたり、好き勝手に遊び回ったりする場合は多動と判定する。この時期の多くの子どもは多動であるが、明らかに場面に応じた行動抑制ができない場合、多動的行動特性の他に、知的発達のおくれ(状況判断ができていない)や自閉スペクトラム症(自己中心性、新規場面への不慣れ)の可能性を考慮する必要がある。

▢ 運動機能異常
<判定基準>
・歩容の異常:動揺歩行、墜下性歩行、尖足歩行など
・O脚:両足内踝をつけて膝部離開4横指以上 → 生理的なO脚が見られる時期であるが、両足内踝をつけて立位をとったときに膝部に3横指の離開がみられた例は、家庭で経過観察し増悪したら医療機関で精査するように指導する。膝部離開が 4 横指以上の例は二次健康診査へ紹介する。
・胸郭・脊柱の変形:強度の胸郭変形、明らかな側弯


<この時期に発見されやすい異常と疾病>

・知的能力障害
・自閉スペクトラム症
・言語発達遅滞
・構音障害
・斜視
・う蝕
・養育環境の不良に伴う発達の異常


<よくある質問>

Q. 食事に関する問題:手づかみ食べ、少食、偏食
A. 
・“手づかみ食べ”は感触を楽しんでいる状態と割り切る。いつまでも遊んでばかりで食べないときは無理強いせずに一旦食事を片付ける。
・少食・偏食対策:食材を細かく刻む、すりおろす、混ぜ込むなどの工夫で食べやすく調理する、新しい食材を食べられたときはしっかりほめる。

Q. かんしゃく、夜なきがひどい。
A. 自我が芽生えて自分の思い通りにならないために癇癪を起こすことは、順調に発達している証拠。不快な事の有無を確認し、いろいろ手を尽くしても泣き止まないときは忍耐強く見守る(いつかは泣き止む)。
★ 肌と肌が触れあうように抱くと泣き止むことが多い(アフリカのお母さんのつぶやき)。


<まとめ>

・1歳6ヶ月は“key age”「発達が質的に変化する時期」「赤ちゃんから人間へのダイナミックな変化を遂げる時期」「間脳支配から大脳皮質優位の支配へ
・成長曲線がなだらかになり(体重増加は月に100〜200gあればOK)、身長約75cm体重約10kg、体格はやや細身。
・乳歯が平均15本。
・一人で上手に歩けるようになる。
・指を使って小さいものをつまんだり、スプーンで食べたりすることができる。
・意味のある言葉「マンマ」「ブーブー」などを3語以上使えるようになり、指さしで周囲の人に要求をしたり周囲の人の指示を聞いたりという相互交流ができるようになってくる。
・早産児・低出生体重児では1歳6ヶ月までは修正月齢を考慮して身体発達や発達評価をすることが望ましい(平岩幹男Dr.)。

<参考>

原朋邦:編集(南山堂、2018年発行

▢ 乳幼児検診マニュアル第6版
福岡地区小児科医会乳幼児保健委員会:編集(医学書院、2019年

▢ 1歳6ヶ月検診:秋山千枝子(あきやま子どもクリニック)
(日本小児科学会)

(厚生労働省)

平岩幹男(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
小児保健研究 第76巻第6号、2017(527-531)

 現在、日本では子どもの3人に1人が睡眠関連の悩みを抱えている、というデータがあります。もう、他人事ではありません。眠れないお子さんへの日常生活に関するアドバイスを以下に記載しました:


■ 睡眠のスケジュール

・ふとんに入る時間・起きる時間は、毎日ほぼ同じ時間になるようにしましょう。

・睡眠時間に週末と平日の差があっても、1時間以内になるようにしましょう。

・人間の体は“寝だめ”はできないしくみになっています。週末寝だめをして、睡眠不足を解消するのはやめましょう。

 

■ 日光を浴びる

・朝、日光を浴びることは、正常な睡眠覚醒の体内時計(サーカディアン・リズム)を維持することに役立ちます。

  

■ 定期的な運動

・毎日、日中は外で活動する時間を作りましょう。 

 

■ 昼寝の可否

・低年齢(3歳未満)の子どもには昼寝は必要であり、問題ありません。

・高年齢(5歳以降)の子どもでは、昼寝をすると夜の寝付きが悪くなるので長時間の昼寝は避けましょう。
※ ただし個人差があります。

 

■ 電子メディア

・テレビ、パソコン、スマホなどによる強い視覚刺激は、寝付きの妨げになるので、寝室には置かないようにしましょう。 

 

■ 夕方の活動

・ふとんに入るまでの時間は穏やかに静かに過ごすようにつとめ、テレビゲーム(スマホゲーム)のような興奮する活動は避けましょう。

 

■ カフェイン

・カフェインはふとんに入る前の3~4時間は避けましょう。
・カフェインは炭酸飲料、コーヒー、アイスティーなどに入ってます。
★ 麦茶、ルイボスティー、十六茶には入っていません。 


■ 規則正しい食事

・毎日決まった時間の食生活を心がけましょう。 

・ふとんに入る1~2時間前の食事は睡眠の妨げになります。

・お腹が空いたままでは眠れない、途中で目が覚めるため、その時間帯に食べることも仕方ない場合があります。ミルクやクッキーのような軽食ならよいでしょう。 

 

■ ふとんに入るときの習慣

・ふとんに入るときの20~30分間の習慣を作りましょう。

・本を読む、その日のことを話すなど、
 静かで楽しい活動を寝室で行いましょう。

 

■ 寝室の環境 

・暗くして、気持ちがよく快適な静かな環境にしましょう。

・部屋の温度は23~24℃以下で涼しめにしましょう。

・ふとんに入ったら、睡眠に関係のない勉強、電話などは控えましょう。 


・・・以上のことを試してみても、やはり眠れなくて昼間の生活に支障が出る場合、子どもには成人用の睡眠薬は使えないため、当院では漢方薬を提案しています。体質に合う漢方薬が見つかると、悩み軽減が期待できます。


▶ 睡眠の悩みに効く漢方薬 


(乳児期)夜泣き

 + 泣き虫、シクシク泣く、不安 → 甘麦大棗湯(72)

 + 怒りんぼ、ギャーギャー泣く、かんしゃくもち → 抑肝散(54)

 

(幼児期・学童期)眠らない・眠れない

 + 不安・泣き虫・あくび → 甘麦大棗湯(72)

 + 神経質・イライラ・多動 → 抑肝散(54)

 + 反復性腹痛・虚弱 → 小建中湯(99)

 + 鼻閉・口を開けて寝ている → 葛根湯加川芎辛夷(2)


(思春期)眠れない・朝起きられない

 + 不安 → 甘麦大棗湯(72)

 + イライラ・興奮 → 抑肝散(54)

 + 動悸・ストレス・恐怖 → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

 + うつうつ、不安・心配だらけ → 加味帰脾湯(137)

 + 心身ともに疲れて眠れない → 酸棗仁湯(103)


・・・乳児期〜幼児期〜学童期〜思春期に共通して登場する抑肝散は「自律神経の日内リズムの狂い」、つまり「昼間の交感神経優位 → 夜間の副交感神経優位」への移行がうまくいかない状態を改善してくれます。交感神経亢進状態をやわらげることにより、緊張から解放されて眠りにつける、とされています。
  現代社会では大人も子どもも交感神経亢進状態を強いられ、それによる健康障害が発生しがちです。自律神経失調によるカラダの不調は“現代病” と言えるかもしれません。
 

ここでは「好き嫌い」があっても成長・発達に問題なく、元気に過ごせている子どもを対象にしています。 


(注意)

苦手な食べ物があり体重が増えない・体も小さいというレベルでは、医療の介入が必要です。かかりつけ医に相談してください。

発達障害系の特性がある子どもは、「感覚過敏」「こだわり」「食感が苦手」「ニオイが苦手」などが前面に出てくることがあり、ここで紹介する方法では解決できないことがあります。主治医にご相談ください。 


そもそも、子どもにはなぜ好き嫌いがあるのでしょうか?

実はこれ、生きるための本能で説明できてしまうんです。


ヒトは甘み・うま味・塩辛い味は脳が本能的に「食べられるもの・おいしいもの」と認識し、苦みと酸味(すっぱい)は「食べると危険なもの(毒・腐敗物)」と認識します。

2歳児の50%が偏食とされていますが、これは異常ではなく本能なんですね。発達段階における自己防衛行動と言い換えることもできます。


すると、「この食べ物は危険ではない」ことがわかると口にするようになるはず。つまり、食べる以前にその食べ物に慣れさせることが大切になります。聴覚・視覚・嗅覚に訴えて興味を持たせる工夫をしましょう。


初めて出会う食材を食べるまでには、次の段階を踏むとされています;

知る 興味を持つ 触れる 食べる

このステップを上手に誘導してあげましょう。


例えば、

・一緒に買い物をして、苦手な食材を購入する際に子どもにどれがよいか選ばせる。

・買った食材を見て・触って・ニオイを嗅いでみる。

・その食材を絵に描いてみる。 

・(可能ならば)料理を手伝ってもらう。

などなど。


ところが現実に、あの手この手の調理法で苦手な食材を食卓に出しても、

拒否られ続けるとお母さんも心が折れそうになります。

しかしここで諦めてはいけません。 

研究によると、調理を工夫して食べさせる試みは、5回以内であきらめてはいけない、1020回出し続けると成功率が上がると報告されています(中には30-50回と紹介している専門家も)。


つまり、「この食べ物は安全だよ」と親が保証してあげることと、

「これは食べるものだよ」と慣れさせることを諦めないで、

忍耐強くその食材を食卓に出し続けるのです。


ここで注意すべきは調理法です。

その食材の形や味がわからないように調理しがちですが、実はそれはNGです。

苦手意識を克服するためには、直球勝負がベスト。


また、調理法に関する注意点として、実際に食べさせる際に「食べやすいかどうか?」という視点も必要です。

スプーンやフォークですくいやすいか?とか、

子どもによっては味ではなく調理法(バラバラになって食べにくい)が苦手なポイントかも。

さらに、食感(例:固い食べ物、ヌルッとした食べ物、パサパサした食べ物)が嫌いな場合もあるかもしれません。

 

それから、苦手な食材の価値を下げるような行為は避けましょう。

ありがちなご褒美形式(これを食べたら好きなものを食べていいよ)は、苦手な食材の価値を下げるイメージを植え付けてしまう行為でありNG

子どもの偏食に関する親の会話を子どもに聞かせると自分は〇〇がキライというイメージを植え付けてしまい、これもNG


以上をまとめると、

・その食材に慣れさせる。

・子どもが主役(食べさせるではなく自分で食べる)の食卓を作る。

がポイントでしょうか。


次に、YouTubeで見つけた、子どもに関わる様々な職業(保育士・助産師・栄養士・モンテッソーリ教師など)の方々が提案する「好き嫌い・偏食克服作戦」の具体例を紹介します。



<苦手な食材克服作戦のいろいろ> 


選択ボード作戦
・調理法を書き並べたボードを用意し、子どもに選ばせると興味が湧いて食べる確率アップ。

 
お手伝いエプロン作戦 

・こども用のエプロンを用意し、調理(無理な場合は配膳でも可)に参加させると興味が湧いて食べてくれる確率アップ。


ささくれ作戦

・食材を指先のささくれより小さくカットし、それを1個食べられたらほめましょう。これを繰り返すと、たとえ微量でも子どもに自信がつきます。子どもがその気になったら少しずつ増やしていってください。


「一口だけ食べて」は専門家の中でも賛否両論

・ハードルが高いのでNGという意見と、繰り返して安全であることを保障するために必要という意見が。


<食卓に着かない・自分で食べない・途中で飽きてしまう> 


▶ 食券作戦
・その子用の特別な食券を作りお店屋さんごっこを演出する方法。


お手伝い作戦

・ちょっとしたお手伝い(箸を並べる、ソース・ドレッシングを置く)をさせて参加させると俄然興味が湧きます。


くじ引き作戦
・自分で食べようとしない子ども(食べさせて~)対策

食べ物の絵や名前を書いた紙を箱に入れ、くじを引かせると「自分で選んだ」感が生じて食べてくれる確率アップ、子どもが使う食器を一緒に買いに行き選んでもらうだけでも効果あり。


どんぶり作戦

・食事の途中で飽きてしまう子どもに。

残りのご飯を別の器(どんぶり)に移し替えてまとめてみてください。器を替えることで気持ちがリセットされ食事に対する集中力が戻ります。 


<スプーン・フォークがうまく使えない>


スプーン・フォークで運びごっこ

・スプーン、フォーク、2cm角にカットしたスポンジを用意し、親子で皿から皿へ運ぶ遊びをして、楽しみながら練習すると苦手を克服できます。
・ていねいに運ぶとか、はやく運ぶとか、ルールを変えてみると盛り上がります。




<参考>

ハロー!ちびっこモンスター」(NHK、てぃ先生) 

「育児の悩みに答える専門家の助言」はよくある企画ですが、
珠玉の言葉を集めたこの番組は記憶に残りました。
2023年5月4日放送のNHKすくすく子育て「心に響いたあのメッセージ」から。


Q)子どもを感情的に怒ったり、感情をぶつけてしまったら?
 
A1)田中恭子先生(国立成育医療研究センターこころの診療部)
「親としてできていることに目を向けて自信を持ってください」
「忙しくて疲れている中、子どもと遊んでいるとか」
「毎日毎食、ご飯を作っているとか」
100%できなくても25%くらいできればよいと思います」 

A2)大日向雅美先生(恵泉女学園大学学長)
「人間にとって感情はすごく自然で大切なものです」
「喜怒哀楽、どれひとつとっても無駄なものはありません」
感情をぶつけるのは自然なこと、罪悪感を持たないで

A3)井桁容子さん(元保育士)
「気づいたらすぐ、ことばにして謝りましょう」
「おかあさん、ちょっと疲れていて嫌な言い方しちゃったね」
お母さんは完璧じゃないと伝えることも大切
「親が感情的になったときの気持ちの収め方は、子どもの見本になります」


Q)子どもが寝てくれません、夜泣きで私も眠れません。

A1)黒田公美先生(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
「生後9か月から1歳半くらいまでは夜泣きがよく見られます」
「脳波の研究では、赤ちゃんは寝ている間に何回も起きかけていることがわかっています」
「赤ちゃんは睡眠と覚醒のリズムを学んでいる途中なんです」
「眠いけどうまく眠れない…
 どうしていいかわからず泣いて訴えているのです」

A2)井桁容子さん(元保育士)
「いろいろなパターンがあるので、その子にあったやり方を親子で見つけていくことが大事です」
「そうして唯一無二の親子になっていくのです」
「テレビで見たことをやってうまくいかなくてもダメではありません」
「それも個性の一つ、くらいに考えてください」
「“わかんないけど、腹をくくってつき合う”でいいと思います」
「きっと気持ちは伝わります」
「お母さん一人で抱え込まないでください、家族の助けも必要です」


Q)イヤイヤにどう対応していいのか困っています。
 
A1)坂上裕子先生(青山学院大学教授臨床発達心理学)
「まだ自分の気持ちをことばで伝えることが上手にできない時期なんですね」
「自分でもどうしていいのかわからずパニックになってしまうのでしょう」

A2)高祖常子さん(子育てアドバイザー)
「なんでいやだったの?」
「〇〇がいやだったの?」
「〇〇をこうしたかったの?」
などと、
子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。 
そして、
子どもに選ばせてあげる
気持ちの切り替えを手伝ってあげる
を心がけ、
「落ち着いたら教えてね」
と見守りましょう。

 → 相談者の保護者のコメント:
子どもを“監視”するより“観察”するように心がけたら気持ちが楽になりました
「大人の物差しを押しつけて、完璧を求めすぎていたことに気づきました」

A3)井桁容子さん(元保育士)
「困っているのに“イヤ”と言えないことの方が心配です」
イヤと言える環境は子どもにとってよい環境だと思います
「その環境で周囲の反応を見ながら気持ちの出し方、
 抑え方を学んでいくのでしょう」
「“監視”はダメなところ、悪いところをみること、
 “観察”はどうしたいのかな?と偏見を持たずに見守ること」


・・・3歳を過ぎると子どもなりにイヤイヤの理由が出てきます。
「どうしてなんだろう」
と考えてみる必要もありますね。
「わかろうとする」
作業のくり返しで、親への信頼が育ちます。


Q)親のいうことを聞いてくれません、ちゃんと伝わる声かけって?

A1)倉石哲也先生(武庫川女子大学教授 臨床福祉学)
子どもが言うことを聞かなくなるのは、
 自分の世界を作り始める、自立し始めるとき

「順調に育って成長している証拠ですよ」

A2)岩井久美子さん(まちの保育園前園長・保育環境アドバイザー)
「子どもがワクワクするような声かけをしましょう」
「“楽しいことがあるよ”と具体的に声かけしてあげましょう」
(例)
「保育園に行くと楽しいことがあるよ」
「今日はプールで水遊びがあるよ」 

 ★ 子どもといるときは「うわの空」に気をつけましょう!
 短い時間(10分)でも、そこ(子ども)にこころを置くことが大切です。 
 

Q)子どもの好きなことと得意なこと、どっちを伸ばす?
 
A1)柴田愛子さん(保育施設代表)
「ぜひ、“好きなこと”を選んであげてください」
「好きなことは、じぶんのもの、
 得意なことは、人との比較・評価が入ったもの」

「どっちが長続きすると思います?」
「好きなことは長続きして、得意なことになる可能性があります」
好きなことがあること自体、素敵なこと
「好きなことが一つあれば、人生、生きやすくなります」
「ぜひ、好きなことを伸ばしてあげてください」

A2)川田学先生(北海道大学大学院准教授)
「好きなことをしているときが、人間一番輝いています」
「親バカパワーは子どもの生きる力の基盤になります」
「でも親の考えを押しつけて子どもを追い詰めると悪い結果になります」
おおらかな親バカでいてください」

Q)好きなこと、得意なことがなさそうな子どもはどうしたらいいですか?

A1)井桁容子さん(元保育士)
「その子がキラキラする瞬間を見逃さないよう、
 よく観察してみましょう」 


★ 子どもを通じて親が変わると、それを感じた子どもにも変化があるんですね。
子どもは立派な親より、ご機嫌な親・のんきな親が好き。親自身も頑張りすぎないで、ホッとできる工夫をしてよいのではないでしょうか。
★ その上で子どもに「大好き!」と伝えることが大事です。
 

<育児の悩みに対するアドバイス> 

▶ 「ハロー!ちびっ子モンスター」(制作:NHK)
 人気保育士「てぃ先生」が繰り出す変幻自在のアドバイスの宝庫。 
 上述の専門家の抽象的な意見よりわかりやすい!
 2025年1月現在、41本の YouTube 動画を視聴可能です。
 こういうことって医学書に書いてないんですよね・・・。 
 ▶「育児に疲れたママへ〜休むのも育児のうち」(工藤紀子医師、the kindest channel)
 育児書も書いている小児科医からのエールです。

 

赤ちゃんがいる部屋の冷暖房

 赤ちゃんのいる部屋の適温は以下の通り;

・夏:24~26(本によっては26~28)℃
・冬:20~22(本によっては18~22)℃

 まあ、調べれば調べるほど微妙に数字が異なりきりがありません。言い方を変えると、

・夏は25℃くらいで外気との差が5℃以内に、
・冬は20℃くらいで湿度を40~60%に保つ、


といったところでしょうか。さらに注意点を2つ。

・エアコン・扇風機を使う場合は、吹き出す風が赤ちゃんに直接当たらないように
・室温を考えるときは赤ちゃんの目線で。赤ちゃんのフトンかベッドに寝ており、大人の感じる高さの室温と異なります。



日焼け止めの上手な利用法は?

 日焼け止めは、紫外線吸収剤(塗り心地がよいが皮膚に刺激を与えやすい)と紫外線散乱剤(比較的皮膚への負担が少ない)の2種類に分けられます。 

 赤ちゃん用としては紫外線散乱剤で無香料・無着色・アルコールフリーがお勧め。 生後6ヶ月から使用可能、肌表面が乳白色になるくらい塗ると効果的です。 2~3時間以上経過したら効果が落ちてきますので塗り直しましょう。

 アトピー性皮膚炎などの治療として軟膏・クリームを塗っている場合は、治療薬・保湿剤の上に重ね塗りするのが基本です。 


日焼け止めの強さについては以下をご参照ください。 

SPF)紫外線B波の防止効果を示し、数値が大きいほど効果も大。
PA)紫外線A波の防止効果を示し、+が多いほど効果も大。 

  (SPF)     (PA)    (目安) 

 10前後   +     散歩や買い物などの外出 

 20前後   ++   公園での外遊びなど 

 30前後   +++   海水浴や登山などのアウトドア、スポーツ観戦など


「タマ」がない! → 【停留睾丸】

 タマ(睾丸)がふくろ(陰嚢)に降りていない状態です。片方のことが多いです。まず、病院へ行く前に、いつも無いのか、時々無いのか確認して下さい。お父さんに聞くとわかりますが、寒いときとか緊張しているときはふくろはキュッと縮んでタマも上がりますので。おむつを替えるときに触らなくても、お風呂に入っているときに触れれば、それは「移動性睾丸」ですので心配いりません。

 でも、いつも触れないとき、あるいはたまにしか触れないときは生後6ヶ月くらいを目安に小児科あるいは泌尿器科へ相談して下さい。一般的に1歳までに降りてこないときは手術を検討するようです(医療機関により多少異なります)。

 タマ(睾丸)は将来子どもの元になる精子を作る大切な臓器であり、別名「精巣」とも呼ばれます。

 精巣なぜ陰嚢の中でぶら下がっているか? 

 それは高温を避けるためです。タマがお腹の中にあると温度として約2℃高い環境にさらされることになり、これが長期間続くと精巣の変化が進み、将来男性不妊症の原因になると考えられています。また、思春期以降の腫瘍発生の頻度が高くなります。

 タマは涼しいところでブラブラしているのが好きなのです。


ふくろ(陰嚢)が妙に大きく膨らんでいる → 【陰のう水腫】

 袋の中に水がたまった状態です。90%以上は1歳前に自然に消失しますので治療の必要はありません。1歳を過ぎても消えない場合や、1歳以降で膨らんできた場合は手術の対象になることがあるようです。

 昔は、パンパンに膨れた場合に針を刺して水を抜いた時代があったそうですが、今はやりません。


おちんちんの横が時々腫れている → 【鼡径ヘルニア】

 おちんちんの横の体内の膜構造に穴が開いていて、腹圧がかかるとそこから腸が出てきて腫れているように見えます。本人は気にしていないときもありますが、痛がって泣きやまないこともあります。赤ちゃんが急に機嫌が悪くなって泣きやまず病院を受診した場合、小児科医は必ずこれをチェックします。

 頻度は1~4%。小さく産まれた赤ちゃんでは出やすい傾向があります。

 鼡径ヘルニアは「嵌頓」の危険があります。これは、膜に開いている穴が何かの拍子にキュッと締まって狭くなり、出ていた腸が元に戻れなくなった状態です。血流が悪くなりますので、放っておくと腸の組織が死んでしまいます(これを壊死と言います)。膨らんでいるところが紫色に変色してくるのが特徴です。

 つまり、

 子どもが泣き止まない+おちんちんの横が腫れていて紫色 → 緊急事態!

 このため、鼡径ヘルニアは「見つけたときが手術のタイミング」ですが、手術の危険性など諸条件を考慮し、嵌頓を起こさない限り、生後3ヶ月以降に手術を行う施設が多いようです。

 同じ「ヘルニア」の名前が付く「臍ヘルニア」(でべそ)はこの嵌頓の危険性がゼロに近いので、何もしないのが基本です。

 なお、鼡径ヘルニアは女の赤ちゃんにも起こります。出てくる内容は腸の他に「卵巣」のこともあり(卵巣ヘルニア)、元に戻そうとむやみにいじり回すのは卵巣を傷つける可能性がありますのでやってはいけません。早めに小児外科医の診察を受ける必要があります。

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