カテゴリ: 皮膚疾患

 当院は小児科ですが、思春期のニキビの治療も行っています。
 当院の特徴は、皮膚科専門医も使う新しいニキビ治療外用薬と漢方薬内服を併用することで、「外からも中からも治す」方針です。
 中高生は定期的に通院することが難しく、ドロップアウトしがちですが、治療法が安定したタイミングで「オンライン診療」へ変更することが可能です。来院せずとも、自分のスマホと診察室のタブレットをつないで診療できますので、ぜひご相談ください。

 先日「小児・思春期のスキンケアのコツ」というWEB配信セミナーを視聴しました。小児科医にとっては馴染みのない内容であり、勉強になりました。ポイントと感じた箇所を引用・抜粋させていただきます。
※ 具体的な製品名が出てきますが、講師が紹介されたもので、私が推奨するものではありません。

▶ 思春期のスキンケアの問題点
・学校や部活動で忙しい:受診時間確保困難
・母親に連れられて(自分の意思ではなく)気乗りしないまま受診
・何でも面倒くさい、処方しても外用してくれない
・好き嫌いが多い、野菜を食べない
・前髪命!(額は絶対出しません)
・質問に対して「ふつう」としか答えない
 (自分が「ふつう」と思っている)
・週末になると化粧する(今や小学生も!)
・SNSでの誤情報も信じてしまう

▶ 正しいスキンケア

1.洗顔は1日2回、洗顔料を使って洗います。
(参考動画「ニキビに悩む方への洗顔Movie」マルホ提供)
・洗顔料をよく泡立てる(泡の洗顔料(※ 1)でもOK)
・湯温は30℃を目安
・すすぎ残しに注意
・清潔なタオルで水分を拭き取る → 拭かない!こすらない!
・摩擦レス(※ 2)が基本

※ 1)西村先生のオススメは、
 ① クリーミィフォーム(iniks)
 ② コラージュフルフルホイップソープ(持田製薬)
※ 2)「こすること」は肌トラブル(乾燥・赤み・シミ・シワ・たるみ等)の原因になります。

2.保湿は必要最小限で。
・化粧水(パックなどは不要)
・必要なら油分の少ない(※ 3)クリームを使用
※ 3)油分の多いものは毛穴をふさいでニキビを繰り返しがち

3.紫外線対策は低刺激のものを繰り返し塗る。
・低刺激の日焼け止めを塗る。
・SPFの数値に関係なく3時間毎に塗る。

メイク
・クレンジング不要のものが好ましい。
・クレンジングを使用するときはW洗顔が必要のない種類を選びましょう。
・オイルクレンジングはニキビの悪化や乾燥を招きます。
・拭き取りは肌を傷めるため避けましょう。

保護者にお願いしたいこと;
・内服外用忘れがないか見守りと声掛け
・できる範囲でバランスの良い食事の提供
・中高生に適したスキンケア用品の購入
・サンスクリーン剤の使用状況確認
※ 以下のことはNGです!
❌️ 母親が自分の基礎化粧品を使わせている。
❌️ クレンジング・パックをさせている(やり過ぎ)。
❌️ 小学生のメイクを容認している。

▶ 中高生に適したスキンケア用品
〜思春期の肌はデリケートで乾燥とニキビが混在します〜
・高価すぎない(ひと月2000円までが適当?)
・香料・添加物・刺激が少ないこと
・ノンコメドジェニック(ニキビ肌での安全試験クリア)
・洗顔料は泡タイプ、もしくは泡立ちのよいもの。洗浄力が強すぎて保湿成分まで取ってしまうものはNG。
・サンスクリーン剤は吸収剤を含まないもの、べとつかず伸びのよいもの、できれば石けんで落とせるもの。
・化粧水は1本で保湿まで補えるものを。

※ 西村先生のオススメ(iniksと皮膚科医である西村先生共同開発):
(洗顔料)クリーミィフォーム(iniks)・・・約40日分で2420円
(保湿液)ACモイスト Cコンディショナー(iniks)・・・約60日分で3960円
(日焼け止め)バリアUVプロテクション フェイス&ボディ(iniks)2420円


<参考>
・小児・思春期のスキンケア(西村香織先生)WEB配信セミナー、2026.3.11
美肌講座(マルホ)
親子で挑むスキンケア大作戦(iniks)
・美肌研究所公式LINE(iniks)

ニキビの治療薬は近年、めざましい発展を遂げています。
昔は赤く炎症を起こしたニキビを治すことしかできなかったのですが、ニキビ肌(ニキビができやすい肌の状態)を改善するぬり薬が次々と登場してきたのです。

最初に登場したのがディフェリン®ゲル(一般名:アダパレン)。
次にベピオ®ゲル(一般名:過酸化ベンゾイル)。
そしてエピディオ(ディフェリン+ベピオ)、デュアック配合ゲル(ベピオ+抗菌薬)とかいろいろ。

ニキビに悩んでいる思春期世代の男子女子たちに対応できるようにと、以前集中して資料を読み込んだ時期がありました。そして分かったことは・・・新薬では副作用が問題になるということ。

ディフェリン®ゲルは塗布開始後1週間頃をピークにほとんどの患者さんで刺激感が出てきます。少し赤くなってヒリヒリするのです。これは、効いている証拠で、1週間を過ぎると徐々に治まってきます。なので、初回に処方する際、このことをあらかじめ説明しておきます。そうしないと、「肌に合わない、副作用だ」と使用をやめてしまうため。
少し赤い&ヒリヒリというレベルを超えて、真っ赤に腫れ上がったときは明らかな副作用ですので、中止します。

次に登場したベピオ®ゲル以降は、この「真っ赤に腫れ上がってしまう副作用」が散見されるようです(100人に1人)。もし、そのような副作用が出た場合、小児科医の私には対応しきれないと考え、今まで手を出さないできました。

最近、ベピオウォッシュゲルという製品が登場しました。
これは、ベピオ®ゲルを塗ってから5〜10分後に洗い流す、という特殊な使用法のぬり薬です。
つまり、製薬会社もベピオ®ゲルの副作用を認識していて、副作用軽減のための使い方を考案したわけですね。

皮膚科系セミナーを視聴すると、現在この薬がベストセラーになっているようです。
そして、塗った後5〜10分を待たずに「ヒリヒリを感じたら3分でも洗い流してもOK」と説明していました。

ベピオウォッシュゲルに私が感じるメリットは、
・副作用回避
・衣服の着色回避
・9歳から使用可能(今までのぬり薬は12歳以上)
・顔以外の部位にも使用可能

等々。当院でもすでに導入済みです。
解説記事が目に留まりましたので、ポイントを抜粋・引用させていただきます。


<ポイント解説>

過酸化ベンゾイル(商品名ベピオ)は、抗菌作用と角質剥離作用を併せ持ち、炎症性および非炎症性の皮疹を改善する薬剤。過酸化ベンゾイル製剤としては、
(2015年)ベピオゲル
(2023年)ベピオローション
がすでに発売されている。
・日本皮膚科学会による「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では尋常性ざ瘡(にきび)の第一選択薬として推奨されている1)
・使用中の皮膚刺激やそれによる全顔塗布への移行の難しさ、衣類や寝具への付着による脱色リスクなどが、治療継続を妨げる要因となっていた。こうした課題を解消するために開発されたのが、25年6月発売のベピオウォッシュゲル短時間接触療法によりにきびを治療する新たなタイプの過酸化ベンゾイル製剤であり、塗布後5〜10分作用させてから洗い流す(⇩)。過酸化ベンゾイル濃度をゲルおよびローションの2.5%より高い5%に設定することで、短時間の作用でも十分な効果が得られるよう工夫されている。

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・皮膚に薬剤が長時間残らないため、皮膚刺激や脱色への不安を軽減できる。
・炎症性皮疹だけでなく、毛包内に皮脂が貯留した状態である面皰(コメド)にも効果があるので、にきびのない部分も含め顔全体に塗布する。ぬるま湯や水のみで容易に薬剤を除去できる。
・乾燥が気になる場合には、ベピオウォッシュゲルを洗い流した後に保湿ケアを行い、併用薬があればその後に塗布する。顔だけでなく体幹部のにきびに対して使用することも可能
・ベピオウォッシュゲルは開始初期に乾燥や赤みといった皮膚刺激症状が現れやすいが、一般的には1カ月を過ぎると刺激を感じる頻度は減っていく。過酸化ベンゾイルの皮膚刺激性は日光曝露によって増悪する可能性があるため、帽子などで日差しを遮る、日焼け止めを塗る、日焼けランプや紫外線療法を避けるなどの対応が必要。
・痒みや湿疹を症状とする接触皮膚炎を100人に1人程度の頻度で生じることがあり、こうした症状が見られた場合は使用を中止する必要がある。使用開始時は狭い範囲に塗布して徐々に量を増やし、刺激がなければにきび部分だけでなく顔全体に塗布する、脱色を防ぐため髪や眉毛に付かないよう気を付ける

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★ ベピオウォッシュゲルのよる脱色対策(堀内祐紀先生の指導)
・ヌルつきゼロ:洗顔料をしっかり泡立て、ヌルつきが消えるまで洗浄
・境界もしっかりと:顎下、生え際の「すすぎ残し」を徹底チェック
・手洗いもしっかり:手を再度洗い、専用のタオルで水分を完全に拭き取る


参考>
洗い流す」にきび治療薬ベピオウォッシュゲル
島田 真帆=康生会武田病院(京都市)薬局(2025/12/8:日経DI)

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

■ 併用による効果増強レシピ

赤ニキビ+化膿・膿疱が強いとき
1.清上防風湯3包 + 排膿散及湯3包/日
2.清上防風湯3包 + 十味敗毒湯3包/日

炎症の強いニキビ+化膿・膿疱が強いとき
1.荊芥連翹湯3包 + 排膿散及湯3包/日
2.荊芥連翹湯3包 + 十味敗毒湯3包/日

毛嚢炎
 → 荊芥連翹湯3包+排膿散及湯3包/日

発赤・膿疱形成が強いとき 
 → 荊芥連翹湯3包+黄連解毒湯1包/日 


■ 大塚敬節Dr.の口訣
・赤ニキビには清上防風湯
・青ニキビには桂枝茯苓丸
・白ニキビには当帰芍薬散

■ ニキビの基本漢方薬

清上防風湯(58)・・・ニキビの第一選択、赤ニキビに
荊芥連翹湯(50)・・・炎症の強いニキビ
排膿散及湯(122)・・・化膿・膿疱が強いとき(清上防風湯/荊芥連翹湯と併用する)
桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)・・・瘀血、青いニキビに

十味敗毒湯(6)・・・化膿・膿疱が強いとき(清上防風湯/荊芥連翹湯と併用する)
加味逍遥散(24)・・・月経によりニキビが増悪する場合
当帰芍薬散(23)・・・やせ型、冷え症で、白ニキビ、赤みに乏しいニキビに
 ヨクイニンエキスを併用すると効果的
半夏瀉心湯(14)・・・口唇周囲のニキビに有効
ヨクイニンエキス・・・他剤に追加使用(保険病名は、コタロー:青年性扁平疣贅、尋常性疣贅) 

■ 清上防風湯(58)の使い方
・効果を増強するときは大黄(1g/日)を追加する
 → 清上防風湯3包+大黄末1g/日
・ヨクイニンを併用すると効果的
 → 清上防風湯3包+ヨクイニンエキス9-18錠/日
 → 清上防風湯3包+ヨクイニンエキス1-3包/日

■ 荊芥連翹湯(50)の使い方 
・毛嚢炎に対しては排膿散及湯(122)を併用する
 → 荊芥連翹湯3包+排膿散及湯3包/日
・発赤・膿疱形成が強いときは黄連解毒湯(15)を併用する 
 → 荊芥連翹湯3包+黄連解毒湯1包/日 


<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 

赤ちゃんの皮膚が黄色っぽい ・・・黄疸

 「黄疸」とは、皮膚の色が黄色くなることです。皮膚だけでなく白目が黄色くなるので目立ちます。強い・弱いの違いはありますが黄疸はすべての赤ちゃん(生後1ヶ月までの新生児)に見られる現象です。これは「生理的黄疸」と呼ばれており、生後3~4日頃から目立ち始め、約2週間で自然に消えていきます。

 また、母乳栄養の赤ちゃんでは生理的黄疸が長引く傾向があります。これを「母乳性黄疸」と呼びます。それも生後6週間には消えていきます。

 これらの黄疸は、機嫌が良く、食欲もあり、生後1週間頃がピークであとは徐々に薄くなっていく印象があれば心配ありません。様子を見て良いでしょう。

 希ながら、黄疸の裏に病気が隠れていることもあります。

 「大人の黄疸=肝臓の病気」というイメージがありますが、赤ちゃんの病的黄疸の原因は実に様々です。

 一番多い原因は生理的黄疸が強めに出た場合です。他に血液型不適合(有名なRh式以外にも、ABO式不適合もあります)、感染症、生まれつきの代謝異常などの病気のこともあります。

 また、産科に入院中は問題なかったけれど、退院してからだんだん黄疸が目立ってくるパターンもあります。

黄疸+元気がない」「黄疸+うんちが白っぽい」場合は重い病気が隠れていることがありますので、早めに小児科を受診して下さい。うんちの色については、現在母子手帳にカラースケールが載っています。

 余談ですが、幼児期に「皮膚が黄色い」と心配されて受診なさる方が時々います。たいてい「柑皮症」(医学名はカロチン血症)といってミカン、カボチャ、にんじんなどの黄色い食べ物をたくさん食べた結果黄色く見える現象です。他に海苔やトマトも原因になります。「黄疸」との違いは、白目が黄色くならないことです。微妙なときは血液検査で確認します。


アザ

 赤ちゃんの皮膚を全身くまなく観察すると、小さなアザ・シミがたいてい見つかります。
 おでこから鼻にかけての淡い赤アザは「サーモン・パッチ」と呼ばれ、病的ではありません。後述の「ウンナ母斑」同様、生理的なものです。

 それ以外の、生まれてから形・色・大きさの変化のないアザは小児科よりは皮膚科へ相談した方が良いと思います。その分野のレーザー治療は日進月歩で治療適応もかわっていくようなので。


だんだん盛り上がってくるブツブツした赤い斑点 ・・・イチゴ状血管腫

 生まれたときはそこに何もないか、少し色素が抜けて白っぽいこともあります。それが生後2週頃から赤みを帯びてきて、生後2~3ヶ月頃には急速に増大し(4ヶ月検診で結構見かけます)、赤くて表面がブツブツしているので「イチゴ状血管腫」という名前が付いています。生後6ヶ月~1歳頃に増大傾向は止まり、1歳以降は消退し始め、6~7歳で自然に消えていきます。

 という経過をたどるので、基本的に治療は必要ありません。

 ただし、何事にも例外はあるもので、大きさが巨大なとき、場所が良くないとき(目の回り、張力のかかる部位)などでは治療対象となる場合があります。皮膚科に相談してください。


うなじに赤い斑点が・・・ウンナ母斑

 前述の「サーモンパッチ」のある赤ちゃんのうなじを見てみると、たいていそこにも赤い斑点がいくつか見られます。

 これを医学用語で「ウンナ母斑」と言います。別名「ストークマーク(stork mark)」とも言い、コウノトリのが赤ちゃんをくわえて運んできた印と欧米では考えられてきました。なんだか、夢のある話ですね。

 赤ちゃんの約30%に見られます。そのまま様子を見ていると徐々に薄くなっていきますがサーモンパッチより消えにくく、大人になっても残っていることがあるようです。まあ、髪の毛で隠れてしまう場所なので審美上問題になることは少ないようですが。


日本人なら誰にもある蒙古斑

 言わずと知れたお尻の青あざ。日本人は誰でも(どんな美人でも、ハンサムでも)乳幼児期に持っていました。意外なことに、白人の1~20%、黒人の80~90%にも認められるそうです。

 4~5歳頃までに自然に消えます。当然、治療は必要ありません。しかし、異所性蒙古斑(お尻、背中以外の場所にある少し青みが濃い蒙古斑)は消えにくく、10歳時に残っているものは生涯残るとのことです。

※ 蒙古斑に対してレーザー治療を行っている医療機関がありますが、治療適応・治療時期に対する考え方は様々で、まだ確立された治療方針はないようです。ですから、受診した医療機関により「治療の必要なし」「いや、治療の必要あり」と異なった説明を受ける可能性があります。


赤ちゃんニキビ(新生児ざ瘡

 生後1ヶ月頃の顔の湿疹で一番多いのは「赤ちゃんニキビ」(医学用語では「新生児ざ瘡」)です。

 生後まもなくから2~3ヶ月頃に、額やほっぺたに多く見られるやや赤いブツブツです。かゆくはなさそう。

 赤ちゃんの肌はみずみずしいイメージがありますが、生後2~3ヶ月くらいまではオイリーで思春期と似た状態であり、「ニキビ」と呼ばれています。

 赤ちゃんニキビを見つけたとき、お母さんに「顔を洗うとき石けんを使ってますか?」と聞くと「No」の返事がほとんど。

 ここまで書けばおわかりかと思いますが、対策は「油を落とすスキンケア」。

 つまり、沐浴の時に顔も石けんを使って洗うことです。高級な香料入の石けんはかえって皮膚に刺激になることがありますので普通のベビー石けんを使ってください。具体的には、石けんをお母さんの手にとりよく泡立たせて、指のお腹の柔らかいところを使って「なでるように」または「マッサージするように」やさしく赤ちゃんの顔を洗い、その後にお湯でよくすすぎます。すすぐときはガーゼなど柔らかい布を使ってもかまいません。

 これを繰り返せば徐々によくなってきます。

 ただし、赤みが強く炎症を起こしているとき、ジクジク液が出てきているときは小児科あるいは皮膚科を受診してください。ぬり薬が処方されることでしょう。

 他に顔のブツブツには「あせも」もありますが、対策は同じく皮膚を清潔に保つスキンケアが基本です。


頭皮のかさぶた(乳児脂漏性湿疹

 前項の「赤ちゃんニキビ」がひどくなってくると、眉毛、頭の前の方、耳などに黄色いカサブタ(油の固まり)ができてきます。これを「乳児脂漏性湿疹」といいます。生後3~4週頃から目立ち始め、3ヶ月を過ぎると軽快へ向かいます。

 対策はやはり油をとるスキンケア。入浴1時間前にオリーブオイル(あるいは白色ワセリン)をカサブタに塗っておいてふやけさせ、入浴時は石けんあるいはシャンプーを使って洗い、その後クシで少しずつ削ると改善してきます。


★ 乳児脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎との違い

 「赤ちゃんの湿疹=アトピー性皮膚炎?」と心配されるお母さんが多いので違いを説明しておきましょう。

 アトピー性皮膚炎では痒みが強いですが、脂漏性湿疹では無いかあっても軽度。3ヶ月を過ぎても湿疹が治らず、痒みを伴って皮膚の引っかき傷のような変化が出てきたらアトピー性皮膚炎を疑います。また、生後1~2ヶ月の赤ちゃんはお母さんの服に顔をこすりつて間接的に掻くことがあります。さらに耳の付け根が赤くなって切れてしまう「耳切れ」はアトピー性皮膚炎に特徴的です。


★ 乳児アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係

 生後数ヶ月で顔面頭部の湿疹が出てきてかゆがる様子があれば、積極的な治療が必要です。

 現在、食物アレルギーの原因は乳児期のアトピー性皮膚炎であることがわかっています。食物アレルギーの原因は、お母さんがたくさん食べたからではなく、赤ちゃんがたくさん食べたからでもなく、皮膚からアレルゲンが侵入を繰り返すためです(経皮感作)。

 湿疹がある場所は皮膚バリアが破壊されており、そこから目に見えない大きさのアレルゲンが侵入し、それを排除しようと免疫システムが働く・・・これを日々繰り返すことにより食物アレルギー体質が作られるのです。

 それを予防するには皮膚バリアを回復すること、すなわち湿疹をしっかり治療してすべすべの肌を取り戻し、維持することが大切です。

 乳児湿疹は「これくらいは大丈夫かな・・・」と放置せず、当院にご相談ください。

 アレルギー専門医の院長の他に、当院には小児アレルギーエデュケーター(PAE)の看護師も在籍しており、治療と看護の両面からサポートします。

 ご存知のように、おへそはお母さんと赤ちゃんをつないでいた「臍帯」(さいたい)の名残で、太い血管が通っていました。役割を終える過程でいろいろなトラブルに出会います。

 まずは正常なおへその経過を知りましょう。生まれたとき臍帯は1~2cmの太さの管状のものですが、赤ちゃん側に少し残してハサミで切られます。その後乾燥して小さくなっていき、生後7~10日でとれるのが普通です。とれた跡はしばらくジクジクしていますが、その後7~10日で乾いてすっきりします。おへそが乾くまでは自宅でアルコール消毒をするよう指導している産科が多いようです。


 次によくあるおへそのトラブルについて。

・おへそとその周りが赤くなって腫れている

・出血や分泌物がダラダラ続く

・塊が残り、ジクジクしている


・・・こんな時は小児科に相談して下さい。どんな病気があるかというと;


臍炎

 おへそに病原菌が入り、増殖して炎症を起こした状態です。治療は赤いだけならぬり薬を、周囲も腫れている場合はおへそを消毒し、抗生物質(菌をやっつける薬)を飲んでもらいます。それでもよくならず、熱も出てくるようなら入院して治療が必要になることも希ながらあります。


臍出血

 元々血管が通っていた場所ですから少しの出血は必ずしも異常ではありません。量が多く、長引くときは血が止まりにくい病気が隠れていることがあります。小児科に相談して下さい。


臍肉芽腫

 臍帯の脱落後に臍帯の一部が残っていて塊が作られ、いつもジュクジュクしている状態です。生後数週間しても治まる気配が無い場合は受診して下さい。薬で固めたり、大きい塊が残っている場合は病院に紹介して処置してもらいます。

 ただし、処置後もジュクジュクが続くときは希ながら解剖学的異常(卵黄嚢菅遺残尿膜管遺残など)が隠れていることがありますので再度診察を受けて下さい。


★ 赤ちゃんの出べそは病気?

 臍帯がとれたときは普通のおへそだったのに、それから数週間後(つまり生まれて1ヶ月)頃からおへそが膨らんで目立つことがあります。いつも膨らんでいるわけではなく、泣いたときやいきんでお腹に力が入ったときに目立ちます。

 これは「臍ヘルニア」と呼ばれるものです。小児期以降の「いわゆるでべそ」とはちょっと異なりますが、まあ「赤ちゃんのでべそ」と言ってもいいでしょう。

 原因はおへその周りの筋肉の発達が未熟でまだ閉じきっていないことです。腹圧がかかるとそのすき間から皮膚の下に腸が出てきてしまうのです。

 おへそが膨らんでいても赤ちゃんは泣き続けるわけではないので痛くはなさそうです(足の付け根がふくれる鼡径ヘルニアは痛がってずっと泣き続けます)。膨らんだおへそを触ってみると柔らかく、もんでみると“グジュグジュ”した感覚。そのうちに小さくなって無くなってしまうこともあります。これは皮膚の下に出てきていた腸管がお腹の中に戻ったのです。

 予定日より早く小さく産まれた赤ちゃん(早期産児・低出生体重児)に多く見られる傾向があります。満期産の成熟児では数%に頻度です。ほとんどが1歳までに目立たなくなってしまいますが、1歳になっても目立つようなら手術も検討します。ただし、膨らみが2cm以上で大きいときは下記の「綿球圧迫法」で早く治ることが期待できますので、生後3ヶ月くらいまでに小児科あるいは小児外科に一度相談されると良いでしょう。


<臍ヘルニア処置の変遷>

 昔はコインをおへそに当てて、ヒモで固定していた時期があったそうです。しかし、おへそがかぶれて炎症を起こすトラブルが多かったため、私が小児科医になった約30年前は「何もしないで様子観察」する時代でした。

 ところが10年くらい前から、一部の小児科医が「やはり固定した方が早く治る、皮膚のたるみも目立たない」と以前とは少し異なる固定法を採用し始めました。名付けて「綿球圧迫法」。これは綿球を出っ張るおへそにあてがい、テープで固定する方法です。自然経過より早く治り、皮膚のたるみを残さないことがメリットです。固定するテープの質がよくなり、かぶれにくくなったおかげでこの方法が可能になりました。

 当院でもご希望があれば「綿球圧迫法」を行っていますので、ご相談ください。ただし、1週間に一度のペースで数ヶ月通院していただく必要があります。


※ 処方される塗り薬は、少量なら目や口に入っても問題ありません。軟膏はほとんどがワセリンでできており、ワセリンの融点(溶ける温度)は約40℃なので、体内で溶けて吸収されることはふつうありません。


【おむつかぶれ】

汗やオシッコでふやけた肌に、ウンチの消化酵素やアンモニアが刺激となり赤くなったりブツブツができたりします。こまめにオムツを替え、ぬれタオルで押し拭きし、十分に乾かしましょう(ドライヤーは禁)。一旦赤くなってしまうと悪循環でなかなかよくなりません。毎回洗うのは大変ですから、霧吹きにぬるま湯を入れてシュッシュッと吹き付けて半洗いするのが手軽でお勧めです。

治療薬は、赤いだけなら保護作用のあるサトウザルベ、ただれて痛みがある(オムツ替えで拭くと泣く)場合は紫雲膏、それでも解決せず炎症が強い場合はエキザルベロコイド等ステロイド外用薬を使用します。

また、長引いてブツブツが目立つ場合は「カンジダ」というカビが悪さしている可能性あります。効く薬が違うので診察を受けましょう。

⇨ 処方される薬:サトウザルベ、エキザルベ、ロコイド、紫雲膏など

 

※ ベビーパウダー(シッカロール)はお勧めしません:汗で固まって逆に肌を刺激したり、吸い込むと肺炎を起こすことがあります。

サトウザルベは「蒸れてふやけて赤くなっている皮膚」に効きます。首まわりや手首足首のくびれ、脇の下、鼡径部(足の付け根)がしっとり赤くなっているときは使用できます。


【乳児脂漏性湿疹~赤ちゃんニキビ】

脂漏性湿疹というと“高齢者の皮膚の病気”というイメージがあるかもしれませんが、生後数ヶ月までの赤ちゃんにも頭部・顔面の脂っぽい湿疹が出ることがあります。

特に頭皮は黄色いフケ・カサブタがこびりつきます。ひどいときは入浴前にワセリンベビーオイル、オリーブ油を塗ってふやかし、入浴中にクシで少しずつ削りましょう。

顔の「Tゾーン」に脂っぽいブツブツができたら「赤ちゃんニキビ」です。顔も石けんを泡立ててマッサージするように洗いましょう。その後保湿ケアも忘れずに(脂っぽいから必要ないというわけではありません)。

⇨ 処方される薬:アズノール軟膏など

【乳児湿疹~アトピー性皮膚炎】

乳児期の湿疹はすべて乳児湿疹と呼びます。医師にとっては便利な病名で、その中にはあせもやかぶれ、湿疹などがごちゃごちゃに入っており、年齢でくくっているだけです。当然、様々な要因が考えられますが、一過性で消えれば問題ありません。
しかしかゆみを伴うと長引く傾向があります。「乾燥肌+かゆみ+赤み」がそろうとアトピー性皮膚炎に準じたステロイド軟膏による治療が必要になります。

 2000年代に入り、食物アレルギーやほかのアレルギー疾患の主な原因が、バリアの壊れた皮膚から繰り返しアレルゲンが侵入する現象(経皮感作)であることがわかってきました。乳児期の湿疹をしっかり治療することで食物アレルギーなどほかのアレルギー疾患を予防できる可能性が出てきたのです。これは画期的!

 当院ではかゆみを伴う乳児湿疹~アトピー性皮膚炎の治療に力を入れており、3~6ヶ月の通院で約8割の患者さんが卒業(定期通院終了)できています。

【あせも(汗疹)】

 赤いブツブツで、正体は汗腺がつまって炎症を起こしたもの。ぬれタオルで押し拭きして塩分を残さないようにしてください。軽いものは、スキンケアや昼間のシャワー追加、環境温度の調節などで改善しますが、掻き壊すと「とびひ」になることもあります。

⇨ 処方される薬:カラミンローション、アズノール軟膏など。


【とびひ(伝染性膿痂疹)】

 虫刺され痕や傷ついてバリア機能が落ちた肌に細菌(黄色ブドウ球菌・溶連菌)が繁殖し、ジクジクしたり、水ぶくれができて皮が剥けたり、カサブタがついたりします。スキンケア&抗生物質軟膏の塗布(広範囲の場合は+抗生物質内服)で治療します。

 保育園・幼稚園へ行っているお子さんは、治療開始しジクジクした部位をガーゼなどで覆えば登園できます。ただし治癒(皮疹が乾く)まではプールは控え、必要な場合は受診して医師に治癒確認をしてもらいましょう。

 なお、乾燥肌・アトピー性皮膚炎があると繰り返す傾向がありますので、そちらのスキンケア・治療も必要になります。

⇨ 処方される薬:

(ぬり薬)フシジンレオ軟膏、アクロマイシン軟膏、アクアチムクリーム

(飲み薬)セフゾン、ホスミシン、メイアクトなど。

日々のスキンケアがトラブル知らずの皮膚を造ります

 スキンケアとは「清潔&保湿」(汚れを落とし保湿剤で保護)すること。バリア機能が低下した乾燥肌に汚れ(=刺激物)が付くとトラブルの元です。胎脂がとれたあとから毎日のスキンケアを習慣づけましょう。もちろん、今からでもOK。 


赤ちゃんの皮膚の特徴 ~薄い・多汗・皮脂が少ない~

□ 皮膚の厚さ:大人の角質層の厚さは20ミクロン(ラップ1枚程度)、赤ちゃんはその半分しかありません。

□ 多汗傾向:赤ちゃんの皮膚の面積は大人の1/6程度、しかし汗腺の数は同じなので汗っかきです。

□ 乾燥肌:「赤ちゃんの肌はすべすべ」と思いがちですが、現実はそうでもなさそう。生後2ヶ月まではお母さんからもらったホルモンの関係で顔面・頭部の皮脂分泌量が多く(思春期並み)、それ以降は大人の1/3まで減少して乾燥しがち。


赤ちゃんの沐浴・入浴の注意点

□ お湯の温度

 ぬるめの38~39℃(本によっては37~38℃とも)が適切です。体を温めるより汚れを落とすことが目的なのです。

□ 湯船につかる時間

 3~5分が目安です。赤い斑点が出てくるようなら温めすぎと思ってください。

□ お勧めの洗浄剤:

 ベビー用石けん(泡タイプがお勧め)&ベビー用シャンプーを使用しましょう。「無添加」より「ベビー用」がベター。頭皮は全身用ボディーソープより、やはり頭皮用のシャンプーの方が皮脂が落ちます。

 近年、「沐浴剤は必要ない」という論調が増えてきました。「化学薬品を溶かしたお湯に赤ちゃんの体をつけ込むのは肌によくない」との考えです。

□ 洗い方

 ガーゼでゴシゴシこすらず、石けんをよく泡立ててお母さんの手でやさしくなでるように洗いましょう。顔や頭は皮脂の分泌が多いので泡でマッサージするように洗いましょう。

□ シャワーを使おう:

 すすぎはシャワーで念入りにしてください。ゆるめにすれば顔にかかっても大丈夫です(ずっと羊水の中に入っていたのですから)。

□ ふき方のコツ:

 入浴後はバスタオルで押し拭き(軽くおさえるように水分を拭き取る)しましょう。ゴシゴシこすらないように。

□ 出たらすばやく保湿ケア

 水分をふき取った後に保湿ケアをしましょう。しっとり感を保湿剤で封じ込めるイメージで。

※ 夏の暑い季節は、昼間たくさん汗をかいたらシャワー追加もOK。ただし、皮脂の落ちすぎを避けるため、石けんを使うのは1日1回までにしましょう。

※ 洗うときも拭くときも塗るときも 首や手足のくびれ部分、指の間も忘れずにケアしましょう。


保湿ケアの実際

保湿剤は油分+水分の乳液・クリームタイプが基本ですが、冬は軟膏、夏はローションという使い分けも可。

□ 保湿剤をたっぷり手に取り、体の各部分に点々と置き、赤ちゃんの肌に薄い膜を張るイメージで塗り広げましょう。熱心にすり込む・塗り込むのは赤ちゃんの肌に逆効果です。

□ 口の周りが荒れやすい赤ちゃんは食事前後の保湿ケアを習慣づけましょう。食前にはワセリンで膜を作り、食後はぬれタオル・ぬれティッシュで押し拭きをしましょう(乾いたものやティッシュでこすると肌が傷つき荒れます)。

※ 市販の保湿剤の選び方:「無添加」より「ベビー用」「低刺激性」がベター、かつ食物成分が入っているものは避けましょう。


日常生活での注意点

□ 薄着を心がけましょう:

 赤ちゃんの服は生後3ヶ月以降なら大人より1枚少なくするのが基本。赤ちゃんの背中に手を入れて汗をかいていたら暑がっている証拠です。調節してください。

□ ベビーカーは温室

 ベビーカーはアスファルトからの照り返し熱をまともに受け、内部温度は大人が感じる気温より3~5℃も高いそうです。ほろで日陰を作るなど工夫をしましょう。

□ 日焼け対策

 基本は直射日光を服で避ける工夫をすることですが、日焼け止め(生後6ヶ月以降)を使うときは保湿剤の上から重ね塗りし、数時間毎に塗り直しましょう。

Q. 赤ちゃんのおへそが膨らんできました。なぜ?、どうして?

A. いわゆる“でべそ”ですが、医学的には“臍ヘルニア”という名前で呼ばれています。赤ちゃんの5%(20人に1人)くらいに見られる、特別に珍しいものではありません。おへそはお母さんと赤ちゃんをつないでいた血管の痕跡で、生まれたら閉じるのがふつうですが、それが閉じきらない場合に発症します。膨らんだおへその中身は腸管で、触るとグチュグチュ音がして、もんでいると元に戻ります。小さく産まれた赤ちゃんでは、より多く見られる傾向があります(出生体重1500g未満では発生率75%)。


Q. おへそが膨らんできたら、どうしたらいいの?

A. ほとんどの場合、放っておいて大丈夫です。無治療でも1歳までに80%、2歳までに90%が自然治癒します。残りの10%は自然に治りませんので、手術を考える場合もあります。


Q. では何もせずに様子を見ていれば、ふつうのおへそになるのですね。

A. 小さい場合はそうですが、大きくふくらんだ場合(3cm以上)は、治ってもおへその皮膚が伸びてしまい、たるんだ皮膚が残る傾向があります。体に害はないものの、審美上(見た目が)よくないので、形成手術をすることもあります。自然に治るかどうかは、大きい方が治りにくいという意見と、大きさと治癒率は関係ないという意見があり、結論は出ていません。


Q. “おへそをテープで圧迫すると治る” と耳にしたのですが・・・

A. 昔から包帯をしたり五円玉を貼り付けたり、色々な方法が流行ったり消えたりしてきました。近年は綿球・ガーゼ・スポンジ・ティッシュなど(*)を出っ張っているおへそを凹ませた状態であてがい、圧迫し続けて早期治癒を期待する「圧迫療法」が普及してきました。 

* 自己責任になりますが「へそ圧迫材パック」が通信販売されています。 


Q. 「圧迫療法」のメリットを教えてください。

A. もともと「自然治癒率90%」なので、治癒率向上というデータはあまりありません。しかし、「早く治る」「治った後のおへその形がよくなる(*)」というデータはあります。

* 理想のおへその形になるわけではありません。ご了承ください。

 

Q. 「圧迫療法」のデメリットはありますか?

A. おへそを圧迫して長期間テープで固定するため、皮膚が荒れることがあり(皮膚炎発生率:20~30%)、その程度により中断せざるを得ないこともあります。また、固定が不十分では効果が期待できません。さらに、ずれたまま放置しているとトラブル(嵌頓・絞扼)になることがまれに起こると報告されています。


Q. たけい小児科でも「圧迫療法」をしていますか?

A. はい、生後6ヶ月までで、出ているおへその直径がおよそ2cm以上の赤ちゃんを対象に行っています。ただし、圧迫材とテープの交換のため、週1回ペースの通院を数週間~数ヶ月していただく必要があります。

* 臍ヘルニアの程度やご家族の希望により、総合病院の小児外科を紹介しています。


ニキビは日本人の60%以上が経験するありふれた皮膚病で、10代に多いことから「青春のシンボル」とも言われますが、放置して悪化すると跡が残ることがあります。

従来の治療は赤ニキビを治すだけでしたが、近年、“ニキビ肌”そのものを治すぬり薬が登場し、ニキビ治療が一変しました。早期に治療を開始することにより、ニキビに悩む期間やニキビ痕の悩みを減らすことが期待できます。

当院の特徴は新しいぬり薬と漢方薬内服の併用。つまり、“外からも中からも治す”イメージです。効果・手ごたえは十分あります。
「どのくらい通院が必要?」という疑問に対する答えは、「どこまで治したいか?」によります。

▶ 赤ニキビだけ治したい → 数週間~数ヶ月

ニキビができにくい肌を手に入れたい → 半年~1年間

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※ 図表は主に「ニキビ一緒に直そうProject」(マルホHP)から引用。

すると、ニキビが8割減少することが期待できます。
では診療内容を紹介します。


<ニキビができるメカニズム>

まず敵を知りましょう。ニキビは以下のように経過します;

 毛穴詰まり → 白・黒ニキビ → 赤ニキビ → 黄ニキビ


非炎症期白ニキビ、黒ニキビ

思春期の男性ホルモン分泌により、毛穴の奥の皮脂腺から分泌される皮脂が増加(白ニキビ)し、皮脂の出口である毛穴の角質が増加(黒ニキビ)して塞がった状態

炎症期赤ニキビ、黄ニキビ
溜まった皮脂の中でニキビ菌(アクネ菌)が増殖(赤ニキビ)し、それがつづいて慢性的に炎症(黄ニキビ)を起こした状態

<まずは日々のスキンケア>
治療の話の前に、日々のスキンケアを再確認しておきましょう。
肌が気になる女子は当院サイト「思春期のスキンケア」をぜひ読んでいただき、今日から実践してください。そこの顔を洗うのも面倒くさがる男子、それではニキビは治りませんよ。

<ニキビの種類と治療> 

病期により治療が異なります。非炎症期は毛穴詰まりを解消する治療、炎症期は抗菌薬・殺菌薬が中心になります。当院の治療方針を下表にまとめました(クリックすると拡大表示されます);
ニキビ治療薬一覧


<薬の解説>

ディフェリン®ゲル】(ジェネリック:アダパレンゲル) 

・2008年に登場し、ニキビ治療に革命を起こした塗り薬。

毛穴のつまりを改善します。“ニキビ肌”とは毛穴がつまりやすい肌であり、ディフェリン®は毛穴の角質を減らして毛穴を広げ、中に溜まった皮脂を外に出してくれます。
効果が出るまで3ヶ月くらいかかります。
・適応部位:顔面のみ(体には使えません)。
(適応範囲)白・黒ニキビ、ニキビ全体の予防(維持療法)

(使用の実際)
1日1回就寝前に顔全体に塗布(面塗り)
・目の周囲・唇・小鼻など粘膜に近い部位は避けます。

(塗布量)
・チューブから人差し指の第一関節の長さ(1FTU=0.5g)
 を出したディフェリン®を顔全体に面塗りします。
・1ヶ月に1本使い切るのが目安です。

(副作用と対策)
・開始後2週間以内に皮膚乾燥・刺激感(ヒリヒリ感)が出てくるためあらかじめ保湿剤(ヘパリン類似物質ローション)を塗ってから重ね塗り
・続けていると刺激感は数週間で落ち着いていきます。
(注意点)
・妊娠中、妊娠の可能性がある方は使用できません(禁忌)。

ベピオウォッシュゲル®
・効果はあるものの副作用が問題だったベピオの改良版
・成分の過酸化ベンゾイルはアクネ菌殺菌+ピーリング効果(古い角質を剥がれやすくする)があります。
衣類や髪、眉毛などに付くと色落ち(漂白)する作用があるため注意が必要

面塗りした後、5〜10分待って洗い流すという方法(short contact therapy)
 → 副作用回避
9歳から使用可能(ディフェリンとベピオは12歳以上)
(適応範囲)赤・白・黒ニキビにも
(使用の実際)

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(⇧マルホのHPより:クリックすると拡大表示されます)

アクアチムクリーム】(ナジフロキサシンクリーム)

・抗生物質入りのぬり薬。
・赤ニキビ、黄ニキビに、1日2回“点塗り”します。 
・とびひ(伝染性膿痂疹)にも有効です。

漢方薬
「ニキビ」に適応のある漢方薬は次の3つです。

白/黒桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)

清上防風湯(58)

白/黒/赤荊芥連翹湯(50)

赤ニキビに使う漢方薬は、炎症の熱を抑える作用があるため“清熱剤”と呼ばれます(苦いです)。ニキビの状態により上記を含めて6種類以上の漢方薬を使い分けて治療しています。なんと「ニキビが治った後の凸凹」にも効く漢方もあるのです。
★ どうしても漢方薬の顆粒を飲めない人には、錠剤が用意されている十味敗毒湯をお勧めしています。


<治療の実際>

「赤ニキビを治したい」と患者さんは受診されますが、よく観察すると白ニキビも混在していることがほとんどです。前述のように「どこまで治したいか?」に応じて治療が変わります;

赤ニキビだけ治ればいい → 数ヶ月通院

(内服)漢方の清熱剤(清上防風湯十味敗毒湯黄連解毒湯

(外用)アクアチム®クリーム

赤ニキビ+“ニキビ肌も → 1年間通院

(内服)清熱剤+ 桂枝茯苓丸加薏苡仁、あるいは荊芥連翹湯

(外用)アクアチム®クリーム
 + ディフェリン®ゲル、あるいはベピオウォッシュゲル


<スキンケアと外用薬を塗る順序>(クリックすると拡大します)

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注意)ディフェリン®ゲルとベピオウォッシュゲルでは保湿剤の順序が異なります

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(⇩マルホHPから引用)

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<食生活のヒント>
昔は「スナック菓子はダメ」とか「チョコなどの甘いものはダメ」とか、いわれていましたが、近年の書物は「ニキビを悪化させる食品にエビデンスのあるデータはない」と書かれる傾向がありました。
しかし最近発表された論文で、以下のことが判明しました;
・牛乳を1日1杯の飲む人はニキビの頻度が12%増え、5杯では76%増える

・砂糖入り飲料を1日1杯飲む人はニキビが18%増え、5杯では36%以上増える
・脂肪分の多い食品(フライドポテトやハンバーガーなど)や
 甘い菓子(ドーナツ、クッキーなど)もニキビの頻度増加と関連している
 → 牛乳/乳製品、砂糖(炭水化物)、脂肪を取り過ぎないようにしましょう。

★ 栁原茂人先生による食事指導

1.低脂肪食生活のススメ
(ニキビに悪い食品)

 牛乳
 ω6脂肪酸(サラダ油・肉の脂身)
 マヨネーズ
 炒め物・揚げ物

  ⇩
(ニキビによい食品)

 低脂肪牛乳
 ω3脂肪酸(青魚・鶏胸肉)
 ノンオイルドレッシング
 グリル焼き・蒸し料理


2.高GI → 低GI食品に換える
(ニキビに悪い食品)

 白米・小麦粉のパン
 上白糖(白砂糖)
 麺類(パスタ・ラーメン等)

  ⇩
(ニキビによい食品)

 玄米・雑穀米・十五穀米など
 ライ麦パン・全粒粉パンなど
 黒糖・ハチミツ等など
 グルテンフリー麺



<関連記事>
ニキビの漢方(その2)2剤併用による効果増強
ニキビの漢方(その3)柴苓湯の使い方
“虚実”で使い分けるニキビ漢方
ニキビ漢方2026(栁原茂人先生)
ベピオウォッシュゲルについて

<参考>
▢ 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023

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