タグ:#思春期側弯症

★ この項目は、群馬県医師会作成の「学校医Q&A」をもとに、
生徒・保護者向けにわかりやすく説明を試みたものです。
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脊柱側弯症は、脊柱(背骨)が曲がってねじれる病気です。
程度により、外見上からだがゆがんで見えたり、腰痛の原因になったりします。軽症の場合、自覚症状が乏しいのも特徴です。
しかし、思春期には成長とともに急速に進行するタイプ「思春期側弯症」が多く、学校健診ではこれを見つけて早期診療につなげるという重要な役割があります。
思春期側弯症はほとんどが女子に発症するため、“正確な健診”と“プライバシー保護”のベストバランスが求められます。

 ▢ 脊柱側湾症の頻度
・疑い例を含めると全児童生徒の約0.5〜1.0%。
・頻度が高いのは小学4年生から中学3年生までの期間の女子。

▢ 側弯症の種類
1)機能性側弯(一時的側弯状態) 
・悪い姿勢、脚長差、坐骨神経痛による側弯などにより生じた側湾状態であり、その原因が取り除かれれば消失します。
・ふつう、仰臥位にて消失し、脊柱のねじれ(回旋)はありません。
2)構築性側弯(真の病気)
・椎体のねじれ(回旋)変形を伴う脊柱の側方への湾曲で、仰臥位でも消失しません。
(1)特発性側弯症
 ① 幼児期側湾症(0〜3歳に発症)
 ② 学童期側弯症(4〜9歳に発症)
 ③ 思春期側弯症(10歳以降に発症)
(2)二次性側湾症
 ① 先天性側弯症
 ② 神経原性側湾症
 ③ 筋原性側湾症
 ④ 神経線維腫症による側湾症
 ⑤ 間葉系疾患による側湾症 

脊柱側弯症の症状
・軽症:無症状のことが多いです。
・中等症:本人が自覚し、心理的ストレスを感じます。
・重症:症状が出現し、腰痛・背部痛、呼吸器・心臓の障害が出現することがあります。
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思春期に進行する思春期側弯症
・思春期側弯症は急速に進行することが特徴であり、早期発見・早期介入が望まれます。
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脊柱側湾症健診のチェックポイント
学校健診では視診にて、体型が左右非対称になっていないかどうかを確認します。 

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①肩の高さの左右差
②ウエストライン(脇線部分の輪郭)び左右差・非対称性
③肩甲骨の高さと突出程度の左右差
④前屈検査(※)での肋骨隆起・腰部隆起の左右差

(※)前屈検査
両方の掌を合わせ、肩の力を抜いて両腕を自然に前に垂らし、膝を伸ばしたままゆっくりとお辞儀をします。
この間、医師は子どもの正面あるいは背面に位置し、子どもの背面を見通すようにしながら、肩、背中、腰の順に左右の高さに差があるかどうかを、視診、あるいは触診で確かめます。
この検査を行う際に、医師は椅子に腰掛けて行います。後ろ向き、あるいは前向きの一方のみでなく、向きを変えて前後両方から観察することも推奨されています。

前屈検査の際の服装について
・上半身裸(女子では上半身をブラジャーだけ)にしての検査が推奨されています。 
・しかし、プライバシー保護、羞恥心のこともあり、体操着をめくって前屈位にして、後面より観察することも行われています。
・側湾症の中で「思春期側弯症」は8割を占め、変形は進行しやすく、女子がほとんどです。
・健診の正確さを得るために、診察時の服装、姿勢などにつき、子どもへの事前指導と 保護者への連絡などを十分に行うことが有効です。
 
脊柱側弯症の治療
・整形外科専門医が行います。
(軽症)様子観察

(中等症)装具装着
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(重症)手術
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昨今、「学校健診で上半身裸になる必要があるのか?」と社会問題化しています。
学校医の立場から言わせていただくと、学校健診でチェックを求められる、
・心臓と肺の異常の有無
・胸郭の異常の有無
・脊柱の異常の有無
を確認するには、一般の内科診察と同じく「上半身裸」が基本です。

「着衣健診」では判断材料となる情報量が減りますので、見落としのリスクが増えることをあらかじめご了承ください。
ただ、「脱衣診察」は強制されるものではないので、「着衣診察」でも全然かまいません。
もし「着衣健診」を基本とするなら、上記疾患のチェック義務を消していただくのが筋です。
そうすればこちらのストレス、「布で隠された場所の異常を見つける作業」もなくなります。

私は小児科医ですので、側弯症当事者の言葉が記憶に残っています。
中学1年生で「思春期側弯症」を指摘されて整形外科を受診し、コルセット治療が始まった女子。「進行が止まらなければ将来手術も検討予定と言われた」と、不安に満ちた表情で話されました。 
保護者の方は「もっと早く見つかれば手術なんて・・・」という気持ちが捨てられない様子。
その学校の検診は「着衣診察」でした。
 

参考
思春期の女子に多い「脊柱側わん症」とは?原因、症状、治療法を解説
(2022年3月17日:NHK)
小児の脊柱側弯症(日本整形外科学会)
側弯症の矯正固定術(脊椎手術.com)
学校健康診断、内科診察の着衣・脱衣問題 〜開業小児科医のつぶやき〜
 (2022.7.31:当院ブログ)

 学校健診で見つかる重要な病気の一つである脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)について解説します。


脊柱側湾症とは

側弯症は脊柱が側方へ曲がってねじれる病気です。
中学生に多いのは「思春期側弯症」というタイプです。

思春期側弯症は10歳以降に発症するため、
それまで異常がなくても安心できません


思春期側弯症は圧倒的に女子に多い
ことが報告されています。
(頻度:0.5~1.0%)
一般的に、年齢が若く初潮前や骨が未熟な例は進行しやすいと考えられています。

症状

上半身の形と腰のくびれが左右非対称となり、
片方の背中が隆起するという
外見上の問題が生じます。
重症になれば
呼吸障害(肺活量の減少)が、
また
中年以降に腰痛や背部痛が発生しやすくなります。       


診断

最終的にはレントゲン検査が必要ですが、
家庭でもスクリーニング可能です。
調査票にある立位検査や前屈検査で、
左右非対称であることから発見されることもあります。
(ただし、
家庭でのスクリーニングでは約3割が見逃されます

医師による学校健診でも前屈検査を行います。
判定基準は、
 肋骨・腰部隆起の左右差が5mm以下なら正常範囲、
 8mm以上なら要精密検査

と微妙です。そのため、
着衣状態では評価が困難です。 

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自治体によっては、
モアレ法やシルエッター法が用いられることがあります(群馬県では未導入)。

健診で側湾症を指摘されたら

「要精密検査」と指摘されたら、
整形外科を受診して専門医による診療が始まります。

治療はわん曲程度により異なり、
定期的な経過観察、コルセット療法、手術から選択されます。

軽い例は経過観察を指示されますが、
成長が止まるまでは進行する可能性があるため、
途中で通院をやめないで指示に従ってください。



★ 学校健診・内科診察では脱衣が基本です。

昨今の学校健診の内科診察では、
「思春期の子どもたちの脱衣診察はやりすぎではないか?」
と健診の目的を理解されない声が強く、
着衣のまま診察を受ける学校が多いようです。

上記を読んでおわかりのように、
服の上からでは微妙な左右差が判定できません。
そのため思春期側弯症を早期発見できず、
進行してから発見されて手術に至り、
後悔する患者さんを見聞きしています。


思春期なので恥ずかしい気持ちはわかりますが、
健診の目的をご理解いただき、

内科診察の基本である脱衣をお勧めします。

年に1回、必ずやってくる学校健診。
内科診察の際に、上半身の服を脱ぐか、服を着たままやるか、
ネット上で賛否両論の議論が炎上しています。

私は医師の立場から内科診察の内容と意義を述べてみます。

学校健診は、
“症状がまだ出ない時期に病気を早期発見する”
目的で行うスクリーニング
です。

ですから、
“私は健康で気になる症状もないから健診は必要ない”
という考えは誤り
です。

私が行っているふだんの診療は、症状がある場所を中心に診察します。
しかし健診は、
“症状がないのに病気の予兆を拾い上げるミッション”
のため、私はこちらの方が気を遣います。


内科診察では、主に以下のことを評価します;


心臓の異常の有無:

聴診器を胸に当てて心音・肺胞音を確認します。
心音を評価するためには、
心電図と同じように胸の中央から左胸にかけて数カ所の聴診が必要です。

心電図は心臓の動きを電気信号として記録する器械ですが、
聴診は心臓の微弱な音を聴いて問題の有無を判断するデリケートな作業です。
ですから、肌の上から直接聴診します。

胸郭異常の有無:

胸の形を観察して、
胸部中央の盛り上がり(鳩胸)や凹み(漏斗胸)を観察
します。

脊柱側弯の有無:

肩甲骨の高さの左右差、
前屈み時の胸・腰の盛り上がりの左右差を観察
します。
この“左右差”は「cm単位」ではなく、
「mm単位」と微妙な差です。

皮膚の異常の有無

いかがでしょうか。
医師に課せられたミッションをクリアするためには、
ふつうの診察以上に情報を集めることが求められます。
服を着ていると情報不足になり、
小さな異常の見落としの可能性が高くなることがわかると思います。

医師は透視能力があるわけではありません。
 
着衣診察を別のシチュエーションに例えるなら、
テーブルの上に置いた花瓶に布をかけ、
それを観察して中の花瓶の形を正確に言い当てなさい、
と言われているのと同じこと。


思春期なので恥ずかしい気持ちはわかりますが、
まずは健診の目的をご理解いただき、
精度の高い健診(過剰診断と見落としの少ないスクリーニング)になるよう、
ご協力をお願いします。


以上、医師の立場として書かせていただきました。

ただし、検診時の上半身脱衣は強制されるものではありません
健診の目的を理解した上でも、
事情により
着衣での内科診察を希望・選択できますので、
担当者に相談してください。

その際は病気を早期発見する機会を失う可能性があることを、
予めご了承ください。


さらに学校健診は、病気が疑われる例を専門医につなぐことが目的です。
「要精密検査」という書類をもらっても受診しなければ、
病気の発見が遅れるだけでなく各担当者の努力が無駄になります。
書類をもらったら必ず受診してくださるようお願い致します。

着衣健診で見落とされる可能性のある病気の一つに、
「脊柱側弯症」があります。
軽度の段階で発見されれば装具で済んだかもしれないのに、
進行してから発見されたために手術が必要になった、
という例を見聞きします。
気になる方は、下の脊柱側弯症(思春期側弯症)をお読みください。


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<参考サイト>
▢ 
児童生徒等の健康診断マニュアル 映像解説版(日本学校保健会)

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