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漢方医学で問題となる3種類の精神状態
・抑うつ・無力 → 気虚+気うつ
・不安・緊張  → 気うつ+気逆
・興奮・焦燥  → 気逆+血虚


▶ 漢方医学で問題となる3種類の精神状態と対応方剤

抑うつ・無力気虚・気うつ 

 補中益気湯(41) 
 茯苓四逆湯(人参湯+真武湯) 
 八味地黄丸(7) 
 半夏厚朴湯(16) 
 香蘇散(70) 
 加味帰脾湯(137)等


不安・緊張
気うつ・気逆

 柴胡加竜骨牡蛎湯(12) 
 柴胡桂枝乾姜湯(11) 
 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)等

興奮・焦燥気逆・血虚

 加味逍遥散(24) 
 抑肝散(54) 
 黄連解毒湯(15)


▶ 抑うつ・無力(気虚・気鬱)に対する漢方フローチャート


食後の眠気(+)
→ 朝調子が出ない(+) → 加味帰脾湯(137)

  朝調子が出ない(ー)
  → 冷え(+)→ (著明な倦怠感)茯苓四逆湯

           (年齢からくる衰え)八味地黄丸(7)

  → 冷え(ー)→ 補中益気湯(41)


食後の眠気(ー)
→ 訴えがしつこい(+)→ 半夏厚朴湯(16)

  訴えがしつこい(ー)→ 香蘇散(70)

※ 気虚スコアより:体がだるい、気力がない、疲れやすい、日中の眠気

※ 気鬱スコアより:朝起きにくく調子が出ない抑うつ傾向、時間により症状が動く


▶ 不安・緊張(気鬱・気逆)に対する漢方フローチャート


冷えのぼせ(+)
→ 胸脇苦満(+) →(体格中等度以上)柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

          →(華奢)柴胡桂枝乾姜湯(11)

  胸脇苦満(ー) →  桂枝加竜骨牡蛎湯(26)

冷えのぼせ(ー)
→ 訴えがしつこい(+) → 半夏厚朴湯(16)

  訴えがしつこい(ー) → 香蘇散(70) 


▶ 興奮・焦燥(気逆・血虚)に対する漢方フローチャート


我を忘れるほど興奮(+) → 黄連解毒湯(15)

我を忘れるほど興奮(ー)
 → 不定愁訴(+) → 加味逍遥散(24)

 → 不定愁訴(ー) → 抑肝散(54)

※ 血虚を疑うとき:朝起きられない睡眠障害日中ボーッとする、会話にまとまりがない


子どものココロのトラブルにどう漢方を適用するか・・・今まで試行錯誤してきました。最近、中高生の起立性調節障害患者さんと話をしていると、気分の浮き沈みとか、気分の不調を訴える人が多いことに気づきました。
そして、気分による漢方薬の使い分けを提唱している大澤稔先生(東北大学産婦人科)のセミナーを思い出しました。講義メモから、役立ちそうなポイントを拾ってみました。

▶ 日常的な「よくある気分の不調」
・ドキドキ:不安症、人前で緊張
・イライラ:苛立ち、落ち着きがない
・ウツウツ:抑うつ、元気がない

▶ 精神的不安定の分類

1.西洋医学の分類
非定型:不安症 → パニック症、予期不安
統合失調症:気分症 → うつ病、双極症

2.東洋医学の分類
急なドキドキがベースにあり、その先にウツウツ・ドキドキが存在する
急なドキドキ+ウツウツ
急なドキドキ+イライラ

▶ 精神的動揺のイメージ
(興奮)
 ↑ 病的興奮状態(イライラ)
   → 向精神薬(メジャートランキライザー)がよく効く
 ↑ 軽い興奮状態(イライラ反応)
   → 向精神薬は効きすぎて副作用の方が目立つ
(正常域)不安発作(急なドキドキ)
 ↓ 軽いうつ状態(抑うつ反応)
   → 抗うつ薬は効きすぎて副作用の方が目立つ
 ↓ 病的うつ状態(ウツウツ)
   → 抗うつ薬がよく効く
(うつ)

▶ 急にドキドキする方(不安症・神経症)への漢方
・すでに安定剤を飲んでいる方へ投与可能
・ひきつけを起こしそうなくらいつらい
・第一選択薬は甘麦大棗湯(72)・・・こみ上げてくる焦燥感(ドキドキ)を抑えてくれる

※ 追加症状には追加処方を;

桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・抑うつ傾向(神経衰弱)あり
・精神的に落ちている

苓桂朮甘湯(39)
・ふらつき(めまい)、立ちくらみ(起立性調節障害)
・自律神経調節障害
・不安で生じる自律神経の変動(ふらつき)を鎮めてくれる
・単独でも不安(ノイローゼ)軽減効果あり

▶ 不安発作のひどい方(不安症・神経症)への漢方
・パニック症・過呼吸などのエピソードのある方へ
 → 甘麦大棗湯苓桂朮甘湯(苓桂甘棗湯の方意)

▶ イライラ(いら立ち)している方への処方
・話の端々に気の高ぶりを感じる、いら立ち、不眠、物音に敏感な人には冷え・のぼせの有無を確認

Q. 冷え・のぼせがありますか?
 No → 動悸が強いですか? 感覚過敏(音・ニオイ・光)がありますか?
 Yes → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
 No  → 愁訴が多い → 加味逍遥散(24)
    愁訴が多くない → 抑肝散(54)、抑肝散加陳皮半夏(83)
 Yes → 頭汗多く神経過敏柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
   → 強いのぼせ・便秘・月経困難 → 桃核承気湯(61)
   → 軽いのぼせ・便秘・月経困難 → 加味逍遥散(24)

※ 柴胡加竜骨牡蛎湯は不眠にも有効
※ 抑肝散加陳皮半夏は「抑圧された怒り」に効く・・・何か我慢をしていることが多く、原因のよく分からない特定の身体症状が出ることがある(心身症・神経症)。

以上を別の視点からまとめると、

イライラ+動悸(+感覚過敏) → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
イライラ+多愁訴 → 加味逍遥散(24)
イライラ+少愁訴 → 抑肝散(54)、抑肝散加陳皮半夏(83)
イライラ+頭汗多い(+神経過敏) → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
イライラ+強い(のぼせ・便秘・月経困難) → 桃核承気湯(61)
イライラ+弱い(のぼせ・便秘・月経困難) → 加味逍遥散(24)

▶ ウツウツ(抑うつ)患者さんへの処方
・ウツウツ(神経衰弱)していて、外来に入ってくるときから元気がない。
 → 桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・さらに気分がふさいでのどが苦しい(息がしづらい)。
 → 半夏厚朴湯(16)を併用 

▶ 竜骨牡蛎を含む薬について
・・・ココロの病気は大きく「イライラ」と「ウツウツ」で鑑別可能

柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
・キーワードは「イライラ
・神経性心悸亢進、ヒステリーに対応・ココロの高ぶりを抑える
・甘草を含まない

桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・キーワードは「ウツウツ
・性的神経衰弱、陰萎、遺精
・甘草を含む


<参考>
・Rp.+(レシピプラス)2026年冬号 Vol.25 No.1「使える漢方薬ABC

私は主に日本漢方を勉強してきました。しかし時々、限界を感じることもあります。中医学は概念論の極致なのでマスターするには大変なエネルギーが必要ですが、美味しいところをかいつまんで使わせてもらっています。

漢方の内蔵(概念)には「脳」がありません。感情は「七情」と細分類されていますが、これを五臓(心・肝・肺・脾・腎)に分配しているのです。つまり、人間の意識・精神活動を独立としたものと考えず、内臓とリンクしたものと捉えています。これは心と体がリンクして相互作用で成り立つ「心身一如」という概念の根拠になっています。心と体を分離して発展してきた西洋医学とは異なりますね。ただ近年、西洋医学も心と体を別に扱ってきたことを反省し、「腸脳相関」とか「慢性頭痛の背景にはうつ病が隠れている」と言い出していますね。

幸井俊高先生(幸福薬局)の解説から、ポイントと感じた箇所を抜粋させていただきました。
一読してみて、「不安」五臓論の心と肝の乱れが原因と読めます。私のイメージとして、心は精神活動をコントロールする新しい脳(大脳新皮質)、肝は感情・情緒をコントロールする古い脳(大脳辺縁系)です。ただし、細分類の心気虚・心血虚・心陰虚・心火や肝欝気滞・肝火などの概念が出てきますが、これは五臓論に気血水理論を合わせた概念です。すると複雑になり、理解しにくいですね。中医学ではこれが延々と続き、病態概念の数が限りなく増えていくので、私はそこでいつも挫折してきました。だから今は、あまり深入りしないようにしています。

なるほど!と感じたところは、
・心火と肝火は外的要因(ストレス・刺激が過剰)
・心気虚と心血虚は内的要因(身体が疲弊・弱って敏感)
くらいでしょうか。

また、漢方薬は羅列されているだけで、どの方剤がどの賞に対応するか分かりません。つまり、この解説を読んだだけでは自分に合った漢方を見つけられません・・・やはり専門書を紐解かないと答えにたどり着けないと思われます。

▶ 不安を中医学で捉えると
漢方では、不安感には五臓の心の機能不調が大きく影響していると考える。は五臓の一つであり、心臓を含めた血液循環(血脈)をつかさどるだけでなく、人間の意識や思惟など、高次の精神活動(神志)をもつかさどる臓腑である。この心の機能が弱ったり、十分潤わされなかったり、余分な熱を帯びたりすると、神志が不安定になり、不安感が生じる。また、精神情緒をつかさどる五臓のの機能が乱れて不安感が強くなる場合もある。

▶ 不安感がひどくなりやすい証


1.心気虚:血脈や神志をつかさどる心の機能(心気)が低下している体質。
・心気の不足により、不安感が生じる。ベースとなる気力や体力が弱いので、普通の人なら気にならないことでも気になってしまう。
・疲れやすい、動悸、息切れなどの症状もみられる。
・心気を補う漢方薬を用いる。

2.心血虚:心の機能を養う心血が不足している体質。
・過度の心労や、思い悩み過ぎ、過労が続くことにより心に負担がかかり、心血が消耗してこの証になる。心血の不足により神志が不安定になり、不安感が高まる。
・どきどきしやすく、驚きやすい。
・心血を潤す漢方薬を用いる。

3.心陰虚:心の陰液が不足している体質。
・心が十分潤わされず、不安感が生じる。些細なことにでも不安を感じる。
・心の陰液を補い、神志を安定させる漢方薬を用いる。

4.心火:神志をつかさどる心が過度の刺激を受けて亢進し、熱を帯びて心火となり、不安感が引き起こされている状態。
・じっとしていられず、あせりを感じ、不安で落ち着かない。悶々として目がさえて眠れない。
・心火を冷ます漢方薬を用います。


・・・以上の四つが、五臓の心の不調に関連して不安感が高まっている証の例。ほかにも以下のような証がある。

5.肝鬱気滞:五臓の肝の機能が乱れた状態。
・肝は、身体の諸機能を調節する臓腑。自律神経系や情緒の安定、気血の流れと関係が深く、ストレスや緊張で機能が乱れ、この証になる。
・気の流れが悪くなることにより、小さな刺激に対しても敏感になっており、不安感が高まる。
・肝の機能(肝気)の鬱結を和らげて、ストレス抵抗性を高める漢方薬を用いる。

6.肝火:肝鬱気滞に熱が加わった状態。
・強いストレスや激しい感情の起伏などで肝気が失調すると、肝気の流れが鬱滞して熱を帯び、この証になる。
・不安感のほかに、不眠、いらいら、怒りっぽい、ヒステリーなどの症状がみられる。
・肝気の流れをよくして肝火を鎮める漢方薬を用いる。

★ 心火と肝火は、不安の種が強くのしかかってきたときや、いくつかの不安の種が積み重なって大きくなったときにみられやすい証。
★ 心気虚や心血虚などの証は、ちょっとした小さなことに対してもすぐに不安を感じてしまう、慢性的に不安にさいなまれやすいタイプの証。


▶ 不安感に効果的な漢方薬


三黄瀉心湯、黄連解毒湯、清心蓮子飲、竜胆瀉肝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、酸棗仁湯、黄連阿膠湯、帰脾湯、人参養栄湯、甘麦大棗湯、加味帰脾湯、四君子湯、炙甘草湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、四逆散、加味逍遙散、小柴胡湯



<参考>

不安感(幸福薬局)

思春期の子どもで時々相談を受けます。
起立性調節障害は以下の診断基準のうち3つ当てはまり、
貧血など他の病気が除外できると診断されます。 


1

立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい

2

立っていると気分が悪くなる。ひどくなると倒れる

3

入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる

4

少し動くと動機あるいは息切れがする

5

朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

6

顔色が青白い

7

食欲不振

8

臍疝痛をときどき訴える

9

倦怠あるいは疲れやすい

10

頭痛

11

乗り物に酔いやすい


欧米では純粋に「循環器疾患」という位置づけで、
主に血圧に作用する薬を使用します。
日本もそれに準じる一方で、
なかなか薬が効かない患者さんも少なからず存在します。

その理由として、日本の診断基準に、

3

入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる

5

朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

 
という「ココロの影響を受けるような項目」を入れてしまったから、
という意見もあります。
「嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる」って誰でもそうですよね。
 
ですから、起立性調節障害と診断され、
西洋薬を処方されても 効果が今ひとつの場合は、
ココロの問題も関与している可能性を考え、
スクールカウンセラーに相談することと、
漢方薬の使用を提案しています。

起立性調節障害の症状を漢方医学用語に置き換えてみると、

(立ちくらみ、めまい、乗り物酔い、朝起きられない、頭痛)
 → 水バランスをうまく取れない体質(水毒・水滞

(腹痛、嫌なことを聞くと気分不快)
 → ストレスに過敏に反応しやすい体質(気うつ・肝鬱

という体質をベースに、

(怠い、疲れやすい、朝起きられない)
 → 人間関係で気力を使い果たして疲れている状態(気虚

(顔色が悪い)
 → それが長く続き身も心も疲れている状態(血虚

などが加わった病態と考えられます(諸説あり)。

上記を参考に、その人の体質・体調に合った薬を選択します。
体に合う漢方に出会うと、身も心も少し楽になることが期待できます。 
 

▶ 起立性調節障害に効く漢方薬


<基礎編>

倦怠感がメイン
・朝起きられない、めまい/たちくらみ、車酔い 苓桂朮甘湯39)(

        +胃腸虚弱・頭痛・めまい   半夏白朮天麻湯(37)

・朝起きられない、だるい・しんどい  補中益気湯41
※ 苓桂朮甘湯の効果が今ひとつ  苓桂朮甘湯(39)四物湯71)(連珠飲の方意) 


痛みがメイン
・おなかが痛い、虚弱        小建中湯99

・おなかが痛い・頭が痛い・ストレス 柴胡桂枝湯10

・心身症(ストレスによる体の症状)
 → 抑肝散54)、抑肝散加陳皮半夏83)、柴胡加竜骨牡蛎湯12


月経の影響あり
・生理中に悪化 → 当帰芍薬散(23)、加味逍遥散(24)、桂枝茯苓丸(25


<応用編>
〜上記薬剤でも手応えが今ひとつの場合に考慮

● 倦怠感(+α) に効く漢方薬
〜とにかく怠くてつらい、動けない、朝起きられないときに。
・倦怠感(とにかくだるい) → 補中益気湯(41)
・倦怠感 + 貧血・皮膚乾燥  → 十全大補湯(48)
・倦怠感 + めまい・頭痛   → 半夏白朮天麻湯(37)
・倦怠感 + 不安・落ち込み  → 加味帰脾湯(137)

・倦怠感 + 胃もたれ・冷え  → 六君子湯(43) 


● 
不安感(+α)に効く漢方薬

〜漢方には思春期の不安に寄り添う薬も用意されています。
・悲しみ・パニック・感情失禁  → 甘麦大棗湯(72)
  単剤で効果不十分なら   → 苓桂甘棗湯:甘麦大棗湯(72)+苓桂朮甘湯(39)
  慢性期には        → 苓桂朮甘湯(39)+桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・喉のつまり          → 半夏厚朴湯(16)
・不安で心配でたまらない、体力なし、無気力 → 加味帰脾湯(137)

・ストレス、動悸、体力あり → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12) 

さらに、不安・緊張・怒りに効く漢方について知りたい方は、
こちらもご参照ください。
 

近年、子どもの不登校が増えてきています。
昔は人間関係が原因のことが多く、カウンセリングで紐解いていく作業が必須でした。
近年は「漠然とした不安」が原因の第一位となりました。 

しかし専門家の話を聞くと、
・子ども自身が不安を言語化できない
・さらには子ども自身が不安を自覚できていない
ーことが多いと聞きます。 

不安を言語化できないので、体調不良で訴えるわけですね。
症状は心のSOSのサインかもしれません。

このグレーゾーンに漢方薬が役立つと思います。 
漢方医学では、症状を訴える人の病態を「気・血・水」というものさしで評価します。 
このうち「気」は元気の気、やる気の気、弱気の気・・・日常的に使用している単語の語源です。

漢方医学では心と体は走後に影響し合うという「心身一如」という概念があります。
そして漢方薬は「心と体」の両方に効くようにつくられているのです。

具合が悪くてどうにもならず病院を受診し検査を受け、その結果異常なし。
すると医師からは、
「気のせいでしょう」
と言われてガッカリする話を時々耳にします。

漢方では「気のせい=気の異常」と捉えます。
ですから「気のせい」と言われたら、すなわち漢方の出番なのです。

気の異常はさらに以下のように分類され、
その病態に対応する生薬や薬がいくつも用意されています。

【気虚】
・気が消耗した状態
・心が疲れた状態
・無気力
【気うつ】
・悩みやストレスをため込んで発散できない状態
【気逆】
・不安や怒りが逆上して湧き上がってくる状態

では子どもの不安に対して、漢方でどう対処するのかを見ていきましょう。 

▶ 気虚

補中益気湯(41) 
● 適応
・無気力症状(気が空になった、やる気が起きない、ゴロゴロしていたい)+身体症状(倦怠感、食欲低下)

加味帰脾湯(137)
● 適応 
・貧血傾向の疲労感を伴う抑うつ状態
・疲れ切っているのに思考は活性化してしまう(思考がぐるぐるとまとまらない)
● 症状
・集中力低下、健忘症状、不眠
・COVID-19の罹患後精神症状(ブレインフォグ)

小建中湯(99)
● 適応
・虚弱でやせ型、くすぐったがり屋
・性格的には過敏で、対人関係ではビクビクしていることが多い。
● 症状
・疲労倦怠感が強く、腹痛や頻尿・夜尿など
・動悸が息苦しさなどの不安症状
・不安感は特定の「場所」だけではなく「空気感」にも感じることが多く、怒るかもしれないことに対して強い不安感(予期不安)を感じる。
・身体症状としては過敏性腸症候群による腹痛や、頻尿を伴うことが多く、学校で「トイレに閉じこもる」 傾向が観察される。
 
▶ 気うつ

半夏厚朴湯(16) 
● 適応
・真面目な性格で対人関係を思い悩み不安を感じることが多い。
・ストレスを強く主張することができず、胸の中にため込み、
「のどが詰まる」「胸がモヤモヤする」と表現する。
● 症状
・咽喉頭異常感:のどがつまる
・のどから胸にかけての不快感 
・声が出しにくい
・息苦しい
・過呼吸発作
・考え込んで眠れない

▶ 気逆

柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
● 適応
・不安の対象が「人」ではなく「場所」「空気感」「物音」の場合
・過敏性の高い状態からパニック障害や過呼吸症候群を呈する 
● 症状
・教室に入ることができない(教室恐怖)
・人混みが苦手 → 外出を避けて引きこもりがち
・(教室や人混みに行くと)動悸や息苦しさを感じて過呼吸発作
・少しの物音にも敏感で驚きやすく不安を感じやすい(煩驚)

抑肝散(54)
● 適応
・ポイントは「怒り」
・かんしゃくを起こして怒り出す子ども
・思い通りにならないとイライラしたり、怒鳴ったり手を出したりする子ども 
● 症状
・かんしゃく
・不眠 

▶ 効果不十分の時の次の一手
● 気の異常+水毒
・上記薬剤+五苓散(17)
・苓桂朮甘湯(39)・・・不安感+(天気の影響を受けるふらつき・朝の倦怠感・めまい) 
● その他
茯苓飲合半夏厚朴湯(116)・・・気持ちの落ち込み・不安感+吐き気
抑肝散加陳皮半夏(83)・・・怒り+消化器症状

▶ 抗不安作用を増強する方法5つ(千福Dr)
● 桂皮を増量:腹症に特徴なし
(例)苓桂朮甘湯(39)+甘麦大棗湯(72)
   苓桂朮甘湯(39)+桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
● 芍薬を加える:腹直筋緊張(精神的に過緊張)
(例)苓桂朮甘湯(39)+甘麦大棗湯(72)
   苓桂朮甘湯(39)+桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
   桂枝加芍薬湯(60)+四物湯(71)
● 四物湯を加える:貧血・冷え症・クヨクヨ
(例)苓桂朮甘湯(39)+四物湯(71)(→ 連珠飲
   桂枝加芍薬湯(60)+四物湯(71)(→ 神田橋処方
● 竜骨・牡蛎を加える:臍上悸・イライラ
● 柴胡を加える:胸脇苦満(ストレスまみれ)
(例)柴胡桂枝乾姜湯(11)…抗不安(桂皮配合)
   補中益気湯(41)…抗うつ(人参配合)

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