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 子どもたちの心の問題を追及していると、生きることの基本に立ち返ります。それは、食事・運動・睡眠。いくら薬を使っても、この3つがボロボロだったら立て直せません。
NHKで睡眠障害を扱った番組を視聴したところ、わかりやすい説明だったので備忘録としてポイントを書き残しておきます。
 睡眠医学は、メラトニンやオレキシンという物質の発見で飛躍的に進歩し、それが治療薬の開発につながっています。しかし、子どもに使用できる薬は限られています。
 さらに一番最後に出てきた「子どもの睡眠障害の原因」には環境(塾やスマホ)と心の問題(悩み・ストレス)が挙げられており、これを紐解いていくには心理士の介入も必要になりそうです。私は漢方薬の内服を提案しています(子どもの睡眠の悩みに漢方を)。

▢ 睡眠・覚醒障害とは
・夜中の睡眠の質が悪い、量が足りない。
・寝不足により日中の活動に支障がある。
・約70種類の病気が含まれる。

▢ 睡眠不足と睡眠障害の違い
・睡眠不足:眠ない(睡眠習慣の問題)
・睡眠障害:眠ない(日常生活に困りごとがある状態)

▢ 患者さんの生の声

▶ ナルコレプシー1型:日中に過剰な眠気があり、夜はグッスリ眠れない病気。
・情動脱力発作(突然、体の力が抜けて倒れてしまう症状):感情の動きが大きいときに全身の力が一気に抜けてしまう。
・「倒れ方が気持ち悪い」と言われた。自分でこらえよう・戻そうとする動きも加わるので、バタッではなくガクガクガクッと倒れ込む。倒れたあと眠ってはいるけど耳は聞こえる。

▶ むずむず脚症候群:夕方から夜に欠けて足の不快感が悪化して睡眠の妨げになる病気
・足が気になって、ほてって眠れない。
・「脚の中に虫が這うような感じ」とか「じっとしていられない、マッサージし続けないといけない、じゃないと気持ち悪くていられない」
・脚のむずむずの不快感は、なぜか明け方くらいになるとちょっと症状が治まる。2〜3時くらいにはうとうとして少し眠れる。
・でも夜になると、また寝られない戦いをしなければならないとため息が出る。

▶ 睡眠・覚醒相後退障害:脳の体内時計のリズムが乱れて睡眠時間が後ろにずれる病気
・超夜型で、みんなが眠る0時頃になっても眠気が来ない、眠りたいのに眠れない。
・定時制高校に通うようになり、登校時間が自分のリズムに合うようになり、困りごとが解消した。
・社会全体が朝型の生活でまわっている、社会に合わせに行くのではなく、自分に合った生活リズムを見つけるという考え方も大切だと思う。

▢ 睡眠・覚醒障害の分類
1.不眠
・慢性不眠障害
・短期不眠障害、等
2.睡眠リズムの異常
・睡眠・覚醒相後退障害
・非24時間睡眠・覚醒リズム障害、等
3.過眠
・ナルコレプシー
・反復性過眠症、等
4.睡眠中の異常現象
・むずむず脚症候群
・睡眠時無呼吸症候群、等

▢ オレキシンの発見(1998年、柳沢正史)
・人の覚醒を促す脳内物質。
・ナルコレプシーの治療薬開発につながった。

▢ 子どもの睡眠問題
・日本国内の子どもの3〜4人に1人が睡眠問題を抱えている。
・寝付きが悪い、夜中に動く、朝目が覚めないなど睡眠問題で「ほぼ毎日困っている」親が約30%。

▢ 年齢による体内時計の変化
・幼児期〜学童期は朝型
・思春期〜20代は夜型に傾く
・中高年になると再び朝型へ

▢ 子どもの睡眠障害の原因
・体質:生まれつき寝るのが苦手、等
・環境:塾や習い事で多忙、スマホ・ゲーム、等
・心:悩みやストレス、等


<参考>
▢ フクチッチ「睡眠障害・前編/後編」(NHK・Eテレ、2025年)

眠れないお子さんへのアドバイス
病院を受診する前に、できることをまとめました。

不眠症の漢方
眠れない子どもに使用できる西洋薬は限られています。
交感神経緊張状態(ハイテンション)から副交感神経優位に切り替えることが難しいお子さんには、漢方薬が有効なことがあります。 

参考にした本には、2剤併用による増強効果の例が掲載されており、
単剤で効果が今ひとつだった場合の“次の一手”として利用可能で助かります。
・・・ただ、2剤併用の記載を整理していたら、(黄連解毒湯+酸棗仁湯)併用レシピが二種類ありました。

■ 不眠症に対する漢方に耐性・依存症の心配はない。

■ 2剤併用による効果増強レシピ

黄連解毒湯1包+酸棗仁湯1包(眠前)
・・・頭がカッカして眠れない場合に

黄連解毒湯1包+酸棗仁湯2包(眠前)
・・・ほてりが強い場合、「漢方の睡眠薬」、
 寝る前に酸棗仁湯1包では効果不十分につき眠前2包が必要

加味帰脾湯
3包/日+酸棗仁湯2包(眠前)
・・・加味帰脾湯の効果増強

(加味)帰脾湯1包+竹筎温胆湯1包(眠前)
・・・竹筎温胆湯の適応で、不眠が強いときは眠前に帰脾湯を併用

半夏厚朴湯
小柴胡湯( → 柴朴湯(96))
・・・柴胡剤併用によりストレスに対する効果増強

加味逍遥散
3包+黄連解毒湯2包/日
・・・加味逍遥散の方意+のぼせが強いとき

加味逍遥散
2包+桃核承気湯2包/日
・・・PMSの強いとき

■ 不眠症に対する基本処方

入眠障害に
黄連解毒湯(15):寝る前に2包、または夕方1包&寝る前に2包
…頭がさえて眠れない、つまらないことが気にかかる、のぼせる例に
※ クラシエ、オースギに錠剤あり、コタローにカプセルあり

抑肝散加陳皮半夏(83):1回1包、1日3回、または夕1-2包、寝る前に2包
…イライラ、頭痛、認知症の不眠、歯ぎしり

竹筎温胆湯
(91):夕1包、寝る前2包
・・・咳・痰、いろいろ考えすぎて眠れない。「温胆湯」は物事を決められず、不安を感じるような不眠に用いる

中途覚醒、熟眠障害に
柴胡加竜骨牡蛎湯(12):1回1包、1日3回
・・・動悸、イライラ、夢(悪夢)が多い、ストレスで眠れない場合、几帳面で真面目な人が眠れなくなったとき
※ クラシエに錠剤あり

加味帰脾湯
(137)
・・・(1回1包、1日3回)不安感、体質虚弱、認知症
※ クラシエに錠剤あり

入眠障害、中途覚醒に
酸棗仁湯(103):夕1包、寝る前に2包
・・・疲れているのに眠れない

(その他)
半夏厚朴湯(16):1回1包、1日3回
・・・喉の痞え、不安感。ストレスが下人で、喉の痞えや息苦しさなどの訴えがあるときの不眠に
※ クラシエ、オースギに錠剤あり

加味逍遥散(24):1回1包、1日3回
・・・月経や更年期の不眠、イライラ、女性の不眠。単剤では効果が弱いため、随伴症状に合わせて他剤を併用する
柴胡桂枝乾姜湯(11):1回1包、1日3回
・・・神経過敏、冷え、抑うつ。仕事や家事で頑張りすぎたときのストレスで起こる不眠に。

■ 不眠症の第二選択薬

三物黄芩湯(121)・・・手足のほてり、ムズムズ脚症候群で眠れない場合
大柴胡湯(8)・・・ストレスで眠れない場合、体力充実
甘麦大棗湯(72)・・・ヒステリーやパニック障害のある不眠に
三黄瀉心湯(113)・・・黄連解毒湯と類似、便秘のある場合に
抑肝散(54)・・・抑肝散加陳皮半夏と同様
猪苓湯(40)・・・夜間頻尿や口渇を訴える不眠に


 <参考>
すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方(安斎圭一著、羊土社)

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