タグ:起立性調節障害

私は西洋医学を学んだ小児科医ですが、医師になって15年目くらいに漢方に出会い、漢方沼にはまってしまいました。
西洋医学的には病気と考えない不定愁訴(検査で異常が見つからない体の不調)に対応する薬がたくさん用意されているのです。
これはひとえに、ココロとカラダはリンクして症状を作るという「心身一如」という基本概念が漢方にはあるからです。
一方の西洋医学はいつの頃からかココロとカラダを切り離して考えるようになり、不定愁訴に対応できなくなりました。ようやく近年、「心身相関」として介入し始めたところ。

さて、思春期の子どもたちが悩まされる起立性調節障害。
私は元々虚弱系の子どもたち(漢方医学で言う脾虚)が、ストレスにさらされて辛い状態になると捉えています。
漢方的には、色々な専門家たちが様々な視点から治療法を提案しています。
それらの耳学問から私がまとめた表を提示します。

基本処方

めまい立ちくらみ型

 

立ちくらみ、めまい、動悸、息切れ、乗り物酔い

苓桂朮甘湯(39)


立ちくらみ、めまい+胃腸虚弱・冷え

半夏白朮天麻湯(37)

循環虚弱型

めまい、脳貧血、動悸など

半夏白朮天麻湯(37)

低血圧型

立っていると気持ちが悪い、

とにかく怠い

朝起き不良、易疲労、顔色蒼白

補中益気湯(41)

―他剤無効

虚弱、易疲労、(頭痛がない)

補中益気湯(41)

疼痛型:
 頭痛・腹痛

立ちくらみ、食欲不振、習慣性頭痛、乗り物酔い

半夏白朮天麻湯(37)

五苓散(17)


頭痛・腹痛・ストレス

柴胡桂枝湯(10)


虚弱体質、腹痛

小建中湯(99)


動悸、腹痛、頭痛、食欲不振

小建中湯(99)

柴胡桂枝湯(10)

ー胃腸虚弱型

食欲不振、腹痛など

小建中湯(99)

六君子湯(43)

ー精神身体型

精神的ストレスが強く、不安障害、頭痛、腹痛など

柴胡桂枝湯(10)

抑肝散(54)

心身症としてのOD

腹痛、頭痛、緊張

柴胡桂枝湯(10)

 

イライラ、神経質、怒り

抑肝散(54)


不安が強い、パニック

甘麦大棗湯(72)


不安、神経過敏、睡眠随伴症(悪夢)、動悸

柴胡加竜骨牡蛎湯(12)


喉の詰まり

半夏厚朴湯(16)


苓桂朮甘湯(39)+α

頭痛・水毒(2+)

+五苓散(17)


倦怠感

+補中益気湯(41)


頭痛・腹痛

+柴胡桂枝湯(10)


パニック・過換気、奔豚気

+甘麦大棗湯(72)

苓桂甘棗湯の方意

集中力低下など、血虚

+四物湯(71)

連珠飲の方意

大症状型:大症状>小症状

+補中益気湯(41)


小症状型:小症状>大症状

+小建中湯(99)あるいは柴胡桂枝湯(10)



起立性調節障害(ODと略します)の諸症状を漢方的に分析した病態と、ODに用いられる漢方薬の方意を表にまとめてみました。
日々の診療では、患者さんの訴えを聞き、この表を睨んで薬を選択しています。

OD症状と漢方的病態

OD診断基準

漢方病態

寺澤のスコア

1

立ちくらみ、めまい

水毒


2

立っていると気分悪化、ひどくなると倒れる

水毒


3

入浴が長いと気分悪化、嫌なことを見聞きすると気分不良

水毒


4

少し動くと動悸、あるいは息切れ

気逆・血虚

気逆8

5

朝起き不良、午前中調子が悪い

気うつ

気鬱8

6

顔色蒼白

血虚


7

食欲不振

気虚・脾虚

気虚4

8

臍疝痛

脾虚


9

倦怠感、易疲労

気虚・脾虚

気虚10

10

頭痛

水毒


11

乗り物酔い

水毒



ODに用いられる漢方薬と証

方剤名

虚実寒熱

水毒

脾虚

血虚

気虚

気うつ

気逆

安中散(5)

虚・温






柴胡桂枝湯(10)

虚・温





肝鬱

柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

虚・温




肝鬱

半夏厚朴湯(16)

中・中





五苓散(17)

虚・温





当帰芍薬散(23)

虚・温


瘀血




半夏白朮天麻湯(37)

虚・温




苓桂朮甘湯(39)

虚・温





補中益気湯(41)

虚・温


瘀血



六君子湯(43)

虚・温




抑肝散(54)

虚・温


瘀血



甘麦大棗湯(72)

中・中







抑肝散加陳皮半夏(83)

虚・温




肝鬱

小建中湯(99)

虚・温







思春期の子どもで時々相談を受けます。
起立性調節障害は以下の診断基準のうち3つ当てはまり、
貧血など他の病気が除外できると診断されます。 


1

立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい

2

立っていると気分が悪くなる。ひどくなると倒れる

3

入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる

4

少し動くと動機あるいは息切れがする

5

朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

6

顔色が青白い

7

食欲不振

8

臍疝痛をときどき訴える

9

倦怠あるいは疲れやすい

10

頭痛

11

乗り物に酔いやすい


欧米では純粋に「循環器疾患」という位置づけで、
主に血圧に作用する薬を使用します。
日本もそれに準じる一方で、
なかなか薬が効かない患者さんも少なからず存在します。

その理由として、日本の診断基準に、

3

入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる

5

朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

 
という「ココロの影響を受けるような項目」を入れてしまったから、
という意見もあります。
「嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる」って誰でもそうですよね。
 
ですから、起立性調節障害と診断され、
西洋薬を処方されても 効果が今ひとつの場合は、
ココロの問題も関与している可能性を考え、
スクールカウンセラーに相談することと、
漢方薬の使用を提案しています。

起立性調節障害の症状を漢方医学用語に置き換えてみると、

(立ちくらみ、めまい、乗り物酔い、朝起きられない、頭痛)
 → 水バランスをうまく取れない体質(水毒・水滞

(腹痛、嫌なことを聞くと気分不快)
 → ストレスに過敏に反応しやすい体質(気うつ・肝鬱

という体質をベースに、

(怠い、疲れやすい、朝起きられない)
 → 人間関係で気力を使い果たして疲れている状態(気虚

(顔色が悪い)
 → それが長く続き身も心も疲れている状態(血虚

などが加わった病態と考えられます(諸説あり)。

上記を参考に、その人の体質・体調に合った薬を選択します。
体に合う漢方に出会うと、身も心も少し楽になることが期待できます。 
 

▶ 起立性調節障害に効く漢方薬


<基礎編>

倦怠感がメイン
・朝起きられない、めまい/たちくらみ、車酔い 苓桂朮甘湯39)(

        +胃腸虚弱・頭痛・めまい   半夏白朮天麻湯(37)

・朝起きられない、だるい・しんどい  補中益気湯41
※ 苓桂朮甘湯の効果が今ひとつ  苓桂朮甘湯(39)四物湯71)(連珠飲の方意) 


痛みがメイン
・おなかが痛い、虚弱        小建中湯99

・おなかが痛い・頭が痛い・ストレス 柴胡桂枝湯10

・心身症(ストレスによる体の症状)
 → 抑肝散54)、抑肝散加陳皮半夏83)、柴胡加竜骨牡蛎湯12


月経の影響あり
・生理中に悪化 → 当帰芍薬散(23)、加味逍遥散(24)、桂枝茯苓丸(25


<応用編>
〜上記薬剤でも手応えが今ひとつの場合に考慮

● 倦怠感(+α) に効く漢方薬
〜とにかく怠くてつらい、動けない、朝起きられないときに。
・倦怠感(とにかくだるい) → 補中益気湯(41)
・倦怠感 + 貧血・皮膚乾燥  → 十全大補湯(48)
・倦怠感 + めまい・頭痛   → 半夏白朮天麻湯(37)
・倦怠感 + 不安・落ち込み  → 加味帰脾湯(137)

・倦怠感 + 胃もたれ・冷え  → 六君子湯(43) 


● 
不安感(+α)に効く漢方薬

〜漢方には思春期の不安に寄り添う薬も用意されています。
・悲しみ・パニック・感情失禁  → 甘麦大棗湯(72)
  単剤で効果不十分なら   → 苓桂甘棗湯:甘麦大棗湯(72)+苓桂朮甘湯(39)
  慢性期には        → 苓桂朮甘湯(39)+桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・喉のつまり          → 半夏厚朴湯(16)
・不安で心配でたまらない、体力なし、無気力 → 加味帰脾湯(137)

・ストレス、動悸、体力あり → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12) 

さらに、不安・緊張・怒りに効く漢方について知りたい方は、
こちらもご参照ください。
 

小児科医の私は、子どもの“こころのトラブル”の相談を時々受けます。

・乳幼児期の夜泣き
・幼児期のかんしゃく
・幼児・学童期の反復性腹痛(過敏性腸症候群)
等々。さらに近年は、年長児・思春期の
・眠らない・眠れない
・だるくてつらい・朝起きられない、学校へ行けない
などの相談も増えてきました。

どれも検査で異常が検出できない訴えです。西洋医学では「ストレスを減らして様子を見ましょう」としか言えませんが、漢方では対応する薬が用意されています。なんと1800年前からあるのですよ(!)。昔の人も同じようなことで悩んできたのですね。

それらを紹介したいと思います。まず、子どもの成長とともに心の問題(小児心身症)の症状も変遷していきます。

(乳児期)夜泣き、憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)
(幼児期)眠らない、夜驚症、反復性腹痛、かんしゃく
(学童期)眠らない、反復性腹痛・頭痛、チック、起立性調節障害
(思春期)眠れない、反復性腹痛・頭痛、摂食障害、起立性調節障害、過換気症候群・パニック

これらの症状は西洋医学の視点では以下の5つに分けられることに気づきます。そして対応する代表的な漢方薬を列記しますと、
 
1.睡眠障害夜なき・眠らない・眠れない
 → 甘麦大棗湯(72)、抑肝散(54)
2.反復性腹痛(過敏性腸症候群)よくお腹を痛がる
 → 小建中湯(99)、桂枝加芍薬湯(60)、四逆散(35)
3.反復性頭痛(天気痛・片頭痛)よく頭を痛がる
 → 五苓散(17)、柴胡桂枝湯(10)
4.起立性調節障害だるい、朝起きられない、学校へ行けない
 → 補中益気湯(41)、苓桂朮甘湯(39)、柴胡桂枝湯(10)
5.過換気症候群・パニック・不安
 → 苓桂甘棗湯:苓桂朮甘湯(39)+甘麦大棗湯(72)
6.その他:かんしゃくチック 

となります。これらを中心に説明します。

 1.睡眠障害

(乳児期)夜泣き
・泣き虫、シクシク泣く、不安 → 甘麦大棗湯(72)
・怒りんぼ、ギャーギャー泣く、かんしゃくもち → 抑肝散(54)
★ 泣き入りひきつけ(憤怒けいれん) → 甘麦大棗湯(72) 
 
(幼児期・学童期)眠らない・眠れない
~ 現在、子どもの4〜5人に1人に睡眠問題があります。夜10時以降に就寝する子どもの割合は1~3歳の半分以上。
・不安・泣き虫・あくび → 甘麦大棗湯(72)
・神経質・イライラ・多動 → 抑肝散(54)
・反復性腹痛・虚弱 → 小建中湯(99)
・鼻閉・口を開けて寝ている → 葛根湯加川芎辛夷(2)

(思春期)眠れない
・不安 → 甘麦大棗湯(72)
・イライラ・興奮 → 抑肝散(54)
・動悸・ストレス・恐怖 → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
・うつうつ、不安だらけ → 加味帰脾湯(137)
・心身ともに疲れて眠れない → 酸棗仁湯(103)

 2.反復性腹痛(過敏性腸症候群)
基本:小建中湯(99)
・虚弱体質で登園・登校前にお腹が痛くなる、イベントの前になるとおなかが痛くなるタイプに有効
(例)マンガ「ちびまる子ちゃん」に出てくる山根君
応用:
桂枝加芍薬湯(60):(小学校高学年以降の)過敏性腸症候群
柴胡桂枝湯(10):小中学生でストレスまみれ、他に頭痛やだるさも訴える
四逆散(35):中高生でストレスが強く常に緊張、緊張で手が震える、手掌発汗
芍薬甘草湯(68):痛みが強いときに頓服で使用
★ 番外編:のど・胸のつかえ感・違和感 → 半夏厚朴湯(16)

3.反復性頭痛(天気痛・緊張性頭痛・片頭痛)
・気圧変化(低気圧・悪天候)による → 五苓散(17)、苓桂朮甘湯(39)、半夏白朮天麻湯(37)
・筋緊張性頭痛 → 柴胡桂枝湯(10)
・スマホ・パソコンのやりすぎ → 治打撲一方(※)、治打撲一方(89)川芎茶調散(124)
・神経質・イライラ・多動 → 抑肝散(54)
・嘔吐・冷房痛・胃腸虚弱 → 呉茱萸湯(31)
・虚弱体質(+腹直筋緊張)→ 小建中湯(99)
・月経関連頭痛 → 当帰芍薬散(23)、加味逍遥散(24)、桂枝茯苓丸(25)

治打撲一方(89)の応用(井上博喜Dr.の意見)
 便秘なし → 桂枝茯苓丸へ変更
 瘀血 → 桂枝茯苓丸を追加
 臍痛点 → 葛根湯(あるいは葛根加苓朮附湯)追加
 天候で悪化 → 五苓散を追加
 慢性化 → 加附子 
 ストレス → 柴胡剤追加

4.起立性調節障害

 「朝起きられない」ときに考えるべき病気:
① 体を起こせない(起立性調節障害)
② 目が覚めない(睡眠覚醒リズム障害) → 睡眠の専門医へ
③ そもそも起きたくない(心理社会的要因) → カウンセリングへ
→ 以上を考慮し、①と判断したら漢方薬の出番

 起立性調節障害の諸症状に合う漢方薬
・朝起きられない+だるい・しんどい → 補中益気湯(41)
・朝起きられない+めまい・たちくらみ、車酔い → 苓桂朮甘湯(39)(※)
        +胃腸虚弱・頭痛・めまい  → 半夏白朮天麻湯(37)
・おなかが痛い+虚弱        → 小建中湯(99)
・おなかが痛い+頭が痛い・ストレス → 柴胡桂枝湯(10)
・心身症(ストレスが主因)→ 抑肝散(54)、抑肝散加陳皮半夏(83)、
               柴胡加竜骨牡蛎湯(12)
・生理中に悪化傾向  → 当帰芍薬散(23)、加味逍遥散(24)、桂枝茯苓丸(25)

※ 苓桂朮甘湯の効果が今一つの場合は、+四物湯(71)(連珠飲の方意)
 連珠飲はめまいのみでなく、婦人病全般に有用(浅田宗伯)。

 倦怠感+α に効く漢方薬
・倦怠感がとにかく強い    → 補中益気湯(41)
・倦怠感 + 貧血・皮膚乾燥  → 十全大補湯(48)
・倦怠感 + めまい・頭痛   → 半夏白朮天麻湯(37)
・倦怠感 + 不安・落ち込み  → 加味帰脾湯(137)
・倦怠感 + 胃もたれ・冷え  → 六君子湯(43)

★ フクロウ型体質(山本巌先生・惠紙英昭先生)
・自覚症状
 ✓ 午前中調子が悪い、15時ごろから元気になる
 ✓ 夜は早く眠ろうと思っても眠れない
 ✓ 朝食は欲しくない
 ✓ めまい、たちくらみがある
 ✓ 頭痛、肩こり、心悸亢進
・体質
 ✓ やせ型が多い
 ✓ 冷え症で手足が冷たい
 ✓ 暖かいところにいると気分が悪くなる
 ✓ 長湯はできない
・他覚的所見
 ✓ 顔色が青い、結膜や更新の色は紅い
 ✓ 舌は湿潤、脈は沈、腹壁は比較的薄く、心窩部浸水音あり
 → これらの症状に苓桂朮甘湯(39)が有効、
 倦怠感が強いときは苓桂朮甘湯(39)+補中益気湯(41)が有効

 起立性調節障害の一部が不登校につながります。
不登校になる前の体の不調:
・頭痛・腹痛
・疲れやすい
・眠れない
・朝起きられない
 → 以上がやがて、不安・抑うつ・不登校につながる。

5.不安・パニック・過換気症候群

● 近年の不登校の原因の第一位は「漠然とした不安」です。
不登校の要因ベスト5(令和4年、文科省):
① 無気力・不安(52%)
② 家庭の問題(13%)
③ 生活リズムの乱れ(11%)
④ 学校の問題(11%)
⑤ 友人関係(9%)

 不安感に対する漢方薬
・悲しみ・パニック・感情失禁  → 甘麦大棗湯(72)
  単剤で効果不十分 → (苓桂甘棗湯)苓桂朮甘湯甘麦大棗湯(72)
  慢性期には    → 苓桂朮甘湯桂枝加竜骨牡蛎湯(26)
・喉のつまり     → 半夏厚朴湯(16)
・不安で心配でたまらない、体力なし、無気力 → 加味帰脾湯(137)
・ストレス、動悸、体力あり → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)

★「粉薬は飲めない!」という年長児には錠剤も:
・ストレスが強い・動悸・イライラ
 → 柴胡加竜骨牡蛎湯(12)(抑肝散、甘麦大棗湯の代わりに)
・過敏性腸症候群
 → 桂枝加芍薬湯(60)(小建中湯の代わりに)
・頭痛・腹痛・緊張が強い → 柴胡桂枝湯(10)
・だるい・疲れた → 補中益気湯(41)
・喉のつまり → 半夏厚朴湯(16)

6.その他
かんしゃくこちらを参照)
チックこちらを参照)
 
 
<参考>
方剤解説(この項目で紹介した漢方薬) 

成長期の思春期には体や心の困りごとが顔を出します。
当院ではそんな状態に漢方薬の使用を提案しています。


▶ 思春期のニキビを治したい

▶ 思春期のダイエット

▶ メンタルの不調(ドキドキ・イライラ・ウツウツ)

▶ カラダの不調(朝起き不良〜起立性調節障害)

▶ 思春期貧血

▶ 頭痛

▶ 眠れない(不眠症)

▶ 思春期の摂食障害

<女子の悩み>

▶ 正常な月経と月経異常

▶ 生理痛・月経関連トラブル

(より詳しく知りたい方へ)
 ▢
生理痛・月経痛
 ▢ 月経前症候群(PMS)
 ▢ 月経不順

☆ 参考;
思春期のケア(日本産婦人科学会)
 〜思春期女子の医学的問題が網羅されています。


<男子の悩み>

▶ 思春期男子に正しい性の知識を伝授します
 

思春期に多い起立性調節障害(以下OD、orthostatic dysregulation)は、
大人で言う起立性低血圧の思春期版です。

アメリカでは循環器疾患という位置づけですが、
日本の診断基準には「こころ」の要素も入れてしまったので、
様々な疾患のゴミ箱的な診断名になっていると批判されています。
なぜかというと、「こころ」に効く薬が用意されていないので、
臨床現場で困ってしまうのですね。

しかし心身一如(※)という漢方的捉え方からすると当たり前の病態、
つまり漢方薬の得意分野とも言えます。
※ 体と心は切り離せない、連動しているという考え方

漢方的にどんな捉え方をして、どんな風に治療を組み立てるのか、
これまでも繰り返し学習してきましたが、今一度整理してみます。

今回参考にしたのは、漢方薬局のHPで、
主に薬剤師さん&一般患者さん向けですが、
医師にとっても分かり易く、以前から参考にさせてもらっています。

■ ODという病気
・ODは起立時に立ちくらみ、めまい、動悸などの循環器症状や、
 倦怠感、頭重、腹痛などの不定愁訴が生じる疾病。
・女性に多く、5-6月と夏休み明けの9-10月に相談が増える。

■ ODの漢方的病態
・めまい、立ちくらみ → 水毒(=水滞、痰飲)
・胃腸虚弱、疲労倦怠感、根気が続かない → 気虚、血虚、気滞(=気鬱)

■ ODの漢方的病態と対応する生薬
(水毒)茯苓
(痰飲)半夏
(気虚)人参
(気滞)柴胡
(血虚)当帰、芍薬

■ ODの病期と対応する方剤
1)症状の顕著な状態→ 薬味が少なく即効性のある方剤を選択
苓桂朮甘湯半夏白朮天麻湯
2)症状が落ち着けば背景の病態を整えて寛解維持を目指す
柴胡桂枝湯(腹痛)、小建中湯(腹痛、倦怠感)、補中益気湯(だるさ)

■ ODに用いる三大漢方薬
苓桂朮甘湯 ・・・症状の顕著な時期に:めまい、立ちくらみ、動悸、頭痛
半夏白朮天麻湯・・・初期〜亜急性期に:めまい、頭痛、吐き気
補中益気湯 ・・・寛解期の体調管理に:倦怠感、だるさ、筋緊張低下

▢ 苓桂朮甘湯
・動揺性のめまい、立ちくらみ、動悸、頭痛に頻用される。
・古典には「起則頭眩」と記載。
・冷え傾向、頭痛やのぼせ、冷や汗が発作的に現れる病態に適応。
・吐き気が顕著なときは五苓散を併用。
フクロウ症候群(午前中の体調がよくない傾向のヒト)に適応。
・即効性あり、味も悪くないので小児に投与する第一選択薬。

▢ 半夏白朮天麻湯
・めまい、立ちくらみに使用される。
・胃腸虚弱、吐き気、食後の眠気、冷え症に適応。
低気圧頭痛(悪天候で頭痛が悪化する)に適応。
・甘草を含まないので苓桂朮甘湯より長期服用に適する。

■ 苓桂朮甘湯(降起利水補気)と半夏白朮天麻湯(補気化痰熄風)の比較
・共通生薬:白朮、茯苓・・・補気利水
・共通症状:めまい、立ちくらみ、頭痛、乗り物酔い
・苓桂朮甘湯のポイント:桂枝・甘草(降気・・・動悸、息切れ)
 → (発作的な)のぼせ、動悸、頭痛
 → 半夏白朮天麻湯より神経質
・半夏白朮天麻湯のポイント:六君子湯(補気化痰)の6生薬入り+天麻(熄風・・・めまい、頭痛)
 → 胃もたれ、食欲不振、低気圧頭痛
 → 苓桂朮甘湯より胃腸虚弱、冷え傾向

▢ 補中益気湯
めまいが主たる適応ではない
・OD患者の虚弱状態を改善して寛解維持目的の方剤。
・全身倦怠感、手足のだるさ、声や目に力がない、易感染性に適応。
・苓桂朮甘湯に初期から眠前1包を併用する方法もある。

■ 全身病態を調整するその他の方剤

▢ 柴胡桂枝湯(10)、小建中湯(99)
・・・OD患者の胃腸症状と倦怠感などに用いる。

▢ 六君子湯(43)
・・・胃腸虚弱者の食欲不振、食後の胃もたれを軽減する第一選択薬。
 体力維持のための食事療法を支援する方剤。
 本方は、香蘇散(抑うつ、頭重)、半夏厚朴湯(不安、抑うつ)、
四逆散(抑うつ、苛立ち、腹痛)などと併用して臨床領域を広げる工夫がされる。

▢ 当帰芍薬散(23)
・・・顔色不良、冷え傾向(血虚)と性周期と関連するめまいなどに適する。
 本方は、理気薬の四逆散(35)と組み合わせて、
 潜在的鉄欠乏に対する鉄剤と食事指導を併用して、
 女性の起床困難、手足の冷え、ODに用いられる。

▢ 連珠飲
・・・四物湯(補血活血剤)と苓桂朮甘湯の合方。
 桂皮と甘草を含むので、当帰芍薬散(23)より発作性の動悸、のぼせ、頭痛のあるときに適する。
 連珠飲を服用して熟地黄による胃もたれや食欲不振が出たときには、
 当帰芍薬散(23)へ変更するか、人参湯を併用する。

▢ 十全大補湯(48)
・・・連珠飲と補気薬の人参、黄耆を含む。連珠飲の適応病態で、胃腸虚弱や倦怠感を伴うときに適する。


<参考>
・漢方の気ぐすりき.com〜漢方を知る〜病気の悩みを漢方で〜起立性調節障害の漢方

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