ニキビは日本人の60%以上が経験するありふれた皮膚病で、10代に多いことから「青春のシンボル」とも言われますが、放置して悪化すると跡が残ることがあります。
従来の治療は赤ニキビを治すだけでしたが、近年、“ニキビ肌”そのものを治すぬり薬が登場し、ニキビ治療が一変しました。早期に治療を開始することにより、ニキビに悩む期間やニキビ痕の悩みを減らすことが期待できます。
当院の特徴は新しいぬり薬と漢方薬内服の併用。つまり、“外からも中からも治す”イメージです。効果・手ごたえは十分あります。
「どのくらい通院が必要?」という疑問に対する答えは、「どこまで治したいか?」によります。
▶ 赤ニキビだけ治したい → 数週間~数ヶ月
▶ ニキビができにくい肌を手に入れたい → 半年~1年間
※ 図表は主に「ニキビ一緒に直そうProject」(マルホHP)から引用。
すると、ニキビが8割減少することが期待できます。
では診療内容を紹介します。
<ニキビができるメカニズム>
まず敵を知りましょう。ニキビは以下のように経過します;
毛穴詰まり → 白・黒ニキビ → 赤ニキビ → 黄ニキビ
【非炎症期】白ニキビ、黒ニキビ:
思春期の男性ホルモン分泌により、毛穴の奥の皮脂腺から分泌される皮脂が増加(白ニキビ)し、皮脂の出口である毛穴の角質が増加(黒ニキビ)して塞がった状態
【炎症期】赤ニキビ、黄ニキビ:
溜まった皮脂の中でニキビ菌(アクネ菌)が増殖(赤ニキビ)し、それがつづいて慢性的に炎症(黄ニキビ)を起こした状態
<まずは日々のスキンケア>
治療の話の前に、日々のスキンケアを再確認しておきましょう。
肌が気になる女子は当院サイト「思春期のスキンケア」をぜひ読んでいただき、今日から実践してください。そこの顔を洗うのも面倒くさがる男子、それではニキビは治りませんよ。
<ニキビの種類と治療>
病期により治療が異なります。非炎症期は毛穴詰まりを解消する治療、炎症期は抗菌薬・殺菌薬が中心になります。当院の治療方針を下表にまとめました(クリックすると拡大表示されます);
<薬の解説>
【ディフェリン®ゲル】(ジェネリック:アダパレンゲル)
・2008年に登場し、ニキビ治療に革命を起こした塗り薬。
・毛穴のつまりを改善します。“ニキビ肌”とは毛穴がつまりやすい肌であり、ディフェリン®は毛穴の角質を減らして毛穴を広げ、中に溜まった皮脂を外に出してくれます。
・効果が出るまで3ヶ月くらいかかります。
・適応部位:顔面のみ(体には使えません)。
(適応範囲)白・黒ニキビ、ニキビ全体の予防(維持療法)
(使用の実際)
・1日1回就寝前に顔全体に塗布(面塗り)
・目の周囲・唇・小鼻など粘膜に近い部位は避けます。
(塗布量)
・チューブから人差し指の第一関節の長さ(1FTU=0.5g)
を出したディフェリン®を顔全体に面塗りします。
・1ヶ月に1本使い切るのが目安です。
(副作用と対策)
・開始後2週間以内に皮膚乾燥・刺激感(ヒリヒリ感)が出てくるため、あらかじめ保湿剤(ヘパリン類似物質ローション)を塗ってから重ね塗り。
・続けていると刺激感は数週間で落ち着いていきます。
(注意点)
・妊娠中、妊娠の可能性がある方は使用できません(禁忌)。
【ベピオウォッシュゲル®】
・効果はあるものの副作用が問題だったベピオの改良版
・成分の過酸化ベンゾイルはアクネ菌殺菌+ピーリング効果(古い角質を剥がれやすくする)があります。
・衣類や髪、眉毛などに付くと色落ち(漂白)する作用があるため注意が必要
・面塗りした後、5〜10分待って洗い流すという方法(short contact therapy)
→ 副作用回避
・9歳から使用可能(ディフェリンとベピオは12歳以上)
(適応範囲)赤・白・黒ニキビにも
(使用の実際)
(⇧マルホのHPより:クリックすると拡大表示されます)
【アクアチムクリーム】(ナジフロキサシンクリーム)
・抗生物質入りのぬり薬。
・赤ニキビ、黄ニキビに、1日2回“点塗り”します。
・とびひ(伝染性膿痂疹)にも有効です。
【漢方薬】
「ニキビ」に適応のある漢方薬は次の3つです。
(白/黒)桂枝茯苓丸加薏苡仁(125)
(赤)清上防風湯(58)
(白/黒/赤)荊芥連翹湯(50)
赤ニキビに使う漢方薬は、炎症の熱を抑える作用があるため“清熱剤”と呼ばれます(苦いです)。ニキビの状態により上記を含めて6種類以上の漢方薬を使い分けて治療しています。なんと「ニキビが治った後の凸凹」にも効く漢方もあるのです。
★ どうしても漢方薬の顆粒を飲めない人には、錠剤が用意されている十味敗毒湯をお勧めしています。
<治療の実際>
「赤ニキビを治したい」と患者さんは受診されますが、よく観察すると白ニキビも混在していることがほとんどです。前述のように「どこまで治したいか?」に応じて治療が変わります;
▶ 赤ニキビだけ治ればいい → 数ヶ月通院
(内服)漢方の清熱剤(清上防風湯、十味敗毒湯、黄連解毒湯)
(外用)アクアチム®クリーム
▶ 赤ニキビ+“ニキビ肌”も → 1年間通院
(内服)清熱剤+ 桂枝茯苓丸加薏苡仁、あるいは荊芥連翹湯
(外用)アクアチム®クリーム
+ ディフェリン®ゲル、あるいはベピオウォッシュゲル
<スキンケアと外用薬を塗る順序>(クリックすると拡大します)

注意)ディフェリン®ゲルとベピオウォッシュゲルでは保湿剤の順序が異なります。

(⇩マルホHPから引用)
<食生活のヒント>
昔は「スナック菓子はダメ」とか「チョコなどの甘いものはダメ」とか、いわれていましたが、近年の書物は「ニキビを悪化させる食品にエビデンスのあるデータはない」と書かれる傾向がありました。
しかし最近発表された論文で、以下のことが判明しました;
・牛乳を1日1杯の飲む人はニキビの頻度が12%増え、5杯では76%増える
・砂糖入り飲料を1日1杯飲む人はニキビが18%増え、5杯では36%以上増える
・脂肪分の多い食品(フライドポテトやハンバーガーなど)や
甘い菓子(ドーナツ、クッキーなど)もニキビの頻度増加と関連している
→ 牛乳/乳製品、砂糖(炭水化物)、脂肪を取り過ぎないようにしましょう。
<関連記事>
▢ ニキビの漢方(その2)2剤併用による効果増強
▢ ニキビの漢方(その3)柴苓湯の使い方
▢ “虚実”で使い分けるニキビ漢方
<参考>
▢ 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
