生後2~3ヶ月までの赤ちゃんは哺乳の際、空気も一緒に飲み込みやすい傾向があります。つまり、下手なんですね。お母さんのおっぱいから直接哺乳した方が、哺乳瓶を使った時より空気を飲みません。
げっぷをさせようとしてもなかなか出ないときどうしたらよいか・・・
育児書を何冊か読んでみたところ、様々なことが書いてあります。出るまでひたすらがんばる、ある程度粘ってダメだったらあきらめる、等々。
最近の本では5~10分間経っても出ないときは無理にさせる必要はなく、一旦ベッドに寝かしましょう、そのときは側臥位(横を向かせて寝かせる)をとらせましょう、とする傾向がありました。横を向かせるのは乳を吐いたときにのどに詰まらせないためです。
まあ、「これが正解!」というのは無いので、トライ&エラーでやってみるしかなさそうです。
とにかく赤ちゃんは吐きやすい。病気でなくても、健康児でも吐きやすい。
ある本には病気でなくても80%の赤ちゃんが嘔吐すると書いてありました。
原因は胃の入口(噴門といいます)の締まりが悪いためです。そのため胃から食道・喉に逆流しやすいのです。吐くきっかけとしては、おっぱいの飲み過ぎ、げっぷが十分出なかった、服や姿勢により腹圧がかかった、など様々です。
吐き方にもいろいろあります;
「溢乳」・・・気がつくと口の端からダラダラとたれている。
「吐乳」・・・ケポッ、あるいはカポッと吐く。
「噴水状嘔吐」・・・勢いよく噴水状に吐く。
吐いていても機嫌良く哺乳でき、体重が増えていればまず心配ありません。
「嘔吐+機嫌が悪い」ときは病気が隠れている可能性がありますので、小児科医の診察を受けて下さい。
何回吐いたら異常か?と聞かれても答えに困りますが、新生児期に哺乳のたびに噴水状嘔吐を繰り返す場合は「肥厚性幽門狭窄症」という病気が疑われます(→小児科受診)。
また、吐いたものの色が黄色~緑、あるいは赤い場合も病気が隠れている可能性があります(→小児科受診)。
これは母乳栄養ではなく、人工栄養の場合の話です。
ミルクでは飲んだ量がわかってしまうので、一度気になり出すとその数字に振り回されてしまうお母さんがたまにいます。特にまじめで完璧主義の方が陥りやすい・・・。
また、ミルクの缶に「生後何ヶ月で○○ccが適当です」と書いてあるのがいけません。この量はあくまでも参考程度とし基本は自律哺乳(欲しがるときに好きなだけ飲ませる)でよいのです。飲む量は赤ちゃんによって異なります。機嫌良く過ごし、体重増加が良ければ問題ありません。
自宅用に精密な体重計は買わないで下さいね。以前、哺乳量と毎日の体重をパソコンに入力し、グラフにして受診された御両親にびっくりした経験があります。
ただ、飲む量が数字の上で減ってくるとさすがに心配になります。実は、健康な赤ちゃんでもこれはあり得る話なのです。
そのからくりは・・・赤ちゃんは生後1ヶ月まではあげればあげるだけ飲んでしまいます。ところが、生後1ヶ月を過ぎる頃から満腹感を感じるようになり「もういらない」と哺乳瓶を離してしまうことがあります。哺乳量は頭打ちとなり、むしろ減ってしまうこともたまにあります。この場合も、機嫌と体重増加がよければまず心配ありません。
当然、機嫌が悪くて様子がヘンだったら小児科に相談して下さい。
かつて「粉ミルクで育てると赤ちゃんは太る」といわれたことがありましたが、現在の粉ミルクは以前と比べて薄く作って飲ませるものとなっており、指定された割合で調乳すれば粉ミルクが理由で太ることはないとされています。
しゃっくりとは胸とお腹の境界にある「横隔膜」のけいれん(ぴくつき)です。赤ちゃんではよくみられます。一過性であれば病気と考える必要はありません。
特に哺乳直後に多い傾向があります。きっかけとしては、がっつき飲み、適温でないミルクなど。
対策としては、ゆっくり哺乳させる、途中でげっぷをさせる、もう一度おっぱいを飲ませる、等々。
成長につれて自然に消えていきます。
赤ちゃんの排便習慣
母乳栄養の赤ちゃんは生後2週間までは「哺乳→排便」という反射があり、ゆるいうんちを1日10回以上します。それ以降は1日1回とか、2~3日に1回へ減っていきます(本によっては生後1ヶ月までは1日2~5回との記載あり)。つまり直腸にうんちをためる機能が発達し、「うんちのまとめ出し」ができるようになるのです。
生後3ヶ月頃までの母乳栄養の赤ちゃんののうんちはゆるめで、これが理想的というか本来のヒトの赤ちゃんのうんちです。育児用ミルク(ほぼ牛乳)を飲んでいる赤ちゃんのうんちはやや硬めで匂いも違いますね。
“便秘”とは
一般に、便秘というのは排便回数が少ないだけではなく、便が硬いために排便に苦痛を伴う場合をいいます。
離乳食開始前の赤ちゃんは「うんちは硬くないけど回数が少ない」ことが多く、これを大人の便秘と区別して「乳児排便困難症」と呼ぶことがあります。わたしは「赤ちゃん便秘」と呼んでます。お腹がパンパンに張ったりすることが無く、機嫌・体重増加が良ければその赤ちゃんのペースと言っても良いくらいです。でも何日も出なくていきんでいる様子があると、少し助けてあげたくなります。
方法は以下の通り:
① 腸の動きを刺激するオリゴ糖を与える:薬店で売っているマルツエキス(麦芽糖)、処方薬のラクツロース(当院ではピアーレ®)など。
②「綿棒浣腸」:肛門に綿棒を入れて刺激してうんちを出す方法。
具体的には綿棒の先にオリーブオイルかワセリンを塗って痛くないようにし、赤ちゃんの肛門にそっと挿入します。深さは綿棒の頭の部分が隠れる程度までにして下さい。そこでゆっくり小さな円を描くように綿棒を動かしたり、しばらく入れたまま様子を見たりしていると、ムニュムニュとうんちが出てきます。強く刺激するより時間をかけて刺激する方が効果的です。
③ 本物の浣腸(イチジク浣腸の類):
5日間以上うんちが出ないときの最終手段です。1日出ないからすぐ浣腸、というパターンを繰り返していると、かえって腸が怠けて働かなくなります。一方、うんちを5日間以上ためていると水分がどんどん吸収されて硬さが増すし、直腸が膨らみきった風船のように収縮力を無くしてしまう可能性があるので積極的に出す必要があります。
いつもゼーゼーしていて息づかいが荒い場合は小児科医の診察を受けてください。喉頭軟化症などの生まれつきの病気が疑われます。
ふだんは聞こえないけれど、授乳直後に一過性に聞こえるゼーゼーは、様子をみているといつの間にか消えてしまうことがほとんどです。
これは、母乳やミルクのネバネバが喉の奥に絡まっているため聞こえるゼーゼーで、しばらくすると食道に流れて音も消えてしまいます。
向き癖?
「いつも同じ方ばかりを向いていて、頭の形が変形してきて心配で・・・」という相談は乳児検診ついでに聞かれることが多いです。
まず「筋性斜頸」がないかどうか診察します。首にしこりを触れ、違う方向へ動かそうとしても抵抗があれば「筋性斜頸」です。抵抗なく違う方向へ首を動かせれば単なる「向き癖」です。
【筋性斜頸】
これは赤ちゃんが生まれるとき、産道を通る際に圧迫された結果、首の筋肉内に出血し、その後血腫(血のかたまり)になり筋肉が硬く縮まったものです。生後1週間頃から気づき、3週間くらいまで大きくなります。10ヶ月~1歳くらいまでにほとんど自然に治るので治療の必要はありません。ただし、生後6ヶ月を過ぎても改善傾向が見られない場合は整形外科へ相談することになっています。
昔はマッサージとか、「徒手筋切術」といってエイヤッと引っ張って硬くなった筋肉を無理矢理伸ばした処置をしたそうです(痛そう・・・)。
【向き癖】
首が据わり、お座りができる頃になると徐々に目立たなくなっていきます、と本には書いてありますが、子どもの頭を触ると幼児期にも結構変形が残っている例に出会います。まあ、髪の毛で隠れるので目立ちませんが。
さて、「向き癖」の対処法は・・・
・向きにくい側からあやす、授乳する。
・ドーナツ枕、砂嚢、巻タオルで調節する。
と本には書いてありますが、なかなかうまくいかないんですよねえ。
うつぶせ寝と仰向け寝のどちらがよいのか?
歴史的には頭の形が良くなるという理由でうつぶせ寝が推奨された時代もありましたが、現在は仰向け寝の方が安全とされています。
その理由は、うつぶせ寝は乳児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome:略してSIDS)の危険が増すと統計的に結論されたからです。
日本における大規模な調査の結果、SIDSは「うつぶせ寝」「人工栄養」「母親あるいは同居者の喫煙」により3~5倍多く発生することがわかりました。
皆様、ご注意下さい。
でも、赤ちゃんはうつ伏せの方がよく寝てくれる傾向があります。仰向けではなかなか寝てくれない場合は硬めのマットを選び、6ヶ月未満の乳児では目を離すときは仰向けにするのが現実的です。
目やにの相談も多いです。
これは、赤ちゃんの涙の通り道が発達途上であることと、自分で涙を拭けないので乾けば目やにになってしまうからです。
目と鼻はつながっているのをご存じですか?
涙は上まぶたの外側半分に位置する涙腺から出てきます。そして下まぶたの内側の穴(涙点:鏡で見ることができます)から涙嚢を経由し鼻涙管という管を通って鼻の中に流れていきます。
泣いたときに鼻水が出るのはこのためです。
また、大人でも風邪を引いて鼻づまりがひどいと涙目になりますよね。
奇人変人の瞬間芸で、鼻から入れた牛乳を目から出すのを見たことがありませんか?
あれは鼻涙管を逆行させるという荒技だったのです。
クリーム色の目やにがちょっと付くぐらいでしたら拭き取って様子を見て良いでしょう。大量の緑~黄色の目やにがある場合は眼科か小児科を受診しましょう。
病気として多いのは:
【鼻涙管閉鎖】
前述の鼻涙管がつまっている状態です。涙が流れないためいつも涙目で、乾くとべっとりと目やにが・・・。「涙嚢炎」(涙嚢に炎症が起こること)を併発すると色の付いた汚い感じの目やにになります。次項の結膜炎とは白目が赤くならないことで区別可能です。
眼科あるいは小児科を受診し、抗生物質入りの目薬と涙嚢マッサージで治療しますが、鼻涙管閉鎖状態が改善しないときは眼科で開通処置を行うことがあります。
【結膜炎】
「目やに+白目が赤くなる」状態です。ウイルス感染症に伴う場合は両目のことが多いです。眼科あるいは小児科を受診して下さい。
【逆さまつげ】
逆さまつげが目を刺激して目やにの原因になることがあります。実は逆さまつげは赤ちゃんの1/4~1/2に見られ、珍しいものではありません。
赤ちゃんのまつげはまだ柔らかく角膜を傷つけて視力障害を起こすことはまれとされています。また、ぺちゃんこの鼻柱が高くなるにつれ、自然に治る傾向が強いため逆さまつげそのものに対して治療はしません。
ただし、1歳頃になるとまつげもしっかりした剛毛になり角膜を傷つける可能性が出てくるので治療対象になります(→眼科受診)。