乾燥肌・かゆい・赤いの3つがそろい、慢性に経過する場合はアトピー性皮膚炎に準じたステロイド軟膏による治療が必要です。
1.ス軟膏を塗る量:たっぷりベタベタ塗ります
・少量をすり込むように塗ってもあまり効きません。
・ベタベタするほど塗るとよく効きます(ティッシュがくっついて落ちないイメージ)。
2.塗る範囲と塗り薬:ステロイド軟膏をいくつか使い分けます
・湿疹が一部だけなら、そこだけ塗ればOKです。
・湿疹と健康な皮膚が混在する場合は、そのパーツ全体(顔・首・胸・腹・背中・腰・手・足)を塗る必要があります。軟膏を多めに取って両方の手の平に延ばし、患部にサッと塗り広げるとすぐに終わります。
・ステロイド軟膏は、湿疹の程度と部位によりいくつかを使い分けます。
【当院の標準処方】
(頭皮)リドメックス(III)
(目周囲)プレドニン眼軟膏(V)
(顔・首前部)ロコイド(IV)
(からだ・手足・耳・首後部)リンデロンV(III)
3.塗る回数と期間:集中塗布+ダメ押し塗布で治し、保湿ケアで悪化を予防します
【集中塗布期】湿疹と痒みが消えるまでステロイド軟膏を1日( 2回・3回 )塗布
① 軽い湿疹(発赤・掻破痕) → 1~3日間
② 中等度 (①と③の間) → 約1週間
③ 強い湿疹(凸凹、ゴワゴワ)→ 約2週間(皮膚をつまんで硬さがなくなるまで)
※ 上記期間、ベタベタ塗ってもよくならないときはご相談ください。
【ダメ押し期】集中塗布期と同じ期間だけ、1日(1回・2回 )塗布
【維持予防期】2の後も保湿剤を続けて悪化を予防
【再燃対策】湿疹消失後に悪化・再燃したときは、1と2を繰り返し、3を続行
4.ステロイド軟膏をやめると悪化を繰り返す場合:ステロイド軟膏をゆっくり減らす方法に切り替えます
・乾燥肌・かゆい・赤いの3つがそろっていることを確認し、以下に進みます。
・ステロイド軟膏をやめないで、塗る間隔をゆっくり開けていきます(プロアクティブ療法)。悪化時だけ塗るよりス軟膏の総使用量を減らせます。
【集中塗布期&ダメ押し期】前述
【減量期】
→ ステロイド軟膏を1日おきに塗布(塗らない日は保湿剤塗布)を3回反復
→ ステロイド軟膏を2日おきに塗布(塗らない日は保湿剤塗布)を3回反復
【維持期】
→ ステロイド軟膏を3日おきに塗布(塗らない日は保湿剤塗布)を8回反復
→ ステロイド軟膏を週1回塗布(塗らない日は保湿剤塗布)を8回反復
・塗布間隔を開けるかどうかは、慣れるまでは医師が診察して判断します。塗らない日に明らかに悪化する場合は、先に進まないで落ち着くまでそのペースを継続します。
・最終目標はステロイド軟膏をやめることですが、当面の目標は「3日おきに1回塗布」(3日間保湿剤塗布→ ス軟膏1回/日→ また保湿剤3日間、の繰り返し)です。3日おきに1回塗布ペースなら、数ヶ月継続してもステロイド軟膏の副作用は問題にならないことがわかっています。
★ 治療抵抗例・重症例は医師の判断で皮膚科専門医への通院をお勧めしています。
5.保湿ケアはいつまで必要か:ドライスキンがある限り保湿は続けましょう
・もともと乾燥肌のあるお子さんは、日々の保湿ケアで湿疹を予防します。
・保湿剤は液体(ローション)、クリーム、軟膏を皮膚の状態と季節で使い分けます。
・保湿剤の処方は1ヶ月分が上限なので、市販品で肌に合うものが見つかればそれでOK。
例)WAKODO「ミルふわ」、ピジョン「ベビーミルクローション」、資生堂「2e(ドゥーエ)」、ワセリン等
6.タクロリムス軟膏(商品名:プロトピック®軟膏):長引く顔面湿疹に有用です
・目の周りを含む顔面はステロイド軟膏の副作用(皮膚が赤く薄くなる、眼圧上昇)が出やすく、しかし長年放置すると掻くという物理的刺激により白内障~網膜剥離のリスクがあるため、2歳以上で慢性に経過する顔面湿疹にはス軟膏からプロトピック®軟膏へ切り替えることがガイドラインで推奨されています。
・プロトピック軟膏にはステロイド軟膏のような副作用はありません。
・プロトピック軟膏はトウガラシと同じ受容体を刺激するため、塗るとヒリヒリする刺激感が必発です。逆にこれは効く証拠とも考えられ、一度ステロイド軟膏でキレイにしてから始めるとヒリヒリ感が軽くすみます。ガマンして塗り続けると約1週間で消えていきます。
・プロトピック軟膏と皮膚癌について:プロトピック軟膏の副作用として、動物(マウス)実験で高い血中濃度で使用した際に癌化する例が報告されています。しかし、人に用いる治療量では高い血中濃度は持続しません。人でも癌の報告例(日本の小児例はゼロ)がありますが、自然発生頻度と変わりません。