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参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。

■ 併用による効果増強レシピ

赤ニキビ+化膿・膿疱が強いとき
1.清上防風湯3包 + 排膿散及湯3包/日
2.清上防風湯3包 + 十味敗毒湯3包/日

炎症の強いニキビ+化膿・膿疱が強いとき
1.荊芥連翹湯3包 + 排膿散及湯3包/日
2.荊芥連翹湯3包 + 十味敗毒湯3包/日

毛嚢炎
 → 荊芥連翹湯3包+排膿散及湯3包/日

発赤・膿疱形成が強いとき 
 → 荊芥連翹湯3包+黄連解毒湯1包/日 


■ 大塚敬節Dr.の口訣
・赤ニキビには清上防風湯
・青ニキビには桂枝茯苓丸
・白ニキビには当帰芍薬散

■ ニキビの基本漢方薬

清上防風湯(58)・・・ニキビの第一選択、赤ニキビに
荊芥連翹湯(50)・・・炎症の強いニキビ
排膿散及湯(122)・・・化膿・膿疱が強いとき(清上防風湯/荊芥連翹湯と併用する)
桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)・・・瘀血、青いニキビに

十味敗毒湯(6)・・・化膿・膿疱が強いとき(清上防風湯/荊芥連翹湯と併用する)
加味逍遥散(24)・・・月経によりニキビが増悪する場合
当帰芍薬散(23)・・・やせ型、冷え症で、白ニキビ、赤みに乏しいニキビに
 ヨクイニンエキスを併用すると効果的
半夏瀉心湯(14)・・・口唇周囲のニキビに有効
ヨクイニンエキス・・・他剤に追加使用(保険病名は、コタロー:青年性扁平疣贅、尋常性疣贅) 

■ 清上防風湯(58)の使い方
・効果を増強するときは大黄(1g/日)を追加する
 → 清上防風湯3包+大黄末1g/日
・ヨクイニンを併用すると効果的
 → 清上防風湯3包+ヨクイニンエキス9-18錠/日
 → 清上防風湯3包+ヨクイニンエキス1-3包/日

■ 荊芥連翹湯(50)の使い方 
・毛嚢炎に対しては排膿散及湯(122)を併用する
 → 荊芥連翹湯3包+排膿散及湯3包/日
・発赤・膿疱形成が強いときは黄連解毒湯(15)を併用する 
 → 荊芥連翹湯3包+黄連解毒湯1包/日 


<参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社) 


学校健診でわかること

 ・低身長に隠れている病気

 ・小児肥満・思春期肥満

 ・小児のスポーツ障害

 ・ロコモティブシンドローム(運動器健診)

 ・思春期側弯症

“ 悩み以上、病気未満 ” といわれる思春期の諸症状に対して、
漢方薬による治療を提案します。

思春期のニキビを治したい

思春期のダイエット

思春期が来るのが早い?

メンタルの不調(ドキドキ・イライラ・ウツウツ)

カラダの不調(起立性調節障害)

思春期の貧血


頭痛

眠れない(不眠症)

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・便秘(準備中)

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<女子の悩み>

正常な月経

生理痛・月経痛

月経前症候群(PMS)

月経不順

・HPVワクチン(準備中)

<男子の悩み>

思春期男子に正しい性の知識を伝授します


<参考>

性教育・思春期のお役立ちサイト

SOS!妊娠?性感染症?〜“もしも”の時のための相談窓口〜

ニキビは日本人の60%以上が経験するありふれた皮膚病で、
10代に多いことから「青春のシンボル」とも言われますが、
放置して悪化すると跡が残ることがあります。

従来の治療は赤ニキビを治すだけでしたが、
近年、“ニキビ肌”そのものを治すぬり薬が登場し、
ニキビ治療が一変しました。

当院ではニキビの新しいぬり薬と、
漢方薬の内服を併用する治療を提案しています。
つまり、“外からも中からも治す”イメージ。
効果・手ごたえは十分あります。

「どのくらい通院が必要?」
という疑問に対する答えは、
「どこまで治したいか?」
によります:

赤ニキビだけを治したい → 数週間~数ヶ月

ニキビ肌まで治して肌をきれいにしたい → 半年~1年間(毎月の通院)

すると、ニキビが8割減少することが期待できます。
では診療内容を紹介します;



<ニキビができるメカニズム>


まず、敵を知りましょう。
ニキビの始まりと経過は下のように(マルホのHPより)分けられます;

(毛穴詰まり) → (①白・②黒ニキビ) → (③赤ニキビ) → (④黄ニキビ) 
スクリーンショット 2020-06-30 16.53.44





 
 



非炎症期白ニキビ、黒ニキビ
思春期の男性ホルモン分泌により、
毛穴の奥の皮脂腺から分泌される皮脂が増加(①)し、
皮脂の出口である毛穴の角質が増加(②)して塞がった状態

炎症期赤ニキビ、黄ニキビ
溜まった皮脂の中でニキビ菌(アクネ菌)が増殖(③)し、
それがつづいて慢性的に炎症
(④)を起こした状態


<ニキビの種類と治療> 

病期により治療が異なります。
非炎症期は毛穴詰まりを解消する治療、
炎症期は抗菌薬・殺菌薬が中心になります。
(下表をクリックすると拡大表示されます)

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上記に加え、ニキビ痕(皮膚の凹凸)まで治したい方には、
柴苓湯を使用します。


<薬の解説>

ディフェリン®ゲル】(ジェネリック:アダパレンゲル) 

2008年に登場し、ニキビ治療に革命を起こした塗り薬です。

“ニキビ肌”とは毛穴がつまりやすい肌であり、
ディフェリン®は毛穴の角質を減らして毛穴を広げ、
中に溜まった皮脂を外に出してくれます
(「ニキビができるメカニズム」の②に作用)。
ただし、効果が出るまで3ヶ月くらいかかります。

★ ディフェリン®ゲルは顔面のみの適応のため、
体幹(胸や背中)のニキビには同様の作用をもつベピオ®ゲルを使用します。

(使用の実際)
1日1回就寝前に顔全体に塗布
・目の周囲・唇・小鼻など粘膜に近い部位は避けます

(塗布量)
・チューブから人差し指の第一関節の長さ(1FTU=0.5g)
 を出したディフェリン®を顔全体に塗ります(面塗り)。
・1ヶ月に1本使い切るのが目安です。

(副作用と対策)
・使用開始後、2週間以内に皮膚乾燥・刺激感(ヒリヒリ感)が出てくるため、
あらかじめ保湿剤(ヘパリン類似物質ローション)を塗ってから重ね塗り
します。
・続けていると刺激感は数週間で落ち着いていくのがふつうです。

アクアチムクリーム】(ジェネリック:ナジフロキサシンクリーム)

・抗生物質入りのぬり薬。
・赤く炎症を起こしているニキビ、黄色く化膿したニキビに1日2回“点塗り”します。 


漢方薬
「ニキビ」に適応のある漢方薬は次の3つです。

白/黒ニキビ桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)

赤ニキビ清上防風湯(58)

白/黒/赤ニキビ荊芥連翹湯(50)


赤ニキビに使う漢方薬は、
炎症の熱を抑える作用があるため“清熱剤”と呼ばれます(苦いです)。
ニキビの状態により、以下の漢方薬を使うこともあります;
十味敗毒湯(6)
黄連解毒湯(15)
排膿散及湯(122)
つまり、6種類以上の漢方薬を使い分けて治療することになります。

★ どうしても漢方薬の顆粒を飲めない人には、
 錠剤が用意されている十味敗毒湯と黄連解毒湯をお勧めしています。



<治療の実際>

「赤ニキビを治したい」と患者さんは受診されますが、
よく観察すると白ニキビも混在していることがほとんどです。
前述のように「どこまで治したいか?」に応じて治療が変わります;

赤ニキビのみ → 1ヶ月通院

(内服)漢方の清熱剤(清上防風湯十味敗毒湯黄連解毒湯排膿散及湯

(外用)アクアチム®クリーム

赤+白ニキビ → 1年間通院

(内服)清熱剤(上述)+ 桂枝茯苓丸加薏苡仁、あるいは荊芥連翹湯
    改善後もニキビ痕が目立つときは柴苓湯に切り替える

(外用)アクアチム®クリーム + ディフェリン®ゲル



<スキンケアと外用薬を塗る順序>


処方例:
・ディフェリン®ゲル
・ヘパリン類似物質ローション
・アクアチム®クリーム


★ スキンケアは1日2回が基本です;

1.洗顔(泡状の石けんがオススメ、やさしくなでるように洗いましょう)

2.保湿剤(ヘパリン類似物質ローション)塗布

3.ニキビ治療薬(ディフェリン®)夜1回、顔全体に塗布

4.抗菌薬(アクアチム®)1日2回、赤く炎症を起こしている部位だけ点で塗布


<食生活のヒント>
昔は「スナック菓子はダメ」とか「チョコなどの甘いものはダメ」とかいわれていましたが、
近年の書物は「ニキビを悪化させる食品にエビデンスのあるデータはない」と書かれる傾向がありました。
しかし最近発表された論文で、以下のことが判明しました;
・牛乳を1日1杯の飲む人はニキビの頻度が12%増え、5杯では76%増える

・砂糖入り飲料を1日1杯飲む人はニキビが18%増え、5杯では36%以上増える
・脂肪分の多い食品(フライドポテトやハンバーガーなど)や
 甘い菓子(ドーナツ、クッキーなど)もニキビの頻度増加と関連している
 → 牛乳/乳製品、砂糖(炭水化物)、脂肪を取り過ぎないようにしましょう。



<ブログ内の記事>
ニキビの漢方(その2)2剤併用による効果増強
ニキビの漢方(その3)柴苓湯の使い方


<関連記事>
“虚実”で使い分けるニキビ漢方

<参考>
▢ 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023

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